更新日:2025年3月27日
オフィスの湿気対策を解説!湿気の原因と除湿機の選び方とは

梅雨の時期から夏は湿度が高まりやすく、例えば東京では、例年梅雨に入る直前の5月頃から湿度の平均が70%を超え、真夏になると80%を超える日が多くなります。湿気が多い環境では集中力が持続しにくく、業務効率の低下を招きかねません。
本記事では、オフィスにおける湿気の原因を解説し、効果的な湿度対策をご紹介します。オフィスに適した除湿機の選び方についても触れていますので、購入時の参考にしてください。
オフィス・事務所におすすめの効果的な湿気取りの方法

オフィスや事務所の湿気対策にはさまざまな方法があります。
小まめに換気をする
湿気対策の基本は、小まめな換気です。換気扇を回したり、窓を開けたりして外気を取り入れるだけでも、室内の湿気を外に逃がせます。ただし、からっと晴れた日であれば有効ですが、雨の日や雨上がりなど、外気が湿っている場合は逆効果になります。特に梅雨から夏にかけてはジメジメした日が多いので、窓を開ける前に屋外の湿度を確認することが大切です。
また、効率よく湿気を排出するために、空気の通り道をつくることを意識しましょう。2方向の窓を開けて、空気を取り入れるだけでなく空気が出ていきやすいようにします。対角線上の窓を開けると、特に効果的です。
除湿機を使う
オフィスや事務所の湿度が高い場合には、除湿機の使用が効果的です。室内の湿度を下げ、カビや結露の発生を防ぎ、快適な空間をつくる助けになります。
除湿機にはさまざまな種類があり、用途に応じて選べます。例えば、空気清浄機能が付いたもの、キャスター付きで移動させやすいもの、広範囲に対応する大型のものから小さな空間向けのコンパクトなものなどです。どこに設置するかを考慮して、適切な製品を選びましょう。
使用時には窓を閉めて、外の湿った空気を入れないようにします。また、除湿機の通気口や排気口をふさぐと効果を十分に発揮できないので、設置場所にも注意が必要です。部屋全体を効率的に除湿するためには、部屋の中央に設置してください。
エアコンの除湿機能を使う
エアコンの除湿機能を活用することは、湿度対策として有効です。エアコンは湿度と温度を同時に下げることができ、梅雨時や夏場の快適な環境づくりに役立ちます。
エアコンの除湿機能は、室内の空気を取り込んで冷やすことで水分を除去します。方式としては「弱冷房除湿」と「再熱除湿」の2種類がありますが、大きな違いは戻す空気の温度にあります。弱冷房除湿は冷えた空気をそのまま送り込むので暑い日に最適です。再熱除湿は冷えた空気を適度に温め直してから放出します。
再熱除湿は部屋を冷やし過ぎないため、湿度は高いものの気温が高くない季節に最適です。ただし、消費電力が高い傾向があるので、エアコンの購入時には仕様を確認することをおすすめします。
結露対策をする
空気中の水分が起こす結露にも対策が必要です。結露は空気中に含まれている水蒸気が、急激に冷えることで発生します。冬に起こるイメージが強いですが、夏でも発生することがあります。
例えば、日中に温められた水分を多く含んだ空気が、夜間に冷えた建物の基礎に触れることで結露するケースや、冷房で急激に部屋を冷やしたことで、カーペットに結露が生じるケースなどです。冬の結露は目に見えやすく、すぐに気づけますが、夏の結露は気づきにくく、建物や家具、書類に影響を及ぼす可能性があります。
適切な結露対策をすることで、部屋の湿度も下げられます。小まめに窓などの結露が起きた箇所を拭くのはもちろん、窓に断熱シートを貼ること、結露防止スプレーや結露吸収テープなどの結露対策グッズを活用することなど、さまざまな方法があります。可能なら、窓に内窓を設置するなどのリフォームを行えば、結露の発生自体を抑えられます。
サーキュレーターを使う
サーキュレーターは空気を循環させ、湿気を分散させるのに役立つ家電です。ファンが回転して風を送る点は扇風機に似ていますが、より小型で特定の範囲に集中して風を送るのに適しています。広い範囲に風を送る用途にはあまり向いておらず、扇風機のように身体を直接冷やす効果はありませんが、湿気対策に特化した使い方が可能です。
