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更新日:2025年1月30日

ドローンの操縦で免許が必要なケースは?免許の種類や国家資格の概要も紹介

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新しいスタイルの航空機として近年さまざまな業界から注目を集めているのが、無人航空機(ドローン)です。このドローンを産業目的で飛行させる際には、資格の取得やさまざまなルールの遵守が必要です。そこでこの記事では、ドローンに関する資格や取得方法などについて詳しく解説します。

ドローンの操縦で免許が必要なケースは?

ドローンを免許なしで操縦しても、基本的に法律違反になるわけではありません。しかし、飛行禁止空域や飛行方法について細かなルールがあり、それによって免許が必須となる場合もあります。航空法などに抵触する恐れもあるので、ルールに則ってドローンを安全に操縦するためにも資格取得が推奨されます。

ドローンの操縦においてあらかじめ理解しておくべきは、飛行のレベルとカテゴリーについてです。国土交通省の発表によると、飛行レベルは以下の通りに分けられます。

  • 飛行レベル1:空撮や橋梁点検を目的とした目視内での操縦飛行
  • 飛行レベル2:農薬散布や土木測量を目的とした目視内での自動/自律飛行
  • 飛行レベル3:補助者(立入管理措置)ありで行われる無人地帯における目視外飛行
  • 飛行レベル3.5:補助者(立入管理措置)なしで行われる無人地帯における目視外飛行
  • 飛行レベル4:補助者(立入管理措置)なしで行われる有人地帯における目視外飛行

参照:国土交通省「ドローンのレベル3.5飛行制度の新設について

このうち、飛行レベル4のケースでは国家資格一等資格が必要です。2022年に施行された航空改正法は、このレベル4飛行実現のために創設されました。

また、レベル3.5は2023年12月に新たに創設された飛行レベルです。レベル3にあった立入管理措置を撤廃した緩和制度的なものですが、この飛行を行う際にも要件のひとつとして二等以上の国家資格が必要と定められています。

カテゴリーは飛行空域や飛行方法によって分類したもので、大きく以下の3つに分けられます。

  • カテゴリーI:特定飛行に該当しない飛行
  • カテゴリーII:特定飛行で有人地帯以外(立入管理措置あり)での飛行/自律飛行
  • カテゴリーIII:特定飛行で有人地帯(立入管理措置なし)での飛行(飛行レベル4に該当)

参照:国土交通省「無人航空機の飛行許可・承認手続

なかでもカテゴリーIIは特定飛行の内容によってIIAとIIBに二分されます。特定飛行とは、100g以上の無人航空機を屋外で飛行させる際に許可・承認が必要な飛行のことです。特定飛行と呼ばれるものには以下のものがあります。

  • 空港などの周辺(★)
  • 150m以上の上空(★)/自律飛行
  • 催し場所の上空(★)
  • 危険物輸送および物件投下を行う飛行(★)
  • 緊急用務空域(★)
  • 最大離陸重量25kg以上のドローンでの飛行(★)
  • 人口集中地区の上空(●)
  • 夜間飛行や目視外飛行(●)
  • 人や物件から30mの距離を取れない環境での飛行で、最大離陸重量が25kg未満のドローンでの飛行(●)

これらのうち、行う飛行が★に該当するものはIIAに、●に該当するものはIIBに分けられます。

飛行許可・承認手続きの必要のない特定飛行外のカテゴリーIはもちろん、要件さえ満たせばカテゴリーIIも免許なしでドローンを飛ばせますが、カテゴリーIIIは飛行レベル4に該当するため、いかなる場合でも国家資格の一等資格が必須です。ただし、先述した飛行レベル3.5はカテゴリーIIのなかに含まれますが、この飛行を行う際は二等以上の国家資格が必要です。

これらのことから、ドローンを業務利用する場合には、どんな条件でもドローンを操縦できるように国家資格の一等資格の取得を推奨します。

国家資格、民間資格について詳しくは後述します。

ドローンの免許が不要なケース

ドローン操縦の際に免許が必要になるのは、飛行レベル4、カテゴリーIIIで飛行する際(一等国家資格)と、飛行レベル3.5で飛行する際(二等以上の国家資格)のみです。それ以外の飛行レベル1~3、カテゴリーI~IIでは免許は不要です。

