更新日:2025年2月27日
パウチとは?ラミネートとの違いやパウチ加工のやり方を解説!

オフィスに掲示する資料を、長期間使えるように加工したいと考えていませんか。本記事では、企業の事務や総務を担当する方へ向けて、パウチ加工の方法やきれいに仕上げるためのコツ、フィルムやパウチ機の選び方を解説します。パウチ加工を簡単かつきれいに仕上げ、業務の効率化が図るためにも、ぜひ参考にしてください。
パウチとは?ラミネートとの違い

紙や印刷物を薄い透明のフィルムで保護し、耐久性を向上させるための加工技術を「ラミネート」といいます。ラミネートには、「パウチ加工」と「ラミネート加工」の2種類があり、それぞれ加工の方法が異なります。違いについて比較した表は、以下の通りです。
| 密封性 | フィルム形状 | 用途 | |
|---|---|---|---|
| パウチ加工 | 印刷物全体 | 挟み包む | 回覧用の資料など |
| ラミネート加工 | 印刷面のみ | シール | 壁に貼るポスターなど |
ラミネート加工は、印刷面に透明なフィルムを貼って保護します。裏面や断面の保護はされないため、水や湿気を完全に防ぐことはできません。加工に熱を使わないので、「コールドラミネート」とも呼ばれます。
対してパウチ加工は、用紙全体を包むようにフィルムで挟み、熱で圧着して保護する技術です。紙の周囲を全体的にフィルムで保護するので、ラミネート加工より耐久性や耐水性に優れています。加工の際に熱を使うことから、「ホットラミネート」とも呼ばれています。
パウチとラミネートは似ていますが、全く異なる加工方法です。使用する場所や目的、デザインによって適した方法を選ぶことが重要です。
パウチ加工(ラミネート)のやり方

ここでは、資料を長期間掲示するのに最適なパウチ加工の方法について、大まかな手順に沿って解説します。
1.パウチ機を準備する
フィルムを熱で圧着するためには、専用のパウチ機が必要です。電源を入れる前に、まず機械のローラー部分や内部に異物がないか確認しましょう。
パウチ機は水平で安定した場所に設置し、電源コードをしっかりと差し込みます。排出口側のスペースが狭いと、排出されたフィルムが折れ曲がる可能性があるため、排出口側に50cmほどのスペースを取りましょう。
2.パウチ機を予熱する
パウチフィルムにはさまざまな厚さのものがあり、厚さによって圧着するのに必要な温度が異なります。まずは、機械を適切な温度まで温める必要があります。電源スイッチを入れ、使用するフィルムに応じて予熱の温度を設定しましょう。設定温度に達していないと、フィルムは圧着されません。
3.用紙をパウチフィルムに挟む
予熱している間に、用紙をパウチフィルムに挟み、準備をします。フィルムは、用紙のサイズにできるだけ近いサイズを選びましょう。
フィルムに挟む際は、用紙をフィルムの中央に配置し、周囲に均等な余白ができるようにします。用紙やフィルムに曲がりやしわがないよう、丁寧に挟みましょう。
4.接合部分から順にパウチ機に通す
予熱が完了したら、原稿を挟んだパウチフィルムをパウチ機に通していきます。パウチフィルムは、必ず接合部(閉じている方)からパウチ機にまっすぐ通しましょう。逆向きに入れると原稿やフィルムがずれ、きれいな加工にならなかったり、故障の原因になったりすることがあります。
なお、排出された直後のフィルムは熱いため、扱いには注意が必要です。また、フィルムの通過中は巻き込まれる恐れがあるため、手や指をローラー部分に近づけないようにしましょう。
パウチ加工をきれいに仕上げるコツ

