プロジェクトストーリー 消毒液
優先供給プロジェクト

新型コロナウイルス感染症の影響で不足する消毒液を
医療機関などに優先的に届ける、国との連携プロジェクト。

世の中に不足する消毒液を
いち早く必要な場所へ。

消毒液 優先供給プロジェクト

2020年1月から続く新型コロナウイルス感染症のパンデミック。
マスクや消毒液など衛生用品の流通不足は深刻となり、
一般の人だけでなく、必要とする医療、介護施設での入手も困難な状況になった。
政府が設置した「新型コロナウイルス感染症対策本部」ではこの事態に対し、
医療機関や介護施設などへ優先的に手指消毒液を届ける取り組みを発表。
多くの医療機関、介護施設との取り引きがあり、独自の物流システムを持つアスクルが参画することになり、
社内では各部門のスペシャリストが集まる特別チームを結成。
社会インフラとして自負のあるアスクルにとって、存在意義が試されるプロジェクトとなった。

プロジェクトメンバー

蛯原 一朗

厚生労働省・経済産業省「新型コロナウイルス対策本部」との窓口となり、自治体との連絡、社内オペレーション運用の構築など、消毒液がいち早く必要な場所に届くよう尽力。

東田 圭介

配送マネジメントの担当として、入出荷および在庫、配送状況を管理。他社の配送センターを管理するという前例のないミッションに真摯に向き合う。

前田 優子

受注登録オペレーションを担当。自治体から送られてくる注文リストを受け取る窓口として機能。大量のデータを最適化し、配送部門との連携を行う。

川田 智也

物流センターのマネジメントを担当。全国8カ所から出荷される消毒液に対し、物流センターがキャパシティオーバーにならないようコントロールを行う。

国の要請から1ヶ月で
出荷オペレーションを開始せよ。

-今回のプロジェクトの背景についてお聞かせください。

2020年初頭に新型コロナウイルス感染症が広がり始め、ASKULでもマスクや消毒液、医療現場で使われる手袋などが一気に品薄状態に陥りました。国からの要請を受けたのが3月上旬。国がメーカーから仕入れた手指消毒液を、アスクルの物流を使って医療機関、介護福祉施設、医療ケアが必要な個人宅へと優先的に届けて欲しいという依頼を受けました。3月末には出荷をスタートさせたいという話でしたので、急遽チームを編成することになりました。国から提示された計画は、1ヶ月ごとに全国の自治体が医療機関などに案内を流し、自治体に集まった注文リストのデータをASKULが受け取り、全国8カ所にある物流センターから送り届けるというもの。スピードが求められる一方で、自治体から送られてくる注文リストデータは、イレギュラーな情報も多く含まれており、ASKULの既存システムだけでは行き届かないところもあります。そういった場合は大量のデータを手運用で入力するという、苦しい状況からのスタートでした。

一刻も早く消毒液を届けるために、
リアルタイムな調整の連続。

-大量の注文リストに対し、どのようにプロジェクトを進めたのでしょうか。

私が所属する受注登録オペレーション部門は、自治体からの注文リストをシステムに取り込んで物流センターに渡したり、注文に対するお問い合わせ対応を行う窓口として機能しています。通常であればリストのデータをシステムに取り込んでしまえば済む話なのですが、急ごしらえの仕組みですので、情報の整理をしなければなりません。中でも苦労したのが住所の問題。たとえば京都などは通り名が一般的に使われています。地元では町名を使わずとも通り名で場所を特定できるのですが、私たちにはどこなのか正しい住所がわかりません。そういった情報を整理するところから始まりました。

最初のうちは、毎日遅くまで対応していただきましたよね。

そうですね。起点となる部門ですので、とにかく手を動かさなければ始まらないという状況でした。私のチームは5名なのですが、最初の方は夜遅くまで、上司にも作業をお願いしつつ(笑)。ただ、自治体もすごいスピード感で対応されていて、規模によっては送り先が何千、何万というところもあります。担当の方も当然見切れませんので、そういうところも理解しながら対応にあたりました。