ただし、先述した特定飛行に該当する飛行や、有人地帯での飛行には原則として飛行許可・承認手続きが必要です。飛行許可・承認手続きは一定の要件を満たせば免除や簡略化できるようになります。東京や大阪のような都市部は多くの場合人口集中地区に該当するため、ほとんどの地域で飛行許可・承認手続きを行わなければなりません。

ドローンの免許・国家資格とは

ドローンの免許として2022年12月5日に誕生したのが、国家資格「無人航空機操縦者技能証明」です。ドローンにおける資格は、厳密には一般的に言われる免許とは異なり、資格の有無でドローンの操縦の可否は決まりません。ドローンを飛行させるのに必要な知識と能力を有することを認める技能証明の意味合いが強いです。資格を取得するためには、国土交通省指定機関で学科試験、実地試験、身体検査への合格が必須です。

16歳未満の人や技能証明の拒否・取り消しを受けてから一定期間を経過していない人などは受験できません。資格の有効期間は3年で、申請により更新できます。

参照:日本海事協会「無人航空機操縦士試験 受験資格

一等無人航空機操縦士

一等無人航空機操縦士技能証明は、カテゴリーIII飛行を行うための知識・能力を十分に持つことを証明する資格です。カテゴリーIIIの飛行を行うためには、この一等操縦者技能証明の取得と第一種機体認証の取得という要件を満たさなければなりません。

飛行レベル4はカテゴリーIIIに該当するため、飛行レベル4を行うためには、この資格が必須です。

二等無人航空機操縦士

二等無人航空機操縦士技能証明は、カテゴリーII飛行を行うための知識・能力を有することを証明する資格です。この資格を取得すれば、カテゴリーIIAの特定飛行を行う際、飛行許可・承認手続き(簡略可)を行うことで飛行できるようになります。また、その他の要件を満たせば、カテゴリーIIBの特定飛行を行う際の飛行許可・承認手続きも不要です。この場合、第二種機体認証以上の機体の使用が要件として求められます。

新設された飛行レベル3.5はカテゴリーIIに分類されますが、飛行レベル3.5を行う際にはこの資格が必須です。

ドローンの国家資格を取得するまでの流れ

ドローンの国家資格取得を目指す人は、その大まかな流れをあらかじめ把握しておきましょう。

1.登録講習機関を受講する

まずは国土交通省が指定する登録講習機関で講習を受けましょう。これにより指定試験機関で受ける実地試験が免除されます。試験自体は講習を受けなくても受験できますが、その場合は指定試験機関で実地試験を受ける必要があります。負担を軽減するためにも、登録講習機関で基礎から技術と知識を学んでおくのがおすすめです。

2.指定試験機関で試験を受ける

試験を実施する指定試験機関は、一般財団法人 日本海事協会です。学科試験・実地試験・身体検査が実施されます。ただし、先述したように、登録講習機関で講習を受けた修了生は実地試験が免除されます。

実地試験の試験科目は、以下の通りです。

  • 最大離陸重量25kg未満のドローン飛行+昼間飛行+目視内飛行
  • 夜間飛行
  • 目視外飛行
  • 最大離陸重量25kg以上のドローン飛行

学科試験は三肢択一式で、一等資格は70問、二等資格は50問出題されます。一等資格の試験科目は以下です。

  • 操縦者の行動規範
  • 関連規則
  • 運航
  • 安全管理体制

二等資格の試験科目は以下です。

  • 基礎的な操縦技術
  • 関連法規

3.身体検査を受ける

身体検査の基準は、普通自動車免許の適性検査基準と同等です。具体的には、以下の通りです。

  • 視力:両目で0.7以上あるいは片目でそれぞれ0.3以上(矯正も可)、など
  • 色覚:赤色・青色・黄色が識別できる
  • 聴力:10メートル離れた距離で90デシベルの警音器の音が聞こえる(補聴器の使用可)、など
  • 一般:ドローンの操縦に支障をきたさない身体状態

