更新日:2025年4月24日
アルコールチェッカーの数値基準は?使い方・選び方も紹介

道路交通法施行規則が改正され、アルコールチェッカーによる酒気帯び検査が2023年12月1日から義務付けられました。法を遵守するためには、アルコールチェックの義務化について理解を深めることが重要です。本記事ではアルコールチェッカーの基準や使い方、罰則など注意すべき点を解説します。
アルコールチェッカーの数値の基準

日本では、酒気を帯びた運転や車両の提供は法律で禁止され、違反者には重い処罰が科せられます。飲酒運転の違反種別は3段階に分かれており、該当する種別によって違反点数や処分、罰則が変わります。どの種別に分類されるかは、呼気中のアルコール濃度や運転者の状態によって判断されます。
酒気帯び運転(呼気1L中のアルコール濃度が0.15mg以上0.25mg未満)
| 違反点数 | 13点 |
|---|---|
| 運転者の罰則・処分 | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金/90日間の免許停止 |
| 車両提供者の罰則 | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
| 同乗者の罰則 | 2年以下の懲役または30万円以下の罰金 |
酒気帯び運転(呼気1L中のアルコール濃度が0.25mg以上)
| 違反点数 | 25点 |
|---|---|
| 運転者の罰則・処分 | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金/免許取消(欠格期間2年) |
| 車両提供者の罰則 | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
| 同乗者の罰則 | 2年以下の懲役または30万円以下の罰金 |
酒酔い運転(数値基準なし。ふらふらしている、言葉が不明瞭など明らかに酒に酔っている状態)
| 違反点数 | 35点 |
|---|---|
| 運転者の罰則・処分 | 5年以下の懲役または100万円以下の罰金/免許取消(欠格期間3年) |
| 車両提供者の罰則 | 5年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
| 同乗者の罰則 | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
運転者には懲役または罰金の罰則と、免許停止または免許取消の処分が下されます。車両提供者には免許停止や免許取消の処分はないものの、運転者と同様の罰則が科せられる可能性があります。仮に従業員が飲酒運転をした場合、企業の代表者などにも懲役または罰金が科せられる可能性があるということです。ほかの従業員が同乗していれば、その従業員にも同じように処分が下されます。さらに飲酒運転による事故は、企業に対して賠償責任や行政処分が科せられる可能性があります。
参照:警察庁「みんなで守る『飲酒運転を絶対にしない、させない』」
企業におけるアルコールチェック
飲酒運転は重い罰則があるだけでなく、重大な事故につながるリスクが高く、業務で自動車を使用する企業は従業員の飲酒運転を防止しなければなりません。また、所定の条件に該当する事業者は安全運転管理者を選任すること、運転の前後に安全運転管理者立ち合いのもとアルコールチェックを実施することが義務付けられています。アルコールチェックとは、運転者が酒気を帯びていないかどうかを確認する検査のことで、結果は都度記録し、1年間保管しておかなくてはなりません。
道路交通法施行規則の改正により、2023年12月1日からは、目視での確認に加えてアルコール検知器を用いた酒気帯びの有無の確認を行うこと、およびアルコール検知器を常時有効に保持することが義務付けられました。アルコールチェック義務化の対象事業者の条件や数値の単位を把握して適切に対応しましょう。
参照:警察庁「安全運転管理者制度の概要」
アルコールチェック義務化の対象事業者
安全運転管理者の選任義務がある事業者はアルコールチェック義務化の対象となります。安全運転管理者の選任義務は、下記のいずれかに該当する事業者です。
- 乗車定員11名以上の自動車を1台以上使用している場合
- その他の自動車を5台以上使用している場合
