更新日:2025年2月27日
適切なタイヤ交換時期は?判断の目安・見分け方を紹介

タイヤは消耗品であり、摩耗したまま使うと事故の原因になるため、状況に応じて定期的に交換することが大切です。特に企業の場合は、安全性と経済性のバランスを考慮しつつ、社用車や営業車、商用車などを適切に管理する責任があります。本記事では、適切なタイヤ交換の時期について、判断の目安や見分け方を解説します。
タイヤ交換時期は?判断の目安・基準

タイヤの交換は、どのようなタイミングで実施するべきなのでしょうか。ここでは、タイヤ交換の時期を判断するための3つの目安について解説します。
スリップサイン

スリップサインとは、タイヤがすり減って溝の深さが1.6mmになると露出する指標です。タイヤの側面にある「△」マーク(三角マーク)の延長線上にあります。
スリップサインが露出したタイヤ(溝の深さが1.6mm以下になったタイヤ)は、摩耗が進んで滑りやすい状態になっているため、法律によって公道での走行が禁止されています。整備不良に該当するため、車検も通りません。もしもスリップサインに気づかずに走行を続ければ、ハンドル操作に支障が出たりブレーキの利きが悪くなったりする恐れがあり、大変危険です。
特に、複数人が交代で使用する社用車や営業車、商用車の場合、スリップサインが出ていても気づかないことがあります。万が一、タイヤの摩耗が原因で事故が起きれば、安全管理体制の不備を問われかねません。自動車を安全に使い続けるには、タイヤの状態を定期的にチェックし、早めに交換することが大切です。
走行距離
走行距離も、タイヤを交換する際の重要な指標のひとつです。一般的に、タイヤの溝は5,000km走行につき約1mm摩耗します。新品タイヤの溝の深さは約8mmであるため、32,000km走行が交換の目安です。
ただし、タイヤが摩耗する度合いは、使用状況によって大きく異なります。特に、業務で使う車両は、高速道路を走行したり、重量物を積載したりするケースも少なくありません。そのため、走行距離が32,000kmに達していなくてもタイヤの状態を定期的にチェックし、必要に応じて交換することが大切です。
使用年数
タイヤの交換時期には、使用年数も大きく関係します。例えば、走行距離が短くほとんど使用していない車両でも、年数が経てばタイヤのゴムが劣化していくため、注意が必要です。一般的には、使用開始から4〜5年程度がタイヤを交換する目安とされています。
業務に使用する車両の場合、使用頻度が高かったり、駐車環境や保管状態がよくなかったりすることでタイヤの劣化が進み、早めの交換が必要になるケースもあります。また、中古のタイヤを購入した場合や、前回のタイヤ交換時期を忘れてしまった場合も要注意です。安全に走行するためにも、普段からタイヤの使用年数に留意して、定期的に状態を確認しましょう。
タイヤの製造年数の見方
タイヤの寿命を知るために役立つひとつの目安として、タイヤの側面に刻印されている製造年と週の見方を覚えておきましょう。例えば、「1020」と記されたタイヤの場合、後ろの2桁の「20」が製造された年、前の2桁の「10」が週を表します。つまり、「1020」という表記があるタイヤは、2020年の10週目に製造されています。
ただし、タイヤの製造年と使用年数が一致するとは限りません。製造年はあくまでも目安であり、タイヤの状態を踏まえて交換時期を見極めることが大切です。
タイヤ交換時期の見分け方
タイヤの交換時期を知るために最も重要な指標は、スリップサインです。タイヤの溝に横方向の突起(スリップサイン)が露出したら、速やかに交換しましょう。
また、タイヤの側面にクラック(ひび割れ)が発生している場合も要注意です。クラックはゴムが劣化しているサインであり、タイヤを交換する時期が近いことを示しています。軽微なひび割れであれば、ある程度は猶予がありますが、深いひび割れがある場合は即時交換しなければなりません。
業務に車両を使っている企業では、事故防止のために、ひび割れの早期発見を心がけましょう。定期的に目視点検を実施し、ひび割れを含む異常が確認されたときは、劣化の進行状況を踏まえて対処することが重要です。例えば、「トレッド面(タイヤと地面が接触する部分)に摩耗や傷がないか」「タイヤに異物が刺さっていないか」といったことが、確認項目として挙げられます。
季節に応じたタイヤ交換

