更新日:2025年4月24日
暑さ対策の基本|水分補給だけではない熱中症の対策方法

日本の夏は暑く、猛暑日が続くことも少なくありません。屋外で作業を行う現場などでは、暑さ対策の徹底が職場環境の改善や業務効率の向上にも直結します。本記事では、具体的な暑さ対策と有効なグッズを紹介します。
熱中症の対策にも暑さ対策は重要
暑さ対策の目的には、作業中の疲労感の軽減や作業効率の向上、モチベーションの維持、労働環境の改善などが含まれますが、熱中症対策もその重要な要素の一つです。日本の夏の平均気温は年々上昇しており、1898年に統計が開始されて以来、2024年は高い基準値を記録しました。熱中症になるリスクを軽減するためにも暑さ対策が欠かせませんが、熱中症の危険を十分に理解していない方もいます。そこで、熱中症について知っておくべき基礎知識と、熱中症になる原因について解説します。
参照:気象庁「日本の年平均気温」
熱中症の基礎知識
熱中症とは、外気温の影響で体温が上昇し、発汗による体温調整がうまくできなくなったり、体内の塩分バランスが崩れたりして、不調をきたすことです。頭痛やめまい、倦怠感、吐き気、筋肉痛などが表れ、重症化するとけいれんや意識障害、高体温(身体に触れると熱いとわかるくらいの体温)などの症状を起こし、後遺症が出たり、命の危険を生じたりする恐れさえあります。暑さ対策は単に快適性を求めるものではなく、熱中症によって上記のような深刻な状態に陥るのを防ぐ目的もあります。
熱中症の原因
熱中症は気温の高さだけでなく、さまざまな外的要因または内的要因によって引き起こされる可能性があります。
外的要因としては直射日光や高温多湿の環境、風通しの悪さなどが挙げられます。このような環境での作業は体温が上昇しやすく、熱中症を発症するリスクが高まります。
内的要因には、発熱や体温調節機能の低下などがあります。特に激しい動きを伴う作業では、体温が上昇し、体内の熱を十分に放散できなくなることがあります。建築現場や屋外作業などにおいては、気温や湿度だけでなく、作業環境や作業者の体調にも配慮することが求められます。
暑さ対策として有効な方法
最近の日本の夏の暑さは非常に厳しく、暑さ対策が必須です。暑さ対策には、まずは水分補給がありますが、その他さまざまな方法で対策ができます。
小まめに水分補給を行う

暑さ対策の基本は、やはり小まめな水分補給です。暑いときは体温を下げようとして多量の汗をかくため、体内の水分や塩分、ミネラルなどが失われていきます。そのため、水分補給をしっかりすることが大切です。
ただし、飲み物であれば何でもよいわけではありません。暑いときの水分補給には、水やスポーツドリンク、経口補水液が最適です。コーヒーや緑茶などのカフェインが含まれている飲み物やアルコール類は利尿作用があります。汗と同時に体内の水分を減少させてしまう可能性があるため、避けましょう。カフェインを含まない麦茶やノンカフェイン飲料がおすすめです。
塩分・ミネラルも補給する
暑さ対策で水分補給するときには、塩分(ナトリウム)とミネラルも一緒に補給しましょう。汗をかくと体内の塩分やミネラルが失われ、大量に水を飲むと、さらに塩分不足やミネラルバランスが崩れやすくなります。体内の塩分やミネラルが不足すると、水分を保持しにくくなったりパフォーマンスが低下したり、熱中症を発症する要因となるため注意が必要です。
スポーツドリンクや経口補水液は、水分とともに塩分やミネラルも補給できるため、暑さ対策に最適です。真水を飲む場合には、塩飴や塩タブレットを同時に摂取するのがおすすめです。ただし、塩分の摂りすぎにより血圧が上がるなど他の病気を誘発しないためにも、適量を守りましょう。
吸湿性・通気性の高い衣服を着る
吸湿性・通気性がよい服を着用することも、暑さ対策として有効です。水分を吸いにくく乾きにくい服を着ていると、内部に熱がこもりやすくなり熱中症になるリスクが上がります。
天然繊維なら綿や麻、化学繊維なら吸湿性・通気性が高いポリエステル素材などの服を着ると、暑さ対策となります。また、ぴったりとした服は、通気性が悪くなるため、できるだけゆとりがある服を選び、風通しをよくする工夫をしましょう。帽子を被ったり日傘をさしたりして、肌に直射日光が当たらないようにするのも効果的です。
暑さ対策のグッズを使用する
最近はさまざまな暑さ対策のグッズが登場しています。例えば、冷感タオルや冷感ネックチューブなどは、太い血管がある部位を冷やすことができ、体温を下げやすくなります。ポータブル扇風機を使えば、スイッチだけで風を送ることができ涼しく過ごせます。ほかにもいろいろな暑さ対策グッズがあるため、目的やシーンに合うものを選ぶのがおすすめです。
暑さ対策として有効なグッズ

