更新日:2026年2月26日
事業継続計画(BCP)とは?構築方法や災害時のリスク管理

災害が発生したときやサイバー攻撃を受けたときなど、予期しない形で事業継続が困難になることがあります。しかし、トラブルが起こるたびに事業に支障が生じるのでは、取引先や消費者からの信頼を失いかねません。
事業継続計画(BCP)とは、トラブル時も平常時と同様に事業を継続するための計画です。重要性や策定手順、策定時の注意点について解説します。
事業継続計画(BCP)とは?

事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)とは、非常時の損害を最小限に抑えつつ、事業の継続や早期復旧を可能にするために、平常時の業務や緊急時の対応をまとめた計画のことです。
自然災害やサイバー攻撃などがいつ発生するかは、誰にも予測できません。特に多くの取引先や顧客を抱える企業では、業務を通常通りに進行できないことにより多大な損害を被る可能性があります。
非常時の対応や行動の優先順位などが明確であれば、被害を最小限に抑えることが可能です。事業継続計画の重要性を理解し、緊急時に備えておきましょう。
事業継続計画(BCP)の重要性

事業継続計画(BCP)を策定する前に、重要性を理解しておくことは大切です。主に以下の理由から、事業継続計画を策定することは重要とされています。
- 廃業や事業規模の縮小を回避する
- 企業イメージ・ブランドイメージの失墜を避ける
- 社会的責任を果たす
それぞれの理由について見ていきましょう。
廃業や事業規模の縮小を回避する
電気やインターネットなどのインフラ停止や物流トラブルは、事業運営に大きな支障をもたらします。事業を通常通りに実施できない期間が長引くと、経営基盤が不安定になり、廃業や事業規模の縮小につながる可能性があります。
例えば、飲食店を経営している場合、仕入れが滞れば休業を余儀なくされ、再開までの期間に固定費が発生し、収益悪化を招きます。また、再開後に従来の顧客が戻る保証はなく、ブランドイメージ低下による売上減少のリスクもあります。
こうしたリスクを回避するためにも、事業継続計画が必要です。仕入れルートを複数確保したり、日持ちのする加工食品を活用したメニューを増やしたりすることで、物流トラブル時でも事業を継続できる耐性を整えることが効果的です。
企業イメージ・ブランドイメージの失墜を避ける
緊急時の対応次第で、企業やブランドのイメージが大きく左右されます。
例えば、食品加工の過程で異物が混入した場合、対応を怠ると健康被害が発生する可能性があり、企業イメージが損なわれます。また、混入経路が不明な場合、全製品の回収が必要となり、多額の損失を招くおそれもあります。
しかし、事業継続計画でさまざまなリスクを想定しておけば、トラブルによる損害を最小限に抑えられます。異物混入に早期に気づき、適切に対応することでブランドイメージの失墜を防ぎ、追跡体制を整備しておくことで損害も軽減できます。
社会的責任を果たす
企業には取引先や消費者の事業・生活を守る責任があります。この責任は、平常時だけでなく緊急時も変わりません
事業継続計画を策定することで、緊急時でも平常時と同様に、取引先や消費者にスムーズな対応が可能になります。さまざまなリスクを想定した計画を整備することで、取引先の事業や消費者の生活が平穏に保たれ、企業として社会的責任(CSR)を果たすことにつながります。
事業継続計画(BCP)の策定・運用手順

事業継続計画(BCP)は、以下の手順で策定・運用します。
- リスクとダメージを洗い出す
- 事前対策をリストアップする
- 緊急時対策を立案する
- 日常的に策定・運用を実施する
順に見ていきましょう。
1.リスクとダメージを洗い出す
まずは、事業を脅かすリスクを洗い出しましょう。一般的には、以下のようなリスクが想定されます。
- 災害によるインフラや物流の遮断
- サイバーテロによる情報漏洩、データ破壊
- 疫病の流行や事故による従業員不在
また、各リスクが生じたときにどのようなダメージを受けるかについても洗い出しておきます。例えば、流通停止による損害や復旧時間を、過去の事例や取引先の対応なども参考にしながら、可能な限り具体的に書き出しましょう。
2.事前対策をリストアップする
リスクが生じたときに備え、平常時に実施できる対策をリストアップします。例えば、以下のような対策を今すぐ実施できるかもしれません。
- 従業員の安否確認ツールの導入
- 情報漏洩に対する従業員教育の実施
- 空調設備の定期的なメンテナンス
これらの教育やメンテナンスは定期的に実施することが重要です。中長期的に実施計画を立てておきましょう。
3.緊急時対策を立案する
緊急時の具体的な行動を整理して書き出します。初動・緊急時・復旧に分けて立案すると、抜け漏れのない事業継続計画を策定できます。
| 緊急時対応のタイミング | 行動の例 |
|---|---|
| 初動(緊急時発生時) |
|
| 緊急時(トラブル発生時) |
|
| 復旧(緊急時経過後) |
|
4.日常的に策定・運用を実施する
事業継続計画は、日常的に見直しが必要です。他社や他地域での緊急時対応が参考になるため、よりよい計画策定に向けて普段からアンテナを張り巡らしましょう。何度も見直すことで、見落とし点やより適切な対策が見つかることもあります。
また、緊急時対応の訓練を定期的に実施することも大切です。繰り返し計画に沿って行動することで、実用可能な事業継続計画が完成します。
事業継続計画(BCP)策定・運用時の注意点

