更新日:2025年1月30日
エアコンのイヤな臭い対策は?酸っぱい臭いの原因や対処法を解説

職場で「エアコン稼働時にイヤな臭いがする」「エアコンが急に臭くなった」と気になっても、対処法がわからず悩んでいませんか。臭いの影響で業務に集中できなくなると、生産性が低下する恐れがあります。この記事では、臭いの原因やその対処・予防の方法を解説していますので、ぜひ実践してみてください。
エアコンから臭いがする原因

エアコンから吹き出す風の酸っぱい臭いやツンとした臭いは、職場環境に悪影響をおよぼします。こうした臭いがする主な原因3つです。臭いの原因について、それぞれ詳しく解説します。
繁殖したカビ
エアコンから雑巾のような臭いがする場合、カビが原因の可能性があります。エアコンの吹き出し口を覗いたときに黒いカビが見えたら、エアコン内部には多くのカビが繁殖しているため対処が必要です。カビは温度と湿度、そして餌となるホコリや汚れがあるとどこでも発生します。
エアコンは空気の取り込みと温度調整の過程で、チリやホコリを吸い込みます。そこで内部に汚れが溜まりやすく、それはカビにとって格好の餌となります。また、エアコン内部は結露が発生するためカビが好む湿度になりやすいうえ、エアコンの設定温度はカビが好む温度です。これらによりエアコン内部で繁殖したカビが、エアコンの臭いの原因になります。
ドレンホース内の汚れ
ドレンホースとは、エアコン内部の水を外に排出する部品のことです。その内側に汚れが溜まると排水不良やカビの繁殖につながり、臭いが発生します。ドレンホース内の汚れとは、主として室内外から取り込んだ空気に含まれるホコリや花粉、髪の毛、ゴミ、虫のことです。
また、ドレンホースの先端が排水溝に入っていると、下水の臭いが室内に入ることがあり、イヤな臭いを広げる結果となります。エアコンの臭いが気になる場合は、本体内部だけでなくドレンホースの状態も確認しましょう。
汗などの生活臭
エアコンからイヤな臭いがする原因のひとつに、生活臭の影響もあります。エアコンは室内の空気を吸い込み、温度・湿度を調節した後、風を放出する仕組みです。使用するのは室内の空気なので、生活臭がエアコンのフィルタなどに付着し蓄積されます。
そして蓄積された生活臭と吸い込んだ生活臭のニオイ分子が混ざった風が独特な臭いとなって室内に放出されます。さらに、カビやホコリといった汚れと生活臭が混ざり合うことで、エアコンから酸っぱい臭いを発生させるというわけです。
エアコンからの臭いを放置する危険性
臭いを放置することで、電気料金がかさみ、故障するリスクも高まります。対処法がわからないからといってそのまま放置してはいけません。以下、それぞれのリスクを詳しく解説します。
健康を害する危険性がある
エアコンの不快な臭いの多くは、内部に増殖したカビや雑菌が原因です。増殖したカビや菌がエアコンの風に混ざって室内に拡散されると、アレルギー反応や呼吸器系の障害を引き起こすことがあります。気管支炎や肺炎、鼻や喉のかゆみ、咳などが症状の例です。
エアコン内部に増殖したカビや雑菌に対処せずエアコンを使い続けると、健康被害のリスクが高まります。特に免疫力が低い乳幼児や高齢者はこの影響を受けやすいため、オフィス内に託児スペースがあったり年配の従業員がいたりする場合には要注意です。
電気料金が高額になる
エアコン内部に汚れが溜まると、性能が低下して電気代が余分にかかります。なぜならエアコンの「風を作る」と「温度を変える」という2つの役割を、汚れが邪魔するからです。
エアコンはファンが動くことで風を作り出します。このときファンや風を通すフィルタ、熱交換器が汚れていると、風の通り道が塞がれて十分な空気を吸い込めず、吹き出す風量の低下を招きます。風量が低下すればエアコンの効きが悪くなったと感じ、従業員などは設定温度を調整したり風量を強めたりしがちです。これによって消費電力が増加し、今までよりも電気代が高くなります。
故障の原因になる
臭いの原因である汚れは、エアコンの故障や不具合を引き起こす恐れがあります。最初はエアコン内部のホコリやゴミが小さいので問題になりません。ところが、エアコンを稼働させるときに起こる静電気によってそれらは集合し、大きな塊となります。そして塊がエアコンの動作を妨げ、高負荷を与えることが故障につながります。
また、ホコリやゴミの塊は水分を含みやすく結露の原因となるので、電化製品であるエアコンには大敵です。イヤな臭いに気づいたら早めにお手入れを行いましょう。
エアコンのイヤな臭いへの対処法

