更新日:2025年2月27日
サーキュレーターと扇風機の違いとは?特徴を知って賢く選ぼう

オフィスや施設内の空調を快適に保つには、空気を循環させることが重要です。そのために役立つのがサーキュレーターや扇風機ですが、それぞれの違いや正しい使い方がわからない方もいるのではないでしょうか。そこで、サーキュレーターと扇風機の違いや効果的な設置方法などを解説します。
サーキュレーターと扇風機の違いとは?

サーキュレーターと扇風機はどちらも風が出る機械ですが、それぞれ用途が異なります。目的に合うものを選ぶためにも、サーキュレーターと扇風機の違いを把握しておきましょう。
サーキュレーターは、空気を循環させる
サーキュレーターは、空気を循環させることに特化した家電です。直線的で強力な風を遠くまで送ることで部屋全体の空気を動かし、冷暖房効率を向上させます。
エアコンを使用したときに、「暖房をつけたら頭だけ暑くなって足は寒い」「冷房をつけたら下半身が冷える」などの症状で悩む方は多いのではないでしょうか。これは温度によって空気の重さが変わるために生じる現象です。
暖かい空気は膨張しており低密度で軽いので、部屋の上に溜まります。一方、冷たい空気は収縮しており高密度で重いので、部屋の下の方に溜まりがちです。このような空気の性質が原因で、エアコンをつけたときに室温にムラが生じ、「上半身は暑い、下半身は寒い」という状態に陥ります。
ここにサーキュレーターを投入すると、強力な風で暖かい空気と冷たい空気がかき混ぜられるため、温度のムラがなくなり冷暖房効率が上がります。
ちなみにサーキュレーターは風が強力な分、扇風機よりも大きな音が出る製品が多いため、設置場所には注意が必要です。
扇風機は、涼しい風を起こす
扇風機は風を体に当てて、涼しさを感じるための家電です。そのため、サーキュレーターのような直線的な風ではなく、広範囲に拡散する穏やかな風が発生します。
風が発生するので多少は空気が循環しますが、サーキュレーターほど遠くまでは届きません。また、人の近くに置いて使用することが想定されているので、比較的動作音が静かな製品が多いという特徴もあります。
サーキュレーターや扇風機で電気代は節約できる
「サーキュレーターや扇風機をエアコンと併用すると電気代が高くなりそうだ」と考える方も多いかと思いますが、実は併用によって電気代を節約することが可能です。
エアコン単体で使用すると室温にムラができるため、なかなか理想どおりの温度になりません。もっと涼しくしようとエアコンの温度を下げたり、足が寒いからとエアコンの温度を上げたりすることも多いでしょう。すると、その分エアコンの電気代も上がります。
しかし、サーキュレーターや扇風機を使って空気を動かせば室温が一定になるため、エアコンの温度設定を変える必要がなくなり電気代を抑えられます。
電気代の違いを具体的な数値でみてみましょう。家電を1時間使用したときの電気代は、下記の式で計算できます。
1時間あたりの消費電力量(kW)×1時間(h)×電気料金単価(円/kWh)
一般的なサーキュレーターの1時間あたりの消費電力量は20~30W程度なので、ここでは25W(0.025kW)とします。電気料金単価は地域や電力会社で異なりますが、ここでは全国家庭電気製品公正取引協議会が目安として公表している31円としましょう。
この条件でサーキュレーターの電気代を計算すると、下記の金額になります。
- 1時間あたり:0.775円
- 24時間あたり:18.6円
続いて、エアコンの電気代を計算してみましょう。エアコンの消費電力は使い方や畳数などで大幅に変動しますが、ここでは500W(0.5kW)とします。そして、電気料金単価を31円で計算した場合、エアコンの電気代は下記の金額になります。
- 1時間あたり:15.5円
- 24時間あたり:372円
エアコンは冷房なら1℃上げた場合、暖房なら1℃下げた場合、約10%節電できるとされています。仮に消費電力が500Wのエアコンの温度設定を1℃変更すると、消費電力は450W(0.45kW)に減るため、電気代は下記の金額になります。
- 1時間あたり:13.95円
- 24時間あたり:334.8円
サーキュレーターを併用しても1時間あたり14.725円、24時間で353.4円なので、エアコンの温度を上げ下げするよりも電気代が安くなります。エアコンの消費電力は1,000Wを超える場合もあるので、サーキュレーターを上手く活用すれば、さらに電気代が節約できるはずです。
参照:公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会「よくある質問 Q&A」