パウチ加工は、いったん圧着するともとに戻せないため、失敗を避けることが大切です。ここでは、きれいにパウチ加工するコツを解説します。
用紙とフィルムのサイズを確認する
用紙よりも、フィルムが一回り大きいサイズであることを確認してください。フィルムに余白が多過ぎると、過熱で溶けて内部に焼き付いたり、巻き込んだりして、故障の原因になることがあります。かといって、全く余白がないと用紙を密封できず、端から空気や水が入る可能性があり、耐久性に劣ります。
用紙の周囲の余白は、3〜5mm程度が望ましいです。用紙に合わせたサイズのフィルムを選択することが重要です。
フィルムのカットはパウチ加工後にする
パウチ加工前に、フィルムを用紙に合わせてカットすることはやめましょう。パウチ機を通す際にフィルム詰まりが発生したり、巻き込んだりして、故障の原因となることがあります。
また、フィルムの接合部をカットしてしまうと、圧着そのものができなくなってしまいます。カットする必要があるなら、パウチ加工後に行いましょう。
一度に複数枚の用紙を使用しない
ひとつのフィルムに複数枚の用紙を並べてパウチ加工するのは、あまりおすすめできません。特に名刺やプライスカード、メッセージカードなど小さいサイズのものを、1枚のフィルムに並べて処理しようとすると、パウチ機の故障を招きかねません。
また、パウチ機に通す段階で用紙がずれたり重なったりすると、取り返しのつかない失敗につながる可能性もあります。そのため、用紙ごとに適切なサイズのフィルムを使用し、1枚ずつ丁寧にパウチした方が、仕上がりも美しく、労力もかかりません。
空いたスペースには捨て紙を入れる
適切なサイズのフィルムがなかったり、フィルムに余白が生じる形状の用紙をパウチしたりする際は、捨て紙を入れて余白が生じないようにしましょう。余白が多いと、巻き込みや焼き付きによって故障するリスクがあります。パウチした後に、捨て紙部分をカットして使用してください。
失敗しないパウチフィルムの選び方
パウチフィルムを選ぶ際は、いくつか着目すべきポイントがあります。以下のポイントを押さえ、適切なフィルムを選択しましょう。
厚さで選ぶ
パウチフィルムには、75〜350μm(マイクロメートル)まで幅広い厚さのものがあります。厚いほど耐久性が高く折れにくいですが、コストは高くなります。薄くても水や汚れからは保護できるため、用途に応じて適切な厚さを選びましょう。
最も一般的な厚さは100μmで、掲示物やカードの保護や補強に適しています。
75μmだと、コシが弱く反るため、自立させたい掲示物には向きません。ただし、ローコストで環境にも配慮されているため、用途に応じて積極的に選択しましょう。
150μm以上のフィルムだと反りにくく耐久性が高いため、折れ曲がり防止に効果的です。ただし、パウチ機によっては150μmから加工できない機種があるため、確認しましょう。
350μmになると、プラスチック板ほどの強度で、看板やプレートなどに使われるケースが多く見られます。
サイズで選ぶ
パウチをきれいに仕上げるためには、用紙のサイズに合わせたフィルムの選択が重要です。パウチは、用紙の周囲に余白を作る必要があるため、用紙サイズよりやや大きめになっています。用紙に合わせてA3やA4、カードサイズ、写真サイズなどさまざまなものがあります。
グロスタイプかマットタイプかで選ぶ
パウチの仕上がりには、ツヤのあるグロスタイプと、ツヤなしのマットタイプがあります。グロスタイプは光沢感があり、写真やイラストを色鮮やかに見せられます。視覚に訴えたい広告やポスターなどで使用するのがおすすめです。
一方、マットタイプは光の反射を抑え、高級感や清潔感を演出できます。屋外やライトの下でも視認性を保てるため、レストランのメニューなどでの使用が適しています。
使用環境で選ぶ
パウチ加工したものをどのような環境で使用するかも、フィルム選びの大切なポイントです。屋外や窓の近くで使用する際は、紫外線カット機能付きのフィルムがおすすめです。変色や退色を防止するため、長期間の使用にも対応できます。
失敗しないパウチ機・ラミネーターの選び方
パウチ加工に必須のパウチ機は、「ラミネーター」とも呼ばれています。3,000円台の安価なものから、10万円ほどの高価なものまで幅広い製品があり、何を基準に選べばよいか迷ってしまうこともあるでしょう。最後に、パウチ機・ラミネーターを失敗せずに選ぶためのポイントを紹介します。
使用頻度や環境に合わせて選ぶ
用途に応じて適したものを選びましょう。オフィス用なら、効率的に作業できるよう処理スピードや安定性を重視するのがおすすめです。業務用で頻繁に大量の加工が必要なら、高機能で耐久性のあるモデルを選ぶと効率的です。
対応する用紙サイズで選ぶ
パウチ加工したい用紙のサイズに対応しているかどうかチェックすることも重要です。A4サイズまでしか対応していないモデルも多いため、A3サイズのパウチ加工を考えているときには注意が必要です。サイズに迷ったら、想定より大きいサイズに使えるモデルを選び、対応できる範囲を広げるのがおすすめです。
対応フィルムの厚さで選ぶ
フィルムの厚さが、どこまで対応しているかも要チェックです。パウチフィルムにはさまざまな厚さのものがあり、厚さによってパウチに必要な温度は異なります。ラミネーターによっては、150μmより厚いフィルムには対応していないことがあるので注意しましょう。
ローラーの本数で選ぶ
ラミネーターには加熱や圧着、フィルムを引っ張るためにローラーが搭載されています。このローラーの本数が2本/4本/6本のモデルがあり、ローラーが多いほど仕上がりが綺麗になります。その分、本体のサイズは大きくなり、価格も高くなる傾向にあります。
ローラーが2本のモデルでは、加熱も圧着も同時に行うため、コンパクトで比較的安価なモデルが多いです。用紙のサイズが大きいと反りがちな点には要注意ですが、気軽に使いたい場合にはおすすめです。
ローラーが4本のモデルは、加熱と圧着のローラーが別れており、引っ張りながら圧着する仕組みになっています。そのため反りが抑えられ、2本のローラーよりも仕上がりが美しくなります。仕上がりと価格のバランスがとれた、オールマイティーなモデルです。
6本のローラーがあるモデルは、4本のローラーで加熱し、2本のローラーで引っ張りながら圧着する仕組みで、プロ仕様の美しい仕上がりが特長です。本体のサイズが大きく、価格も高いので、業務用の用途で高品質な仕上がりが求められるときにおすすめです。
まとめ
パウチ加工は、印刷物の保護や耐久性向上を目的とした技術です。印刷面のみ保護するラミネート加工に対し、パウチ加工は用紙全体を包むため、より耐久性に優れています。用途に応じたフィルムやパウチ機を選択し、正しい手順を守ることで、書類をよりきれいな仕上がりに加工しましょう。
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