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更新日:2025年5月15日

インバータとは?仕組みや使用するメリット、選び方などを紹介

インバータ
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エアコンや発電機などの電気機器について調べているときに、「インバータ」という名称を目にしたことがある方は多いと思います。省エネ家電に搭載されていることが多く、エネルギーを有効に活用するために必要な装置です。本記事ではインバータの概要や仕組み、メリット、身近な活用例など、インバータについて知っておきたい基礎知識を解説します。

インバータとは?概要と仕組み

屋外に設置されたインバータのイメージ

インバータ(インバーター)とは、電気機器の電圧と周波数を制御・調整する装置です。そもそもは装置内の回路を指す言葉ですが、主に家電の分野ではインバータ回路を搭載した装置をインバータと呼ぶ傾向にあります。

インバータの役割は、電気機器の働きを制御し、エネルギーを有効活用することです。また、特定の電圧や周波数にしか対応できない電源を、異なる電圧や周波数で使えるようにできます。

身近な家電製品はもちろん産業用の重電機などにもインバータが搭載されていることがあります。例えばエレベーターに搭載されているインバータは、始動と停止時に動きをゆっくりにするよう調整し、乗客に危険がないように運転する役割を担っています。

このようにさまざまな場面で活用されるインバータを構成するのは、「インバータ回路」「コンバータ回路」「コンデンサ」の3つです。それぞれの概要や仕組みを簡単に解説します。

インバータ回路とは?

インバータ回路とは、パワートランジスタなどで構成された、直流を交流に逆変換するための回路です。

インバータは、電源から入力された交流の電流をコンバータ回路で直流に変換し、コンデンサを経由して、インバータ回路で再び交流に変換してモーターに出力する仕組みになっています。

交流で入力された電流をわざわざ直流にし、再度交流にする理由は、電源から入力された交流の電圧と周波数を変えるためです。

電源から供給される電流の電圧と周波数は固定されており、接続する機器に応じて変更することはできません。そのため、コンバータ回路によって一度直流にし、インバータ回路で電圧と周波数を変更した上で再度交流に変更して出力します。

コンバータ回路とは?

コンバータ回路とは、ダイオードを用いて電源から入力された交流を直流に変換するための回路です。

先述の通り、電源から入力された交流の電流は、電圧や周波数が固定されています。それを変更するためには、一度直流に変換してからインバータ回路で電圧や周波数を変更し、交流に変換し直さなくてはなりません。

この電源から入力された交流を直流に変換する役目を、コンバータ回路が担っています。つまりインバータは、コンバータ回路とインバータ回路の2つの回路が必ずセットで組み込まれているということです。

コンデンサとは?

コンデンサとは、ほぼ全ての電気機器に組み込まれているといっても過言ではないパーツです。電子回路の基礎となるパーツであり、入力された電力を蓄積・放出する役割があります。

インバータにおいては、主に電流を安定させるためにコンデンサが活用されています。コンバータ回路が交流で入力された電流を直流に変換すると、電流が不安定になり脈動するためです。

不安定な電流をそのまま流すと、電気機器が上手く起動できなくなったりモーターが発熱したりする恐れがあります。そこで、コンデンサに流れてくる電流が多いときには蓄積、少ないときには放出させることで電流を安定させ、電気機器が正常に稼働できるようにしています。

また、コンバータ回路で直流に変換された電流には交流の成分が混じっており、これがノイズとなってしまいます。コンデンサは、このノイズを除去する役割も担っています。これはコンデンサには「交流は通すが直流は通さない」という性質があるためです。コンバータ回路とインバータ回路の間にコンデンサを挟むと、交流の成分がコンデンサに流れてノイズが除去され、直流の電流のみをインバータ回路に流せるようになります。

身近なインバータの活用例

ガレージに設置されたインバータと蓄電池のイメージ

インバータは幅広い製品に組み込まれていますが、具体的にはどのような製品で活用されているのでしょうか。ここではインバータが活用されている身近な製品を紹介します。

1. 炊飯器や蛍光灯などモーターの入っていない家電

前項で「インバータ回路で交流に変換し直してモーターに出力」と解説しましたが、実は炊飯器や蛍光灯などのモーターが入っていない家電でもインバータが活用されています。

インバータで電源から入力された電流の周波数を変えると、温度や明るさを調整できるためです。必要に応じて電力が調整されるので、省電力にも役立ちます。

また、インバータに組み込まれたコンデンサによってノイズが除去され電流が安定するため、「インバータ式蛍光灯」は通常の蛍光灯よりもチラつきが少なく、快適に使用できます。

2. エアコンや冷蔵庫などの家電

エアコンの自動運転も、インバータの代表的な活用例です。インバータによって設定温度になるまではモーターを高速で稼働させ、設定温度になったら速度を落として温度を維持します。

全てが自動で制御されるので効率的で無駄がなく、冷えすぎたり暖まりすぎたりしにくいので快適です。冷蔵庫もエアコンと同じ仕組みです。インバータによって設定温度まで一気に冷やし、設定温度になったらエネルギー消費を抑えて庫内の温度を維持します。

3. 太陽光発電システム

近年急速に普及が進んだ太陽光発電システムにも、インバータが活用されています。太陽光パネルで発電された電気は直流なので、そのまま電気機器に使うことはできません。そのため、インバータで交流に変換する必要があります。

ちなみに太陽光発電システムには「パワーコンディショナー」という電気機器が備わっていますが、パワーコンディショナーの主要なパーツのひとつがインバータです。そもそもパワーコンディショナーという名称は和製英語であり、海外ではそのままインバータと呼ばれます。

