更新日:2025年5月15日
UPSとは?必要性や選び方を紹介

パソコンやスマートフォンなどの電気機器が欠かせない昨今では、突発的な停電や過電圧が発生した場合、業務が滞ったり、深刻なトラブルに発展したりするリスクがあります。そのようなリスクの対策として役立つのがUPSです。本記事では、UPSの概要や必要性、UPS選びで押さえておきたいポイントについて解説します。
UPSとは?

UPSは、停電によって電力供給が止まった場合に、電気機器に電気を供給するための装置です。
「Uninterruptible Power Supply」の略称で、日本語では無停電電源装置と呼ばれます。対策をしていない状態で停電が発生すると、パソコンやルーター、サーバーなどの機器が停止し、使えなくなるため、業務がストップします。電力供給が急に止まることで、データが消失するなど重大なトラブルにつながるケースもあります。
UPSがあれば、突然の停電による電力供給の停止を防げます。これにより、PC、HDD、サーバー、モデム、ルーターなどを停電から守ることができます。また、UPSの中には、雷などで過電流が流れた場合に、それを遮断して電気機器を守る機能が付いた機器もあります。
UPSの仕組み
UPSは「蓄電機能付きの延長コード」のような仕組みだと考えると、理解しやすいでしょう。延長コードは片側にプラグが、反対側に電源タップが備えられた電気器具です。プラグをコンセントに差し込むと、コード内に電力が流れて電源タップに到達します。そして電源タップのコンセント差し込み口に電気機器のプラグを差し込むと、電気機器に電力が供給される仕組みです。
UPSには、延長コードでいう電源タップ部分にバッテリー(蓄電池)が搭載されており、電気機器に電力を供給するのと同時に、バッテリーに電気が蓄えられていきます。停電が発生すると、UPSは電力の供給源をコンセントからバッテリーに切り替え、引き続き電気機器に電力を供給し続けるため、急に電源が落ちるのを防げます。これにより、電力を供給し続けることで、電源トラブルから機器を守ることができます。
UPSの電力供給は、バッテリーの蓄電量が尽きるまでしかもちません。コンセントから電力を供給しているときとは異なり、長時間使い続けられないため、注意が必要です。消費電力が大きい電気機器に電力を供給する役割をもつため、サイズは大きく重量もあります。購入する際は事前に調べることをおすすめします。
UPSと発電機の違い
停電時に電力を供給する装置として非常用発電機がありますが、UPSと非常用発電機は異なる特性をもっています。先述の通り、UPSは停電時に内部に蓄えた電気を使って、電気機器に電力を供給する装置です。停電時は自動で電力供給源が瞬時に切り替わるため、電気機器に負担をかけずに済みます。しかし、蓄えていた電気の分しか使えないため、長時間の停電には対応しきれません。あくまでも電気機器やシステムを安全にシャットダウンするためのつなぎで使います。
一方、非常用発電機は、停電後に発電を開始するため、電力が供給されるまでに10~40秒程度かかることが一般的です。UPSが瞬時に電力供給を切り替えるのに対し、発電機は一定時間の遅延が発生するため、併用が推奨されます。
UPSの必要性
UPSは一時的にしか電力供給ができないため、「遅くとも40秒程度で電力供給を再開できるなら非常用発電機だけで十分では?」と考える方もいるかと思います。しかし、UPSがなければ、落雷・地震などによる急な停電に対応しきれません。
40秒後に発電機が作動しても、その間にシステムが停止すれば業務に影響が出ます。医療機関の場合は、停電時に即座に電力供給を再開させなければならない機器があるため、非常用発電機では間に合いません。
このような事情から、非常用発電機だけでなく、瞬時に停電に対応できるUPSを導入している企業が増えています。電気機器を過電流から守る機能が搭載されているUPSなら、予期せぬトラブルの回避に役立ちます。
UPSの種類
UPSは給電方式やバッテリーの種類で分類されます。目的に合ったUPSを選ぶために、それぞれの特徴を把握しておきましょう。
給電方式の種類