自動車のタイヤは、季節に応じて交換する必要があります。ここでは、冬タイヤおよび夏タイヤの交換時期について解説します。
冬タイヤの交換時期
冬タイヤは、「スタッドレスタイヤ」とも呼ばれ、夏タイヤよりも素材のゴムが柔らかく、なおかつ溝が深い構造になっています。そのため雪道や凍った道路でもグリップが効きやすく、雪が多く積もらない地域であっても、冬の道路を安全に走行するためには不可欠です。
夏タイヤから冬タイヤに交換する時期は、地域によって異なるものの、初雪が降る1カ月前が目安です。気候は地域によって異なるため、状況に応じて調整しましょう。日常的に雪が積もらない地域であれば、11月下旬から12月上旬に済ませるのがおすすめです。
また、社用車や営業車で長距離を移動したり、山間部に行ったりする場合は、出先で雪が降ることもあります。走行ルートや天気予報を考慮しつつ、余裕を持った交換スケジュールを立てることが大切です。
夏タイヤの交換時期
冬タイヤから夏タイヤへの交換は、地域によって異なるものの、3月下旬から4月上旬までに済ませるのが一般的です。遅くとも、ゴールデンウィークまでには交換しましょう。冬タイヤは、夏タイヤよりも素材のゴムが柔らかいため、気温が高い時期に使うと、減りが早くなってしまいます。
業務用車両を管理している場合は、春先の不安定な天気や気温の変化、突発的な降雪などにも対応できるように、車両ごとに交換時期をずらすなど、柔軟な交換計画を立てましょう。
タイヤを長く使うには
タイヤは消耗品であり、使用方法や管理方法によっては寿命を縮める可能性があります。ここでは、タイヤを長く使うために押さえておきたい3つのポイントについて解説します。
空気圧をチェックする
タイヤを劣化させないためには、空気圧を適切に保つことが大切です。タイヤの空気は、走行しているかどうかにかかわらず少しずつ抜けていきます。空気圧が低下すると摩擦が増えて摩耗が進行し、タイヤが傷んでしまいます、また、空気圧が低下した状態で走行を続けると、タイヤが波打って変形する「スタンディングウェーブ現象」が発生し、やがて破裂(バースト)することもあるため、注意が必要です。その一方で、空気圧が高過ぎると路面との接触箇所が狭くなり、トレッド面の中央だけが偏って摩耗します。
タイヤを長持ちさせて安全性を高めるには、空気圧を適正な範囲に調整しましょう。正しい空気圧をキープすることでタイヤの性能が正しく発揮され、偏った摩耗や劣化を抑えられます。タイヤの空気圧は、空気充填機が設置されたガソリンスタンドやタイヤ専門店などで調整可能です。空気圧の適正値は、車種ごとにメーカーが定めているため、運転席ドアの内側や給油口の蓋などに貼られたシールでチェックしましょう。ただし、乗車人数や積載量、前後輪で変わるケースもあるため、適正値や調整方法がわからない場合は、専門家に依頼することをおすすめします。
適切な場所で保管する
タイヤの素材に使われているゴムは、紫外線や湿気に弱い性質があります。そのため、車両から外して保管する際は直射日光や風雨を避けられる乾燥した場所で管理することが大切です。止むを得ず、屋外で保管する必要がある場合は、遮光性や防水性が高いタイヤカバーを活用することをおすすめします。
また、保管前にはタイヤの空気を適正値の半分程度に抜いておきましょう。空気が十分に入った状態で保管すると、気温差で膨張・収縮し、タイヤにダメージを与える場合があります。あわせて、シーズン中に付着した汚れを落としてから保管することも大切です。特に、道路に散布される融雪剤に含まれる化学物質はタイヤの劣化を引き起こす原因となるため、注意しましょう。
安全運転をする
急ブレーキや急発進、急ハンドルなどの危険運転は、タイヤの寿命を縮める原因になります。無理な運転をすると、タイヤに過度な摩擦が発生するためです。タイヤを長持ちさせるには、安全運転を意識して急ブレーキや急発進を減らしましょう。
また、積載量もタイヤの寿命に影響します。過積載は、タイヤに負担がかかるだけでなく、重大な事故を引き起こす原因にもなりかねません。自動車に荷物を積む際は積載重量を守り、過剰に荷重をかけないように留意することも重要です。
まとめ
摩耗したタイヤで走行すると事故のリスクが高まるため、スリップサインが出る前に交換することが大切です。特に、業務に使う車両は頻繁に高速道路を走ったり、重い荷物を運んだりすることもあります。定期的にタイヤのひび割れや空気圧などをチェックして、適切に管理しましょう。
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