大型自動二輪車や普通自動二輪車は1台を0.5台として計算します。なお、上記の条件に該当する事業所が複数ある場合は、事業所ごとに安全運転管理者を選任しなくてはなりません。
また、自動車の台数が20台以上40台未満の場合は1名、40台以上の場合は20台増えるごとに、加えて1名ずつの副安全運転管理者を選任する必要があります。安全運転管理者は誰でも担当できるものではなく、年齢や運転の経験などの要件が定められているため、事前に確認しておきましょう。
上記に該当しない事業者については、安全運転管理者を選任する義務はありません。しかし、飲酒運転は重い罰則があるだけでなく、企業の信用を著しく損なうリスクが高い行為です。義務がない場合でも、運転前後のアルコールチェックの実施が推奨されます。
参照:警察庁「安全運転管理者制度の概要」
アルコールチェッカーの数値の単位
アルコールチェッカーには、呼気中アルコール濃度(BrAC)を測定するものと、主に海外で販売されている血中アルコール濃度(BAC)を測定するものがあります。日本の法律では、呼気1リットル中のアルコール濃度(mg/L)によって酒気帯びの有無が判断されます。アルコールチェッカーを選ぶ際には、表示単位が「mg/L」であることを確認してください。海外製の機器では、血中アルコール濃度(BAC)を「%」で表示するものもあるため、購入時には注意が必要です。
品質と精度が保証されている、アルコール検知器協議会認定アルコールチェッカーを選ぶと安心です。ただし、どのアルコールチェッカーであっても、測定時の周辺環境などによって数値に誤差が出る場合があります。基準値に関わらず、飲酒後の運転は避けることが重要です。
参照:アルコール検知器協議会「認定機器一覧」
アルコールチェック時の注意点

アルコールチェックは、ただ数値を測ればよいわけではありません。形骸化を防ぐためにも、アルコールチェックの注意点を把握しておきましょう。
安全運転管理者が対面でアルコールチェックを行う
アルコールチェックは運転者本人が行うのではなく、安全運転管理者が対面で行います。目視で酒気帯びの兆候がないかを確認し、アルコールチェッカーを使って呼気のアルコール濃度を計測します。運転者が直行直帰するなど対面でのアルコールチェックが困難な場合に限り、カメラやモニターの映像で運転者の様子を黙視する、応答時の声の調子から判断するなどの方法が認められます。自分でアルコールチェッカーを使用して呼気のアルコール濃度を計測し、数値を報告させることも可能です。
運転の前後に測定する
アルコールチェッカーによる検査は、道路交通法に基づき運転の前後に実施します。運転後のアルコールチェックは、運転中に飲酒していないかどうかを確認する目的で実施します。必ずしも乗車直前・直後に行う必要はなく、出退勤時に実施しても問題ありません。
アルコールチェックの記録が必要となる
アルコールチェックを実施した後は、その結果を記録して1年間保管することも義務付けられています。記録方法に指定はないため、チェック表や点呼簿に記録する、何らかのシステムを活用するなど自社で管理しやすい方法を選びましょう。
参照:警察庁「安全運転管理者の業務の拡充等」
運転者がしっかりと息を吹きかけるよう注意する
アルコールチェッカーによる検査では、運転者が息をしっかりと吹きかけることが重要です。吹きかけが弱いと数値が正しく計測できない場合があるため、アルコールチェッカーの説明書に記載されている方法・秒数を守りましょう。アルコールチェッカーには吹きかけタイプ、ストロータイプ、マウスピースタイプなどいくつか種類があり、それぞれ使い方が異なります。正しく計測できるように、タイプごとの使い方を理解しておきましょう。
- 吹きかけタイプ:アルコールチェッカー本体の吹き込み口に向かってしっかりと息を吹きかける
- ストロータイプ:アルコールチェッカーに差し込んだストローに息を吹き込む
- マウスピースタイプ:専用のマウスピースを使って息を吹き込む
いずれのタイプも吹き込み口や器具にニオイや汚れが残っていると、エラーや誤検出が発生する場合があります。小まめに清掃・点検し、正しく計測できるようにしておきましょう。
アルコールチェッカーの選び方
多種多様なアルコールチェッカーが販売されているため、どれを購入すべきか迷うこともあるでしょう。そこで、アルコールチェッカーの選び方を3つ紹介します。
1. センサーのタイプで選ぶ