UPSの給電方式にはいくつもの種類がありますが、代表的な3つを紹介します。
常時商用給電方式UPS
常時商用給電方式とは、通常時はコンセントからの電力をそのまま電気機器に出力しつつ、バッテリーを充電するタイプのUPSです。小型で軽量な製品が多く、通常時の消費電力が少ないというメリットがあります。停電によって電力供給源が切り替わる際に、一瞬だけ電力供給が止まるため、瞬停の影響を受けにくいオフィスのOA機器や監視カメラなどでの使用に向いています。
常時インバータ給電方式UPS
常時インバータ給電方式とは、常に内部に搭載されたインバータを経由して電力が出力されるタイプのUPSです。コンセントから供給された電力がインバータに流れて2つに分かれ、片方はバッテリーに、もう片方は交流に変換されて電気機器に出力されます。出力が安定しており、電力供給源が切り替わる際に、電力供給が止まることもないため、サーバーやストレージ、通信基地局などでの使用に最適です。
パラレルプロセッシング給電方式UPS
パラレルプロセッシング給電方式とは、常時商用給電方式の効率の良さと、常時インバータ給電方式の安定性を兼ね備えたUPSです。通常時は高速スイッチを経由して、コンセントからの電気を電気機器に供給しつつ、双方向インバータ経由でバッテリーに電気を蓄えます。停電時には、バッテリーに蓄えた電気を双方向インバータ経由で電気機器に供給する仕組みです。パラレルプロセッシング給電方式の場合も、電力供給源が切り替わる際に電力供給が止まることがありません。電力の質が高いため、空調設備や工場の生産設備などでの使用に向いています。
バッテリーの種類
UPSのバッテリーは、鉛蓄電池とリチウムイオン電池が一般的です。バッテリーの種類によって寿命や大きさなどが変わるため、それぞれの特徴を確認しておきましょう。
| 鉛蓄電池 | リチウムイオン電池 | |
|---|---|---|
| 寿命 | 2~5年程度 | 10年程度 |
| 大きさ | 大きく重い | 小型で軽い |
| 価格 | 安い | 高い |
| メリット | 初期導入費が安い | 寿命が長い・軽量 |
| デメリット | 寿命が短い・重い | 初期導入費が高い |
リチウムイオン電池を採用したUPSは、初期導入費が高いというデメリットがあります。しかし、鉛蓄電池と比較して寿命が長く、経年劣化による容量低下も少ないため、交換回数も少なく済みます。ランニングコストまで含めるとリチウムイオン電池の方が安く済むケースも多いため、初期導入費だけてはなく、トータルの費用で検討してみましょう。
停電で起こるおもなパソコンのトラブル

バッテリーが内蔵されているノートパソコンは、停電時に直ちに稼働が停止することはありません。しかし、デスクトップパソコンは常に電力を供給する必要があるため、稼働が停止すると作業途中のデータが消えてしまうなどのトラブルが起こる場合があります。業務に悪影響を及ぼすことがないよう、どのようなトラブルが起こるのかを確かめておきましょう。
保存していないデータが消える
パソコンで作業しているときに停電が起こり、電源が落ちてしまうと、保存していないデータが消失する場合があります。ソフトウェアによっては、定期的に自動でデータを保存する機能が搭載されていますが、データが消える可能性もゼロではありません。クラウド上で作業している場合も、停電が起こればネットワークが遮断され、データが消える恐れがあります。致命的な損失でなくとも、データがすべて消えると一から作業をやり直すなど、ほかの業務に支障が出ることもあるでしょう。
データが破損する
ハードディスクに書き込んでいるときに停電が起き、パソコンが強制終了された場合、ハードディスクに保存したデータが消えてしまうことがあります。さらに磁気ディスクに傷が入り、ハードディスクに保存したデータがすべて読み取れなくなったり、ハードディスクそのものが使用不可になったりする場合もあります。
