家庭用掃除機の寿命は6年～7年程度です。また、減価償却が必要な10万円を超える業務用掃除機も、6年～7年が寿命とされています。減価償却では、税法で定められた耐用年数に基づいて計算を行います。耐用年数は、使用できる期間の実態に基づいて定められた数値であり、償却期間は寿命の目安とほとんど変わりません。

なお、目安となっている6年～7年は、あくまでも掃除機本体の寿命です。モーターやフィルタのほか、バッテリー、ブラシ、ダストカップなどのパーツには、それぞれの寿命があるため、適切なお手入れによって寿命が左右されるケースもあります。

コンセントから直接給電する有線タイプは、一般的にコード式と呼ばれている掃除機です。吸引力の高さが特長であり、家庭用から業務用まで幅広い用途で使われています。主にサイクロン式と紙パック式の2種類があり、それぞれフィルタの寿命が異なります。

＜サイクロン式＞

ダストカップに直接ゴミをためるタイプの掃除機です。フィルタは、小まめに掃除しても劣化してしまうため、寿命の目安はおおよそ7年とされています。

＜紙パック式＞

使い捨ての紙パック内にゴミをためるタイプの掃除機です。寿命を左右しているのは、掃除機の駆動部です。サイクロン式とは異なり、フィルタの寿命に影響されません。そのため、製品によっては10年と長持ちするケースもあります。

コードを使用せず、バッテリーを充電することで動く掃除機です。場所を選ばず利用できる点が便利な一方、コンセントから直接給電しないため、有線タイプと比較すると吸引力は劣ります。コードレスタイプの場合、寿命はバッテリーに依存します。

バッテリーの使用可能期間はメーカーによって異なりますが、毎日使用した（毎日放電・充電している）場合の寿命は、おおむね5年です。使用する頻度が低かったり、連続運転しなかったりすると、寿命は長くなる傾向にあります。

販売終了や型落ちの掃除機を購入した場合は注意が必要です。多くの家電メーカーでは、故障した際に製品の機能を維持できるよう、修理部品の保有年数を定めています。保有年数は家電ジャンルによって異なり、掃除機は6年とされています。

いつまで修理に応じてもらえるか、取扱説明書などに記載された情報をあらかじめチェックしておきましょう。修理部品の保有年数は、製造打ち切り後から数えます。製造を終了してから6年を超えた場合、たとえ寿命の年数まで使っていない場合でも、部品がないなどの理由で修理を断られてしまうケースもあります。

掃除機を使用している途中で、「すぐに止まる・動かない」という不具合が出た場合、寿命が迫っている可能性は高くなります。コードレスタイプ・有線タイプでそれぞれ考えられる原因が異なります。

＜コードレスタイプ＞

バッテリーが寿命を迎えているケースが想定されます。バッテリーの劣化が進むと充電しても蓄電できないため、このような症状が現れます。場合によっては、バッテリーの交換のみで対応できる製品もあるため、メーカーなどに問い合わせてみましょう

＜有線タイプ＞

電源プラグ部などコンセントに差し込む部分の劣化、または、コード内部の断線などが想定されます。掃除機へ電力を供給できない状態となっているため、電源を入れても動かなくなります。

掃除機の中から焦げた臭いがするとき、これまでにないほどの発熱を感じるケースがあります。このような症状がある場合は、モーターの寿命かもしれません。通常時、モーターなどによる発熱は約40℃～50です。

火傷するほどの発熱があったり焦げた臭いがしたりする際は、発火する可能性があるためすぐに使用を中止しましょう。特に、十年以上使用している場合には、部品の劣化が進んでいる可能性が高くなります。早めに買い替えを検討しましょう。

「以前よりゴミを吸わなくなった」などの目に見える変化がある際も、寿命が迫っていることが考えられます。ただし、単にダストカップなどにゴミがたまりすぎて吸引力が弱まっているケースもあります。そのため、まずはゴミを取り除いて吸引力が戻るかどうかチェックしてみましょう。

それでも吸引力が変わらなかった場合は、寿命が迫っているサインです。フィルタの目詰まりやヘッドブラシの汚れを取り除くなど、日ごろから定期的なメンテナンスを心がけることで、長持ちするケースも多くなっています。

