更新日:2025年5月15日
水平器の使い方を種類別に紹介!水準器との違いや選び方も解説

建築や土木、配管工事や測量、産業機械の取り付けなどの現場で欠かせない道具が、水平器です。本記事では、水平器の種類の解説や、種類別の使用方法を紹介します。また水準器との違い、水平器の選び方と使用上の注意点、水準器の精度や感度を表すJIS規格についても記載しています。水平器について詳しく知りたい方はご一読ください。
水平器とは?

水平器とは、物の水平や傾き、傾斜などを測る測定工具です。レベルやレベルゲージと呼ばれることもあります。「水は常に水平」という自然現象を活用したもので、多くの水平器に液体と気泡が入ったガラス管が備わっています。それを対象物の表面に密着させ、気泡の位置や目盛りによって水平や傾きを測ります。
建築や土木、測量、内装、配管などの現場では欠かせない道具です。また、個人がDIYやインテリアの用途で購入することもあり、幅広く使われています。
水平器と水準器の違い
水平器と水準器は、どちらも水平を測る道具という点では共通しており、大きな違いはありません。
しかし厳密に言えば、機能面では違いがあります。水準器は狭い範囲での水平を、簡易的に確認する際によく使われます。一方、水平器は建築や配管、土木や測量などの現場で、精密に高低差を確認する際などに使われることが多いです。
ただしメーカーによっては、水準器でも高い機能を備えているものもあります。製品ごとに機能をよく確認し、目的にあったものを選びましょう。
水平器の主な種類
水平器にはベーシックな気泡管タイプ、丸型のもの、角度まで測定できるもの、デジタルやレーザーなどさまざまな種類が存在します。以下に主な5つのタイプについて、詳しく解説します。
気泡管水平器
気泡管水平器は最も一般的な水平器で、建設や測量の現場から家庭でのDIYまで広く使われています。
測定器には標線が記された、液体入りのガラス管が入っています。水平を測りたい物の表面に測定器を置き、ガラス管の中を左右に動く気泡の位置で、水平を確認します。
気泡管水平器には主に2つの種類があり、ポピュラーなのは平たい長方形の平型水平器です。平型は底面を測りたいものに密着させて使います。一方、角型水平器では、底面、上面、両側面全てを測定面として使用できます。
水平器の素材はアルミや鉄、樹脂などさまざまで、中にはマグネット付きのものもあります。マグネット付きのものは、鉄鋼物などの水平を測る場合、対象物にしっかりと固定させられるため便利です。
丸型水平器
丸型水平器は、気泡管が丸いタイプの水平器です。気泡が中央に来ることで平行を測る仕組みになっており、方向を限定せず、360度全方向の水平を測定できます。そのため、大きな物や広い場所の水平を知りたい時に適しています。
コンパクトで持ち運びやすく、強力なマグネットやネジで機械に取り付け、用いることが多いタイプです。あらかじめ機械に組み込まれている場合もあります。
デジタル水平器
デジタル水平器は、デジタルのディスプレイが付いた水平器です。対象物の表面に置いて、0度と表示されるように調整して平行を取ります。
ディスプレイには勾配や角度まで細かく表示されるものが多く、気泡管のみを用いて目視で確認するタイプより、精密に測定可能です。気泡管が一緒になったものや、一定の角度になるとブザーで知らせてくれる機能が付いたものもあり、用途にあわせて選べます。
角度測定水平器
角度測定水平器は、勾配や傾斜角度を測るために作られた水平器です。細かな目盛りやデジタルのディスプレイが付いており、細かく角度を測定できます。
土木や建築、配管作業などの現場や、機械加工、組立作業といった、精度の高い測定技術が必要な際に用いられる水平器です。
レーザー水平器
レーザー水平器とは、レーザーポインターを備えた水平器です。設計図の情報を実際の建築現場に記す「墨出し作業」など、高精度な測定作業を行う際に使われます。
レーザー光線を使用することにより、水平器を置いている場所だけでなく、数十メートル離れた場所でも水平や垂直を測定できます。広範囲にわたる迅速な作業を可能にする道具です。機種によっては、360度回転できるレベル台が付いたものもあります。