ダメージを受けてハードディスクのデータが消えた場合、バックアップからデータを復旧しなくてはなりません。バックアップがない場合でも、故障したハードディスクからデータを取り出す方法はありますが、個人が対応するのは難しいため、状況によっては業者に依頼しなければなりません。しかし、業者に依頼したとしても100%取り出しに成功するとは限らず、そのままデータが失われるリスクがあります。
OSが起動しなくなる
ハードディスクにはOSの起動に必要なデータが入っているため、停電によってハードディスク内のデータが壊れると、パソコンが動かなくなる恐れがあります。また、ソフトウェアのデータが壊れ、業務で使用するソフトウェアが使用できなくなるケースもあり、大きな損失につながる可能性もあるため注意が必要です。
UPSの選び方でのポイント
数多くのUPSが存在するため、どれを選んだら良いのか悩む方もいるかと思います。そこで、UPSを選ぶときに押さえておきたいポイントを3つ紹介します。
出力性能やコンセント数
UPSを選ぶときにまず確認しておきたいポイントが出力性能です。UPSの出力容量が、接続する電子機器の最大消費電力の合計を超えていないと電力不足になります。UPSを導入する前に、どの電気機器を接続するのかを明確にし、それぞれの最大消費電力をチェックしておきましょう。
また、出力容量が大きいUPSを導入しても、コンセント差し込み口の数が足りないと電子機器を接続できません。接続する電子機器の台数分のコンセント差し込み口があるかどうかも確認しましょう。
UPSの出力波形にも注意が必要です。出力波形とは、UPSやポータブル電源などに搭載されたインバータから出力される電気の波形を指します。UPSの出力波形には「正弦波」と「矩形波」があり、矩形波は比較的低価格ですが、パソコンのような精密機器には使えません。オフィスなどで使用するUPSには、正弦波のものを選びましょう。
バッテリーの容量や寿命
バッテリーの容量も、UPSを選ぶ際にチェックしておきたいポイントです。バッテリー容量が大きければ、その分長時間電気を供給し続けられます。UPSが長くもてば、電力供給が止まる不安がなく、余裕をもって対応できます。
なお、UPSは100%充電してから使用しなくてはなりません。充電完了前に使用すると、電源が入らなかったりバッテリー使用中に出力が停止してしまったりする可能性があります。UPSはそれぞれ充電時間が異なり、なかには充電完了までに12時間かかる製品もあるため、事前に充電時間を確認することが大切です。
バッテリーの寿命もUPS選びの重要なポイントです。先述の通り、UPSのバッテリーには、鉛蓄電池かリチウムイオン電池のいずれかが採用されています。このうち鉛蓄電池は初期導入費が安いものの寿命が短いため、頻繁に交換する必要があります。交換回数が多い場合、手間がかかり、交換のたびにコストもかかるため、寿命が長いリチウムイオン電池のUPSを検討しましょう。
給電方式
UPSは製品によって給電方式が異なり、それぞれ効率性や安定性が異なります。また、給電方式によっては、電力供給源が切り替わる際に一瞬電気の供給が止まるため、各タイプを比較して選ぶ必要があります。メーカーによって給電方式の名称が異なる場合があるため、名称だけでなく電力供給の仕組みを確認した上で選ぶことが重要です。
停電への備えにUPSの導入を検討しよう
オフィスや事務所では多種多様な電気機器が使われており、停電への備えが欠かせません。対策をしていない状態で停電が発生すると、電気機器が停止して思わぬトラブルが発生するリスクがあります。
作業中のデータが消えてそれまでの時間が無駄になるだけでなく、ハードディスクが破損する、重要なシステムが止まるなどして業務が滞る恐れもあります。できる限りの停電対策を講じておきましょう。データ消失については小まめなバックアップも有効ですが、UPSを導入して急な停電に瞬時に対応できるようにしておくことおすすめします。
まとめ
オフィスで急な停電や過電圧が起きると、パソコンや電子機器のデータ消失やシステム停止など、重大なトラブルに発展するリスクがあります。停電や過電圧に対応できるUPSを導入し、電力を供給し続けられるよう備えておきましょう。
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