更新日:2025年5月15日
木材用の「木ねじ」とは?ビスやドリルねじとの違いや種類、選び方

木ねじとは、木材の接合に特化したねじで、建築や木材加工の現場からDIYまで幅広く使われます。この記事では木ねじの使い方やメリット、またビスやドリルねじとの違いについて解説します。素材や形状による違い、木ねじの種類や選ぶポイントも紹介しますので、木製品の組み立て、修理などで木ねじを使用する際はぜひお役立てください。
木ねじ(もくねじ)とは?
木ねじは、木材どうしを接合するために使用します。ねじ自体が木でできているわけではなく、鉄やステンレスなどさまざまな材質のものがあります。
木ねじの先端は尖っており、軸に沿ってねじ山が付いている形状です。木材を切りながら、木ねじのねじ山が食い込むことで、木材とねじが密着し、木材と木材を締めつけて接合できます。
作業をする際は、接合部にキリやドリルを使ってあらかじめ下穴を作っておきます。下穴の大きさは、ねじの太さの約7割が目安です。下穴を作ってから接合すると、木材の割れやねじの斜め食い込みを防げます。さらに、下穴に沿ってプラスドライバーでねじを締めると、しっかり固定することが可能です。なお、下穴を大きく開けてしまうと、隙間ができて、しっかり接合できないため注意しましょう。
木ねじは、木材をしっかりと接合するために設計されています。金属に適したねじの場合は、通常は鉄を硬くするための焼き入れが施されますが、木ねじは硬さを求められないため、焼き入れを行わないのが一般的です。また、木ねじの約3分の2にはねじ山がありますが、残りの部分は溝のない円筒状になっています。
木ねじの頭部の形状や軸の長さはさまざまで、材質も鉄やステンレスなど種類が多数あるため、目的に適したものを選び、しっかり木材どうしを接合するために使用しましょう。

ビスとの違い
ビスとは棒状で周囲にねじ山があり、先端が尖った金属製部品を指します。直接ねじ込むだけでしっかりと固定できることが特長です。主にプラスチックや木材など、柔らかいものどうしを接合する際に使われます。
一方、ねじは先端が尖っていないものを指すのが一般的で、木ねじはビスの一部に分類されます。
ドリルねじとの違い
ドリルねじとは、ねじの先端が切り刃先(ドリル刃)になったねじのことです。木材のような柔らかい素材ではなく、金属どうしをつなぐ際によく使われます。
ドリル刃を回して金属板に穴を開けることが可能で、下穴開けから、取り付け材にねじの目を刻むタップ立て、さらに締めつけまでを全て1本で済ませられます。
下穴を開けずに直接金属板を固定できるため、作業効率が良く、さらに強度が高いことが特長です。ただし、ねじ込みに強い力が必要なため、使用には電動ドライバーなどの電動工具が必要です。
木ねじを使用するメリット
木材の接合には釘を使うことも一般的ですが、木ねじとは構造や役割が異なります。木ねじは、必要に応じて取り外しやすく、接合部の強度をしっかり保てることが特長です。そこで、釘と木ねじのどちらを選ぶべきかを判断しやすくするために、木ねじのメリットを詳しく解説します。
接合部は再び分解できる
釘で接合した木材を分解する際には、奥まで入った釘を抜くのは難しく、引き抜く間に木材が割れたり破損したりする可能性があります。
一方、木ねじはドライバーを使って簡単に取り外し可能で、木材の破損のリスクを抑えられます。また、再び接合する際も、元の穴に差し込めるため、作業は容易です。
分解する可能性がある場合は、解体しやすい木ねじを使うことを検討しましょう。
釘に比べるとしっかりと固定できる
ねじ山を木材に埋め込んでいく木ねじは、木材と接する表面積が大きくなり、しっかりと固定できるのが特長です。また垂直にかかる力に強いため、釘に比べて垂直方向に抜けにくいといったメリットがあります。
棚や箱のように、ある程度の重量を支える必要がある場合は、木ねじが適しています。特に、垂直方向の力に強いため、上から吊り下げるものをしっかり固定するのに最適です。
一方、水平方向の力には木ねじより釘の方がすぐれた接合力を発揮する場合もあります。地震は主に横からの力が強いため、耐震の観点から、家などの建造物には今も釘が使われています。
木ねじに使われる素材と特徴
木ねじにはさまざまな素材が使われており、それぞれに特性や用途の違いがあります。主に使われるのは「鉄」と「ステンレス」の2種類です。用途に応じて適切な素材を選ぶことで、木材の接合をより確実に行えます。
鉄
鉄製の木ねじは、ステンレス素材より安価です。多くの木ねじを使用する場合、コストパフォーマンスの良さは見逃せません。ただし、ステンレスに比べて鉄は錆びやすいため注意が必要です。屋内の使用に適していますが、雨風にさらされる屋外での使用には気をつけましょう。
また、ステンレスに比べて鉄は柔らかく、特に長い木ねじは、打ち込む途中で折れたり曲がったりしやすいため、使用の際は注意しなければなりません。
なお、鉄の木ねじの表面にはさまざまなメッキが施されています。メッキの素材によっては、錆びやすさを抑えられるものなど、それぞれの特徴があるため、使用する場所によって使い分けが必要です。
例えばクロムをメッキした「クロムメッキ」は、光沢があって美しく、耐久性や防錆性、耐食性にもすぐれています。また、亜鉛メッキの上にクロメート処理を施した「ユニクロメッキ」はくすんだ白色で、光沢感はクロムメッキには劣りますが、安価で耐久性・防錆性も高いのが特長です。
ほかにもニッケルやステンコートなど、さまざまな種類のメッキがあります。ステンコートは防錆処理が施されているので、ステンレスに近い使用感が期待できます。
メッキは色のバリエーションも豊富です。オーソドックスな銀色以外にも、赤褐色の銅メッキや黄金色の真鍮、黒っぽいメッキなどがあります。接合するものや色にあわせて選べるのも、鉄製木ねじの利点のひとつです。
ステンレス
ステンレスとは、主成分である鉄にクロムなどを含んだ合金のことです。ステンレスの木ねじは錆びにくく、高い強度と耐久性を備えていることが特長です。
鉄に比べて錆びにくいため、ウッドデッキなど屋外に設置するものや、水回りで使うものに適しています。錆びにくいため、メンテナンスの手間が少なく、扱いやすさがあります。
ただ、合金のため鉄よりも高価です。屋内用には鉄、屋外用にはステンレスなど、使用する場所や用途に応じて使い分けることをおすすめします。
木ねじの種類
木ねじは頭部の形状や長さ、大きさによって種類はさまざまです。頭部の形状には丸頭や皿頭、丸皿頭などがありますが、主に使用されるのは丸頭と皿頭の2種類です。また、形状では、コーススレッドとスリムビスの2種類がよく使われています。ここでは4種類の木ねじの特徴を紹介します。
丸木ねじ(丸頭)