参照:国土交通省「無人航空機操縦者技能証明における身体検査実施要領

受験は必要書類を提出するか、あるいは会場での受験が選べます。書類受験の場合は、受験パターンに応じて以下の書類のうちひとつを提出します。

  • 有効な公的証明書(自動車運転免許証など)
  • 航空身体検査証明書
  • 既得の無人航空機操縦者技能証明書
  • 航空機操縦練習許可書
  • 医師の診断書(申請前6カ月以内の)

参照:日本海事協会「無人航空機操縦士試験 身体検査

ただし、医師の診断書についてはどの等級を受験するかによってそろえる書類が変わります。

  • 一等(25㎏未満のドローン限定)もしくは二等国家資格の場合
    無人航空機操縦者身体検査証明書
  • 一等(25kg以上のドローンの場合)
    無人航空機操縦者身体検査証明書
    無人航空機操縦者身体検査証明書 別紙

会場受験は指定試験機関で直接身体検査を受ける方法です。学科試験を申し込む際、同時に申し込めます。

書類受験する場合の料金は書類受験で5,200円、会場受験で19,900円(それぞれ非課税)です。書類受験はあらかじめ必要書類を準備しなければならないものの、会場受験よりも費用が抑えられます。

ドローンの主な民間資格

ドローンの技能証明にはいくつか民間資格もあります。

ドローン検定

ドローン検定は、4万人以上が認定を受けている業界でよく知られた民間資格です。ドローン検定協会株式会社が発行しています。階級は1級から4級まで、更新制ではなく年齢制限はありません。小学生でも受験できます。

民間資格から国家資格取得へとステップアップする方法も制度化されているため、この資格の取得が国家資格への足掛かりとなります。結果的に費用を抑えられる可能性もあります。

DJI CAMPスペシャリスト

DJI CAMPスペシャリストは、DJI製ドローンの安全で正しい使用を目的とした民間資格です。10時間以上の飛行経験者を対象としています。ドローンの正しい知識や操縦方法、飛行モラルを評価するための資格で、受験するためには指定講習の受講が必要です。

講習後、指定試験に合格することでDJI CAMPスペシャリストの認定が得られます。飛行許可・承認手続きの際、申請書類の一部を省略化できるなどのメリットがあります。2年ごとの更新が必要で、有効期限の60日前から手続きが可能です。

IAU無人航空機技能認証

産業用ドローンのための認定ライセンスとして有名なのが、一般社団法人 国際無人航空機協議会(IAU)が発行している産業用無人航空機操縦技能認証です。取得するためにはIAU認定のドローンスクールでの受講が必要です。取得することでドローンに関する高度な知識と操縦技能があることを証明できます。

事故防止や産業利用に適応できる人材の育成がこのライセンスの目的です。そのため、幅広い知識を持つ操縦士の技術を向上させる講習プログラムを提供しています。

更新は初回のみ取得から1年後に、その後は2年ごとに必要です。

ドローンの民間資格を取得するまでの流れ

まずは民間資格の取得から目指したいという方は、以下の流れをよく把握しておきましょう。

1.民間資格が取得できる認定校を探す

まず重要なことは、どのようなドローン資格を取得したいのかを明確にすることです。なぜなら、スクールや認定校によって取得できる資格が異なるためです。また、資格の内容だけでなく、受講料金や自宅からのアクセスについてもよく考慮し、通いやすい学校を選びましょう。

多くのスクールや認定校では説明会や無料体験を実施しています。それらを上手に活用し、校舎や授業内容の雰囲気を把握するのがおすすめです。

2.座学講習と実技講習を受講する

通うドローンスクールが決まったら、講座を受講して知識や技術を学びましょう。一般的に、授業は座学講習と実技講習を数日間にわたって行います。

3.検定試験を受ける

講習を修了すると、各スクールで検定試験が実施されます。試験内容は筆記試験やデモンストレーションフライトなどです。多くのスクールでは講習修了の後に試験が行われます。スクールでは証明取得に必要なさまざまなサポートを受けられます。しかし、合格するためには講習期間中に学習した内容をしっかり身に付けることが重要です。

