プロジェクトストーリー LOHACO BREAD

ベーカリー品質のパンが通販で買えるという発想。
これまでの常識を覆し、大成功を収めたLOHACOの挑戦。

ベーカリー品質のパンを届けたい
eコマースの可能性を広げるチーム力

LOHACO BREAD

2019年9月、LOHACOに新たなヒット商品が誕生した。
ベーカリー品質のパンをお客様にお届けしたいという想いから生まれた「LOHACO BREAD」。
これまでLOHACOで取り扱う食品はお菓子やカップ麺など
常温で長持ちする商品(常温品/非要冷品/非温度管理品)が中心であり、
消費期限の短い日販品のパンを売るという発想はなかった。
一方でeコマースにおけるパン市場はまだまだ手付かずの市場という魅力がある。
しかも一度ノウハウを作ってしまえば、パン市場よりさらに巨大市場である生鮮食品への足がかりともなる。
今回のLOHACO BREADを実現するには超えなければならないいくつもの壁があったが、
実際に企画に踏み切り、発売までこぎつけたストーリーを担当者が語る。

プロジェクトメンバー

立花 智子

LOHACO生活用品統括部でMD(商品仕入れ・開発)を担当。LOHACO BREAD企画の発起人。持ち前の行動力とポジティブさで、多くの部署を巻き込みながら実現にこぎつける。

林 政良

物流企画統括部長。物流センターでのシステム、オペレーション、設備設計を担当。立花にLOHACO BREADについて考えるきっかけを与える。

山川 剛央

戦略調達部門部長であり、在庫管理のスペシャリスト。LOHACO BREAD立ち上げの際も前例がない多くの制約を乗り越えながら、運用を行う。

鯉沼 孝弘

品質管理部門所属。製造工場での生産体制の確認から、物流センターでの温度管理、日付シールを貼り付けるためのルール作りまで、商品品質確保の要として担当。

「青果を売ろうよ」
シンプルな一言からすべてが始まった。

-今回、LOHACOでパンを売ろうと思ったきっかけはなんだったのですか?

実は、今回のプロジェクトのターゲットとなったパンは、他の生鮮食品にチャレンジする過程で生まれた企画なのです。というのも市場規模を見渡すと、加工食品が約5兆円なのに対して生鮮食品は13兆円近くもあると試算されており、特にLOHACOは「くらしをかるくする」するというコンセプトがあるので、ここに参入することはお客様のお役に立てるだろうと。そこで、まず生鮮食品の中でもいわゆる賞味期限の表示の必要がなく、常温で輸送配送できる「青果」を取り扱い始めたのですが、そのきっかけをくれたのが、物流企画部門の林さんの「埼玉県日高市の物流センター(アスクルバリューセンター日高)近くの野菜を仕入れて売ってみようよ」という言葉でした。

私はアスクルのグループ会社である株式会社チャーム(ペット用品や生体を扱うeコマース)で、熱帯魚などの生体を届ける仕事をしていたので、生鮮品を取り扱うことに対して周りが思っているほど難しいとは思っていませんでした。むしろ、早くやろうよ、というくらいの感覚でしたね。

常温で賞味期限の長い食品しかしか扱えないと思っていた私には、林さんの投げかけは、ハッとさせられるような言葉でした。ちょうど話をもらったのが2018年秋頃で、常温配送できる冬場に販売までこぎつけたいと、各部門のプロフェッショナルを集めて青果販売プロジェクトをスタート。企画から立ち上げまで、3ヶ月というスピードで実現しました。そこからテスト販売でトライ&エラーを繰り返し、生鮮食品を取り扱うノウハウを積み重ねていきました。そのノウハウを他に活かして何かお客様に喜んでいただける商品展開はないだろうかと考えた時に出てきたのがパンだったのです。実は、一世帯あたりのパンの支出額はお米を上回っており、市場規模がすごく大きい上に、eコマースにおいてはほとんど手付かずの領域でした。すでに青果でノウハウを身につけた私たちにとって、パンを売るなんて簡単だろうとたかをくくって、「LOHACO BREAD」の企画はスタートしました(笑)

冷凍パンを常温に戻してから配送する。
前例のない方法に品質をどう担保するか。

-実際、「LOHACO BREAD」はイメージ通りスムーズに進んだのですか?

イメージ通りという感じではなかったです(笑)。企画を詰めていくうちにいくつも超えなければならないハードルが見えてきました。そのひとつがパンは青果と違って消費期限があるということ。「冷凍で届ければ?」という話なのですが、そうすると今度は配送コストがかさんでしまいます。さらに、おいしさにもしっかりとこだわらなければ、やる意味がありません。それらの問題を解決するために考えたのが、パンを焼き上げた後にすぐに冷凍し、センターの冷凍庫で在庫。注文が入った分だけ解凍して出荷するという方法でした。そうすれば焼きたての風味や食感が維持できる上、消費期限や輸送、食品ロスの問題まで一気に解消できると思いました。

