更新日:2025年3月27日
簡易トイレの作り方は?断水への備えのポイントも解説

台風や地震といった災害で断水が起こると、困るのがトイレです。水が使えない場合、簡易トイレを準備する必要があるので、この機会に作り方を覚えておきましょう。本記事では、トイレが使える場合と使えない場合、それぞれでの簡易トイレの作り方を紹介します。また、企業での断水に対する備えについて、覚えておきたいポイントも解説します。
簡易トイレの作り方
就業時間中に災害により断水が起こった場合、大勢の従業員がいる企業ほど、簡易トイレが必要になる状況が起こり得ます。簡易トイレは、職場のトイレが使える状態であるかどうかによって、作り方が違います。以下にそれぞれの状況における簡易トイレの作り方を紹介します。
トイレが利用できる場合

職場のトイレが利用できる場合、既存の便座や便器を活用します。以下に詳しい手順を説明します。
1. 便器にごみ袋をかぶせる
職場のトイレを活用する場合、簡易トイレに必要なものは45リットルや30リットルといった大型のごみ袋2枚と、新聞紙です。新聞紙がなければ雑誌などの紙類やおむつ、ペットシーツや猫砂などでも代用できます。
さらに、汚物を固めるための凝固剤もあると便利です。断水時はトイレの水を流せないため、臭いが強くなります。消臭効果のあるごみ袋を使えば、臭いをある程度予防できるでしょう。
手順としてはまず蓋と便座を上げ、水漏れ防止のために便器全体にすっぽりビニール袋をかぶせます。この袋は頻繁に替える必要はありません。
2. 便座にもごみ袋をかぶせる
次に便座を下ろし、真ん中にもう1枚のごみ袋を入れて、便座を覆うように広げます。このごみ袋が、用を足すための袋になります。便座の裏側までごみ袋を巻き込んでおけば、ずれにくいです。
3. ちぎった新聞紙や凝固剤を入れる
2でかぶせたごみ袋の中に、ちぎった新聞紙(なければ猫砂や紙おむつでもOK)を入れます。排泄物を固められる凝固剤があれば、それも入れておきましょう。
新聞紙や猫砂、ペットシーツや紙おむつなどを入れるのは、水分を吸収するためです。水分を吸収することでごみとして処分しやすくなります。また、中に入っているものを分かりにくくする、目隠しの効果もあります。
4. 用を足したら便座のごみ袋を捨てる
用を足せたら、便座にかぶせたごみ袋を外し、中身が漏れ出さないよう、口をしっかり結んで捨てます。捨て方については、後に詳しく説明します。
袋を外した便座には、次の人がすぐ使えるように、新しいごみ袋をかぶせて新聞紙などを入れておきます。
トイレが利用できない場合
災害の際は、トイレが浸水したり破損したりして使用できないこともあります。その場合の対処方法について、以下に詳しく解説します。
ダンボールやごみ箱を使う
職場のトイレが使えない場合は、ダンボールやごみ箱、バケツといった身近なものを活用しても、簡易トイレは作れます。
作り方は、基本的には便器での簡易トイレの作り方と同じです。ダンボールやバケツ、ごみ箱といった便座の代わりになるものにビニール袋をかぶせます。先ほどと同様、使用するごみ袋は2枚です。
まずは水漏れ防止のために、ダンボールやバケツなどの全体を覆うようにごみ袋をかぶせ、外れないようテープなどで固定します。さらにもう1枚用を足すためのごみ袋をかぶせ、中に新聞紙など水を吸収できるものを入れます。
新聞紙がなければ、ペットシーツや紙おむつ、猫砂でも構いません。臭いが気になる場合は、消臭剤や重曹、粉末洗剤などを新聞に振りかけておけば、臭いが和らぎます(洗剤などの使用にあたっては、各商品の取り扱い説明をご確認ください)。
ダンボールはフラップを内側に折り込むと、強度を高められます。ただ箱やバケツの上は便座がないため、特に高齢者や足腰が弱い人は使いにくく感じるでしょう。その場合はダンボールに穴を開けて簡易の便座をかぶせれば、使いやすくなります。
市販の簡易トイレを使う
近年は台風や地震などの災害が多いため、すぐに使える簡易トイレも市販されています。市販の簡易トイレは凝固剤がセットになっているため処分しやすく、抗菌作用や消臭作用を備えたものもあり、使いやすい工夫が凝らされています。
大勢の従業員がいる企業の場合は、多くの人がトイレを必要とするため、処分もしやすく衛生的にもすぐれた市販の簡易トイレを準備しておくのもおすすめです。従業員数などから必要な量を予測し、ある程度余裕をもって備蓄しておきましょう。
簡易トイレと携帯トイレの違いは?

