更新日:2024年10月31日
軟水と硬水の違いは? それぞれのメリットや目的別選び方を解説

水に、硬水と軟水の違いがあるのをなんとなく知っている人は多いでしょう。しかし、どういった違いがあるのか、どんなときにどちらを飲めばよいのか、正確に理解できている人は少ないです。
本記事では、軟水と硬水の違いやメリット・デメリットを解説します。水の選び方もシーン別に解説するので、参考にしてください。
軟水と硬水の違いとは?

軟水と硬水の違いは「硬度」にある
軟水と硬水の違いは、水に含まれるミネラルの量「硬度」にあります。主にカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが、多ければ多いほど硬度が高いということになり、硬度が高い水を「硬水」、硬度が低い水を「軟水」と呼びます。
硬度の基準は、日本とWHO(世界保健機関)で異なります。日本では一般的に、1リットルあたりのミネラル量が100mg未満を軟水、100mg以上を硬水と分類しています。一方でWHOでは4つに分類され、1リットルあたりのミネラル量が「軟水」は60mg未満、「中程度の軟水」は60~120mg未満、「硬水」は120~180mg未満、「非常な硬水」は180mg以上が基準です。
日本の水道水やミネラルウォーターは、大半が軟水です。口当たりがまろやかで、後味が残らずさっぱりするため、日本人が飲みやすい水だと言われています。一方で、硬水は苦味やクセを感じる人もいますが、日本人に不足しがちなミネラル成分が豊富です。
軟水・硬水と鉱水の違い
水には、軟水・硬水の硬度による区分以外に、採水する場所・方法・温度や溶存物質(水の中に溶け込んでいる物質)などによって分類される「原水(天然水)」の区分があります。「鉱水」は「硬水」と間違えやすいですが、ポンプなどで採取したミネラル類が含まれる地下水のことで、原水の区分のひとつです。
鉱水にはミネラルが含まれることが前提であることからもわかりますが、一般的に販売されているミネラルウォーターは、鉱水です。ミネラルウォーターの容器の品質表示欄を見ると、「原材料名 : 水(鉱水)」などと記載されており、確認できます。鉱水をさらに硬度で分けると、軟水・硬水に分類されます。
日本は欧米に比べて軟水が多い
日本で採取される水は、軟水が多いです。欧米に比べて軟水が多いのは、地形や土壌の違いが大きく関係しています。
花崗岩が多く国土が狭い日本では、河川が短く山から海までの傾斜が急です。そのため、地層に含まれるミネラルを十分吸収しないまま水が海や川へ流れることで、軟水の割合が高くなっています。
一方、石灰岩が多い欧米では、土地が広く平坦な地形が多いうえに河川が長く、海までの傾斜も緩やかです。降った雨が長い時間をかけて地層に浸透する間に、地下の石灰岩から溶け出したミネラル成分がたっぷりと水に含まれます。そのため、欧米ではミネラル含有の硬水が多いです。
土壌に含まれるミネラル成分や水の土壌内での滞留時間によって硬度は変わるため、採取される土地によって軟水・硬水のどちらが多くなるかが変わります。
軟水のメリット・デメリット

