プロジェクトストーリー 海をまもるレジ袋

これまでのレジ袋の概念を変える。
新たな視点で環境問題に取り組む前例のない挑戦。

部署も職種も超えたチームワークで実現した
「寄付金つきレジ袋」という新発想。

海をまもるレジ袋

2020年7月にレジ袋の有料化が義務付けられたことで、
アスクルにおける購買行動も変化を余儀なくされた。
安く大量に売る消耗品から、付加価値のあるアイテムへ。
着目したのは、アスクルにとっても重要なテーマである環境課題。
もしも、レジ袋の購入が環境課題の解決につながるとしたら…
社会的にも注目度の高いプロジェクトに込められた想いを、
キーパーソンである3名が語った。

プロジェクトメンバー

田中 木綿

MD本部所属。ポリ袋カテゴリの担当MD。商品の企画開発やディレクター的な立ち位置で部署間の調整・全体管理など行う。

大箱 真由子

MD本部ブランドマネジメント デザインエンゲージメント所属。国内外のデザイナーとの窓口となり、商品やパッケージのデザイン開発をサポート。

小林 祥子

サステナビリティ部門所属。寄付先の選定・調整、協定の締結、社内外への情報発信・報告などを担当。

これまでにないデザイン、そして寄付金つきという新たな価値。

-まずはプロジェクトの経緯について、簡単に教えてください。

当時、社会的にもホットトピックだったレジ袋の有料化に対して、アスクルのレジ袋の売上も低下することは目に見えてわかっていたので、何か手を打つ必要がありました。そこで、アスクル全社としても注力している環境問題にスポットを当て、かつ強みであるデザイン面も活かした商品を開発できないかと考えたんです。これまで、レジ袋といえば「安く大量に売る」商品でしたが、世の中の価値転換に合わせた商品を打ち出せれば、アスクルらしさを伝えられるのではないかと。

田中さんから話をいただいた段階で、これまで一般的だった無地ではなくシンボリックなデザインにしたいこと、そして寄付金つきのものにしたいというアイデアは固まっていました。そこまではスムーズに決まったのですが、いざ実現するとなる大変で。私の役割としては、このレジ袋を買ったお客様にも、それを手に取るエンドユーザー様にも、アスクルのメッセージが一目で伝わるようなデザインが求められました。ただの装飾でもいけないし、直接的すぎる啓蒙的なデザインでもいけない。国内に先行事例も少なく、デザインの方向性を決めるまでにはかなり紆余曲折がありました。

「海洋プラスチックゴミ問題」というキーワードを田中さんからいただいたのですが、まずはその背景からアスクルとしてどのような貢献をしていくべきかを検討し、寄付先を幅広く調べることにしました。その上で寄付先として最適な団体を探していく中で、長崎県対馬市が日本でも特に海洋ゴミの漂着量が多いことを知り、その問題の深刻さに驚きました。海洋ゴミというと、どこか自分の生活と直結しない問題のようなイメージを持ってしまっていたのですが、国内にもこんなに影響があるのかと。このとき初めてこの問題を自分ごととして捉えることができたと思います。

1つの商品が結んだ縁は、大きなパートナーシップへ。

-寄付先として対馬市を選定した理由はほかにもあるんですか?

なぜその支援先なのかという点で商品とのつながりがわかりやすく、寄付に留まらず次のアクションにつながる関係性を構築できる団体はないかと考えていました。お客様への説明責任を果たす意味でも、このプロジェクトを単なる慈善活動ではなくその問題にもう一歩踏み込めるような活動として位置付けたいと思ったんです。

アスクルとして直接課題解決に寄与したいと考えており、地方自治体である対馬市は課題解決に直結しやすく、会計の公開義務もあるので寄付金の用途も明確。さらに、恥ずかしながら私たちも対馬市の海洋ゴミ問題について今回初めて学んで知ったこともあり、この現状を発信することはお客様にとっても学びにつながるんじゃないかと考えました。

海洋ゴミ問題に取り組む対馬市と、資源循環への取り組みの方向性に共通点が多かったアスクル。寄付というかたちで関係性がスタートしましたが、双方の想いが重なった結果、SDGsの目標達成に向けた連携協定を締結するまでに至りました。プロジェクトスタート時には想定すらしていなかったような大きなパートナーシップが、とても短期間で誕生したことは驚きましたし、やりがいを感じました。

使用シーンを徹底的に考え、辿り着いたデザイン。

-デザインについても聞かせてください。

「海をまもるレジ袋」のデザインは、環境先進国と言えるデンマークのデザイナーに依頼しています。言語も文化も環境問題への意識も異なる国のデザイナーとのやりとりは難しいことも多かったのですが、できるだけ具体的に意見を伝え、方向性を絞っていきました。いくつか提案をいただいたものを田中さんとも確認しながら、最終的にはサンゴのデザインを採用させていただきました。

海洋ゴミ問題というテーマからすると、魚やクジラやイルカといった海の生き物を真っ先にイメージすると思います。でも特定の生き物にフォーカスするのではなく、多様な生態系の象徴としてサンゴをモチーフにしているところが、私たちが思い描くプロジェクトのビジョンにも非常に合っていると感じました。

また、最終的にこの商品を誰がどんなシーンで使うのか、ということはかなり意識しました。魚がたくさん描かれているレジ袋を、果たしてベーカリーやコーヒーショップの方が買ってくれるのか。海だからといって青々としたデザインにしては食品業界の方々は使用しにくい。また、これまでアスクルが取り扱ってきたレジ袋を購入されるお客様には調剤薬局が多く、透けにくさが重視されていることも分かっていたので、その点はかなり意識しましたね。

最終的にエンドユーザーの方の手に渡った後はゴミ袋に使う人も多いと考え、ゴミが見えにくいとか、インテリアに馴染むといったことも意識しましたよね。二次利用、三次利用まで考えて、大箱さんとデザインを調整していきました。

印刷は一色ですが、サンゴが重なった部分の発色や微妙なグラデーションにも非常にこだわっているので、手に取る機会があればぜひ見てほしいです。

既存の枠組みを超えたプロジェクトを通して、新たに思うこと。

-最後に、それぞれの今後の展望をお聞かせください。

私が所属している部署は、お客様と直接やりとりする機会が多いとは言えません。しかし今回のプロジェクトを通して、お客様にも普段のお買い物を通してこういった問題を知るきっかけを提供できるのではないかと思えました。この先、対馬市とのパートナーシップを深めていく中でプラスチックゴミから商品を開発するようなサーキュラーエコノミーの活性化を目指し、今後は地元住民の方々と社員とのコミュニケーションも増えていくといいなと思っています。

現在はMDが発案した商品企画をデザイン面からサポートする業務がメインですが、やがては商品開発のきっかけをつくるような情報発信をしていけたらと思っています。「海をまもるレジ袋」は好意的なレビューも多く、デザイン性を評価いただく声も集まっているので、この経験を活かして足を止めることなくチャレンジしていきたいです。

このプロジェクトは今まで深く関わったことのない部署の方々をも巻き込んで、皆の協力と後押しが合ったからこそ実現できました。デザイン面で大箱さん、寄付の部分で小林さん、ほかにも販促チームや広報チームにも協力してもらい、開発から販売まで常に刺激的なプロジェクトでした。この実績とナレッジが、対馬市とのプロジェクトの第二弾、第三弾とつながって、他のMDにも良い影響を与えていけたらと思います。

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