更新日:2025年4月24日
電球の色とは?LED電球の色の種類と最適な選び方を解説

オフィスを快適で作業効率の良い環境にするには、適切な照明選びが欠かせません。従来の白熱電球からLED電球に切り替える際、LED電球の種類はさまざまで何を基準に選ぶべきか迷うものです。本記事では、LED電球の色や明るさの種類、オフィスに適したLED電球の選び方について解説します。
LED電球の色は「K(ケルビン)」で決まる
LED電球の発光色は、光源の色温度(単位:K〈ケルビン〉)によって決まります。色温度が低いほど赤みを帯びた温かみのある光になります。一方、数値が高くなるにつれて光は白や青みを帯び、クールでシャープな印象の寒色系へと変化します。
色温度の違いを生かすことで、LED電球はさまざまな空間演出が可能です。例えば、落ち着いた雰囲気を作るには、オレンジ系の暖かみのある光が適しています。一方、作業の集中力を高めるには、明るくクリアな光が効果的です。さらに、ケルビンの低い暗めの光で全体を照らしながら、特定の商品やオブジェ、職場のロゴなどを強調したい場合には、白系のLED電球でスポットライトを当てると効果的です。また、受付カウンターはオレンジ系の光で照らすことで、訪れた人に落ち着きを感じさせる演出もできます。
JIS(日本産業規格)では、LED電球の発光色を5種類に分類しています。それぞれの特性を理解することで、目的や設置場所に適したLED電球を選べます。
LED電球の色の種類

LED電球は雰囲気や用途にあわせて選べます。ここでは、LED電球の5種類の色の特徴と適した設置場所について解説します。4色や2色で展開しているメーカーもあるので、その場合には各メーカーが用意している見本などを参考にしてください。
1. 電球色(でんきゅうしょく)
電球色は、昔ながらの裸電球のような、オレンジの温かみのある色です。色温度は2,600~3,250K程度と低く、赤みがかった暖色系の光を放ちます。夕焼けのようなオレンジがかった柔らかい光は、活動的なときよりも、ゆったりと落ち着きたいときに適しています。リラックス効果が高いとされる電球色は、くつろぎたい空間に最適です。そのため、企業の休憩室や待合室、リフレッシュルームなど、落ち着いた雰囲気を求める場所でよく使用されます。
2. 温白色(おんぱくしょく)
温白色の色温度は3,250~3,800Kで、電球色より白く、昼白色より暖かみのある光です。温かみのある光ですが、オレンジ色の主張は控えめで、落ち着いた印象があります。適度なリラックス効果がありつつも、電球色ほど暗くはないため、文字も比較的読みやすく、くつろぎと活動のバランスが必要な空間に適しています。社員食堂や休憩用スペース、来客用の部屋など、温かみのある雰囲気を演出しつつ、明るさも必要な場所におすすめです。
3. 白色(はくしょく)
白色のLED電球の色温度は3,800~4,500Kの範囲で、やや暖かみがありつつ、自然な白色光を放ちます。温かみがありながらも、明るくすっきりとした印象で、電球色や温白色に比べて活気のある空間に適しています。特に、精密な作業を行う職場や、適度な集中力を求められる環境では、白色のLED電球が最適です。勉強や読書、オフィスの作業スペースなど、作業効率を重視する場所で利用される電球色です。
4. 昼白色(ちゅうはくしょく)
昼白色のLED電球は、色温度が4,600~5,500K程度で、自然光に近い明るい白色光を放ちます。明るく爽やかな雰囲気ではっきり見たい場所に適しています。美容関連の仕事や身だしなみを整えるなど、自然光に近い光が求められる場面に最適です。色の識別がしやすいため、デスクワークを行うオフィスのほか、デザインをチェックしたり、商品サンプルを見せたりするときに昼白色は向いています。
5. 昼光色(ちゅうこうしょく)
昼光色のLED電球は、色温度が5,700~7,100K程度で、青みを帯びた白色光を放ちます。脳を活性化させ集中力を高める効果があり、長時間の作業やデスクワークを行う環境に適しています。特にオフィスの事務スペース、ミーティングスペースなど、集中して作業をする場所におすすめです。ただし、昼光色の下では常に脳が覚醒している状態になるので、リラックスしたい空間には不向きです。