事業継続計画(BCP)を立てる際・運用する際には、以下の点に注意が必要です。
- 最初から完璧な計画を目指さない
- リスクに優先順位をつけ、必要性の高い分野から策定する
- 情報確保の方法も含める
- 組織のトップが関与する
- 定期的に見直す
それぞれの注意点を解説します。
最初から完璧な計画を目指さない
事業継続計画は「策定すること」が大切です。最初から完璧を目指すと策定までに長大な時間がかかり、その間に緊急事態が発生する可能性があります。まずは計画を立て、定期的に見直し、ブラッシュアップしていきましょう。
リスクに優先順位をつけ、必要性の高い分野から策定する
緊急時に対応すべき事柄は多岐にわたるため、すべてを同時に実施することは困難です。そのため、優先度の高い部分から計画を策定することが重要です。
例えば、取引先や消費者に直接関わる業務は優先度を高く設定しましょう。事前にリスクの優先順位を明確にしておくことで、緊急時でも迅速かつ的確な対応が可能になります。
情報確保の方法も含める
緊急時は情報の重要性が平常時以上に高まります。誤った情報に基づく対応は、無駄な時間や損失につながります。そのため、正確な情報を確保する手段や連絡耐性をあらかじめ話し合っておくことが必要です。情報の入手方法や共有ルールを明確化することで、緊急時の意思決定を迅速化できます。
組織のトップが関与する
事業継続計画を有効に機能させるには、組織全体の協力とトップの関与が不可欠です。
事業継続計画の策定には必ず組織のトップが関与し、緊急時に組織全体が一丸となって対応でき、責任の所在や意思決定のスピードも向上します。
定期的に見直す
事業継続計画は一度作れば終わりではありません。平常時に定期的に見直すことで、冷静に優先順位や対応を判断できます。
さらに、IT技術の進歩や取引先との関わり方の変化に応じて、計画内容をアップデートすることが重要です。定期的な見直しにより、常に最適な事業継続計画を維持できます。
BCPとは?策定・運用に関するQ&A

事業継続計画(BCP)は、すべての事業者が作成すべき計画です。事業継続計画の策定や運用に関して、よくある質問とその答えをまとめました。緊急時のスムーズな対応と早期復旧のためにも、ぜひ参考にしてください。
BCPとは何ですか?他の防災計画とどう違うのですか?
BCPは「事業活動の継続」を目的とした計画であるのに対し、防災計画は「人命保護」を目的としています。防災計画をBCP内に組み込むことで、平常時から災害やトラブルに備えられるようになります。
BCPを策定するのにどれくらいの時間がかかりますか?
企業規模や業種にもよりますが、初期策定には3〜6カ月程度が必要といわれています。
外部の専門機関や自治体の支援制度を活用すれば、短期間で効率的に整備することも可能です。早急に策定したいときは、外部機関の利用も検討しましょう。
BCPの見直しはどのくらいの頻度で行えばよいですか?
少なくとも年1回は事業継続計画の見直しが必要です。また、組織変更や拠点の移転、新規システム導入などの環境変化があったタイミングでも、随時見直しを実施しましょう。
まとめ
緊急時の対応次第で、取引先や顧客からの信用を獲得することもあれば、失うこともあります。対応に問題があると、企業やブランドのイメージ低下だけでなく、事業規模の縮小や廃業にもつながる可能性があります。
そのため、万が一の事態に備えて事業継続計画(BCP)を策定しておくことが重要です。さらに、定期的な見直しを実施し、事業継続計画を常に実践的で有用な内容にブラッシュアップしておくことが、企業の信頼維持と事業安定化につながります。
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