PROJECT

メーカー様といっしょに
みんなの明日をよくする。

ユニリーバ様×アスクル
「おはなしティモテ」開発プロジェクト

[ LOHACO ]

CEO + PROJECT MEMBER

東浜 文哉氏
ユニリーバ・ジャパン・
カスタマーマーケティング株式会社
ダイレクター
菊田 愛氏
ユニリーバ・ジャパン・
カスタマーマーケティング株式会社
eコマース&デジタルマーケティング
eコマースアカウントエグゼクティブ
岩田 彰一郎
代表取締役社長兼CEO
鈴木 香
BtoCカンパニー
LOHACO事業本部
日用品事業部 MD
(マーチャンダイザー)

01/04

お客様からもたらされたビッグデータは、
お客様のために社会へ還元すべきだ。

「社会最適を果たす、最も効率的な仕組みだけが、次の時代に生き残っていく」。

それが創業以来、アスクルの根底にある変わらぬビジョンだ。当社を率いる代表取締役社長兼CEOの岩田はこう語る。

「アスクルは、消費者であるお客様と生産者であるメーカー様との間に立ち、両者を直接つなぐという、従来の日本の流通構造を革新するバリューチェーンを追求することで成長してきました。それが社会にとって一番適した仕組みで、お客様にもメーカー様にも利益をもたらすのだという信念がありました。そして2012年にヤフー株式会社の協力のもと、個人のお客様向けのネット通販であるLOHACOを立ち上げ、ECビジネスに本格的に参入すると、この仕組みをさらに進化できる大きな可能性を感じたのです。」

ECの世界では、サイトを訪れるお客様のあらゆる購買行動をデータで把握することができる。こうしたお客様のビッグデータを活用すれば、いままでにないマーケティングも実現できる。

「LOHACOで築かれていくビッグデータは、もとをただせばお客様からいただいたものです。データを自分たちの利益のためだけに使うのは道理に反する。そこから得られる知見を社会に還元して、お客様のために活用すべき。そこでLOHACOのビッグデータを社外にオープンにして、メーカー様とともにお客様に新しい価値をもたらすマーケティングを実践していくことを決意しました。」

そんなアスクルの思想から生まれたのが「LOHACO ECマーケティングラボ」(以下「ラボ」)だ。通常、EC企業にとってお客様のビッグデータは、自社の競争力の源泉となるものだ。個人情報を除いたビッグデータをラボ参加メーカー様に広く公開し、企業の垣根を越えて新たなECマーケティングの研究開発活動を行うというのは前代未聞の取り組み。2014年立ち上げ当初、日用品や食品などのメーカー12社が参画してスタートしたこの活動は、第3期目を迎えた2016年には参加企業が102社にまで拡大。そして、このラボで編み出されたイノベ―ティブな施策が次々と世の中で展開されている。

02/04

社会最適という同じ志を持ったユニリーバ様と
ともに取り組んだ「福袋」という大胆な企画。

ラックス、ダヴ、紅茶のリプトンをはじめ、全世界で400を超えるブランドを製造・販売しているグローバルカンパニーのユニリーバ様は、ラボの発足時から参画されている企業の一社だ。岩田は言う。

「ユニリーバ様は『環境負荷を減らし、社会に貢献しながらビジネスを成長させる』というビジョンを掲げられていて、我々としてもたいへん共感するところがありました。日本法人のトップの方とも定期的にミーティングの機会を持たせていただいていますが、我々への期待を強く感じますし、すでに協業によって新たな成果も上がっています。」

たとえば、LOHACO限定で企画販売された「ユニリーバ福袋」もそのひとつだ。これは、さまざまなブランドのユニリーバ製品がパッケージされた商品で、定価の70%オフというきわめてリーズナブルな価格で爆発的なヒットとなった。ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社でEC事業の責任者を務める東浜氏はこう語る。

「当社が手がけるヘアケアやボディケアの製品は、約2年に1回は、モデルチェンジして新商品が投入されています。商品の改廃が激しく、旧モデルの在庫が残ることもある。そこに私たちは課題を抱えていました。」

そうしたユニリーバ様の課題を解決すべく奮闘したのが、LOHACOのMD(マーチャンダイザー)を務める鈴木だ。ユニリーバ様と議論を重ね、鈴木が提案したのが「福袋」企画だった。

「旧モデルの商品をパックにして、思い切った低価格でお客様にご提供できないかと。こうした方法はタブー視されている傾向もあるのですが、LOHACOのお客様のビッグデータから、アウトレットは実は有効な販売促進の手段であり、かつ『福袋』というワードにお客様が反応しやすいということが見えてきた。しかし、ただ値段を下げて売るだけではLOHACOのMDとして価値を発揮しているとは言えない。旧商品を大胆にディスカウントする一方、新商品のサンプルもあわせてお届けし、お客様がそれまでご存じなかったユニリーバ様のブランドも認知させることができればと考えたのです。」と鈴木は語る。