MDの立花さんの声かけで、様々な部署のキーマンが集まりプロジェクトの話を聞きましたが、面白い話だなと前向きに思う一方で、様々な懸念点も浮かび上がってきたように思います。私が担当した品質管理の視点だと、冷凍から常温に戻してお届けするのは今までにない挑戦であり、「果たしてお客様にご迷惑をおかけしない品質でお届けできるのだろうか?」という不安がありました。

注文を受けて、出荷日当日に冷凍庫から低温庫で解凍した後の流れですよね。

普通であれば青果もパンも店頭に並んでいて、お客様が実物を見た上で購入しますが、eコマースではそれができません。だからこそ、お客様が画面で見た通りの確実な品質のものをお届けすることが大切になってきます。決められた温度管理のもとでパンが解凍されているかを確認したり、消費期限の日付シールを貼ることに対する保健所との調整を行ったり、あるいは、パンが他の商品に潰されないかという梱包方法まで細かくチェック。品質に関わるリスクを洗い出しながら内容確認や仕組みづくりを細かく行いました。

限られた在庫保管スペースで、
品切れを起こさないというミッション。

-品質管理の他にはどんな課題が浮かび上がっていたのですか?

「LOHACO BREAD」を実現させるためには、仕入れや在庫管理のハードルも非常に高かったと思います。最初、物流センターは広大な敷地があるので、パンを冷凍保存しておくための冷凍庫をたくさん入れてしまえば解決すると思っていました。ただ、戦略調達の山川さんからすれば、冗談じゃないと(笑)。

まさにその通りで(笑)。アスクルのビジネスは簡単にいうと「仕入れたものを売る、売れたら仕入れる」のサイクルを回転させるのが基本です。物流センターの限られたスペースに1種類でも多くの商品を在庫するため、必要最小限の在庫数で売り切れが発生しないよう、需要をきちんと見極め発注を行っています。その中で1つの商品のために、何台もの冷凍庫をおくわけにはいきません。また、LOHACO BREADはPB(プライベートブランド)として製造委託先でLOHACOのためだけに作られた商品なので、一回に発注する量や納品条件などの制約が多くあることに加えて商品のラインナップも複数あり、発注が難しい商品でした。とにかく色々な制約がある中で、品切れせず、かつ在庫をあふれさせないようコントロールしていくことが求められるプロジェクトでした。ただ、非常に難易度が高いプロジェクトであるがゆえに燃えましたね。

楽しそうでしたもんね(笑)

ハードルが多いプロジェクトでしたが、実現を目指す立花さんの想いと行動力に心を動かされました。立花さんの想いを受け止めて、その想いをお客様にお届けするための方法を考える。最終的にはお互いの知恵を出し合いながら着地点を見つけ、立花さんはMDとして売れる商品を作る、私たちは在庫を切らさずコントロールするという、お互いがプロ意識を持って仕事ができたのではないかと思います。

仲間を増やして、壁を乗り越える。
今回のプロジェクトはまさにRPG。

-プロジェクトの大変さの中に、楽しさを見出しているような。そんな印象を受けますね。

こういうプロジェクトをやっていくと、新しい気付きも多いですし、新しいスキルを身につけて成長していけるというのは面白いと思いますね。一方で、私のいる品質管理はやっぱり「守り」の部署なので、新しいことにはリスクがあるという考え方もあります。ただ、アスクルには「お客様のために進化する」というDNAがあるので、現状維持でやっていてもお客様に提供する価値を高めることにはつながっていきませんし、社会的に存在する意味がない会社になってしまうと思います。攻めながら守るというバランス感覚を持つことが私たちには求められているのではないかと思いました。

私にとっての今回のプロジェクトは、今後も私たちが当たり前にやっていかなければならないことが詰め込まれたものだったと思っています。事業として考えた時、右から左に商品を流しているだけでは、価格競争にしかなりません。他社と差別化された付加価値のある商品を提供する上では、乗り越えなければならないハードルやリスクはつきものだと思います。今回は「通販でおいしいパンを届けたい」という純粋な想いが、プロジェクトを推し進める力になったと思います。

今回は、色々な壁があったと思うのですが、結果的にすごくヒットして、雑誌などで立花さんが取材を受けたりもしていますよね(笑)。私は、プロセスよりも成功したという事実がすごく大切だと思っていて、それを形にしたのが立花さんのMDとしての巻き込む力であったり、ポジティブな考え方であったと思います。

ありがとうございます(笑)。私にとっての今回のプロジェクトは、一言でいうとRPGみたいなもので、仲間を作って、大きな壁に立ち向かっていくみたいな。その中で私はMDなのでとにかくたくさん売るということが役割なのですが、やはり仲間の仕事のことや考えていることをしっかりと理解して、足並みを揃えないとその壁は乗り越えられないと思いました。月並みになってしまうのですが、アスクルって挑戦できる文化がある会社だと思います。たとえ、その挑戦が難しいものであっても、想いを持って動き続ければ今回のようにメンバーが協力してくれて形にできます。そこには失敗も成功も存在するのですが、仲間と苦労しながら作り上げた成果を共有することで、新しい挑戦への扉がさらに開くのではないかと思っています。

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