更新日:2024年12月26日
廃油の処理方法は?事業所で適切に処分する方法を解説
事業に伴って廃油が出た際に、処理方法に迷う人は多いのではないでしょうか。産業廃棄物として処理するのか、一般廃棄物として燃えるゴミで捨てられるのか、判断に迷うかもしれません。本記事では、事業所で廃油を処理することになったときに誤った処理をしないよう、適切な処理方法や、費用、便利グッズなどを注意点とともに紹介します。事業の中で廃油を扱う可能性がある方はぜひ参考にしてください。
事業で出た廃油は産業廃棄物
エンジンオイルやサラダ油、石油、ガソリンなど、事業に伴って出た廃油は「産業廃棄物」として扱われます。一般家庭で出る廃油の処理方法とは異なり、「産業廃棄物」として、規定のもと適切に処分しなければなりません。
特に、引火性の強い灯油や軽油などは、処分に危険を伴い注意が必要なため、「特別管理産業廃棄物」の扱いとなります。産業廃棄物として回収された廃油はリサイクル率が高く、再び燃料となったり製品に使用されたりし持続可能な資源として活用されます。
事業で出た廃油の処理方法
事業で出た廃油は大きく分けて、「リサイクル」と「最終処分」の2つの処理方法があります。「リサイクル」は前述の通り、再生処理されて燃料や製品の原料として活用されます。一方、「最終処分」では、廃油を再利用せずに完全に処分します。
リサイクルは回収を必要としますが、最終処分の場合は廃棄するため、自社で行うことも可能です。
どちらを選択するかは、廃油の状態や量も関係してくるため、確認が必要になります。少量であれば自社で処理できますが、多量の廃油が出る場合は専門の業者に頼むことも検討できます。自治体によっては回収やサポートを行う窓口もあるため、事前の確認をしておくとよいでしょう。費用面も考慮し、廃油の種類や量に応じて処理方法を選択します。以下では、それぞれの処分方法を詳しく解説します。
廃油処理業者に引き取ってもらう
処分方法を調べても、自社で適切に実施できるかわからず不安なときには、専門の廃油処理業者に依頼すると安心です。プロに依頼すれば、廃油の量に応じて適切に対応してもらえます。状況を詳しく相談することで、事業所の負担を減らせるでしょう。中には無料で廃油の引き取りを行っている業者や自治体もあるため、事前にそのような依頼先はないか確認し、あわせて検討することをおすすめします。また、依頼後にトラブルにならないよう、許可を得て営業している業者かどうかも必ず確認しておきましょう。
布や紙で吸い取って処理する
油汚れは、布や紙でできたウエスという雑巾で拭き取って処理する方法もあります。機械を扱う事業所での油汚れの処理や少量の油の処理であれば、ウエスを使った拭き取りによる処分が可能です。
ウエスにはいくつか生地の種類があり、用途に応じて使い分けるのが一般的です。中でも「メリヤス生地」のウエスは、伸縮性があり柔らかいため、油分を拭き取るのに適しています。
布製のウエスは吸水性と柔らかさを兼ね備え、万能に使えますが、繊維があるため機械などに使う際には注意が必要です。紙製であれば繊維が付着しないため、さまざまな場所を拭くことが可能です。布製に比べると吸水力で劣るため、事前に必要量を用意して処理を行いましょう。
廃油処理用品を使う
廃油がサラダ油など食用油であれば、自社で廃油凝固剤などを使って固め、燃えるゴミとして処分することが可能です。ただし、灯油や軽油など引火性の高い廃油は、燃えるゴミには出せません。また、廃油処理箱や廃油処理袋といった、廃油を中に流し込むタイプの処理方法もありますが、自治体によっては捨てられない場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
廃油の処理費用の目安
廃油処理費用は、廃油の種類や量、処理の場所などによって異なりますが、目安は1kgあたり5〜100円です。中でも、灯油などのように引火性の高い「特別管理産業廃棄物」や、廃塗料・グリスなどの特殊な廃油は高単価になりやすいといえます。例えば引火性廃油は1kg約20円からが相場ですが、別途見積もりが必要になるケースもあり、通常の産業廃棄物よりも処分費用が高くなる傾向です。依頼を検討する場合は、あらかじめ廃油の種類や量を業者に伝え、処分内容に合う見積もりをもらうようにしましょう。