簡易トイレは、一般的には簡易の便座や便器が付いたものを指します。便器の素材は紙製やプラスチック製のものが多く、そこにビニール袋や凝固剤をセットして使用します。便器が付いているため使い捨てではなく、複数回使えるのが特徴です。
一方、携帯トイレは便器がセットになっておらず、基本的には使い捨てです。袋や凝固剤、給水シートがセットになったものが多く、持ち運ぶものもコンパクトです。
災害時はもちろん、車に常備したり、アウトドアで使ったりと災害以外にもさまざまな活用用途があります。小便専用や大小兼用のものなどがあるので、購入する際は用途をよく確認しましょう。
企業向け・断水への備えで必要なこと
近年は災害も多いため、企業は就業時間中に被災した場合を想定して、断水に対するさまざまな備えを万端にしておく必要があります。
給水拠点を確認しておく
災害などで断水が起こると、水道が復旧するまでは自治体から給水が行われます。断水時の給水拠点や開設時間は、各自治体のホームページやラジオなどから確認することになります。
中には常時ホームページやアプリ、配布物などで給水マップを公開している自治体もあるので、災害が起こったときのために事前に給水拠点を確認しておくと安心です。例えば東京都や横浜市などでは、自治体のホームページから給水拠点を確認できます。
給水タンクを用意する
災害時に給水拠点から水を持ち帰るためには、給水タンクが必要です。必要な量の水を確保できる給水タンクは常に準備しておきましょう。
給水タンクには、袋状になっていたり、折りたためたりして保管の際にかさばらないものもあります。企業では従業員分の水を確保するとなると、給水タンクも大量に必要です。かさばらないタイプの給水タンクであれば、普段の保管にも便利です。
ほかにも企業などを対象に、大量の飲料水・生活用水を保管するための大型の給水タンクも販売されています。従業員が多い企業では、こうした給水タンクを準備しておいてもよいかもしれません。
トイレの目隠しを考える

簡易トイレがあっても、企業のように多くの人が建物内にいる場所では、プライバシーの確保に配慮する必要があります。
個室トイレが使用できる場合は問題ありませんが、使用できない場合はトイレ用の小部屋を用意するか、ブルーシートやダンボールで囲いを作るなどして、プライバシーを確保できる空間を作りましょう。ダンボールなどがすぐに用意できない場合は、長めのポンチョやポリ袋をかぶるなどして、周囲から見えないようにします。
また簡易トイレを屋外に設置する場合は、ダンボールは風雨に弱いため、簡易のテントなどがあるとよいでしょう。
参照:川崎市男女共同参画センター「女性の視点でつくる防災 これで安心トイレ対策編」
衛生対策も考えておく
簡易トイレでは排泄物を流せないため、感染症などが蔓延しやすいリスクがあります。二次災害を防ぐために、水道が使用できない状況でも十分に衛生に配慮しなければなりません。
トイレをした後の手洗いには、ペットボトルやシャンプーの容器を活用した、ハンドシャワーが便利です。また、ウェットティッシュで手を拭くだけでも衛生には効果的です。普段から空のペットボトルをいくつか置いておいたり、ウェットティッシュを常備しておいたりするなどして、準備しておきましょう。さらにデリケートゾーンの衛生保持には、お尻拭きシートが重宝します。
トイレや周辺の消毒のためには、消毒液も用意しておくと便利です。消毒液がない場合は、家庭用の塩素系漂白剤を薄めれば、消毒用に活用できます。
簡易トイレを作るためのごみ袋や凝固剤などを用意しておく
簡易トイレは簡単に作れますが、最低限先述したごみ袋は必要です。また衛生面や処理のしやすさを考えると、凝固剤や脱臭剤、トイレットペーパーもあわせて備蓄しておいた方がよいでしょう。
災害の際は断水と同時に、停電も起こることが多いです。辺りを照らせる懐中電灯などもひとまとめにして、出しやすい場所に置いておきましょう。
断水したときのポイント
災害で断水が起こったとき、被害の拡大を防ぐためにも、心がけたいポイントがいくつかあります。以下に主な3つのポイントについて、詳しく解説します。
すぐに水道の元栓を閉める