参照:ダイキン工業株式会社「設定温度を変更した場合の電気代の目安(ルームエアコン)- よくあるご質問」
サーキュレーターの効果的な使い方

サーキュレーターは、空気を循環させるための家電ですが、具体的にはどのように使うのでしょうか。ここでは、サーキュレーターを効果的に活用する方法を紹介します。
冷暖房効率を上げる
先述の通り、サーキュレーターはエアコンの冷暖房の効率アップに役立ちます。暖かい空気が上に、冷たい空気が下に溜まっているのをサーキュレーターの風で撹拌することで、温度のムラを解消して均一化できるためです。
頻繁にエアコンの温度を上げ下げしなくても快適な温度を保ちやすくなるので、電気代の節約にもつながります。
また、エアコン単体で使用していると、暖かい空気と冷たい空気が分かれてしまって設定温度に到達するのに時間がかかりますが、サーキュレーターを使えば時間を短縮できます。
換気を促進する
サーキュレーターは、部屋を換気するときにも役立つ家電です。換気をするとき、窓を開けただけではあまり空気が流れず、しっかりと空気が入れ替わらないことがあります。特に窓が1か所しかない部屋だと風が抜けないため、こもった空気がなかなか出て行きません。
このようなときにサーキュレーターを窓の方向に向けて稼働させると、室内のこもった空気を窓の外に流せます。また、洗濯物を室内干しする際にサーキュレーターを洗濯物の下に置いて風を送ると、洗濯物の間に風が通るため乾かす時間を短縮できます。
サーキュレーターの種類
サーキュレーターにはさまざまな種類があります。目的に合った製品を選べるように、種類別の特徴を把握しておきましょう。
基本型
室内の温度を均一にしたいときやエアコンの補助がほしいときに手軽に使える、デザイン・機能ともにシンプルなサーキュレーターです。価格も手ごろで、家庭で使用するのに向いています。
静音型
稼働時の音が静かなサーキュレーターです。音に敏感な方や小さな子どもがいる部屋で使いたい場合、夜寝るときに使いたい場合に適しています。オフィスや図書館など、静音が求められる環境での使用にもおすすめです。
首振り型
扇風機のような首振り機能を搭載しています。上下左右、さまざまな方向に首振りできるタイプもあります。広範囲に風を届け、部屋の隅々まで空気を撹拌できるのがメリットです。
遠距離送風型
ほかのタイプよりも風が強力で、遠くまで届くのが特徴です。リビングやオフィスなどの広い空間で使いたい場合に適しています。広い空間はエアコンの効きが悪くなりがちですが、遠距離送風型のサーキュレーターを使えば、冷暖房の効率も向上します。
多機能型
タイマー機能や温風機能が付いていたり、リモコンで操作できたりと、機能が豊富なサーキュレーターも存在します。季節問わず使えるサーキュレーターがほしい方や、使いやすいよう細かく設定したい方におすすめです。
1台でさまざまな用途に対応可能で、ほかの家電を買いそろえる必要がないので、コストパフォーマンスを重視する方にも向いています。
壁掛け型・コンパクト型
壁掛け型・コンパクト型は、部屋が狭いときやデスク周りにサーキュレーターを置きたいときにぴったりです。コンパクト型は軽く持ち運びやすいので、複数の部屋で使いたいときにも適しています。
サーキュレーターの最適な置き方
サーキュレーターを効果的に使うには、種類だけでなく置き方も工夫する必要があります。
冷房をつけているとき
冷房の補助のためにサーキュレーターを使う場合は、エアコンの風が落ちる位置に、エアコンを背にして設置しましょう。冷房の冷たい風は下に溜まるので、落ちてきた風をサーキュレーターで遠くに届けることで部屋全体に行き渡ります。
暖房をつけているとき
暖房の補助のためにサーキュレーターを使う場合は、エアコンの対角線上にサーキュレーターを置き、エアコンの送風口に風を当てましょう。暖かい空気は上に溜まるので、暖房の風を撹拌させると部屋全体が温まります。
天井はめ込み型のエアコンの場合は、エアコンの風を下向きに設定し、サーキュレーターをエアコンの下に設置して天井に向けて稼働させます。サーキュレーターの風によって、天井付近に溜まった暖かい空気が循環します。
換気しているとき
室内の換気を目的にサーキュレーターを使用する場合は、窓に向かってサーキュレーターを設置し、室内の空気を外に押し出します。窓がない場合はドアを開け、ドアの方向に風を送りましょう。