LED電球を選ぶとき、色以外で知っておきたい単位
LED電球を選ぶ際に、色温度のケルビン以外にも知っておくべき単位があります。特に「明るさ」と「演色性」は、使用環境に大きく影響するため、理解しておく必要があります。ここでは、明るさと演色性の単位について詳しく解説します。
電球の明るさは「lm(ルーメン)」
照明を選ぶ目安として、明るさが重要です。LED電球の光の量(全光束)は「lm(ルーメン)」で表され、数値が大きいほど明るくなります。従来の白熱電球は「W(ワット)」で明るさを表していましたが、これは消費電力を表すもので、明るさの単位ではありません。白熱電球は消費電力が多ければより明るくなるため、明るさの目安として使用されてきました。LED電球は消費電力によって明るさが変わるわけではないため、光の量を表すルーメンが用いられています。
LED電球はルーメンが大きいほど光の量が多く、より明るい空間を作れますが、ワット表示を見慣れていると、ルーメンだけでは明るさの目安がわかりにくいかもしれません。そこで、LED電球のパッケージなどには、「○W相当」などと併記され、従来のイメージで明るさを把握できるよう配慮されている場合が多くあります。
電球の演色性は「Ra(アールエー)」
私たちがものを見るときには、当たる光によって色の見え方が変わります。そこで、光が当たったときにものの色がどのくらい忠実に再現されるのかを表しているのが演色性です。演色性は「Ra(アールエー):平均演色評価数」という単位で表され、値が100に近いほど、色の再現性が高く、本来の色を忠実に再現できます。
一般的なLED電球の演色性はRa80程度ですが、より高い演色性が求められる場所ではRa90以上の電球が推奨されます。例えば、デザイン事務所や商品を紹介する展示スペースなど、色を正確に認識しなければならない環境では、Ra90以上のLED電球を選ぶことで、より本来の色に近い状態で確認できます。
仕事の現場では忠実に色を確認したいシーンも多く、演色性に着目しなければなりません。LED電球を選ぶ際は、色温度(K)や明るさ(lm)だけではなく、演色性にも注意してください。ただし、演色性はパッケージに記載されていない場合もあるため、販売用のオンラインサイトなどで確認しましょう。
LED電球の最適な選び方

2027年末までには一般照明用の蛍光灯の輸入・製造が終了するとされ、省エネの観点からもLEDへの移行が進んでいます。これまでの電球選びと異なり、新たにLED電球を選ぶ際のポイントを押さえる必要があります。口金のサイズや明るさ、配光角度など、最適な電球選びのポイントを紹介します。
1. 口金のサイズを確認する
電球を購入する際は「口金(くちがね)」のサイズの確認が必要です。口金とは、電球の根元にある金属部分のことで、照明器具側のソケットのサイズにあわせて作られています。口金には、ネジのようにらせん状の溝があり、照明器具にねじ込むことで通電が可能です。
口金のサイズは「E+数字」で表記され、一般的なサイズとしては、E26やE17などがあります。サイズが合わないと取り付けられないため、照明器具の説明書などでサイズを確認してから購入してください。説明書がない場合には、照明器具から取り外した電球にサイズが印字されていることが多く確認できます。
<参考>
2. 明るさを確認する
オフィスの快適な作業環境を実現するには、十分な明るさが必要です。明るさが不十分な場合、手元が見えづらく、作業効率が落ちる可能性があります。LED電球を購入する際は、部屋の広さに適した明るさのものを選びましょう。上述のように白熱電球では明るさをワット、LED電球ではルーメンという単位で表記しますが、ルーメンという単位をイメージしにくい場合には、以下の明るさの目安表を参考にしてください。
| 交換前(白熱電球) | 交換前(電球型蛍光灯) | LED電球(ルーメン) |
|---|---|---|