アルコールチェッカーには、アルコールを検出するためのセンサーが搭載されています。センサーの種類は「半導体式ガスセンサー」か「電気化学式センサー」が一般的です。センサーごとの特徴を把握し、どちらを購入すべきか検討してください。
- 半導体ガスセンサー:小型化しやすく低価格だが、環境要因の影響を受けやすく、精度がやや劣る傾向がある
- 電気化学式センサー:多少高額になるが、選択性が高く、精度も優れているとされている
企業が従業員のアルコールチェックに使用する場合は、精度が高い電気化学式センサー搭載のアルコールチェッカーを選ぶことをおすすめします。
2. 機能で選ぶ
アルコールチェッカーによっては、アルコールの検出以外にデータ記録やアラーム、GPS、バックライトなどの機能が搭載されたものがあります。例えば、本体やスマートフォンなどに検査結果を記録できる機能があれば、記録漏れの防止が可能です。バックライトつきであれば、暗い場所でも使いやすく便利です。自社の業務に役立つ機能が搭載されているアルコールチェッカーを選びましょう。
3. 操作性で選ぶ
アルコールチェッカーは使用頻度が高いため、操作性を考慮して選びます。できれば実際に触れてみて、画面の見やすさやボタンの押しやすさをチェックするのがおすすめです。アルコールチェッカーには「携帯型」と「据置型」があります。従業員が直行直帰するなどの場合は携帯型、出退勤のタイミングで検査する場合は据置型など、使いやすさで選びましょう。
アルコールチェッカー使用での注意点
アルコールチェッカーの使用・運用において押さえておくべき注意点もあります。
運用フローを明確にする
企業がアルコールチェッカーを使用する場合は、明確な運用フローを作成することが重要です。手順を明確にすることで、チェック漏れを防ぐことができます。検査のタイミングはいつか、直行直帰するときや安全運転管理者が不在のときはどうするかなど、細かなルールを決めておきましょう。何らかのツールを活用して検査結果を記録・管理する場合は、ツールの使用方法についてのマニュアルを作成することも重要です。
測定前はなるべく飲食を控える
飲食やオーラルケア製品を使用した直後にアルコールチェッカーを使用すると、飲んでいないのに高い数値が表示される場合があります。特にパンや味噌などの発酵食品や、アルコールが配合された歯磨き粉、マウスウォッシュなどは、アルコールが検出されやすいため注意が必要です。栄養ドリンクやサプリメント、ドライフルーツ、ミント味の食べ物などでもアルコールが検出される場合があります。誤検出を防ぐために、飲食やオーラルケアの使用から20分ほど経過後、うがいをしてからアルコールチェッカーを使いましょう。
使用する環境に注意する
医療現場や工場など、アルコール配合の製品を頻繁に使う場所でアルコールチェッカーを使うと、検査結果に影響が出る場合があります。空気中のアルコール蒸気が反応し、飲酒していないのにアルコールを検知することがあるからです。アルコールチェッカーを使うときは、周囲の環境にも配慮しましょう。
使用年数・使用回数をチェックする
アルコールチェッカーには「使用年数」「使用回数」による期限(寿命)があるため、定期的にメンテナンスや交換を行いましょう。例えば、アルコールチェッカーの多くは1年~1年半で使用期限を迎えます。使用開始日を記録しておけば、使用年数による期限切れを防げます。毎日従業員のアルコールチェックに使用していると、すぐに使用回数の上限を超える可能性が高いため、使用回数を把握する方法も考えておきましょう。
アルコールチェッカーで数値が検出されたら?
運転前にアルコールが検出された従業員は、自動車の運転ができません。飲酒しておらず、飲食やオーラルケアが原因と考えられる場合は、20~30分ほど時間をおき、うがいをした上で再チェックしてみます。再チェックでも数値が検出された場合は、自動車を運転しない業務に移動させるなどの対応が必要です。
まとめ
2023年12月1日より、所定の条件に該当する事業者には、アルコールチェッカーによるアルコールチェックが義務付けられました。企業としての社会的信用を得るためにも、法律を遵守することが重要です。危険な飲酒運転を防ぐために数値の基準やアルコールチェッカーの使い方など理解を深めましょう。
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