Happy On Time で、ECの宅配に革新。
お客様の不便をなくし、社会課題も解決。
Happy On Time
[ LOGISTICS ]



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スマホやパソコンで、いつでもどこでも欲しい商品が購入できるECは、いまや人々の生活に欠かせない存在になりつつある。その一方、ECの急拡大に伴って重大な問題も生まれている。それが「宅配クライシス」だ。商品の宅配が増える反面、昨今の人手不足からドライバーの増員がままならず、宅配サービスレベルの維持が難しくなっている。そんななか、LOHACOが2016年夏からスタートした“Happy On Time”がいま注目を浴びている。
これは東京・大阪の一部において、LOHACOで商品を購入したお客様が1時間単位で受け取り時間を指定することができ、配達当日、配達予定時間をさらに細かく30分単位でアプリやメールを使って連絡。さらに配達の10分前に、もうすぐ到着する旨をアプリのプッシュ通知でお知らせするというサービスだ。国の調査によると、いま都市部での再配達率が約15%あるのに対して、LOHACOは2%台という驚異的な数字を記録。その原動力となったHappy On Timeの開発プロジェクトの責任者を務めたのが吉村だ。
「お客様が宅配された商品をスムーズに受け取れずに不便を感じているという課題感は、かねてから我々も抱えていました。では、なぜ再配達が起きてしまうのか?その根本には、お客様とのコミュニケーション不足がある。お客様に商品を受け取りたい時間帯を細かく指定していただき、LOHACOからも配達当日にお届け予定の時間帯をきちんとお伝えできれば、確実に商品をお届けできるはず。そんな考えのもと、Happy On Timeの開発がスタートしたのです。」
このサービスを実現するためには、お客様が希望するお届け時間内に、商品を必ず届けられる精度な配送計画を立てなければならない。当時社内にそうした配送計画システムは存在せず、社内外を巻き込んで一から作り上げなければならなかった。
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Happy On Timeの実現に向けて、吉村が中心となり、配送業務を担う物流子会社ASKUL LOGIST(アスクルは自社で物流機能を有しており、それも大きな強みとなっている)の担当者や、システムの構築を担うエンジニアなど、さまざまな部署のメンバーが集うプロジェクトチームが発足。密度の濃いミーティングを何度も行って議論を重ね、解決すべき課題を洗い出し、LOHACOならではの配送システムを構築していった。このプロジェクトでシステム開発のリーダーを務め、Happy On Timeをテクノロジーの面から支えているのがエンジニアの嶋田だ。
「このプロジェクトでは、部署の垣根を超えてメンバーが自由に意見を出し合い、吉村さんが迅速に意思決定して新たなサービスを創り上げていきました。プロジェクトがひとつのベンチャー企業のように機能し、私も自由度をもちながら開発を進めていくことができた。技術的に面白いことにも積極的に取り組んでいます。」
たとえば、お届け日当日、商品の現在位置をLOHACOのアプリやWebサイトマップで確認できる機能もそのひとつ。配送ドライバーが携帯する端末からのGPS情報によって、現在位置を割り出して表示するという機能で、これも嶋田が開発・運用している。
そしてHappy on Timeがスタートした後、新たにプロジェクトに加わったのが岡田だ。彼はそれまで、お客様からのお問い合わせに対応するお客様サービスデスクに所属していた。
「以前所属していたカスタマーサービス部門で、私はさまざまなお客様の生の声に触れてきました。たとえば配送についても、『赤ちゃんが泣くからインターホンを鳴らさないでほしい』とか『配達した荷物は玄関の前に置いてくれればいい』とか、お客様とのコミュニケーションを工夫すればお応えできそうなご要望もいくつかあり、配送イノベーションに異動し、このHappy on Timeに関わることになった時、ぜひ自分がリードして実現したいと思っていました。」
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お客様のためにこのHappy on Timeをさらに進化させるべく、岡田が取り組んだのは、従来の宅配業界ではタブー視されていた「置き場所指定配送」のサービスを実現することだった。置き場所指定配送とは、玄関先や車庫内などお客様から指定された場所に荷物を置き、お届け完了とすること。この方法で商品の受け取りを希望されるお客様は一定数存在し、置き場所指定配送することでドライバーも再配達をしなくてすむ。一方で、商品を屋外に置くため紛失や破損などの恐れもあった。岡田は言う。
「当初、社内には『そうしたリスクを負うサービスになるのではないか』という声もありました。しかし、このサービスはお客様にとってもドライバーにとってもメリットがある。一緒に企画に取り組んだメンバーも同じ思いでした。これはぜひ実現すべきだと、法務部門やシステム開発部門と協議しながら、どうすればお客様に安心してこのサービスを利用していただけるか、その方法を探っていきました。」
そしてリスクを最小化するために辿り着いた結論が、ドライバーが荷物を置いた場所の写真を撮影し、お客様がアプリやサイト(PC・スマホ)を通じ、お届け状況を確認できる仕組みを創ることだった。こうした岡田たちの奮闘もあって、従来の慣習を打ち破ったLOHACOの置き場所指定配送サービスはリリースされた。危惧されたようなトラブルもほとんどなく、利用されたお客様からは好評の声が寄せられている。配送ドライバーの負担軽減にも大きく寄与した。
さらにこの置き場所指定配送サービスは、様々なメディアやSNSでも話題になった。
「誰もがよく知る某有名実業家からネット上で『便利だね』とコメントをいただいたんです。そんな人に直に褒められることなんてなかなかないので、周りに自慢しました(笑)。」
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配送計画の精度をあげるためにAI(人工知能)も活用し、すでに軌道に乗っているHappy on Timeだが、吉村は精度をいっそう高めていくことにも取り組んでいる。
「今後はサービス対象地域をいっそう拡大していくとともに、利用率のさらなる向上を目指す方針。LOHACOのお客様で、Happy on Timeをご存知ない方はまだ大勢いらっしゃる。そうしたお客様の利用を促進していきたいと考えています。」
利用率アップのため、嶋田はLOHACOアプリを使用していないお客様に向けて、Yahoo! JAPANのスマートフォンアプリのプッシュ機能を活用したHappy on Timeのプロモーションも自ら企画して実施。
「効果があり、Happy On Timeの利用者増加につながった。エンジニアもただシステムを作るだけでなく、ビジネスサイドにまで関わってテクノロジーを使った施策を考えて実行できるのも、このプロジェクトに関わる醍醐味だ」と彼は言う。
また岡田も、Happy on Timeを利用されていないお客様にお届けする商品の納品書に、このサービスの広告を掲載することを企画。この施策も利用者の増加につながった。Happy on Timeがもっと普及すれば、まさしくそこに関わるみんながもっとハッピーになれる。そんな想いが岡田の原動力だ。
そして彼らのチャレンジは、配送の現場そのものを変えることにも及んでいる。岡田は語る。
「どんなにECが発展しようと、商品をお客様にお届けするのは『人』。配送ドライバー次第で、お客様の満足度も変わる。その最終的な接点も革新していきたい。その第一弾として先日、ASKUL LOGISTの配送ドライバーのユニフォームを一新しました。身体の動きに対応した要素を取り入れた『アスリート仕様』で新たに製作し、より快適かつ安全に仕事ができる環境を整えるとともに、ドライバーのイメージアップも図りたいと考えています。こうした取り組みを通して、物流業界が抱える問題の解決に少しでも力になっていきたい。」
アスクルが示す新しい配送の形が、きっと将来、世の中のスタンダードになっていくに違いない。
お客様のために
「配送」を進化させる。