| 100W | 25W | 1520lm以上 |
| 60W | 15W | 810lm以上 |
| 40W | 10W | 485lm以上 |
*E26の口金の電球を使用した場合
参照:一般社団法人日本照明工業会「電球形LEDランプ(LED電球)の正しい選び方」
3. 配光角度を確認する
LED電球は、白熱電球と異なり、配光角度の確認が必要です。多くの白熱電球は約300度を均一に照らしますが、LED電球は製品によって光の広がる範囲(配光角度)が異なります。以前は120度~140度のように配光角度が狭いものが多く、基本的には下方向のみを照らす製品が主流でしたが、最近では、広範囲を照らせる180度~260度のLED電球も販売されており、光の広がり方は白熱電球とほぼ変わらない製品展開になっています。
狭い範囲をピンポイントで明るくするなら配光角度が狭いものを、広範囲を照らしたい場合には、配光角度が広いLED電球を選んでください。なお、広い天井のオフィスの場合は、180度の配光角度でも十分な広がりで明るさを感じられます。
4. 器具の仕様を確認する
LED電球を取り付ける照明器具の仕様もチェックが必要です。特に、壁などに設置されたレバーやつまみで明るさを調整する調光機能付きの照明器具には、対応したLED電球を選ばなければなりません。もし調光非対応のLED電球を取り付けると、チラつきが発生したり、寿命が短くなったりする可能性があります。
また、ダウンライト(SB形、SG形、S形)などの断熱材施工器具に取り付ける場合も注意が必要です。断熱材施工器具は天井の断熱材を押し上げるように設置されており、断熱材がLED電球の熱を逃さないため、発火や寿命の短縮につながる可能性があります。ダウンライトが断熱材施工器具に対応しているかどうかを確認するには、枠に「Sマーク(SB・SG・S形など)」が付いているか見てください。マークがある場合は、断熱材施工器具対応タイプのLED電球を選びましょう。
同様に、カバーが付いている密閉型の照明器具では、放熱が妨げられるため、発火や寿命の短縮につながる可能性があります。そのため、必ず密閉型対応のLED電球を選びましょう。さらに、電球の形(一般照明用電球、ボール電球、フラット型の電球)によっても適した照明器具が異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
5. LED電球自体の大きさを確認する
LED電球を選ぶのであれば口金だけではなく、全体の大きさも確認します。LED電球の形や大きさはこれまでの白熱電球と一見似ているように見えますが、異なる場合が多くあり注意が必要です。そこで、正確に照明器具に適応する電球の「外径」や「長さ」を確認することが大切です。
サイズがあっていないと、照明器具のカバーや傘などに当たって取り付けられないケースもあります。購入前に、現在使っている電球のサイズを測り、LED電球のパッケージに印字されている寸法と比較してください。大きさだけでなく、重さについても気をつけなければいけません。白熱電球と比べるとLED電球は重いため、複数の電球を必要とする多灯用照明器具に取り付ける際には、総重量の確認も必要です。
6. 電球の色を選ぶ
上述の通り、LED電球にはさまざまな色温度があり、設置場所や用途に応じて適したものを選ぶことが大切です。従業員がリラックスするスペースを作りたいのか、作業効率が上がる空間を作りたいのか、環境にあわせて選択します。また、来客があったときのことを考え、受付や応接室などをどのような印象に見せたいのかによっても、選ぶ電球の色は異なります。
まとめ
LED電球の色は色温度「K(ケルビン)」で決まり、JIS規格では5種類に分類されます。電球色は温かみがありリラックス空間向き、温白色は落ち着いた明るさで休憩室などに適します。白色は作業効率を高め、昼白色は自然光に近くオフィス向き、昼光色は青白い光で集中力を促します。用途に応じた選び方が重要で、明るさ「lm(ルーメン)」や演色性「Ra(アールエー)」も考慮すると、より最適な照明環境を実現できます。


