更新日:2025年2月27日
デジタルマルチメータ(テスター)とは?仕組みと使い方を紹介

電圧や電流、抵抗などを測定できる「デジタルマルチメータ」は、電子機器を活用する上で欠かせない便利なツールです。仕事や趣味、日常生活でも扱われます。デジタルマルチメータの初心者に向けて、基本的な仕組みや種類、使い方のポイント、「テスター」との違い、正しいプローブの接続方法、導通モードの設定手順などを具体的にまとめています。
デジタルマルチメータとは
「デジタルマルチメータ(DMM)」は、電子機器や電子回路のパラメータを測定するための汎用的なツールです。1台で複数の機能を備えており、基本的には「電圧(V)」「電流(A)」「抵抗(Ω)」を測定できます。
ほかにも、周波数や温度、キャパシタンス、導通、ダイオード、コンデンサの値なども測定可能な点から、電気関連の業務や工事だけではなく、趣味の電子工作や日常のトラブルシューティングにも活用されています。
デジタルマルチメータの用途

デジタルマルチメータの用途として、以下の例が挙げられます。
- 電圧や抵抗を測定するモニタリング
- 電池・モーター・電源の分析
- 電子回路のテストや故障診断
- 配線施工のチェック
- 電気工事や電気設備の保守点検
- 電化製品や自動車の製造や点検 など
趣味はもちろん、理科や技術の授業を行う学校や、電子機器や電子回路を扱う工場・研究所など、活用される場所も幅広いです。
デジタルマルチメータとテスターの違い
デジタルマルチメータと「テスター」は、どちらも電流・電圧・抵抗を測定できるツールとして活用されています。
テスターは、「マルチメータ」や「回路計」とも呼ばれ、測定機能が集約されたツール全般を指します。針と目盛りで測定値を表示するアナログタイプです。一方、デジタルマルチメータはテスターの一種であり、測定値を数字で表示するデジタルタイプです。
基本的な機能や用途は同じですが、アナログ表示かデジタル表示かによって、呼び方が異なる場合があります。
デジタルマルチメータの種類
デジタルマルチメータには、用途や機能に応じた「ハンドヘルドタイプ」と「ベンチトップタイプ」の2種類があります。目的に適したものを選ぶことで、操作性や作業効率、正確性などが大きく変わります。
ハンドヘルドタイプ
ハンドヘルドタイプは、実験や電気工事などでよく活用される携帯型ツールです。回路計の代わりとして、電圧・電流・抵抗の基本的な測定から導通やダイオードなどのチェックまで対応しています。
コンパクトで軽量なため、現場作業や持ち運びに便利です。電気のショートによる感電やヤケド、火事や爆発、故障などによる二次災害を防ぐため、入力プラグやリードの先端に安全カバーが装備されているなど、安全性にも配慮されています。
ベンチトップタイプ
ベンチトップタイプは、実験室や研究室、生産ラインなどで活用される据え置き型ツールです。アベレージ(平均値)計算やデシベル演算、遠隔操作など、複雑な測定に対応しているモデルもあります。
また、大きな特徴として、高精度かつ多機能な点が挙げられます。ハンドヘルドタイプよりもデバイスが大きい分、感度が優れており、正確な測定が可能です。ただし、場所を取る上、持ち込みや移動は難しいため、用途に応じて使い分けるとよいでしょう。
デジタルマルチメータの形状
デジタルマルチメータには、環境や用途に応じたさまざまな形状が設計されています。主に「カード型」「ハンディ型」「据え置き型」の3種類に分類されます。
カード型
カード型は、リーズナブルで持ち運びに便利なコンパクトタイプです。軽量かつ薄型のため、工具箱やポケットにも収納できます。基本的な測定機能に特化しており、初心者でも扱いやすい点がメリットです。
しかし、裏を返せば、高精度な測定や広いレンジが必要な用途には不向きです。小型製品は基本的に測定レンジが狭いため、用途に合った範囲を確認してから選びましょう。
ハンディ型
ハンディ型は、電流・電圧・抵抗・導通などの測定ができる汎用性の高いタイプです。カード型よりも若干大きめで、電子回路などの動作状態の大まかな把握には十分な性能を備えています。
また、カード型と同様にシンプルで使いやすく、簡単に測定を行える点も魅力的です。ただし、正確性が求められる測定には向いておらず、そのような場面では後述する据え置き型がよく使われます。
据え置き型
据え置き型は、精密測定が求められる場面に向いている高機能タイプです。USBやLAN接続が可能なモデルもあり、データをパソコンやネットワークに直接転送できます。
ACアダプターを使って電源供給するため、カード型やハンディ型のようにバッテリー切れの心配がなく、長時間の連続測定が可能です。ただし、設置や収納の場所を確保しなければなりません。
家庭用としてはややオーバースペック(過剰性能)なので、日常のDIYや簡易的な測定を行う場合は、カード型あるいはハンディ型の方がコスト面でも適しています。
デジタルマルチメータの使い方

デジタルマルチメータは、さまざまな測定に活用できる便利なツールですが、正しい使い方を知らないと、誤測定や事故につながる可能性があります。
STEP1. 通電できるか確認する
通電テストは、2つの回路の間に電気がつながっているかを確認するための作業です。電流が正常に流れていれば回路が動作するので、本体を通して確認できます。
通電しない場合、ヒューズの劣化・破損やはんだ部分の接触不良、ワイヤーや接続端子の断線、接続ミスなどが考えられます。
STEP2. 入力に適切なプローブを挿入する
次に、入力に適切な「プローブ」を挿入します。プローブとは、測定する対象物と本体を接続するための器具です。対象物に接触させ、電気信号を取り込むための先端部分と、本体に接続するための端子から成り立っています。
先に、黒色のテストリードを本体のCOM端子に差し込みます。そして、赤色のテストリードを「V」と書かれた端子に差し込みましょう。順番を間違えると、正確に測定できない場合があるため、注意が必要です。
STEP3. 通電モードに設定する
次に、本体を通電モードに設定します。プローブを挿入したら、本体の電源を入れ、ダイヤルを回してつまみを導通モードに合わせます。
導通モードのアイコンがわからない場合は、「スピーカーや音波のようなマーク」を探しましょう。モデルによって、アイコンのデザインが異なる場合もあるので、事前に説明書などでアイコンを確認しておくとスムーズです。
STEP4. 通電しているか確認する
次に、通電しているかどうかを調べます。デジタルマルチメータは、基本的に片方のプローブが電流を送り、もう片方が電流を受けることで、通電を確認できるようになっている仕組みです。
通電している場合、本体のスクリーンに「0」が表示され、合図として音が鳴ります。通電していない場合は、画面に「1」または「OL(Open Loop)」が表示されます。
STEP5. 実際に測定する
最後に、実際にプローブを使って測定すると、本体のスクリーンに測定結果が表示されます。
まとめ
デジタルマルチメータは、電圧や抵抗などを測定する便利なツールです。さまざまな種類・形状があるため、用途や目的、環境に応じて、適切なタイプを選ぶ必要があります。手順を守って使うことにより、安全かつ正確な測定が可能です。プローブやテストリードの状態など、注意深く確認してから測定を行いましょう。
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