藤澤ねぼけ堂は、昭和43年に設立。当初は「瓦煎餅」をメインに製造していましたが、15年ほど前の「早川ポテト」の発売を皮切りに、洋菓子部門でも著名なお菓子メーカーとして成長しました。今回は、その「早川ポテト」の紹介です。
「早川ポテト」という名前の由来は、旧川越藩(現在の入間郡三芳町)にて先祖代々さつまいもの栽培をしている、いもづくり名人の「早川さん」の作ったおいもを使っているから。たい肥(肥料)にも徹底的にこだわり、畑周辺の防風林から落ち葉を拾い集め、2年かけて肥料にして自然がたくさん詰まった栄養を与えて、手塩にかけて育てたおいもです。
そもそも埼玉は、さつまいもにゆかりのある土地。江戸時代初期、中国から琉球、薩摩を経由して日本にもたらされたさつまいも。埼玉の所沢市で初めて栽培に成功し、以来「川越芋」として盛んに作られてきました。
しかし現在、川越芋を栽培するのは早川さんのところの近く、三芳町上富のごく一部だけ。最近では、この地域で採れた貴重なさつま芋は「富の川越いも」「富のいも」と呼ばれています。
このおいもに敬意を表し、商品名にしたというのも、藤澤ねぼけ堂という会社が生産者を大切に思っているということなのでしょう。
常温で日持ちのするお菓子ながら、しっとりとしたリッチな味わいの早川ポテト。蒸かした川越芋に、一般的なスイートポテトにはあまり使われない白あんを合わせて、独特のほくほく感を醸し出しています。
焼き方にもポイントが。電気に比べ火力の強いガスオーブンを使用して短時間で焼成することにより、生地の乾燥を防いでしっとりとした食感を実現。食べ応えがあるので、ひとつでも満足感があります。「地元の皆様に喜んでいただくばかりでなく、遠方のかたにも川越芋の美味しさを堪能していただきたいと考えております」藤澤ねぼけ堂の稲垣健二郎さんは語っていました。
そのまま食べても美味ですが、袋から出して、レンジで10秒ほど軽く温めると、おいもの風味がいっそう引き立ち、できたてのスイートポテトを食べているかのよう。ぜひ一度お試しあれ!
伝統の川越芋を収穫する早川さん。
照り出しの卵黄を塗ってガスオーブンへ。
三芳町に設置されている、甘藷の碑。ここがさつまいもゆかりの地であることを示しています。
本ページの記載事項は、2017年8月1日現在の情報です。