レーザーによる目視での水平確認ができるため、レンガやブロックを積んだり、壁紙やタイルを貼ったりする作業でも非常に重宝します。
【種類別】水平器の正しい使い方
水平器は種類によって使い方が異なります。ここからは、種類別の使用方法について簡単に紹介します。
気泡管水平器
気泡管水平器の使い方はシンプルです。平行を取りたい対象物の表面に水平器を置き、気泡管の気泡が中央に来れば平行が取れています。正確を期するためには、水平器の向きを右と左で入れ替えるなどして、最低2回は測定しましょう。
また、水平器の中には1/100や1/50などの勾配を調べられるものもあります。気泡管の左右に合計4本以上の標線が付いていれば、勾配の計測が可能です。
標線が4本であれば、1/100勾配が測定できます。1/100勾配とは1mつまり100cmに対し1cmの勾配があることを指します。
目盛りが左右に6本付いていれば、1/100と1/50(2/100)勾配の両方の計測が可能です。1/50勾配とは、1mに対し2cmの高低差があることを指します。
デジタル水平器
デジタル水平器の場合、まず使用する前に電源を入れて起動する必要があります。その後、平行を測りたい物の表面に置き、ディスプレイに0度と表示されれば水平という意味です。傾斜角度を測ることも可能です。
機種により各種設定が必要なものもあります。多くの機種で数値の固定や角度のリセット、精度を上げるための校正作業などのボタンが付いています。
細かい数値まで自動で読み取ってくれるため、効率的に作業が行え、ヒューマンエラーも起こりにくいのがメリットです。
角度測定水平器
建築物やパイプなどの角度や傾斜を測るための水平器です。測りたい対象物の表面に角度測定水平器を置き、指した目盛りを読み取ります。逆に特定の角度に設定したい場合は、対象物の上に水平器を置いて目盛りがその角度になるまで調整します。
レーザー水平器
まずレーザーを照射したい位置に水平器を置きます。高さを調節する必要がある場合は、三脚も使用しましょう。水平器を対象物からどれ程離れた位置に置くかは、使用する機種や現場の状況により異なります。
屋内であれば、レーザーを照射できる距離はおよそ2~10メートルです。受光器を使った場合はもっと離れた場所にも照射できます。ただし、レーザーは距離が離れるほどラインが太くなる傾向があり、離れすぎると正確なラインが分かりづらくなるため注意してください。
レーザーを照射する前に、気泡管や電子センサーを使用し、本体が地面と水平になるよう調整します。その後、レーザーを照射して基準ラインを確認します。ラインが太い場合は、ラインの中央を取って墨付けしましょう。
水平器の失敗しない選び方

水平器は目的に応じたものを選ばなければ、使いにくかったり、正確に計測できなかったりします。ここからは水平器選びで失敗しないために、気を付けたい3つのポイントを紹介します。
水平器の感度をチェックする
水平器の精密性を示す基準としては、感度と精度が挙げられます。これらは製品ごとに記されており、水平器を選ぶ際の参考になります。
感度とは気泡が動き出し始める勾配のことです。JIS規格によって、一種から三種まで定められています。最も精密なものが一種で、感度は0.02mm/mです。これは、底辺1mあたりわずか0.02mmの高低差で、気泡が1目盛り移動することを示しています。
一種の感度を持つ水平器は、非常に微細な傾斜でも測定できるため、精密な作業や機械の設置などに適しています。
次に精密なものが二種で感度は0.05mm/m、その次は三種で0.1mm/mです。一種に比べると精密性は劣りますが、一般的な建築作業や家庭でのDIYなどでは二種や三種で大抵十分です。
水平器の精度を確認する
精度とは、測定のばらつきの少なさを示す指標です。JIS規格によりA級とB級に分類されており、A級の方がばらつきが少なく、正確に測定できます。
A級の水平器は精度が高いため、検査機関での測定など厳密な正確性が求められる作業にも対応可能です。ただ、A級の水平器は10万円以上する高額なものが多く、一般的な作業や家庭でのDIYであれば、B級で十分です。