4. ポータブル電源

非常時の備えやアウトドア用として購入する方が増えたポータブル電源も、インバータの活用例のひとつです。ポータブル電源とは持ち運び可能な蓄電池のことです。ACコンセントなどで充電すると内部に電気が溜まり、ほかの電気機器に電気を供給できるようになります。

ただし、ポータブル電源は電気を直流で蓄積するため、出力の際には交流の電流に変換しなくてはなりません。そのため内部にインバータが搭載されています。

ポータブル電源の購入を検討している方は、以下の記事も参考にしてください。

<参考>

ポータブル電源は買うべきか?備えておくメリットと選び方

インバータを使用するメリット

インバータやインバータを搭載している機器類を使用することで得られるメリットを3つ紹介します。

省エネに役立つ

インバータが搭載されている電気機器は、省エネに役立ちます。インバータが搭載されていると、電圧や周波数を変更することで電気機器の動作を細かく調整できるためです。

インバータがなければ常に一定の電力が使われ続けるので、エネルギーの無駄使いになる場合があります。しかしインバータがあれば、設定温度に到達したらパワーを弱めるなど細かな調整が行われるため、無駄なエネルギーを消費しません。

なお、インバータは電子機器に内蔵されているのが一般的ですが、後から取り付けられる場合もあります。例えば、車用インバータを車の電源につなげば、スマートフォンを充電したり電気ポットを使ったりすることが可能です。

モーターを遠隔操作できる

インバータはネットワーク経由で遠隔操作できるのもメリットです。例えば、離れた場所から電源を入り切りすることで、機器の運転を制御できます。

また、インバータにエラーが発生した場合に、インバータとスマートフォンをBluetoothでつなぎ、離れた場所から原因や対処法をチェックするなどの使い方もできます。わざわざインバータがある場所まで出向く必要がなくなるため、余計な時間をかけずに復旧することが可能です。また、スマートフォンアプリでインバータの電圧や周波数をモニタリングしたり、遠隔操作を行ったりすることもできます。

ただし、インバータを遠隔操作するには、インバータ本体にネットワーク接続が可能なインターフェースが組み込まれていなくてはならない点に注意しましょう。

部品の摩耗を抑えられる

インバータが搭載されていると、電気機器のパーツの摩耗や劣化を軽減でき、機器類の寿命を延ばせるというメリットもあります。

仮にインバータが搭載されていないエアコンがあるとしましょう。この場合、エアコンのオン・オフの際にモーターが急加速・急停止します。また、稼働中は常に最大のエネルギーを使うため、内部のパーツに余計な負担がかかります。

一方、インバータが搭載されている場合は電圧や周波数が調整され、電源を入れたときは高速で稼働し、設定した温度に達したら徐々にモーターの回転速度が落ちていきます。無駄なく効率的に動くので、パーツに必要以上に負担がかからず長持ちしやすくなります。

インバータを使用するデメリット

インバータには省エネにつながる、パーツの負担を軽減できるなどさまざまなメリットがありますが、いくつかデメリットも存在します。

コストがかかる

インバータの導入にはそれなりのコストがかかります。インバータ自体の価格が数万~数十万円と高額であるためです。インバータは製品によって「適用モーター容量(kW)」や「出力定格容量(kVA)」などが異なり、金額も変動します。

インバータを導入すると省エネにつながるものの、導入コストがかかりすぎると回収に長い時間がかかるため、事前にどれくらいのコストがかかるのかを試算してみることが大切です。

ノイズが発生する

電流のノイズを除去する役割も担っているインバータですが、長期間使用し続けるとノイズが発生することがある点もデメリットです。

インバータは、内部に組み込まれたコンデンサによって電流のノイズを除去しています。そのため、コンデンサが寿命を迎えたり破損したりすれば、上手くノイズを除去できなくなりノイズが発生するようになります。

できるだけ長くノイズが発生しないようにするには、専門業者による定期的なメンテナンスが欠かせません。インバータの電源側にノイズフィルタを取り付けるなどの対策方法はありますが、専門知識がない方が自力で対応するのは難しいため、やはり専門業者に依頼したほうがよいでしょう。

インバータの選び方

インバータにはいくつか種類があり、「モーター用」「車用」など目的に合うものを選ぶ必要があります。

例えば冷蔵庫や調理機器などのモーター付きの電気機器に使う場合は、モーター用インバータを選びましょう。アウトドアなどのときに車から電源を取りたい場合は、車用インバータを選びます。

また、製品によって対応している電気機器や最大消費電力が異なるため、使用する電気機器に接続可能なインバータを選ばなくてはなりません。

このとき、使用する電気機器の消費電力の2倍以上出力があるインバータを選ぶのが基本です。電気機器は電源を入れたときに、通常時よりも大きな電流が流れることがあるためです。

さらに複数の電気機器に接続する場合は、接続する電気機器のなかで一番最大消費電力が大きい機器のワット数と、各電気製品の消費電力を合計した最大ワット数もチェックする必要があります。

正弦波タイプのインバータなら大出力なので、消費電力が大きな電気製品をつなぐときや、複数の電気機器に接続したいときにおすすめです。どのインバータを選んだらよいのかわからない場合は、専門業者や販売店のスタッフなどに確認してみましょう。

また、インバータの種類によっては、配線の知識が必要になります。自信がない場合は無理にDIYで何とかしようとせず、専門業者を頼ることが大切です。

まとめ

インバータは、電源から供給される電流を制御して、用途に応じた電圧・周波数に変換するための装置です。エアコンや冷蔵庫などの身近な電化製品から、太陽光発電システム、ポータブル電源、産業機械や工場設備までさまざまな電気機器に組み込まれています。インバータを活用すると、エネルギーを効率よく活用でき、省エネにつながります。

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