ドローンの国家資格免許を取得するメリット

先述したように、ドローンは限られた地域や方法による飛行を行わなければ、必ずしも国家資格免許を必要としません。しかし、免許を取得しておけば、さまざまなメリットを享受できます。

ドローン操縦の信頼性が担保される

ドローンの国家資格を取得することは、ドローン操縦の信頼性を担保する重要な要素となります。なぜなら、資格を取得するためには学科試験、実地試験、身体検査の合格が必要だからです。ドローンの国家資格を取得することで、操縦者が必要な知識と技能を有していることが証明されます。

ドローンの飛行に許可申請が一部必要なくなる

先述したように、特定の空域や方法でドローンを飛行させる場合には、国土交通省へ飛行許可・承認手続きが必要です。特に、民間資格の場合には、カテゴリーIIに関わる飛行については飛行レベル1の範囲内であろうと飛行許可・承認手続きを行わなければなりません。しかし、二等以上の国家資格があれば不要・簡略化できます。ただし、その場合は機体認証も必要になるため注意が必要です。

ドローンを扱う業界への就職が有利になる

ドローンの活用事例が増加するにつれ、建築やメディア、映像、農業など、さまざまな業界でドローンが導入されています。そのため、これらの業界への転職や再就職を考える際、技能の証明であるドローンの国家資格があれば、自己アピールにおける優位性につながります。先見の明や新しいものにチャレンジする姿勢が評価される可能性もあります。

ドローンの免許に関するよくある質問

ドローンの国家資格はまだ誕生したばかりの若い制度です。そのため、まだその内容が広く周知されているとは言えません。そこで、最後にドローンの免許に関してよくある質問をいくつか紹介します。

ドローンを外で飛ばす場合のルールは?

2024年11月現在、機体重量100g未満のドローンや自宅で操縦する際には、特別な資格や飛行許可・承認手続きは必要ありません。しかし、100g以上のドローンを屋外で飛ばすのであれば、機体を「ドローン情報基盤システム2.0(DIPS2.0)」へ登録する必要があります。登録手続きの詳細は、国土交通省の無人航空機登録ポータルサイトで確認できます。DIPS2.0に登録しておけば、ドローンの登録や国家試験の申し込みが一括で行えるため便利です。

参照:国土交通省「ドローン情報基盤システム2.0

ドローンの民間資格と国家資格の違いは?

ドローンの飛行は航空法などの厳しい規制が設けられており、特定の空域や方法での飛行には国土交通省からの許可・承認が必要です。民間資格ではカテゴリーIIに関する飛行全般については飛行許可・承認手続き(簡略化あり)を行います。国家資格ではカテゴリーIIAにおいて飛行許可・承認手続きは必要(簡略化あり)ですが、カテゴリーIIBの飛行については不要です。

また、一等国家資格を取得が条件となる飛行レベル4に該当するカテゴリーIII飛行は、民間資格ではできません。

ドローンの民間資格免許はなくなる?

ドローンの民間資格がなくなることはありません。ただ、2025年12月以降、民間資格を根拠にした飛行許可・承認手続きの簡略化ルールは廃止される方向で動いています。国家資格に一本化する計画もあり、民間資格取得者にとっては今後の動きに目を離せない状況です。

参照:国土交通省「よくある質問

では民間資格を取る意味が全くなくなるのかといえば、そうでもありません。登録講習機関が発行する民間資格所持者なら、従来通り、国家資格取得の受験の際、経験者として認められ、資格取得に必要な講習の時間短縮や、指定試験機関における実地試験の免除が与えられます。

事業における取引の際、操縦者のスキル証明としてもまだ十分に機能します。ただし、今後、国家資格を限定とする取引が発生する恐れはあります。慌てて国家資格を取得するようなことにならないためにも、今から国家資格取得を考えてもいいでしょう。

まとめ

特定の空域や方法でドローンを操縦する場合には、資格が必要になります。ドローンの資格には国家資格と民間資格があり、国土交通省への飛行許可・承認手続きなどの点で違いがあります。資格試験は条件を満たしていれば誰でも受験できますが、あらかじめ認定機関で講習を受けておくのがおすすめです。

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