サーキュレーターを湿気が溜まりやすい場所に向けて使用することで、こもりがちな湿気を効率的に分散させられます。特に、窓が少なく空気が滞留しやすいビル内のスペースなどに設置すると効果的です。また、エアコンと併用することで冷気を循環させ、部屋全体の温度を均一に保ち、電気代の節約につなげられます。
オフィスを広くする
オフィスを広くすることで、湿気を減らすことが可能です。人は呼吸や汗によって常に水分を放出しているため、オフィスの広さに対して人数が多いと湿気がこもりやすくなります。この場合、除湿機やエアコンだけでは十分に対応できないことがあります。
可能であれば、オフィスを移転して広いスペースを確保するのもひとつの選択肢です。事務所衛生基準規則では、常時就業するオフィスの面積は労働者ひとりにつき10立方メートル以上と定められているので、基準に合ったオフィスづくりを目指しましょう。
また、狭い会議室に長時間、複数人でいると湿度が上がることがあります。会議が長引く場合は適度に休憩を取り、会議室の外に出たり、窓を開けて空気を循環させたりするようにしましょう。
参照:e-GOV法令検索「事務所衛生基準規則」第二条
オフィス内の適正な温度と湿度

温度や湿度は高過ぎても低過ぎても不快感を与えるため、注意が必要です。事務所衛生基準規則によると、オフィスの適正温度は18~28度、湿度は40~70%とするように努めなければならないとされています。
温度や湿度の感じ方は個人差があるうえ、外出先から戻ってきた営業社員と、長時間オフィスにいる事務担当者では快適と感じる基準が異なる場合があります。そのため、一概にどの温度や湿度が快適であるかを断言することは難しいですが、推奨される範囲内に調整するようにしてください。温度計や湿度計を設置して室内の環境を把握し、適宜調整することがおすすめです。
快適とされる温度と湿度を保つことは、不快感を軽減するだけでなく、生産性の向上にもつながります。湿度が高過ぎると体内の熱がこもって疲れやすくなります。反対に湿度が低過ぎると、のどの痛みや肌のかゆみを感じる場合があります。どちらにしても作業の妨げとなるため、適切に調節することが重要です。
参照:e-GOV法令検索「事務所衛生基準規則」第五条3
オフィス・事務所に湿気が溜まる主な原因
湿気が溜まる原因としては、空気の循環不足や、部屋の広さに対して人数が多過ぎることが挙げられます。特に密閉されたビル内のオフィスでは、換気や除湿対策が重要です。
空気が循環していない
湿気が溜まる大きな原因のひとつに、室内の空気が循環していないことが挙げられます。窓を閉め切り、換気扇や除湿機、エアコンを使用しないと、空気が滞留して湿気が室内に留まりやすくなります。特にビル内のオフィスや事務所では、窓が少ない、または開閉できないFIX窓である、といった理由から、換気が不十分になりがちです。このような状況では、壁や床に湿気が溜まり、カビや不快な臭いの原因になることがあります。
空気の循環を促すには、換気を心がけるとともに、除湿機やエアコンを活用して効率的に湿気を取り除くことが必要です。
部屋の広さに対して人数が多い
もうひとつの湿気の原因として、部屋の広さに対して人数が多いことが挙げられます。人間は呼吸や発汗によって水分を体外に放出しているため、狭い空間に大勢が集まると、自然に湿度が高まります。特に昼間のオフィスや事務所では、従業員以外にも人が出入りすることが多く、人による湿気上昇が起きやすくなります。
室内にいる人数が多いときは、窓の開閉や、除湿機・エアコン・サーキュレーターの使用を増やして、湿度を調整しましょう。
湿度が高いことによるデメリット
湿度が過剰になると、業務に支障をきたすデメリットが生じる可能性もあります。適切な対策を講じるために、具体的な影響について理解しておくことが重要です。
カビが発生しやすくなる
高温多湿の環境では、カビやダニ、細菌が発生しやすくなります。カビは温度が25度、湿度が75%を超えると発生速度が速まるとされています。