厳しい暑さに悩まされる近年の日本では、暑さ対策グッズの需要が伸びており、種類も増えています。その中でも暑さ対策に有効なグッズを4つ紹介します。
経口補水液
熱中症対策には水分補給が欠かせませんが、真水よりも経口補水液がおすすめです。経口補水液はORS(Oral Rehydration Solution:経口補水療法)に基づいて作られており、水分や電解質(ナトリウムやカリウムなど)、糖分を適切なバランスで摂取できるメリットがあります。特に脱水状態に適した飲料のため、日頃からストックしておくと安心です。飲みやすいリンゴ風味の経口補水液やゼリータイプなどがあるので、好みに合わせて選ぶとよいでしょう。
塩飴・塩タブレット
塩分不足やミネラルバランスの乱れを調整するために、水分補給時は、塩分も一緒に摂取しなければなりません。塩飴や塩タブレットなら、手軽に塩分の補給ができます。味を楽しんだり、間食の代わりにしたりするのであれば、舐めて溶かす塩飴を、長時間持ち歩く場合は溶けにくい塩タブレットがおすすめです。レモン味やブドウ味、スポーツドリンク味など好みのものを選びましょう。暑くなりはじめる前からストックしておくのがおすすめです。
ポータブル扇風機
ここ数年で愛用者が一気に増加したポータブル扇風機も、暑さ対策に有効なグッズです。うちわのように自力で仰ぐ必要がなく、スイッチを入れれば涼しい風を感じられます。従来のファンだけがついた簡易タイプや首にかけられるタイプなど、さまざまなタイプが出揃っているので、携帯のしやすさやデザインで選ぶこともできます。
また、最近はペルチェ素子対応のポータブル扇風機も発売されています。ペルチェ素子とは、ポータブルクーラーにも使われている近年注目を集めている素材です。直流電流を通すと発熱・冷却ができるのが特長で、ペルチェ素子対応のポータブル扇風機ならファンが起こす風と、ペルチェ素子の冷却プレートによる冷たさを同時に感じられます。より暑さ対策を強化したい、暑い場所に長く滞在する、などの状況によって、ペルチェ素子対応のポータブル扇風機の導入も検討してみてください。
クールネックリング
クールネックリングとは、「PCM」という素材で作られているネックリングです。22~28℃以下になると凍るものが多く、長時間ひんやり感が持続するため、外出時に首にかけておくと暑さ対策ができます。首にかけていると体温で徐々に溶けていきますが、22~28℃以下の環境下で再び凍るため、冷凍庫で冷やす必要はなく、扱いが簡単です。
屋外での作業などで、22~28℃以下の環境に置くのが難しい場合は、保冷剤とともに保冷バッグに入れておけば再凍結が可能です。製品によって再凍結する温度や冷却効果の持続期間などが異なるため、目的に合うものを選びましょう。
【万が一】熱中症になった場合の応急処置
水分補給や暑さ対策グッズなどで対策していたとしても、状況によって熱中症になることがあります。熱中症が疑われる場合、重症化を防ぐためにも速やかに応急処置を行うことが重要です。いざというときにスムーズに対処できるように、熱中症の応急処置のやり方を紹介します。なお、応急処置については、医師や救急隊員などの指示があれば、そちらに従ってください。
1. 涼しい場所へ移動する
熱中症が疑われる場合、まずは涼しい場所に移動しましょう。クーラーが効いた部屋が理想的ですが、難しい場合は木の陰などの直射日光が当たらない場所に移動します。もしも自分以外の人が熱中症の症状になり、呼びかけに反応しない、言動が不自然になっているなどであれば、涼しい場所に移動させるのと同時に速やかに救急車を要請してください。
2. 水分と塩分を補給する
涼しい場所に移動したら、次に水分と塩分を補給します。特に大量に汗をかいている場合は、脱水症状を防止するためにも積極的に水分と塩分を摂取しましょう。吐き気がするなど、何らかの理由により自力で補給できない場合は、医療機関を受診してください。また、意識障害を起こしている方に、無理に水分を摂らせようとするのは避けましょう。
3. 身体を冷やす
水分と塩分を補給したら、衣類を緩めて身体を冷やします。大量の水を用意できるのであれば、全身に水をかけて冷却する「水道水散布法」が効果的です。氷のうや氷水、タオルなどが用意できる場合は、氷のうをタオルで包んで乗せる、あるいは氷水で冷やしたタオルを全身に乗せて冷やしましょう。特に太い血管が通っている首や脇、鼠径部などは重点的に冷やしてください。ここがしっかり冷やされると、血液が冷やされるので体温が下がりやすくなります。
水や氷などが用意できない場合は、うちわなどを使って風を送り、できるだけ身体を冷やします。身体を冷やしても症状が回復しないと判断したら、医療機関の受診をおすすめします。また、意識障害を起こしているなどで救急車を呼んでいる場合も、救急隊が到着するまでは上記の手順で身体を冷やし続けましょう。
先述の通り、熱中症は後遺症が出る場合や、最悪の場合命に関わるリスクを伴います。従業員が体調の変化や異常を感じた際には無理をさせず、迅速かつ適切な対応を行うよう、十分に周知することも重要です。
暑さ対策にはグッズを活用しよう
地球温暖化が進むなか、日本国内でも気温上昇が顕著となり、従業員の安全確保が一層重要な課題となっています。これまでは問題なく業務を遂行できていたとしても、熱中症のリスクは高まっているため、徹底した暑さ対策が求められます。
最近はさまざまな暑さ対策グッズも登場しており、比較的手軽に導入できるものも増えています。小まめな水分補給や塩分・ミネラル補給、通気性のよい服の着用などの基本的な対策に加えて、これらの対策グッズも積極的に活用していきましょう。
まとめ
地球温暖化の影響を受け、近年日本では猛暑日が増え、高温環境下で働く従業員も暑さの影響を受けやすくなっています。そのため、適切な暑さ対策を講じる重要性が高まっています。小まめな水分や塩分の補給に加え、各種暑さ対策グッズの活用を通じて、安全かつ快適な作業環境を整えましょう。
<参考>
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