03/04

単なるアウトレットで終わらない、
みんなの明日をよくするという社会最適を目指す。

下手にアウトレットを実施すれば、ブランドのイメージを毀損してしまう恐れもある。にもかかわらず、ユニリーバ様は鈴木の提案を受け入れ、この「ユニリーバ福袋」はテストマーケティングが行われることになった。東浜氏は語る。

「従来、モデルチェンジにともなって残った旧商品は廃棄されてしまうこともありました。しかし、廃棄するにはコストもかかりますし、何より環境への負荷が大きい。この企画は、それを回避することができ、お客様にはユニリーバ製品をリーズナブルに使っていただき、しかも新商品の販売促進にもつながる。実際、テストマーケティングの結果が良好で、本格的にこの『福袋』を展開することに決めました。社会にもお客様にも当社にもメリットのある企画であり、たいへん意義のある施策だったと思っています。」

さらにユニリーバ様とは、オリジナル商品の企画開発にも取り組んでいる。先日発売されて好評を博しているのが、ユニリーバ様の有力ブランドのひとつである“ティモテ”のLOHACO限定シャンプー&トリートメント。いままでにない斬新なパッケージデザインの商品である。東浜氏はその開発背景をこう語る。

「ティモテは北欧で生まれたブランドであり、天然由来のオーガニックであることを商品コンセプトに掲げています。このティモテのマーケティングについて鈴木さんと議論していたところ、これまで当社があまり意識していなかったファミリー層に訴求しようという方向性が浮かび上がってきました。」

30代40代の仕事や育児に忙しい女性がメインターゲットであるLOHACOと、ティモテのブランドの相性はいい。加えて、オーガニックを打ち出したヘアケア商品の層がLOHACO内ではまだ薄かった。鈴木は言う。

「オーガニックが大きな魅力であるティモテは、LOHACOがターゲットとしているお客様にとっては、お子さんと一緒にお風呂に入る時にぴったりの商品ではないかと。そこで、親子の入浴シーンでの使用をお客様にアピールする商品デザインにしたいと考えたのです。」

04/04

「物語」のある商品で、
親子が過ごす時間をよくしていく。

お子さんと一緒に入浴する時、お風呂が楽しくなるようなシャンプーやトリートメントとは?……MDの鈴木とユニリーバ様との間で議論が重ねられた。東浜氏とともにユニリーバ様のEC事業に携わり、LOHACOの営業窓口を担当する菊田氏はこう語る。

「鈴木さんとのミーティングの場では、自由な発想が飛び交っていつも大いに盛り上がりました。私たちが目指していたのは『シャンプーやトリートメントでお風呂での過ごし方を変えられたら』ということ。ティモテのブランドコンセプトも意識しつつ、たとえばシャンプーとコンディショナーの容器をくっつけると幻想的に光るような仕掛けにしようとか、お湯をかけると何かビジュアルが浮かび上がってくるとか、毎回議論するのが楽しかったですね。」

そして企画されたのが、『物語』のついたシャンプーやトリートメントだった。北欧のアンデルセン童話「親指姫」「人魚姫」をモチーフにデザインされたボトルパッケージと外箱にはそれぞれの童話が綴られている。入浴時にお父さん、お母さんがお子さんに物語を聞かせることで、お風呂で過ごす時間や空間をもっと豊かにしたい。そんな想いを込めてこの商品は開発された。菊田氏は言う。

「こんなデザインのシャンプーやトリートメントは他にはありませんし、ティモテのブランド向上にもつながっています。後日、ラボで、新規のお客様を獲得できた成功例として取り上げていただきました。こうした成功例を業界全体で共有して実践し、お客様全体の幸せにつながればと思っています。」

このユニリーバ様との協業による商品開発は、まさにアスクルが目指す未来を示唆していると岩田は言う。

「ネット通販の世界では、欲しい商品の最安値がすぐ検索できるため、ECがあらゆるものの値段を引き下げる装置になりかけていました。しかし、そうした状況はお客様やメーカー様、流通にとっても、けっして明るい未来にはつながらない。もちろん1円でも安くご提供することは大切ですが、お客様が求める価値はそれだけではない。普段身のまわりにある何気ない日用品が変わることで、暮らしが豊かで楽しくなることもたくさんある。ユニリーバ様の事例はまさにその好例です。値段だけじゃない価値を提案していく、そんな新しいeコマースを実現すれば、きっと世の中のみんなの明日がよくなっていく。アスクルの進むべき道はこれからも変わりません。」



※所属、内容は取材時のものです。

みんなの明日をよくする方法

メーカー様と協働して
社会最適を図る仕組みをつくる。

  • 課題
    消費者であるお客様と生産者であるメーカー様を最適な形でつなぎ、両者に利益がもたらされ、誰もがHAPPYになれる社会を、ビッグデータを駆使して実現していきたい。
  • 解決策
    LOHACOに日々蓄積されるお客様の購買活動データをラボ参加メーカー様にオープンにして、メーカーとともに新しいECマーケティングに取り組み、いままでにない価値を持った商品を開発。
  • 実現の壁
    従来の常識にとらわれない、暮らしになじむデザインを施した商品で、お客様の日々の生活を豊かで楽しいものに変えて、価格だけではない価値を世の中に提案していく。