ドリルドライバーと似た電動工具に「インパクトドライバー」が挙げられます。両者の大きな違いは、インパクトドライバーは回転と打撃の機能を持っている点に対し、ドリルドライバーは回転のみである点です。

インパクトドライバーは打撃(インパクト)機能があるドライバーなので、締付け能力が高く、パワーが大きい特長を持ちます。

そのため、硬い素材へのネジ打ちも可能で、大量のネジを短時間で打つ際に適しています。小ねじのネジ締めから高力ボルトのようなパワーを必要とする作業まで、さまざまな場面に対応できる点がメリットです。

一方、ドリルドライバーは回転スピードの変更や低速・高速の切り替えも可能なため、繊細な作業に向いています。インパクトドライバーと比較すると工具を持つ手に負荷がかかりにくく、初心者でも扱いやすい工具です。

ドリルドライバーは、一般的に下記の部分で構成されています。

※コード式ドリルドライバーのみの機能です。バッテリー式にはありません。

ドリルドライバーは各部分の特徴を正しく把握し、適切に使用しましょう。なお、製品により、各部分の呼称や機能に違いがある場合もあります。

ピストル型はいわゆる「拳銃(ピストル)」の形をしており、引き金部分にあるスイッチ(トリガー)を引いて使用するドリルドライバーです。ドリルドライバーでは主流のタイプで、家庭用から業務用まで幅広い製品が市販されています。

ピストル型は、ペン型と比較するとネジ締め能力が高い傾向にある点が特長です。近年はさまざまな電圧のピストル型ドライバーが提供されていて、電圧が高いタイプの製品ほどパワーも強くなり、より大きいサイズの穴あけやネジ締めが可能です。

例えば3.6Vのドリルドライバーは、家庭での作業や業務での比較的簡単な工程の作業に向いています。プロの業務用として購入する場合は、14.4Vあるいはそれ以上の電圧のドリルドライバーがおすすめです。

ペン型は通常では棒状の形状をしており、作業スペースや用途に応じて本体を折り曲げられるタイプのドリルドライバーです。

ペン型ドライバーは狭い場所でも取り扱いやすく、上向きや下向きでの作業にも向いています。本体を折り曲げたり、伸ばしたりして可変的に作業できるフレキシビリティさがメリットです。

そのほか、小型で軽量の製品であれば、工具袋に入れて便利に持ち運びできる点も魅力でしょう。

ただし、ペン型ドリルドライバーは構造上トルクが弱い傾向にあり、ネジ締め能力もピストル型と比較すると低いデメリットがあります。

ドリルドライバーは、採用される電源により「充電式」と「コード式」にわかれます。

充電式は本体にバッテリーが内蔵されているタイプと取り外しできるタイプの2種類あり、事前に充電する必要があります。電源コンセントとコードで接続する必要がないことから、屋外や屋内などさまざまな場所で便利に使用できます。

一方、コード式は電源コンセントとコードで接続して使用するタイプです。バッテリー残量を気にする必要がないので、長時間の使用に適しています。

ただし、作業範囲はコードが届く範囲に限定されるほか、作業の際にコードが邪魔になる場合があります。そのほか、延長コードを使う際は、コードの定格電流値や長さへの配慮も必要です。

充電式ドリルドライバーを探す

コード式ドリルドライバーを探す

充電式のドリルドライバーではバッテリーにより電圧に違いがあります。具体的には、3.6V・7.2V・10.8V・12V・14.4V・18Vなどです。

一般的に、電圧が高くなればなるほどパワーも強くなります。コンクリートブロックや鉄工など、パワーが必要な業務の場合は電圧の高いドリルドライバーを選択しましょう。

ただし、電圧が高い製品はその分重量も重くなりやすいので、取り扱いに慣れが必要となる点に注意が必要です。

ドリルドライバーの穴あけ能力やネジ締め能力は製品によりさまざまです。例えば、鉄工での穴あけ能力が最大5mmの製品もあれば、最大12mmの製品も提供されています。

鉄工に10mmの穴をあけたい場合、最大5mmの製品では対応できません。ドリルドライバーを使用する用途に合わせ、適した能力の製品を選択しましょう。

トルクとは、ネジを回して締め付けたときに回転方向へ回す締め付け力のことです。トルク値は「N.m」で示され、数値が高いほど大口径の穴や太いビスの締め付けが可能となります。

例えば、30N.m未満の製品は家庭向けまたは業務の初心者向けで、比較的小型のドリルドライバーが中心です。業務用であれば、50N.m、100N.m以上の製品を検討してみましょう。

ドリルドライバーに衣服や周囲のゴミなどが巻き込まれてしまうと、トラブルの原因となります。

作業をする際は、できるだけダボついた衣服を着用しないようにしましょう。作業場を整理整頓し、明るい状態で作業することも大切です。

可燃性のある液体やガスの近くで使用すると、充電工具から発生する火花によって火災が発生する恐れがあります。作業する前に周囲の環境を確認し、可燃性のある物質があったら撤去しておきましょう。

可燃性の粉塵も、空気と混ざり合うと火災や爆発が発生しやすくなるので注意が必要です。

ドリルドライバーで作業する際は、保護メガネを必ず使用しましょう。また、作業場の状況に応じて防塵マスクや安全靴、ヘルメット、イヤマフなどの保護具を着用し、安全に配慮してください。