更新日:2024年4月30日
ダイヤルゲージの使い方は?種類や注意点もわかりやすく解説
製造作業の現場などでは、組み立てに用いるパーツのサイズにずれがないかチェックする必要があります。このようにパーツのサイズのずれをチェックするときは、測定器のダイヤルゲージが役立ちます。
この記事では、ダイヤルゲージの概要や種類をわかりやすく解説します。使い方や使用時の注意点も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
ダイヤルゲージとは
ダイヤルゲージとは、短い直線距離を測れる測定器のことです。スピンドルの動きに合わせて指針が回転し、表示された目盛りを読み取って測定します。
ダイヤルゲージは、対象物の比較測定を行う際に使うのが一般的です。例えば、機械の組み立て作業を行う際に同じパーツを複数用いる場合、各パーツの寸法は同一でなければいけません。そこで基準となるパーツをダイヤルゲージで一度測定し、他のパーツを測定した際に基準と差がないかどうかを確認します。
また、複数の面が平行になるよう調整する平行出しや、回転軸の振れを測定するシーンで使われる場合もあります。
なお、測定長は約1mm〜10mmに設計されている機種が多いです。長い機種では、約100mmの測定が可能なダイヤルゲージもあります。
ダイヤルゲージを構成する主なパーツ
下記のように、ダイヤルゲージは目盛りが印字された板や測定に必須のスピンドルなど、さまざまなパーツで構成されています。
ダイヤルゲージを構成する主なパーツ | 概要 |
---|---|
長針 | 1mm以下の数値を読み取れる針 |
短針 | 1mm以上の数値を読み取れる針 |
長針用目盛り版 | 測定用の数値が印字された板 |
短針用目盛り版 | 測定用の数値が印字された板 |
ステム | 保持具の取りつけ部分 |
測定子 | 対象物を当てる部分 |
スピンドル | 測定時に動く軸 |
止めネジ | 外枠の回転を固定するためのネジ |
外枠 | 長針用目盛り版を回転させるためのパーツ |
基本のパーツの種類を覚えておけば、ダイヤルゲージの取扱説明書に記載されている内容を把握しやすくなります。はじめてダイヤルゲージを使う方は、この機会にパーツの名称や役割を押さえておくと良いでしょう。
ダイヤルゲージには2種類のタイプがある
ダイヤルゲージには、「スピンドル式ダイヤルゲージ」と「てこ式ダイヤルゲージ」の2種類があります。それぞれ特長が異なるため、対象物や作業環境に合わせて選びましょう。
以下では、各ダイヤルゲージの特長を順番に解説します。
スピンドル式ダイヤルゲージ
スピンドル式ダイヤルゲージは、スピンドルの上下の動きを内部の歯車をとおしてダイヤルに伝え、針が変位を表示するタイプの測定器です。
ストロークを長くとれるのが特長で、寸法の変化が大きい対象物の測定には特に向いています。また、切削加工用の機械「旋盤」を用いて芯出し作業を行う場面でも、スピンドル式ダイヤルゲージがよく使われています。
てこ式ダイヤルゲージ
てこ式ダイヤルゲージは、スピンドルの角度を内部の歯車をとおしてダイヤルに伝え、針が変位を表示するダイヤルゲージです。てこの原理を用いて測定を行うことから、そのまま「てこ式ダイヤルゲージ」と呼ばれています。
スピンドルが細くて小さいため、狭いスペースで測定をしなければいけない場面では特に重宝します。また、スピンドル式ダイヤルゲージに比べてより細かな測定が可能なため、高い精度の測定を求められる場面でよく利用されています。
ダイヤルゲージの使い方
ダイヤルゲージを使った測定は、「ダイヤルゲージを固定する」「対象物を測定する」という2つのステップに沿って行います。以下でダイヤルゲージの具体的な使い方を見ていきましょう。
1. ダイヤルゲージを固定する
ダイヤルゲージは単体で測定する道具ではなく、スタンドに固定して使うのが基本です。
