ソケットレンチとは、六角ボルトなどと直接触れるパーツである「ソケット」と、持ち手となる「ハンドル」を組み合わせて使う工具です。なお、ハンドルの一種に「ラチェットハンドル」があります。

工場における機械の製造、各種施設・設備の点検・修理など、多種多様なシーンでソケットレンチが活用されています。

ラチェットハンドルは、柄の長さによって以下のように分類できます。

• ロングタイプ
• スタンダードタイプ
• ショートタイプ

狭い場所や工具を動かしにくい箇所にはショートタイプが適していますが、大きなトルクをかけたい場合はロングタイプを使用するほうが良いでしょう。

なお、柄に加えてソケットを取り付けるヘッドの部分など製品全体が小さい「コンパクトタイプ」も存在します。狭い場所で作業する場合は、ショートタイプやコンパクトタイプを選びましょう。

ラチェットハンドルには、ヘッド部分の回転が可能な製品と、不可能な製品があります。

奥まった場所のネジを締めたり緩めたりする際には、首振りが可能なタイプの製品が適しています。首振りできない製品の場合、奥まった場所で作業することが困難なケースがあるため注意が必要です。

差込角(さしこみかく)とは、ソケットとラチェットハンドルの接続部分のことです。「ドライブ角(かく)」とも呼ばれます。

なお、差込角には5種類のサイズが存在し、差込角のサイズが大きくなるほど大きなトルクで締め付けられるようになることを把握しておきましょう。

ラチェットハンドルとソケットは同じサイズの差込角のものを選ぶ必要があります。車やバイク、自転車の点検・修理では、9.5sq.のサイズのソケットを使用するのが一般的です。

狭い場所や動かしにくい箇所でネジを締めたり緩めたりする場合は、「ショートタイプ」のラチェットハンドルがおすすめです。

また、首振りが可能なタイプも、狭い場所・動かしにくい場所に適しているので、1本購入しておくと重宝します。

全長が長い製品のほうが、大きなトルクをかけやすいことを覚えておきましょう。

ただし長い製品は、狭い場所では動かしにくくなる傾向があるので注意が必要です。状況に応じて、長い製品と短い製品を使い分けることをおすすめします。

差込角のサイズは、以下のように5つの種類があります。

• 6.3sq.
• 9.5sq.
• 12.7sq.
• 19.0sq.
• 25.4sq.

ソケットと同じサイズの差込角のラチェットハンドルを選びましょう。サイズが異なる場合、ソケットとラチェットハンドルを装着できません。なお、単位の「sq.」は、「スクエア」と読み、一辺の長さを表します。例えば、6.3sq.の場合、一辺が6.3mmになります。

手が入るスペースがある場合は、いきなりラチェットハンドルを使用するのではなく、ある程度までは手でネジ(ボルトやナット)を締め付けておきましょう。なお、手で完全に締めるのではなく、無理なく締められるところまでで構いません。

手が届かない狭いスペースの場合は、最初からラチェットハンドルのショートタイプやコンパクトタイプを使用することも検討しましょう。

ある程度まで手でネジを締め付けたら、ラチェットハンドルにソケットを装着しましょう。上述したように、ソケットのサイズはラチェットハンドルの差込角のサイズと同じものを使用してください。

そして、グリップをしっかりと握り、適切な力でネジを締めましょう。上述したように、ラチェットハンドルを使用すると、ラチェット機構によって左右に反復させるだけで締め付けが可能になります。

上述したように、ラチェットハンドルは一方方向にしかネジが回転しません。方向を切り替えたい場合は、レバーの向きを変えて、右回転と左回転を切り替えることが可能です。

なお、切り替え操作が中途半端な状態で使用すると、故障の原因になります。切り替える際は、中途半端な状態ではなく、しっかりとレバーの向きを変えましょう。

多くの製品では、ソケットとラチェットハンドルを繋ぎ合わせ、外れないように保持する仕組みとして「プッシュキャンセル機構」が採用されています。プッシュキャンセル機構を採用した製品の場合、ソケットを保持するボールがテーパー面(曲面)に接していることを理解しておきましょう。

プッシュボタンを押していなくても、外すような動作をするとボールがプッシュピンのテーパー面を押しながら引っ込んでしまいます。結果、ソケットとラチェットハンドルが外れてしまう場合があります。高所作業では、外れたソケットが落下して事故が発生する可能性があるので注意しましょう。

一方で、「ユニオン機構」が採用されている製品の場合、ボールが平面で保持される仕組みになっており、プッシュボタンを押さない限りはソケットが外れません。そのため、高所作業におけるソケット落下防止対策として有効です。

差込角のサイズは、メーカーごとにバラバラではなく、JISやISOによって規格化されています。そのため、同じ差込角のサイズであれば、メーカーやブランドが異なっていても、基本的に装着することが可能です。

ただし、メーカーが異なる製品を繋ぎ合わせると、ガタついてしまう可能性があるので注意が必要です。ガタつきを回避しスムーズに作業したいのであれば、なるべく同じメーカーの製品同士を使用することをおすすめします。