コンベックスと似た、測定ができる機器はいくつかありますが、そのなかでも「コンベックス」には次のような定義があります。

• テープの先端に爪がついている
• テープ(目盛り)部分にカーブがついている
• 本体内部にテープが引き戻される構造になっている

また、コンベックスはテープ巾やテープの長さがJIS規格で定められています。

コンベックスは測定のために用いる機器で、以下の方法で測定します。

なお、爪をひっかけて測る場合、水平なものに対してテープは水平に、垂直なものを測る場合、テープは垂直になります。

コンベックスと似た道具にメジャーがあります。コンベックスとメジャーは、長さを測るという点では共通しているものの、測る対象やテープの素材、付加機能が異なります。

メジャーは先端部の爪やテープ部分のカーブがなく、テープがビニールでできています。衣服や身体を測る際に用いられ、「巻き尺」とも呼ばれています。

本体は、テープ部分を巻いて収納しているケース部分です。本体部分には、テープの長さや幅、JISの等級などが記載されています。

コンベックスのテープとは、目盛りが印字されている部分です。テープの素材はスチールやステンレスなどの金属で、テープの先端部にはひっかけるための爪がついています。

爪は、測定する対象にひっかけるまたは押し当てるための部分です。

爪をひっかけて測定する場合と押し当てて測定する場合では、基点が異なるため爪の厚み分の誤差が生じます。爪部分が「0点補正移動爪」の場合、ひっかける場合は爪の内側が、押し当てる場合は爪の外側が基点になり誤差が解消されます。

すべてのコンベックスに付属しているわけではありませんが、ロックは測定時にあると便利な機能です。テープを伸ばしたまま保持したい場合にロックを掛けると、その状態で固定されるため、手を離してもテープが本体に戻りません。

フックはコンベックスの本体の裏や本体上部についており、クリップやベルトクリップと呼ばれることもあります。ベルトや腰袋のポケットにひっかけたり、カラビナをつけたりして持ち運ぶことも可能です。

ストラップは本体についている輪状の紐で、落下防止に役立ちます。「落下防止コード」と呼ばれることもあり、手に通しておくと落下による本体の故障や測定対象の破損を防げます。

コンベックスはさまざまな種類がありますが、おもに販売されているテープの長さと幅は、以下のとおりです。

• 長さ：1m、2m、3.5m、5m、5.5m、7.5m、10m
• 幅：13㎜、16㎜、19㎜

長さは、一般的な使用では2～5mを選ぶと大体の用途に利用できます。長すぎると本体が重たく扱いにくくなるため、適度な長さを選びましょう。

また、テープ幅は広いほどテープが折れ曲がりにくくなりますが、幅が広いほどより長い距離を一人で測れます。例えば13㎜のテープ幅だと床にコンベックスを伸ばして測る場合は2mまで測定でき、16㎜のテープ幅だと3.5m測定可能です。

計測時の作業人数や測りたいものの長さに応じて、テープ幅を選びましょう。

特に一人で測定する場合は、ロック機能があるものを選ぶと便利です。コンベックスは本体内部にバネが内蔵されており、引き出したテープが自動的に本体に戻る仕組みになっています。

テープを伸ばしたままキープしたい場合は、ロックを掛けると本体に戻らなくなるため、一人での使用時に便利です。ロックの方法は自動ロックや、ボタン式などがあるため、用途や使いやすさで選んでください。

ロック機能付きのコンベックスを探す

テープの素材は、おもにスチールやステンレス、特殊な樹脂コーティングが施されたものがあります。それぞれの特徴を踏まえて、使用場所や保管場所に適したものを選びましょう。

テープの材質と特徴は次のとおりです。

スチール材質のコンベックスを探す

ステンレス材質のコンベックスを探す

樹脂コーティングのコンベックスを探す

計測に正確性が求められる場合は、「0点補正移動爪」のコンベックスを選ぶと良いでしょう。

先述のとおり、爪をひっかけて使う場合と押し当てて使う場合では基点(測定開始位置)が異なります。基点のずれによる誤差を解消する「0点補正移動爪」があると、正確に計測できます。

また、テープにカーブがついていると水平保持力が高く、正確な計測に役立ちます。

建設現場など、尺モジュールで計測したい場合は、通常の目盛の他に455mmピッチがテープに印字されているコンベックスを選ぶと便利です。

移動爪コンベックスを探す

尺モジュール付きコンベックスを探す

爪をひっかける計測方法は、一般的に水平方向の長さを測る場合に用います。

まず、テープを少し引き出し、爪を計測開始部分にひっかけます。このとき、爪と計測対象物の角度は直角になるように当てます。そのままテープを引き出して、測定してください。

爪を計測対象物に押し当てる計測方法は、垂直方向の長さを測定する場合に用います。

まず、テープを少し引き出し、爪を計測対象物に押し当てます。計測時はテープにゆるみがないように注意しましょう。そして、爪を浮かさないようにテープを伸ばして測定します。

爪が曲がっていると、テープが並行にならず、正確な計測ができません。また、先述した0点補正機能も上手く作動しない可能性があります。そのため使用前には、爪が曲がっていないことを確認しましょう。

コンベックスを使用する際は、計測するものとコンベックスのテープが平行になるように計測します。そのためには、計測するものに対して爪を直角に当てることが大切です。2人以上で測定する場合は、1人が爪を固定しておく方法もあります。

テープには㎝を表す長い線と、㎜を表す短い線があります。特に㎜単位で目盛りを読む際はななめに読むと、目盛りの位置がずれて見える可能性があるため、目盛りは垂直に読みましょう。

コンベックスはテープがねじれた状態で計測すると、正確に測定できません。特に、長い距離を一人で計測しようとすると、テープがねじれやすくなります。

最近ではねじれに強い加工を施しているコンベックスもあるため、頻回に使用する場合や長いものを計測する場合は、ねじれにくい素材の使用も検討してください。