更新日:2025年5月15日
スプリングワッシャー(ばね座金)の効果とは?役割と使い方、種類を解説

スプリングワッシャー(ばね座金)は、ボルトとナットのゆるみを防止するために使用される部品です。家具の組み立てや工業製品など、幅広い場面で見かけますが、その効果や使い方を正確に理解している人は少ないかもしれません。本記事では、スプリングワッシャーの役割や仕組み、種類ごとの特徴を詳しく解説します。
スプリングワッシャー(ばね座金)の概要
スプリングワッシャーとは、ボルトとナットを締め付ける際に使用する部品です。一部に切れ込みが入ったねじれたリング状をしています。ここでは、スプリングワッシャーの役割や用途、種類について解説します。
スプリングワッシャーの用途
スプリングワッシャー(ばね座金)は、ボルトとナットのゆるみ止めや脱落防止を目的として使用します。家具や工業製品、電子機器など、さまざまな製品で活用されています。ただし、振動や衝撃のある環境では不十分な場合があります。また、スプリングワッシャーは締め付けた際にボルトや製品表面に食い込みやすいため、何回も分解・組み立てを行う製品には使用しないのが一般的です。
スプリングワッシャーの種類
スプリングワッシャーは、サイズや形状などによっていくつかの種類に分かれます。中でも特に普及しているのが、ボルトや小ねじに多く使われる2号のスプリングワッシャーです。少しねじれたリング状で、一部に切り込みが入っています。そのほか、2号と形状は同じでサイズが大きい3号や、六角穴付きボルト向けのキャップ用スプリングワッシャーなども存在します。材質には、鉄、ステンレス、チタンなどがあります。用途に応じて材質を選びましょう。
スプリングワッシャーの効果と比較

スプリングワッシャーのゆるみ止め効果は、振動や衝撃を伴う環境では限定的であることが研究で確認されています。特に高硬度の製品表面では、スプリングワッシャーが食い込みにくいため、ゆるみ止め効果が低下する可能性があります。そのため、振動環境ではナイロンナットやフランジナットの使用が推奨されます。また、扱い方によってボルトや製品を傷つける可能性があるため、頻繁に分解・組み立てを行うなどの傷つけやすい製品での使用には、十分な検討が必要です。
スプリングワッシャーのメリット
使用条件によっては高いゆるみ防止効果が得られます。特に製品の材質が柔らかい場合や接触面が小さい場合に有効です。
スプリングワッシャーは、製品の材質が柔らかい場合や接触面が小さい場合に高いゆるみ防止効果を発揮します。ボルトやナットが製品にめり込むのを防ぎ、気密性を高める効果も期待できます。日常的にボルトを手締めする際にスプリングワッシャーがあると、締めた手ごたえを感じやすくなり、しっかり締め付けられているかを確かめられます。紙製・プラスチック製のスプリングワッシャーは、電子機器の絶縁体としても役立ちます。
他のゆるみ止め方法との比較・使い分け
スプリングワッシャー以外にも、「ナイロンナット」や「フランジナットセレート付きナット」など、ボルトのゆるみを防止できる部品があります。例えばナイロンナットは、上部の出っ張った部分にナイロン樹脂製のナイロンリングが取りつけられているのが特徴です。ボルトを締めていくと、徐々にボルトがナイロンリングに干渉して食い込んでいくため、ゆるみにくくなります。あくまで「ゆるみにくい」だけであり、必要に応じてボルトをゆるめられるため、分解・組み立てが多い製品や傷つけたくない場合の使用に向いています。
また、フランジナットセレート付きナットは、フランジの裏面に刻まれたウロコのような凸凹が、製品の表面に食い込むため、ゆるみ止め効果が高いです。ただし、製品表面が傷つきやすくなるため、使用には注意が必要です。しかし、ナット自体がゆるみ防止の機能があるため、間にスプリングワッシャーを挟む手間を省けるといったメリットがあります。どの部品にもメリットやデメリットがあるため、使用する状況に適した部品を選択することが重要です。
オフィスでも簡単な家具や電子機器の組み立てなどで使用する機会もあるため、次項では基本的な使い方を解説していきます。
失敗しないスプリングワッシャーの使い方