軟水のメリット
軟水の一番のメリットは、口当たりがまろやかで柔らかい飲み心地である点です。胃腸への負担も少なく、子どもや高齢者、胃腸が未発達な赤ちゃんなどに適しています。
軟水は、日本料理との相性もよく、調理に利用しやすい点もメリットです。浸透性が高く、出汁の旨味成分を引き立たせてくれるため、和風出汁との相性がぴったりです。軟水を使って野菜や魚を煮ると、味がしっかりと染み込み柔らかく煮ることができます。コーヒーやお茶の風味もダイレクトに味わえるほか、ご飯がふっくら炊き上がるのも、日本人に好まれる大きな要素です。
また、ミネラル分が少ない軟水は、肌や髪に優しく、刺激を与えにくいです。特に乾燥肌や敏感肌の人は、意識して使用するとよいでしょう。洗剤や石けんの泡立ちもよく、お風呂や洗濯などの使用に向いています。調理や飲用以外でも用途が多い点は、大きなメリットです。
軟水のデメリット
日本人にとって、軟水は多くのメリットがありますが、硬水に比べミネラルの成分含有量が少なく、水を飲んでミネラルを十分摂取したい人にはデメリットとなります。ミネラルは、体調を保つのに必要な成分であり、日頃から一定量摂取するよう心がけることが大切です。ミネラル含有量を重視したいのであれば、硬水を飲むのがおすすめです。
洋食を作るときにも、軟水の使用はあまり向いていないと言われています。軟水でパスタを茹でる際に塩を入れるのは、水にミネラル成分を加え麺にコシが出やすくするためです。また、カレーやシチューを作るのに、抽出力が強い軟水を使うと、肉の臭みまで出てしまうのでおすすめできません。このときに硬水を使うと、素材の旨みを生かした美味しい仕上がりになります。
硬水のメリット・デメリット
硬水のメリット
硬水に多く含まれるマグネシウムは、消化器系の働きを促す効果が期待できます。このため、硬水を飲むと胃腸の働きが活発化し、便秘解消やダイエットにつながる点がメリットです。カルシウムも多く含まれており、動脈硬化予防も期待できます。
また、硬水は口当たりの固さや重さから飲みごたえを感じられます。日本人に不足しがちなミネラルを豊富に含んでおり、手軽に補給できるのもポイントです。効果的に補給するには、起床後・運動時・入浴前などのタイミングで飲むのがおすすめです。
硬水のデメリット
硬水は、使用時に注意した方がいいケースがあります。硬水に多く含まれるマグネシウムは、腸に大きな刺激を与えるため、飲み過ぎるとお腹が緩くなったり下痢などを引き起こしたりする場合があります。普段硬水を飲み慣れていない人は、特に注意が必要です。
腎機能が低下している人も注意が必要です。マグネシウムを多く含んだ硬水を過剰摂取すると、高マグネシウム血症を発症するリスクがあります。血圧が低下したり吐き気をもよおしたりする可能性があるので、注意しましょう。
また、界面活性剤が多く含まれる石けんは、カルシウムやマグネシウムなどのイオンと反応することで石けんカスが発生します。この影響で石けんが泡立ちにくくなるのも、硬水のデメリットです。泡立った状態ででてくるポンプ式の石けんや洗剤を使用すると、入浴や洗濯の際スムーズに汚れを落とせます。
【目的別】軟水・硬水の選び方
軟水・硬水それぞれのメリットを生かすには、目的にあわせてどちらを使うか選ぶことが大切です。ここからは、目的ごとの選び方を解説します。
職場におすすめの水の選び方
職場に配置しておく水は、多くの人が慣れているものを選ぶのがおすすめです。このため、常備しておくミネラルウォーターやウォーターサーバーなどには軟水を選ぶのがよいでしょう。
ただし、紅茶やコーヒーを淹れる場合は、硬水を使うと奥深い味わいになります。使う水によって、紅茶やコーヒーの味が大きく変わるため、社員の好みにあわせて水を選びましょう。飲み物と水の関係については、後ほどさらに詳しく解説します。
料理に適した水の選び方
料理に適した水を選ぶには、和食と洋食どちらの料理に使うかが大きなポイントです。和食の調理でお米を炊いたり出汁を取ったりする場合は、軟水が向いています。軟水はミネラル分が少なく、素材の旨味や出汁の香りなどを引き出すほか、お米が水分を多く吸い粒がふっくらと炊き上がります。お米を炊くのに硬水を使うと、ミネラル分が吸水を妨げてパサパサの炊き上がりになったり、黄色くご飯の色が変わったりすることがあります。
硬水を使うのは洋食が向いており、特に肉料理に使うとカルシウムが肉の臭みを抑えてアクが出やすくなり、旨味を閉じ込めてくれます。ただし、硬度が高過ぎる水を使用すると肉が硬くなることがあるので、硬度に注意して選ぶことが大切です。硬水は、パスタを茹でるのにもぴったりですが、これは硬水に含まれるカルシウムとパスタのでんぷん質が結合し、強いコシが生まれるためです。スープやシチューなどの煮込み料理も、ミネラル分の働きで肉が煮崩れしにくくなります。
コーヒー・紅茶など飲み物に適した水の選び方