オフィスのような広い空間では、2台以上のサーキュレーターを使うのがおすすめです。まず1台目のサーキュレーターを窓の延長線上に、窓の方向に向けて設置します。続いて、2台目のサーキュレーターを1台目の延長線上に、1台目に向けて設置しましょう。これで空気の通り道をつくれます。窓が複数ある場合は、両端の窓を開けるとより空気が循環しやすくなります。
特に外気温と室温の差が小さい時期は、窓を開けただけでは空気が入れ替わりにくいので、サーキュレーターを上手く活用しましょう。
音が気になる場合
サーキュレーターの稼働音が気になる場合、サーキュレーターの下に振動を吸収する素材を敷くと音を抑えられます。
サーキュレーターの音の原因は、一般的に稼働時に生まれる振動です。シリコンやゴム素材の防振パッドや防振マットを活用することで、静かな環境をつくれます。
サーキュレーターの選び方

エアコンと同じく、サーキュレーターにも対応畳数があります。部屋の広さとサーキュレーターの対応畳数が合っていないと効果が落ちるので、使用したい場所に合った対応畳数の製品を選びましょう。
また、エアコンの補助として使うなら、首振り機能があるサーキュレーターを選ぶと、より効率良く空気を撹拌できます。
静音性もサーキュレーターを選ぶときにチェックしておきたいポイントです。サーキュレーターの動作音が大きいと、使用する場所や時間帯に配慮する必要が出てきます。特に夜間やオフィスなどで使用したい場合は、動作音が静かな製品を選びましょう。
扇風機の効果的な使い方
サーキュレーターほどのパワーはないものの、扇風機もエアコンの効率を高めるのに役立ちます。扇風機の風で部屋の空気を動かし、温度を均一化させられるためです。また、扇風機の風は直接体に当てられるので、暑い時期にエアコンの冷房の温度を上げても快適に過ごせます。普段より冷房の温度を高めに設定できれば、電気代の節約にもつながるはずです。
換気や部屋干しの洗濯物を乾かす際にも、扇風機を活用できます。使い方はサーキュレーターと同じです。換気する場合は窓の近くに扇風機を置き、外に向かって風を送りだしましょう。窓が2か所ある場合は、どちらの窓も開けておくと、より効率的に空気を入れ替えられます。
部屋干しの洗濯物を乾かしたい場合は、洗濯物に向かって風を当てましょう。洗濯物の湿気がこもりにくくなって洗濯物が乾くスピードが上がるので、部屋干し臭の軽減にもつながります。
扇風機の主な種類
扇風機にも、実はいろいろな種類があります。通常の扇風機はコンセントに挿して使用しますが、電池式やバッテリー内蔵のコードレスのものも存在します。コードレスだと持ち運びやすいので、屋外で使いたいときにもおすすめです。外出時に首にかけて使える扇風機もあります。
また、壁掛けタイプや卓上タイプなど省スペースで設置できる扇風機や、工場・オフィスなどを対象とした大型の扇風機もあります。
扇風機の最適な置き方
扇風機とエアコンの冷房を併用する場合は、扇風機の頭をできるだけ上に向けて設置しましょう。下に溜まろうとする冷たい空気を扇風機の風が撹拌し、部屋全体に行き渡らせます。換気に使用する場合は、サーキュレーターと同じ置き方でかまいません。
扇風機のみで涼しさを感じたい場合は、外気温と室温のどちらが高いかで置き方が変わります。外気温の方が高い場合は、扇風機を窓に向けて設置して、外の暑い空気が室内に入らないようにしましょう。室温の方が高い場合は、扇風機を室内に向けて設置し、外の涼しい空気を室内に取り入れます。
扇風機の選び方
扇風機には、ACモーターが搭載された製品とDCモーターが搭載された製品があります。ACモーター搭載の扇風機は構造がシンプルで、価格が安価な製品が多いのが魅力です。ただし、動作音が大きかったり、風量調節が3段階しかなかったりする場合が多いというデメリットがあります。
一方、DCモーター搭載の扇風機は動作音が静かで、細かく風量調節ができる製品が多いのがメリットです。しかし、ACモーター搭載の扇風機と比べると価格が高い傾向にあります。使い方や予算に応じて、どちらの扇風機を選ぶかを決めましょう。
サーキュレーター機能付き扇風機もおすすめ
「コスパ重視」「サーキュレーターと扇風機のどちらもほしい」という方には、サーキュレーター機能付き扇風機もおすすめです。
目的に応じて使い分けられるので、エアコンの補助にしたり、直接風に当たったり、洗濯物を乾かしたりとさまざまな用途に使えます。
まとめ
サーキュレーターと扇風機はどちらも風が出る機械ですが、サーキュレーターは空気を循環させるため、扇風機は涼しい風を起こすために使います。どのようなシーンで使いたいのかを考えて、最適な製品を選びましょう。どちらにすべきか決め切れない場合は、サーキュレーター機能付き扇風機を選ぶのもおすすめです。


