更新日:2025年1月30日
花粉症シーズン対策!職場で快適に過ごすための適切な方法とは

花粉症は、植物の花粉が体内に入ることで、くしゃみや鼻水、目や喉のかゆみなどのアレルギー症状を引き起こす病気です。本記事では、花粉症の原因や花粉症対策をはじめる時期など、花粉症対策の基礎知識を解説し、さらに個人と企業がそれぞれ行うべき花粉症対策を紹介します。
花粉症対策を行う前に知っておきたい基礎知識
現在、日本人の3人に1人が花粉症に悩まされており、もはや花粉症は「国民病」といっても過言ではありません。しかも、花粉症の有病率は年々増加傾向で、花粉症による経済的損失は1日あたり2,000億円以上という試算もあり、花粉症は社会的・経済的にも大きな影響をおよぼしています。
このように花粉症が発症すると生産性の低下を招くだけでなく、日常生活にも支障をきたします。そのため、花粉症の方は花粉症の原因や時期などを把握し、適切な対策を講じることが重要です。
花粉症の原因や注意したい季節とは?

環境省がまとめた「花粉症環境保健マニュアル2022」によると、花粉症の原因となる花粉は50種類以上存在します。しかし、そのほとんどは農業の受粉作業に使われるもので、多くの日本人を悩ましている花粉症の原因は、これ以外のスギやヒノキなどの花粉です。
特に、スギ花粉は厚生労働省の資料によると約70%の花粉症患者の原因とされています。これは日本の森林の約18%、国土の約12%がスギ林で花粉量が非常に多いからです。
スギやヒノキの花粉が飛散する時期は1月下旬から6月中旬頃で、春先にどちらもピークを迎えます。また、オオアワガエリやカモガヤといったイネ科植物は5月から7月、ブタクサやヨモギなどのキク科植物は8月から10月に花粉を多く飛散します。このように花粉の飛散する時期は、花粉の種類によって異なるため、自分がどの花粉に反応している花粉症かを知り、適切に対策することが必要です。
参照:環境省「花粉症環境保健マニュアル2022」
参照:厚生労働省「花粉症 的確な花粉症の治療のために」
花粉症対策はいつからはじめるのがよい?
花粉症の症状は花粉の飛散量とともに悪化するため、アレルギー反応がある花粉の飛散がはじまる前、症状が出ないうち(飛散開始1~2週間前)から治療を開始すると、花粉シーズンをラクに過ごせます。
花粉の治療法には、「対症療法」、「アレルゲン免疫療法(減感作療法)」、「手術療法」の3つがあり、通常、出てくる症状を薬で抑える対症療法が行われます。具体的には、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状を抑える内服薬や点鼻薬、目のかゆみや充血などの症状を抑える点眼薬(目薬)を用いて対処します。
また、花粉が体内に極力入らないようにすることも大切です。花粉の飛散がはじまったら、次項で紹介する対策を心がけましょう。
個人ができる花粉症の対策方法