受注登録チームの皆さんに最初の流れを作っていただいたおかげで、私が運用を担当している物流センターにデータが届き、消毒液の出荷業務に取りかかることができました。しかし、ここでも大変なことはありました。大量に消毒液が入荷されるということはわかっていたので、その準備はしていたのですが、何しろスピードが求められています。このプロジェクトでは8カ所の物流センターで出荷業務を行ったのですが、通常出荷と並行しながら、イレギュラーともいえる作業に対応しなければなりません。たとえば、「仙台からは5,000件の発送が限界なので、別の場所から発送してください!」「東京で物流センターの人員を確保できたので、こちらに発送を回してください!」など、リアルタイムでの調整の連続。受注登録チームが持っている注文数と、センターのキャパシティを見合わせながら、最適なオペレーションができるようにコントロールしていました。

取り扱う商品数が増え、
プロジェクトの規模が大幅に拡大。

-プロジェクトを走らせながら、運用オペレーションを整えていったのですね。

大変ながらもチームの協力のもと形が出来上がっていったのですが、5月に大きなミッションが加えられました。それまでASKULが配送していたのは低濃度の消毒液1アイテムだけだったのですが、高濃度アルコール消毒液も配送するという業務が追加されたのです。扱うアイテム数も増え、ボリュームが大きくなったことで現状のチームだけではまかないきれなくなり、さらに多くの部門の方が関わるプロジェクトになりました。部門横断的な体制ができたことで、医療従事者のお客様がASKULに登録して、自治体を通さず優先的に購入できるという仕組みを作り、業務効率化を図ったのですが、一つクリアしなければならない問題も発生しました。ASKULの倉庫では低濃度の消毒液を管理することはできるのですが、高濃度アルコール消毒液は危険物とみなされ、取り扱うことができなかったのです。そこで東田さんに相談を…。

私はそれまでプロジェクトには関わっていなかったのですが、話があるからミーティングに参加してほしいと(笑)。話を聞いていくと、高濃度のアルコールを取り扱うために、別会社の倉庫を使って入出荷のオペレーションをしてほしいと言われました。今までやったことがない上に、その仕組み自体存在しない状態。「そうきたか」と思いました(笑)

チームのメンバーと、この仕事は東田さんじゃないと絶対無理だよって言ってました(笑)

話をもらってから2週間くらいで出荷を始めないといけない状況で、仕組みを作り込むという時間はありません。まずは出荷をすることを優先し、今までの経験を活かしながら手運用と既存の仕組みを交えなんとか実現をしていきました。受注登録チームから届く発注リストを別会社の倉庫に渡して、出荷が完了したらデータを返してもらってチェックを行い、在庫、配送管理までやるという作業です。毎日ルーティンで行うことでなんとか回すことができました。

やり遂げたからこそ見えた、
アスクルで働く意味。

-スピードや精度が求められる中で、このプロジェクトを実現していったのはすごいですね。

やはりアスクルって社会のインフラとしての自負があるので、こういう緊急事態こそ必要とされる存在でありたいと思っていますし、社員全員が社会に貢献したいという使命感みたいなものは持っていると思います。そういうところが大好きですね。

そうですよね。コロナ禍に限らず、これまでも災害が起こるたびに、状況に合わせて行動してきましたからね。蛯原さんの部署から情報が届けられて、その受注データを川田さんや東田さんの受け持つ物流センターに流して、困っているお客様の手元に必要なものを届ける。その時の一体感というのはとても感じられますね。だから、今回のプロジェクトも話を聞いた時に「困った」という感情よりも、「誰かの役に立ちたい」というモチベーションの方が強かったです。

あと、今回のプロジェクトですごいと思ったのは、体制図がなくても、自然発生的にチームができていったこと。普通ならリーダーがいて、誰が何をするという形が出来上がってから、自分たちのやるべきことを考えるのですが、今回に関しては、そういう形式張ったものがなかったですよね。

そうですね。強制的にお願いされるわけでもなく、私がこの役割を担えばプロジェクトが円滑に進むというイメージが出来上がっていました。自分が社会のために少しでも価値提供するならこの役割を果たさないと。そんな意識で取り組んでいます。

各部署の業務負荷は高かったとは思うのですが、それでも「必要としている場所に消毒液を確実に届けるんだ!」という一人一人の高い意識のおかげで、アスクルの存在意義を示すことができているプロジェクトだと思います。随所で難しい課題もありましたが、「できない理由」を述べる人はおらず、実行するためにはどうすればいいかを前向きに考える人がコミュニケーションをスムーズにしてくれました。私自身もプロジェクトの窓口として自治体の方とコミュニケーションを取らせていただきましたが、消毒液が届いたことに喜んでいただけたり、SNSでお客様からの感謝のメッセージを目の当たりにすると、本当に頑張ってよかったなと実感しています。

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