「これまでとは異なる音がする」「以前より使用中の音が大きくなった」などの症状は、寿命が迫っているサインです。モーターが不具合を起こしていたり、その他の駆動部（ギア）などが破損していたりする可能性があります。

寿命を過ぎた掃除機のモーターは、安全を考慮して電気を遮断するよう設計されています。異音がする状態で無理に使用を続けた場合、急に動かなくなってしまう可能性も高いため、買い替えを検討しましょう。

有線タイプの掃除機を使用している場合、ボタンを押してもコードがスムーズに巻き取れないなどの不具合が生じます。このような状態も、寿命が近くなっているサインのひとつです。ほかに不調がなければ、単にコードを巻き取るバネが弱くなったと考えられるため、掃除機を使い続けても問題はありませんが、経年により本体内部も劣化が進んでいることが想定されます。

修理を依頼する際は、販売店やメーカーに問い合わせて修理見積書を出してもらうのが一般的です。まず、購入時に受け取った保証書を確認しましょう。保証期間内であれば基本的に修理費はかかりませんが、無償修理の対象となるのは、取扱説明書通りの使用方法で故障した場合に限ります。

間違った使用方法や故意による故障の場合、有償となる可能性が高くなります。そのため、無償修理の条件に当てはまり補修用性能部品で修理できる場合、また、修理費が安く済む場合には修理を検討しましょう。修理費が購入時の掃除機本体の金額を超える場合は、無理に修理するよりも新しい製品の購入をおすすめします。

先述したように、修理費が本体購入時より高くなる場合や、メーカーに交換できる部品がない場合には買い替えをおすすめします。メーカーが交換可能な部品を保管しているのは製造終了後から6年間です。購入して6年以上、あるいは型落ちの掃除機を購入した場合、寿命以内であっても故障した部品を取り替えられない可能性が高くなります。

業務用掃除機を購入するときは、吸引力を確認しましょう。吸引力はJIS規格で計算方法が決められた「吸引仕事率」で数値化されています。吸引仕事率はカタログに掲載されていることが多く、ワット（W）の単位で表記されており、数値が高いほど吸引力が強いことを示しています。

ただし、吸引仕事率はブラシを取り付けない状態で測定された数値であり、実際に使用する際はブラシの性能に影響されるため注意が必要です。あくまでも目安として判断し、使いやすさやブラシの性能と併せて選ぶようにしましょう。

掃除機の動作音は人にストレスを与えかねません。特に早朝・夜間や勤務時間中のオフィスなど、騒音がNGとされる場面で使用するのは望ましくありません。騒音の単位はデジベル（dB）で表記されており、数値が高いほど騒音を感じやすくなります。

目安として、60dBの騒音レベルは普通（普通の会話レベル）に該当します。稼働時の最大値が60dB未満であれば比較的静かと判断できるため、騒音が気になる場所や時間帯での使用におすすめです。

電源（コンセント）がある場所で使用する場合、有線タイプの掃除機がおすすめです。吸引力がパワフルな有線タイプの掃除機は、駆動可能時間に制限がありません。ただし、コンセントがない場所をスポットで掃除したいときは、コードレスタイプの掃除機が便利です。

バッテリー切れの心配はあるものの、場所に制限されず使用できるため、車内や階段などを短時間で掃除したいときに適しています。使用するシーンと同時に、有線タイプとコードレスタイプの特長を良く理解して購入する製品を選びましょう。

吸引するゴミが乾燥しているか、水気があるかによっても掃除機を選ぶ基準が変わります。フローリングやカーペットで使用するのであれば、基本的に水気を含まないゴミとなるため、「乾式」の掃除機がおすすめです。

一方、厨房やトイレ、野外倉庫など、水分を含んだゴミを吸引する場合は、「湿式」または「乾湿両用」が適しています。「乾湿両用」として販売されている掃除機の中には、あらゆるゴミを吸引するだけでなく、水拭きや除菌機能を備えた製品もあります。

このタイプの掃除機は、水分を含んだゴミや油汚れまでパワフルに拭き取ってくれるため、リビングから台所、洗面所まで幅広い場所で使用することが可能です。中には、メンテナンスのしやすさを重視して設計された製品などもあります。