災害により断水が起こると、泥や汚水が水道管に逆流する場合があります。汚れた水が水道管を通って家のトイレや給湯器に入ると故障の原因になるので、断水した場合はすぐに水道の元栓や止水栓を閉めましょう。栓は時計回りに回すと閉まります。
水仕事の最中に断水が起こると、慌てて蛇口を閉め忘れてしまうこともあるでしょう。蛇口を開けっぱなしにして避難などした場合、水道が復旧した際に水が出しっぱなしになってしまうおそれもあります。しかし大元となる元栓や止水栓を閉めておけば、そういった事態も防げます。
水道の元栓は一般の住宅やマンションの場合、メーターボックスやパイプシャフトの中にあります。オフィスビルについては、建物によって場所が異なるため、事前に管理者に問い合わせて、場所を把握しておきましょう。
トイレの止水栓は一般的にトイレの壁や床、側面収納などに設置されています。そちらも忘れず閉めておきましょう。もし止水栓の場所が分からない場合は、事前に調べておくことをおすすめします。
トイレに水を流さない
トイレが使える場合、汚物がたまるのが嫌でついバケツなどで水を流したくなるかもしれません。しかし、配管が破損しているときに水を流すと、汚水が逆流するおそれがあります。
トイレが使えたとしても、水道が復旧するまでは、ビニールをかぶせた簡易トイレでしのぎましょう。
長期間の断水も想定しておく
水道管や配管が大きな損傷を受けた場合、すぐに水道が復旧しないかもしれません。被災直後の混乱した状況では、仮設トイレが設置されるまでに3~4日以上かかる可能性もあります。
断水が長期間に及ぶ場合も想定し、ごみ袋や凝固剤、トイレットペーパーや市販の簡易トイレなどのストックは、多めに準備しておいた方がよいでしょう。トイレットペーパーやごみ袋は普段から使用するものなので、ローリングストックを意識すれば、多めに準備しておいても無駄になることはありません。
トイレごみの処分方法
排泄物を捨てる際は、便座などにかぶせた1枚目のごみ袋を外して、臭いが漏れないよう口を縛ります。水分が出ると不衛生になりやすいため、新聞紙などでしっかり給水するか、凝固剤で完全に固めておきます。
ごみの収集が止まっている場合は、収集が再開されるまでほかのごみとは分別して保管しておきましょう。トイレごみが入っている袋には、すぐに分かるように「トイレごみ」と書いた紙を貼っておきます。中身が見えないようにしたいなら、黒や不透明の袋に入れておくとよいでしょう。ただし、自治体によってはごみを入れる袋が決まっている場合もあります。
ビニールのごみ袋は、長い間置いておくと中身が染み出すことがあります。すぐに出せない場合はごみ袋を2重にし、中身が漏れていないか定期的に確認しましょう。
水分をしっかり吸収しておけば、収集が再開され次第、多くの自治体では可燃ごみとして出すことが可能です。各自治体の収集日を確認して、決められた曜日に出しましょう。
ただし、自治体によっては捨て方が異なる場合もあるため、詳しくは各自治体のホームページなどを確認する必要があります。上記で紹介した方法は一例として参考にしてください。
まとめ
地震などの災害は突然起こるため、断水になったときに困らないよう、日頃から備えておくことが重要です。簡易トイレはごみ袋や新聞紙、凝固剤などで簡単に作れます。必要な材料は普段からそろえておきましょう。
<参考>
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