気泡管の線の数をチェックする
水平器の気泡管には標線が入っていますが、その数は機種によって違います。左右対称に2本線が入っているものは、平行のみを測定するものです。
一方、左右に2本ずつ、合計4本以上の線が入っていれば、勾配も測定できます。4本線のものは、内側の線によって平行を、外側の線によって1/100勾配を測れます。6本線のものは、内側から2番目の線によって1/100勾配を、一番外側の線によって1/50勾配を計測可能です。
内側から数えて左右どちらか2本目の線に気泡が傾いていれば1mに対し1cmの勾配があり、3本目の線まで気泡が傾いていれば、1mに対し2cmの勾配があります。
DIYなど家庭での作業なら線が2本線の水平器で十分ですが、工事などで精密性を求められる場合は、勾配まで細かく計測できるものを選んだ方がよいでしょう。
工作機械の設置やレベル出しには「精密水準器」
機械や食品の加工、半導体の製造などに使用する産業機械は、水平に設置されることを前提としています。もし水平が狂っていれば、少しの誤差であっても製品の不具合や故障の原因になりかねません。特に大型の産業機械は注意する必要があります。
機械を水平に設置するために、重要なのがレベル出しです。産業機械、定盤(水平の基準面となる、鋳鉄や石で造られた台)のレベル出しには、気泡管で微小な傾斜でも正確に測定できる「精密水準器」が使われます。
産業機械や定盤のレベル出しなどに使われる精密水準器は、先に紹介したJIS規格の精度でA級に該当するものです。さらに感度で一種に該当する機種を選べば、正確に水平を測定できます。
水平器を使用する際の注意点
最後に、水平器の運搬や保管、使用にあたっての注意点を3つ紹介します。
使用時や運搬時には衝撃を与えないようにする
水平器は非常に繊細に造られているため、衝撃を与えると破損や故障の恐れがあります。
特にガラス製の気泡管を使ったものは、強い衝撃を受けるとガラスが割れてしまう場合もあり危険です。また割れなかったとしても気泡の基準点に狂いが生じて、正しく水平を測定できなくなる可能性があります。
水平器を運搬・保管する際は必ず専用のケースに入れるようにしてください。また、使用の際も乱雑に置かず、丁寧に取り扱うようにしましょう。
使用前に測定面の粉じんや埃を取り除く
測定面や測定箇所にゴミが付いていると、その凹凸により平行の測定に狂いが生じてしまうかもしれません。使用前は必ず測定面や測定箇所の粉じん、埃などを取り除き、清潔さを保つことが重要です。
また、測定面の傷やサビも誤差の原因になります。使用時は傷が付かないよう丁寧に扱い、保管時は防サビ処理などを施し、サビが付かないようにしましょう。
特に屋外作業で使用する水平器は、砂や泥が付きやすく、雨などに晒されるとサビも付きやすいです。使用後は水分や汚れを除去し、防サビや防塵処理を徹底して大切に保管しましょう。
1~3年ごとに点検・交換をする
水平器は長期間使用しているうちに、経年劣化や摩耗により、測定精度が落ちる場合があります。まずは日常点検により気泡管の状態や、0点となる気泡の位置などを使用前に確認し、誤差が生じないようにしましょう。
もし狂いが生じていた場合、精密な水平器であれば調整ネジが付いているので、それを回して校正作業を行います。校正作業には、基準面となる定盤を使うと便利です。また日常点検では埃や汚れ、サビなどが付いていないかも確認しましょう。
また日常点検以外にも、水平器は1~3年ごとの定期点検や交換が推奨されています。自社でも日常的に校正作業はできますが、厳密な校正は専門業者に依頼してもよいかもしれません。定期点検の際には劣化した部品を交換したり、必要に応じて買い替えたりして、測定の正確性を保ちましょう。
まとめ
水平器は建設現場や配管工事、産業機械の設置から家庭でのDIYまで、多様なシーンで活躍する道具です。気泡管タイプやデジタル、レーザーなど多様な種類があり、精度や感度もさまざまなので、用途に応じて適したものを選びましょう。
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