「曲尺」には以下のように、いくつかの読み方があり、どれも間違いではありません。

• さしがね
• かねじゃく
• きょくしゃく

また、「さしがね」の読み方で「差し金」と書く場合もあります。

曲尺の特長は、L字型の金属製であることです。

また、各部の名称にも特長があり、L字の長いほうを長手、短いほうを妻手と呼びます。そして、基本的なサイズは長手が50㎝、妻手が25㎝で、両面に目盛りがついています。

建築現場などで曲尺を使用する場合は精密性が求められるため、JIS規格適合製品を選びましょう。JIS規格では、以下の基準が定められています。

• 長さの許容値
• 目盛の直角度
• 目盛の真直度
• 目盛の太さ

曲尺の長さは、おもに以下のように分類されます。

中金や大金は一般家庭のDIYで使用するケースは稀であり、建設現場などでの使用がほとんどです。サイズ選びに迷う場合は、まずは標準の長さを選ぶと良いでしょう。

曲尺の主な素材の特長と、おすすめの用途を解説します。

曲尺の目盛は、以下の4種類があります。

段数が多いとさまざまな用途に使えるものの、情報量が多いため目盛が読み取りにくくなります。目盛の読みやすさを重視するなら4段目盛がおすすめです。

使用目的に合った機能から選ぶこともできます。

内側に目盛がついているタイプは、曲尺の向きを変えずに計測できるため、円形(パイプなど)の直径を測る場合に便利です。

また、逃げ穴つきの曲尺もおすすめです。逃げ穴とは、L字の内側の直角部分が半円形になっており、計測したいものや材料を押し当てると正確な直角がわかります。逃げ穴がないと、わずかな歪みでも正確に直角が測れない場合もあるため、正確性を求める場合におすすめです。

そして、特に大きな曲尺を使う場合は、筋交い付きの曲尺がおすすめです。大きな曲尺になるほどたわみやすいため、妻手と長手の端付近が対角線上に筋交いで固定されていると、曲尺がまっすぐになります。

曲尺の直角の形状を利用して、効率よく平行線を引くことができます。

1. 材を作業台など安定した広いスペースに置く
2. 材の長手の片端に曲尺の長手を掛け、材の角と曲尺の直角部分を合わせる
3. 妻手で線を引く
4. 曲尺を材の長手方向に沿って移動させる
5. 妻手で線を引く

この手順を繰り返すと、最初に引いた線と並行な線を効率的に引けます。

曲尺の用途として一番多いのが、寸法の計測です。

計測方法は簡単で、L字の直角部分を計測する対象の角に合わせるだけです。固定具はついていないため、手で曲尺の角を合わせた状態で押さえる必要があります。

墨付けとは、材料に印をつけることです。墨付けの手順は、次のとおりです。

1. 材を作業台など安定した広いスペースに置く
2. 材料の線引きしたい箇所に点などで印をつける
3. 印の位置に曲尺の長手を引っ掛ける
4. 妻手で線を引く

等分割にする手順は、次のとおりです。

1. 材を作業台など安定した広いスペースに置く
2. 材の片端に曲尺の角を合わせる
3. 分割したい数で割り切れる数の目盛を、材のもう一方の端に合わせる
4. 等分割になるように計算して印をつける

例えば、4分割したい場合は、0㎝と20㎝の目盛をそれぞれの端に合わせ、5㎝ごとに印をつけます。

45度を引く手順は、次のとおりです。

1. 材を作業台など安定した広いスペースに置く
2. 材の片端に曲尺の角を合わせる
3. 材のもう一方の片端に、長手と妻手の同じ値の目盛を合わせる
4. 曲尺の外側の長手・妻手で線を引く

30度と60度を引く手順は、次のとおりです。

1. 材を作業台など安定した広いスペースに置く
2. 材の片端に曲尺の角を合わせる
3. 材のもう一方の片端に、曲尺の長手と妻手の目盛が2:1になるように合わせる(例：長手10㎝、妻手5㎝)
4. 曲尺の外側の長手・妻手で線を引く

長手の外側に引いた線が30度、妻手の外側に引いた線が60度になります。

曲尺の目盛りには「角目」と「丸目」の記載があります。丸目とは、L字の長い部分の長手を利用して、円の直径を測ることです。一方、角目とは、L字の短い部分である妻手を利用して、円のなかにできる正方形の一辺の長さを測ることです。

「角目」を使って円形の直径を測ると、その円のなかに描ける正方形の一片の長さになります。「丸目」を使って円形の直径を測ると、その円の円周になります。

曲線を描く手順は、次のとおりです。

1. 材を作業台など安定した広いスペースに置く
2. 材の上で曲尺の長手をしならせる
3. 曲線の始点と終点、中央に印をつける
4. しならせた曲尺を点と点に合わせて曲線を描く

曲線を描く場合は、無理にしならせないようにしましょう。しならせすぎると、曲尺が変形したり折れたりする可能性があるからです。

急曲線を描く場合は、自在曲線定規や雲形定規など、描きたい曲線に合った道具を使いましょう。

曲尺はしなりやすい素材であることから、保管状態によっては歪みが生じる可能性があります。曲尺の上に重たいものを載せたり、高温な環境で保管したりすると歪みやすいため避けましょう。