これらのカビやダニ、細菌は目に見えないうちに空気中に広がり、私たちの健康に悪影響を及ぼします。カビやダニ、細菌はアレルギーの原因となるほか、呼吸器系への負担が増す可能性もあります。そのため、湿度を適切に管理することで、カビなどの発生を防ぎ、健康的な空間を維持することが重要です。
また、高温多湿の環境下では細菌性の食中毒も起こりやすくなります。家から持参したり、テイクアウトで購入したりした弁当は、できるだけ涼しく湿度も低い場所に保管することが大切です。
疲れを感じやすくなり生産性が落ちる
湿度が高い環境では、身体にさまざまな不快感が生じます。汗が蒸発しにくくなることで体温調節が難しくなり、蒸し暑さによるストレスや疲労、だるさを感じやすくなります。このような状態が続くと、熱中症を引き起こすリスクも高まります。集中力も下がりやすくなり、生産性の低下を招きかねません。
さらに、湿度によってオフィス内のOA機器に不具合が発生する可能性があり、業務がスムーズに進まなくなることがあります。従業員のストレスの原因になったり、修理や残業が必要になってコストが増大したり、納期に間に合わなかったりするかもしれません。
適正な湿度を保って快適な環境を維持することは、従業員の健康を守り、業務効率を向上させるためにも非常に重要です。
オフィスや事務所で使う除湿機の選び方
除湿機を選ぶ際は、除湿能力や方式、機能に注目しましょう。オフィスによって、広さや出入りする人数、湿気がこもりやすい要素があるかなど、状況が異なります。あらかじめそれらの条件をチェックして、最適なものを選んでください。
除湿能力で選ぶ
除湿機を選ぶ際にまず注目すべきポイントは、除湿能力です。広いフロアで使用する場合には、高い除湿能力を持つモデルの導入を検討しましょう。ただし、本体サイズが大きくなる傾向があるため、設置スペースを確保できるかも考慮する必要があります。
さらに、プレハブや鉄筋など、建物の構造によっても、使用範囲の目安が変わる場合があります。選定時には、構造別のスペックも確認することをおすすめします。
除湿方法で選ぶ
除湿機の選択肢として、除湿方式も重要な判断基準となります。現在、市場には主に「コンプレッサー方式」「デシカント方式」「ハイブリッド方式」の3つがあります。
コンプレッサー方式は、消費電力が少なく電気代を抑えられます。除湿量が多く、排熱が少ないために部屋が暑くなりにくいのもメリットです。ただし、気温が低いと性能が落ちやすいため、夏に使うのに適しています。
デシカント方式は、気温にかかわらず安定した性能を発揮するので、冬の結露対策にも適しています。小型で軽いものが多いので、デスクに置いたり、棚の中の湿度対策に利用したりするのにおすすめです。ただし、消費電力がやや高めで、室内の温度が上昇するため、夏の時期に使いにくいのがデメリットです。
ハイブリッド方式は、コンプレッサー方式とデシカント方式両者の利点を組み合わせたモデルです。季節にあわせて、どちらかの方式を選択できるので、通年利用したい場合におすすめです。
機能で選ぶ
除湿機にはさまざまな機能を備えたものがあり、使い勝手に応じて選べます。例えば、移動の多い環境では、キャスター付きモデルを選ぶと便利です。湿度を下げたい部屋への移動や、使用しない季節の収納が簡単になります。
また、一般的な除湿機はタンクに溜まった水を手動で捨てる必要がありますが、自動排水機能付きモデルを選べば手間を省けます。特に、長時間の運転が必要な場所では、自動排水機能付きの除湿機が便利です。
排水場所が近くにない場合は、大容量タンク付きのモデルを選べば、排水の頻度を減らせます。購入時に、1日に何回排水が必要なモデルなのかを確認することをおすすめします。
さらに、オフィスに置く場合は、稼働時の音についても配慮が必要です。静かな職場には静音性の高い製品を選んでください。
まとめ
快適なオフィス環境を保つためには、適切な湿気対策が欠かせません。オフィスの適正温度は18~28度、湿度は40~70%が推奨されており、梅雨や夏の時期には特に注意が必要です。エアコンの除湿機能や、除湿機、サーキュレーターなどを活用し、適切な湿度管理に努めましょう。