日本茶を淹れるのには、軟水が適しています。なぜなら、日本茶の渋み成分であるタンニンが抽出されやすくなり、お茶の旨味がバランスよく引き出されるからです。硬度が高い水でお茶を淹れると、カルシウムがタンニンと結合し、旨味が出にくくなります。一方で、香りを楽しむ中国茶や紅茶などを淹れるには、硬水がおすすめです。
コーヒーは、豆の種類やひき方・ローストの方法などによって異なりますが、一般的には軟水で淹れた方が豆本来の香りを楽しめると言われています。しかし、硬水の中でも、カルシウム分が多い水でコーヒーを淹れると苦味が抑えられ、マグネシウムが多いと苦味が強調されるなど、水には個性があります。苦味や酸味を味わいたい場合、マイルドなコーヒーを味わいたい場合など、好みにあわせて水を選びましょう。
また、赤ちゃんの粉ミルクを作る場合は、軟水を使うようにしましょう。硬水を使うと赤ちゃんの腎臓に負担がかかり、脱水症状を引き起こす恐れがあるためです。軟水のミネラルウォーターを使うか、もしくは水道水を浄水器でろ過して使うのがおすすめです。
お酒の水割りやお湯割りに使う水は、引き出したいお酒の風味にあわせて、軟水と硬水のどちらを選んだらよいかが変わります。例えば、焼酎であれば軟水を使うと甘みを引き出し、硬水を使うと独特の癖を味わえます。
ダイエットに適した水の選び方
ダイエット中の水分補給には、硬水を選ぶとよいでしょう。硬水には、ダイエット中に不足しがちなカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。さらに、カルシウムは脂肪の吸収を抑え、マグネシウムは便秘解消の効果があるなど、ダイエットに役立つ効果が期待できます。
また、ミネラルを継続して摂取すると、基礎代謝がアップします。消費エネルギーが増えると脂肪燃焼効果も高まるため、痩せやすい体質を目指したい人には、硬水がおすすめです。
ただし、胃腸が敏感な人が硬水を過度に摂取すると、胃腸に大きな負担がかかります。便通効果が強くでると下痢になってしまったり、下痢の症状がひどいと脱水症状になったりするリスクもあります。この場合は、軟水を取るようにしましょう。硬水の飲みにくさに抵抗がある場合も、無理なく飲み続けられる軟水を選びましょう。
美容・健康に良い水の選び方
軟水は、肌や髪などに優しく、洗顔や洗髪に適しています。対して、硬水は不足しがちなミネラルを手軽に補給でき、カリウムの摂取による乾燥肌・シワなどの改善や、カルシウムの摂取による骨折・骨粗鬆症・フレイル(心身の衰えによる諸症状)などの予防につながる点が大きな利点です。さらに、便秘の解消により腸内環境が整うと、吹き出物などの肌荒れ改善効果も期待できます。
軟水・硬水のどちらを飲むときも、タイミングに気を配るのがポイントです。水を飲むおすすめのタイミングは、就寝前・起床後・運動前後などです。どのタイミングも、体内の水が不足しがちになるため、意識的に水を摂取することが、美容・健康に役立ちます。
ミネラルウォーターの硬度
日本では多くのミネラルウォーターが販売されています。取水地や販売エリアによって硬度には幅があるため、気になる場合は、製品を購入する前に確認しましょう。取水地が日本国内であれば、ほとんどのミネラルウォーターは軟水に該当します。
一方、海外産のミネラルウォーターは硬水が一般的です。例えばフランスの「エビアン」の硬度は304mg/Lで「非常な硬水」、同じくフランスの「コントレックス」の硬度は1,468mg/Lで非常な硬水の中でも硬度が高い方に分類されます。
軟水・硬水でどちらを選ぶか悩む人もいるでしょう。その場合には、軟水・硬水の中間の「中硬水」を選ぶ選択もあります。中硬水は硬水の中でも硬度が低く、101~300mg/Lです。適度にミネラルを含むうえにマイルドなため、飲みやすさとミネラル摂取の両方を求める人に好まれています。
さまざまな人が勤務するオフィスなどでは、好みや用途が多様です。苦味の効いたコーヒーを淹れたい人、まろやかな水を飲みたい人、胃腸の調子を整えつつ水分補給をしたい人などがいるでしょう。使う目的や社員の好みなどにあわせ、最適なミネラルウォーターを選び、整備することが重要です。
まとめ
軟水と硬水の違いは、ミネラルの含有量です。それぞれのメリットとデメリットをふまえ、用途・し好・体調にあわせて水を選びましょう。オフィスで箱買いなどし、各種ミネラルウォーターを常備しておくのも良いでしょう。
ミネラルウォーターの人気売れ筋ランキング

嬬恋銘水 ナチュラルミネラルウォーター 500mlキャップシール付き/2Lラベルレス 10本
¥1,070~販売価格(税込)

¥686~販売価格(税込)

アイリスフーズ株式会社 富士山の天然水 ラベルレス 500ml 1セット(48本)
¥2,478販売価格(税込)
あわせて読みたい!関連&新着記事
おすすめ昇降デスクの選び方ガイド|種類や特徴、メリットも紹介
おすすめPCデスクをタイプ別・メーカー別紹介! 失敗しない選び方も