事業所・オフィスにおすすめの廃油処理アイテム
ここからは、事業所で廃油を処理する際に便利に活用できるアイテムを紹介します。
【布ウエス】 アスクル 「現場のチカラ」 カラーメリヤスウエス

メリヤス生地のため、ソフトで吸収力に優れています。中古生地のため比較的コストが低いのも魅力です。材質は綿80%で、分別・リサイクルしやすい製品です。また、洗って再利用することもできる製品ですが、廃油の処分に使う場合は燃えるゴミとしてそのまま廃棄しましょう。内容量は2kgあり、1枚の大きさは約30〜50cmの不定形となっています。大きすぎる場合は小さく切って使用したりと、便利に使えるでしょう。
【ペーパーウエス】 アスクル 「現場のチカラ」 アスクルオリジナル紙ウエス
紙製のウエスは拭き取った箇所に繊維が残りにくいため、精密機器を扱うような機械関連の事業所でも安心して利用できます。また、食品衛生試験をクリアしているため、食品を扱う現場でも、食器やまな板の油を拭く際にも安心して使えます。対物除菌剤を含ませて使うことで、人の手や口が触れる場所の除菌にも活用でき、衛生管理が重要なシーンでも安心です。
【ペーパーウエス】 アスクル 「現場のチカラ」 アスクルオリジナル紙ウエス 61090 1パック(50組入) オリジナル - アスクル
カクイ 「現場のチカラ」 オイルパック 2.5L

廃油を箱の中に入れるだけで、そのまま処分できる廃油処理箱です。たっぷり入った吸着剤が油をしっかりキャッチし、漏れも防ぎます。2.5Lまで処理が可能なため、バイクや自転車、農機具などのオイル交換、メンテナンス、廃油の処理にも十分活用できます。天然植物繊維100%のオイル吸着材を使用しています。※高温のオイルは大変危険なので、必ず冷めてから作業を行ってください。
廃油処理の注意点
廃油の処分時には、必ず守らなければならないことがいくつかあります。また、産業廃棄物としての廃油の処理方法については、廃棄物処理法によって定められています。ここからは廃油処理の注意点を解説します。以下のようなことをすると法律に触れ、罰金などの処罰を受けるおそれがあるため注意しましょう。
排水口に流さない
廃油は排水溝やトイレに流してはいけません。油の性質上、冷えると固まってしまうため、排水溝の詰まりの原因となります。また、汚れ除去などの下水処理の手間が増えたり、排出される河川の水質低下につながったりと、環境汚染にもなってしまいます。廃油は下水に流さず、適切な管理と処理を心がけましょう。
土に埋めない
廃油は土に埋めて処理することもできません。油には水をはじく性質があるため、土にまいたり、埋めたりして処分してしまうと、その土の保水力の低下や土壌汚染につながります。また、においトラブルや害虫被害のおそれもあるため、やめておきましょう。
悪徳業者に委託しない
産業廃棄物を処理する業者には、「産業廃棄物収集運搬業許可証」や「産業廃棄物処分業許可証」など、特定の許可証が必要です。許可を得ていない業者に依頼した場合、依頼主である事業者に、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、または両方を科されるリスクがあります。そのため、業者を選ぶ際は慎重に確認しましょう。具体的には、業者の公式ホームページの情報だけでなく口コミを調べ、自治体のサイトで許可の有無を確認しましょう。
まとめ
事業に伴って出た廃油は、適切な処理が必要です。産業廃棄物として処理する場合は、自治体や廃油処理業者に依頼するほか、記事内で紹介した便利グッズを使って一般廃棄物として処理も可能です。廃油の種類や量、処分費用を鑑みて、自社に合った適切な方法を選びましょう。誤った方法で処理を行うと、トラブルに発展したり処罰の対象となったりするおそれもあるため、くれぐれも注意が必要です。