花粉症対策には、個人でできることが数多くあります。以下は、花粉症の発症や症状の悪化を防ぐのに有効な対策方法です。
花粉症対策用のメガネを着用する
花粉が目に入ると、目がかゆくなったり、充血したりします。これを防ぐには、メガネをかけるのが効果的です。普通のメガネやサングラスでも一定の効果は期待できますが、防護カバーの付いた花粉症対策用メガネを使えば、より花粉の侵入を防げます。特に普段コンタクトレンズを装用している方は、花粉がレンズと目の間に入り込むと症状が悪化する恐れがあるため、花粉が多い時期は花粉症対策として専用のメガネを着用するとよいでしょう。
マスクを着用する
マスクは呼吸による花粉の吸引を減らし、鼻づまりや喉のかゆみなどを防ぐ効果があります。一般的なマスクでも、マスクをしない場合に比べて花粉の量をそれなりに減らせますが、しっかり対策したいなら花粉対策用マスクを着用しましょう。
また、花粉症対策としてマスクを選ぶ際は、「顔にしっかりフィットする」「息がしやすい」「使い捨て」の3つのポイントを押さえたものがおすすめです。マスクと顔の間に隙間があるとそこから花粉が侵入してしまいます。そのため、顔にフィットし、長時間着用しても息がしやすいマスクを選びましょう。さらに衛生面を考えると繰り返し使用可能なマスクよりも使い捨てマスクのほうが安心して使えます。
<参考>
花粉の付きにくい素材の服を選ぶ
花粉の飛散量が多い時期は服装にも注意を払いましょう。一般的にウールやフリース素材の服は、ほかの素材に比べて花粉が付きやすく、外出時に着用すると花粉を屋内に持ち込みかねません。一方、綿やポリエステル、表面がさらっとしている絹やサテンなどを使った服は、花粉が付きにくく払い落としもしやすいです。
また、花粉シーズンでもおしゃれを楽しみたい方は、クリーニング店のオプションサービスを利用するのもおすすめです。例えば、静電気による花粉付着を抑える「花粉ガード加工」のオプションサービスを利用すれば、花粉の付着を防ぐだけでなく、服に花粉が付着しても手ではたくだけで簡単に払い落とせます。
花粉を持ち込まないようにする
家の中に花粉を持ち込まない工夫も大切です。帰宅時は玄関先でコートやジャケットを脱ぎ、衣類に付いた花粉をしっかり払い落しましょう。服やバッグ、体に付いた花粉は、手で払うよりもウェットシートを使って拭き取るとより花粉が払えます。できる限り部屋に花粉を持ち込みたくない方は、すぐにお風呂に入るのもおすすめです。顔や体に付着した花粉を洗い落とせるので、室内への花粉の侵入をしっかり防げます。
小まめにうがい・鼻うがいをする
帰宅後は、うがいと鼻うがいをして、喉や鼻に付いた花粉を丁寧に洗い流しましょう。ただし、水道水を使用すると、水道水に含まれる塩素が喉や鼻の粘膜を傷付ける恐れがあります。特に鼻うがいをする際は、水道水を使うと痛みを伴うことがあるので、生理食塩水(食塩濃度0.9%)や市販の鼻洗浄液を使用しましょう。
部屋の換気を行う
花粉が多く飛ぶ時期でも部屋の換気は必要です。ただし、窓を全開にして換気すると、室内に多くの花粉が侵入します。したがって、換気する際は窓を10cmほど開け、レースカーテンを閉めたまま行いましょう。10~15分程度行うだけで、流入する花粉の量を大幅に減らせます。
また、花粉飛散量の少ないタイミングで換気することも重要です。花粉は昼の前後と夕方に多く飛散するため、換気は早朝や夜間に行いましょう。どうしても日中に換気を行いたい方は、空気清浄機を上手に使いながら換気することで、花粉の侵入を抑えられます。
掃除は小まめに行う
家の中の花粉を取り除くには、小まめな掃除が欠かせません。日中浮遊している花粉は、人の活動がない夜の間に床に落ちます。そのため、朝に掃除をすれば、効率よく花粉を取り除けます。 掃除する際は、花粉が舞い上がらないように、はじめにぬれたモップや掃除シートで拭き掃除をし、次に掃除機をかけましょう。
また、カーテンやソファ、カーペットなどの布製品にも多くの花粉が付着しています。そのまま使用すると症状が悪化する恐れがあるため、小まめに粘着クリーナーを使用したり、洗濯したりして花粉を除去することが大切です。
食生活・習慣を見直し免疫力をつける
花粉症の発症や症状が悪化する原因のひとつに、免疫力の低下が関係しているといわれています。そのため、毎日の生活習慣を見直して免疫力を高めることが大切です。具体的には、しっかりと睡眠をとり、適度な運動を取り入れ、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。
企業・職場が行える花粉症の対策方法

企業にとっても花粉症対策は、従業員の健康や仕事の効率を守るためにとても重要です。ここでは企業ができる職場での花粉症対策を紹介します。
従業員の入退出時のルールを設定する
従業員を花粉症から守るためには、職場全体で花粉症対策に取り組むことが重要です。特に花粉症対策として意識すべきは、職場に花粉を持ち込まないことです。
そのため、まずは入室前に上着を脱ぐ、服やカバンに付いた花粉を衣服ブラシや粘着クリーナーで除去する、外出前に花粉の付着を抑える「花粉ブロックスプレー」を使用する、など従業員の入退出時における花粉症対策をルール化しましょう。さらに、これらの社内ルールをポスターにして、入り口や掲示板に貼れば、従業員周知に役立ち、訪問者にも協力してもらいやすくなります。
従業員の出社前後に換気を行う
人の出入りが多い職場は花粉だけではなくウイルスも室内に侵入しやすい環境のため、感染症対策の一環としても換気が重要です。換気を行うタイミングは家と同じように、花粉飛散の少ない午前中の早い時間帯、具体的には従業員の出社前後に短時間で行いましょう。
小まめにエアコンのフィルタを掃除する
花粉症対策では、エアコンのフィルタを小まめに掃除することはとても大切です。花粉飛散が多い時期にエアコンを稼働させると、室内にたまった花粉が空気と一緒にエアコンのフィルタに吸着されます。しかしこの状態のままエアコンを使うと、フィルタに付着した花粉が室内に吹き出されて拡散し、花粉症が悪化する恐れがあります。花粉を拡散させないためにも、月に1回程度はフィルタを掃除しましょう。
フロアに加湿器・空気清浄機を設置する
加湿器と空気清浄機の使用も花粉症対策に有効です。加湿器は空気中の水分を増やし、花粉を湿らせて床に落とすことで、花粉が浮遊するのを防ぎます。ただし、加湿器で花粉を床に落とすことはできますが、花粉がフロアからなくなったわけではありません。そこで役立つのが空気清浄機です。空気清浄機は高性能なフィルタで花粉をキャッチし、空気をきれいにしてくれます。特に加湿空気清浄機であれば、1台2役でスペースをとらず設置もしやすいのでおすすめです。
まとめ
今や国民病ともいわれる花粉症は、一個人による対策も重要ですが、経済的・社会的にも大きな影響をおよぼしていることから、企業でも従業員が一丸となって対策に取り組むことが大切です。ぜひ、記事を参考に可能な限りの対策を講じて、花粉シーズンを乗り切ってください。
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