スプリングワッシャーはボルトとナットの間に挟む部品ですが、ゆるみ防止や脱落防止の効果を得るには正しい使い方を把握しておくことが重要です。ここでは、身近な組み立て式の家具を例に、スプリングワッシャーの使い方と使用時の注意点を解説します。
基本の使い方
スプリングワッシャーは、ベッドのフレームやデスクの天板のような、太めのボルトで取りつける場所で使うのが一般的です。入れる順番は「ボルト→スプリングワッシャー→ナット」です。家具の場合は、傷防止のためにスプリングワッシャーとワッシャー(平座金)がセットになっていることもあります。仮にデスクの天板と脚を組み立てる場合は、下記の手順で取りつけましょう。
- デスクの天板の穴と脚の穴を合わせる
- 天板の上部からボルトを差し込む
- 天板の裏側にボルトが出てくるので、「ワッシャー→スプリングワッシャー」の順にはめる
- ナットを取りつけて、ある程度のところまで手で締める
- 工具を使ってしっかりとナットを締める
ボルトとナットで天板を挟み込むのではなく、片面からボルトのみで固定する場合は、下記の手順で取りつけます。
- デスクの天板の穴と脚の穴を合わせる
- ボルトに「スプリングワッシャー→ワッシャー」の順にはめる
- スプリングワッシャーとワッシャーをはめたボルトを穴に差し込み、ある程度のところまで手で締める
- 工具を使ってしっかりとボルトを締める
ナットを使用しない場合は、あらかじめボルトにスプリングワッシャーとワッシャーをはめこんでおくとスムーズに作業が進められます。
なお、複数のボルトを締める必要がある場合は、いきなり本締め(しっかり締め付けること)をしてはいけません。まずは全てのボルトを仮締め(簡単にゆるめられる程度に締め付けること)しましょう。1本ずつ本締めしていくと、途中で歪みが出てしまうことがあるからです。仮締めで歪みがないことを確認して、ガタつきなど問題がなければ本締めでしっかりと固定すると失敗しにくくなります。
スプリングワッシャーを入れる際の注意点
スプリングワッシャーを入れるときは、入れる順序以外にも注意したいことがあります。使用後に取り外して再利用するのは難しいため、作業前に確認しておきましょう。
スプリングワッシャーの向き
ボルトの多くは右回転で締め付ける「右ねじ」です。そしてスプリングワッシャーは基本的に右ねじ対応であり、上下どちらでも切れ込みの凸部分が食い込んでゆるみを防止する設計になっています。そのため、向きは気にせず使用できますが、左回転で締め付ける「左ねじ」の場合は左ねじ用のスプリングワッシャーを用意する必要があります。
なお、スプリングワッシャーと併用されることが多いワッシャー(平座金)は、上面は角が丸く、下面は角が直角になっています。できるだけ広い面を接触させた方が効果的なため、製品側に下面を、ナット側に上面を向けるのが一般的です。
締め付けるときの力加減
スプリングワッシャーを締め付けすぎると、製品表面を傷つけたり、めり込んだりすることがあります。特にアルミ素材の製品などは傷がつきやすいため、締め付けすぎないように注意しましょう。可能であればワッシャーを併用するか、他のゆるみ防止の方法を検討するのがおすすめです。
また、スプリングワッシャーを繰り返し使用するのは避けましょう。一度でも使用したスプリングワッシャーはばねの効果が弱くなっているため、再利用すると締め付け効果が得られない可能性があります。締め付けたときに傷がついていたり、長期間の使用で劣化したりすることも考えられます。スプリングワッシャー自体は高い部品ではないため、一度に使用する数にもよりますが、効果に不安があるものを再利用せず、新しいものを使用することをおすすめします。
まとめ
スプリングワッシャーはボルトとナットのゆるみ防止・脱落防止に役立つ部品です。ただし使用方法によっては、製品に傷がついたり、ボルトやナットがゆるみやすくなったりデメリットもあります。使用に適しているかどうかをよく検討した上で、使用状況に適したものを使用し、効果的に活用しましょう。
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