スピンドル式ダイヤルゲージの場合、ステムを使って固定する、または本体裏側のピンでスタンドに固定します。一方、てこ式ダイヤルゲージは、本体裏側にある溝を使って固定する仕組みです。
なお、スピンドルの位置の微調整を行う場合は、「レリーズ」と呼ばれるバーを使います。手動で微調整を行うと、位置がずれてしまう可能性があるので注意してください。
2. 対象物を測定する
ダイヤルゲージをスタンドに固定したあとは、対象物を測定します。
測定方法は、平らな度合いを示す数値「平面度」、円筒の軸が同軸であることの精度を示す「同軸度」のどちらを測るかで変わります。以下でそれぞれの測定手順を紹介します。
平面度の測定手順
ダイヤルゲージで平面度を測定する手順は下記のとおりです。
- 対象物を平面のテーブルに乗せて固定する
- ダイヤルゲージの測定子が測定面に触れるようにセット
- 測定箇所が均一になるように対象物を動かす
- ダイヤルゲージの目盛りを読み取る
対象物を乗せるテーブルは、必ず平面のものを利用しましょう。テーブルに少しでも凹凸や角度がある場合、正しい平面度を測定できないので気をつけてください。
同軸度の測定手順
続いて、同軸度の測定手順を紹介します。
- 対象物を固定する
- 測定子を公差指示のある外周の頂点に当たるようにセット
- 対象物を回転させながら、ダイヤルゲージで最大値と最小値を測定する
なお、同軸度は、測定したときの最大値と最小値の差が一番大きい値です。正確な同軸度を導き出せるよう、何度か測定を繰り返すと良いでしょう。
ダイヤルゲージを使用するときの注意点
ここからは、ダイヤルゲージを使用する際の注意点を下記の3つ紹介します。
- 目盛りはダイヤルゲージの正面から確認する
- 衝撃を与えないように気をつける
- 使用後のお手入れを欠かさない
ダイヤルゲージで測定を行う際は、ぜひ心掛けてください。
目盛りはダイヤルゲージの正面から確認する
測定時にダイヤルゲージの目盛りを確認する際、視認する角度によっては測定結果に誤差が生じる場合があるので注意してください。例えば、正面から見たときと斜めから見たときでは、角度がある分視認できる目盛りの数値が変わってきます。
ダイヤルゲージの目盛りは正面から確認するのが基本です。視認角度が原因で生じる測定ミスを防ぐためにも、毎回同じ角度から確認する癖をつけましょう。
衝撃を与えないように気をつける
ダイヤルゲージをはじめとした精密測定器具の多くは、衝撃に強くありません。
万が一道具をぶつけたり落としたりすると内部の構造がずれてしまい、正確な測定が難しくなる可能性があります。そのため、ダイヤルゲージの使用時は衝撃に十分注意しましょう。
ダイヤルゲージを使わないときは、外部からの衝撃の影響を受けない安全な場所に保管しておくことをおすすめします。
使用後のお手入れを欠かさない
ダイヤルゲージのお手入れを怠ると、道具に汚れが付着して測定に支障が出る可能性があります。毎回正確な測定を行うためにも、使用後は布で汚れを拭き取りましょう。
スピンドル摺動面の汚れは、乾いた布、または少量のアルコールを含ませた布で拭き取ります。他の部分の汚れは、乾いた布や少量の中性洗剤を含ませた布で拭き取ってください。ダイヤルゲージのお手入れをしたあとは、直射日光や湿気を避けて保管しましょう。
なお、お手入れの際にスピンドルに注油をするのは避けてください。油が固まってしまうと、ダイヤルゲージが故障する原因になりかねません。
まとめ
ダイヤルゲージには、「スピンドル式ダイヤルゲージ」「てこ式ダイヤルゲージ」の2つのタイプがあり、それぞれ特長や測定方法が異なります。これから購入を検討している方は、ダイヤルゲージのタイプが作業内容に適しているかどうかを事前に確認しておきましょう。
また、ダイヤルゲージを使用する際は、強い衝撃を与えないように注意してください。このほか、使用後のお手入れや保管場所にも気をつけましょう。
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