エアコンのイヤな臭いを放置すると、健康被害だけでなくコスト増にもつながるので、早急に対処しましょう。
エアコン内のフィルタを掃除する
ホコリやチリをキャッチするフィルタの掃除は、定期的に行うことをおすすめします。なぜなら、カビの繁殖を抑えられるだけでなく、エアコンのパフォーマンスが保たれ電気代の節約にもつながるからです。経済産業省のポータルサイトでは、月1〜2回以上の掃除が省エネに効果的であるとされています。
参照:経済産業省資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約」
フィルタ掃除の一般的な手順は以下の通りです。
- 電源プラグを抜き、本体カバーを開けてフィルタを取り外します。
- フィルタに付着した表面のホコリを掃除機で取り除いた後、裏面から水をかけて、歯ブラシなどの柔らかいブラシで掻き出すように優しく洗います。
- 洗い終わったフィルタは風通しのよい場所で完全に乾かしましょう。ただし、直射日光にさらすのは、フィルタの変形や変色の原因となるため避けてください。
エアコンの自動掃除機能を使用する
フィルタや熱交換器の自動掃除機能があるエアコンは、日頃の手入れの一部を自動で行ってくれるので、臭いが気になるときに便利です。「フィルターお掃除ロボット」(パナソニック株式会社)や「フィルター自動お掃除」(日立製作所)などエアコンメーカーによってさまざまな名称が付けられています。主な機能はフィルタに付着したホコリやチリを除去し清潔に保つことです。
ほかにも高性能エアコンなら、内部のファンや熱交換器の汚れを落とす機能もあります。ただし、自動掃除機能はあくまで表面についた汚れを除去する機能であり、エアコン内部のカビやヤニなどの汚れは除去できないので、人の手による定期的な手入れは必要です。
プロのクリーニング業者に依頼する
自分で対処してもエアコンのイヤな臭いが取れない場合は、専門のクリーニング業者への依頼がおすすめです。エアコン内部は複雑な構造なので、細部まで清掃するためには専門的な知識が欠かせません。専門のクリーニング業者であれば故障や火災のリスクなく、エアコンや室外機など一括で清掃してもらえるので安心して任せられます。
その分費用はかかりますが、エアコンは清潔になり冷暖房の効率が上がることで電気代が節約できるので、必要に応じて活用してみましょう。
エアコンの臭いを予防する方法
エアコンの臭いに対処しても再び臭いが発生する可能性があるので、再発させないためにもエアコン内を清潔に保つという予防対策が大切です。
定期的に送風機能を使用する
送風機能とは、温度や湿度を変えずに室内から取り込んだ空気をそのまま室内に送り込む機能です。送風ファンを動かすだけなので電気代もさほどかかりません。
定期的に送風機能を使用することは臭い予防に効果的です。なぜなら、臭いの原因となるカビの繁殖を抑えられるからです。前述した通り、カビは温度や湿度、汚れなどの餌があると増加しますが、それらは送風機能によってエアコン内部を乾燥させることで抑制できます。
また、エアコンはオフシーズンであっても、電源を入れないと内部にホコリが溜まります。それがカビの繁殖につながるので、定期的に送風運転を行うことが重要です。低コストで済むため、送風機能を使用しカビの繁殖を抑えましょう。
部屋を小まめに換気する
臭い予防には、定期的に部屋の空気を入れ替えることも効果的です。部屋を閉め切ったままだと、タバコや汗などの生活臭が充満します。部屋を換気して新鮮な空気を取り入れると、生活臭を外に出せるとともに、エアコンが生活臭を取り込むことを防げます。
特にエアコンをつけた最初の10分間に換気を行うと効果的です。運転開始直後はエアコン内部に溜まったカビの胞子が放出されやすく、換気により生活臭のみならずカビも屋外へと放出できるからです。
エアコンの臭いに対処する際の注意点
エアコンの臭いへの対処を自分で行う際には、注意点が3つあります。
消臭スプレーは使用しない
エアコンの臭いを消すために消臭スプレーなどを使用してはいけません。故障や火災の原因となるだけでなく、新たな汚れの原因となるからです。エアコンは精密機械であり、スプレーに含まれる成分によっては部品の故障やガス漏れ、水漏れを引き起こします。特にアルコール成分は火災を誘発する恐れもあるので、注意が必要です。
また、消臭成分が内部に残ると乾燥後にべた付くほか、汚れを吸着して臭いの原因にもなります。誤って使用した場合は直ちに電源プラグを抜き、稼働しないように注意してください。部屋の換気を十分に行った後、火災のリスクやスプレーの薬剤による影響を軽減するため、冷房運転で様子を見ましょう。異臭や効きの悪さを感じたら速やかにメーカーへメンテナンスを依頼してください。
フィルタの掃除後はしっかり乾燥させる
フィルタを水洗いした後は、半日から1日かけて完全に乾かしてからエアコンに取り付けます。フィルタが湿ったままエアコンに取り付けると、雑菌が繁殖してカビや臭いの原因となるだけでなく、ホコリやチリをうまく捕らえられず、本来の性能を発揮できなくなります。
また、電子部品は湿気や水に弱く、フィルタの水気によって故障してしまう可能性もあります。早く乾かすには、タオルやキッチンペーパーでフィルタを挟んで水分を吸収させると効果的です。
ただし、早く乾かしたいからといってドライヤーを使用するのは避けましょう。熱によりプラスチック部分が変形したりネットの不織布部分が破れたりする恐れがあります。
部品を壊さないよう優しい力で掃除する
エアコンフィルタを取り外す際や汚れを落とすときは、強い力を加えないように注意してください。エアコンフィルタは不織布やプラスチック繊維などの柔らかいもので作られているため、強い力で洗ったり力任せに外したりすると網目が破けてしまいます。
もし破けてしまうと、エアコンの作動中に異音がしたり、エアコン自体の故障につながったりします。また、40度以上の熱いお湯や漂白剤の使用なども、フィルタによっては使用できない場合があるので、お手持ちの取扱説明書を確認してください。
まとめ
エアコンのイヤな臭いの原因は主にカビと汚れであり、放置すると人体に悪影響を与えるだけでなく、電気代の高騰やエアコンの故障の原因となります。対処法とその際の注意点を踏まえ、臭いの原因を取り除いたうえで予防策を実施し、清潔な環境の維持を目指しましょう。