「丸頭」とは、頭部が立体的に丸く盛り上がったねじのことです。頭部側の軸の部分が平らなため、木材と接する部分が大きく、しっかりと固定できます。ただし、木材を接合したときに頭部が出っ張るため、使用場所には注意が必要です。接合が完了した際、木ねじが邪魔になる場合もありますが、デザインの一部として使用されることもあります。
丸頭の木ねじは、接合する上側の木材が薄い場合に多く使用されます。頭部と木材の隙間ができないようにワッシャー(座金)を使うと強く接合できます。
皿木ねじ(皿頭)

頭部が皿状に平らになった形をした皿木ねじは、木ねじとしてはポピュラーな形状です。木材を接合したときに頭部が出っ張らず、フラットに仕上がります。ねじの存在を目立たせたくない場所に適しています。
ほかのタイプより軸が太めで、短いものが多い傾向があります。皿頭の木ねじを使う際は、下穴とは別にねじの頭部を木材に埋め込めるよう、「ザグリ加工」を施すことが多いです。
ザグリ加工は、キリで下穴を開けた後、ドリルなどで頭部を隠すための掘り込みを入れる加工法です。ザグリ加工により仕上がりが綺麗になるだけでなく、出っ張りがなくなるなど、ほかの部品との干渉も防げ、安全性が高まります。また、木材と頭部が密着することで、締結力を強化します。
コーススレッド

「コーススレッド」とは英語で「粗い」をあらわす「coarse」と、「ねじ山」をあらわす「thread」をあわせた言葉です。その名の通り、ねじ山が大きくて粗く、軸がやや太めのねじです。
ねじ山がしっかりと中に食い込むため、接合したときの強度が高く、DIYから業務用まで幅広く使われています。ねじ山が大きくて軸が太く、木材が割れやすいので、使用前に下穴を開けて、割れるのを防ぎましょう。ベニヤ板やパイン材など、比較的柔らかい木材の接合に適しています。
スリムビス

コーススレッドに似た細身のねじで、ねじ山が小さく間隔も短いのが特徴です。
ねじ山が小さいため木材に打ち込んでも割れにくく、下穴処理をしなくても使用できます。チーク材などの堅い木材にも対応し、折れ曲がりやねじ切れが起こりにくいのがメリットです。
ただ、スリムビスはコーススレッドに比べると接合部の強度が弱くなるのがデメリットです。強度が求められる家具には向きませんが、薄い木材を接合する場合などに重宝します。
木ねじの2つの選び方
木材をしっかりと固定するためには、適切な木ねじを選ぶことが重要です。選び方を間違えると、固定力が弱くなったり、木材が割れたりする原因になることもあります。木ねじを選ぶ際は、「長さ」と「形状」の2つのポイントを押さえると、用途に合ったものを見つけやすくなります。
1. 木材の厚さの2倍~3倍の長さの木ねじを選ぶ
木材の接合時には、適切な長さの木ねじを選ばなければなりません。短すぎると接合がしっかりできず抜けやすくなり、長すぎるとねじが木材を貫通してしまったり、割れてしまったりする可能性があります。
一般的には、木ねじの長さは固定する木材の厚さの2~3倍が目安です。例えば、30ミリの木材を接合したいなら、60~90ミリの木ねじを選びます。
また、取り付けたい木材の厚みに20ミリを加えるという方法もあります。下地となる木材に20ミリほど木ねじが食い込んでいれば、しっかり固定されると言った原理です。例えば、30ミリの木材を接合する場合は、50ミリの長さのものを選びます。下地となる木材が20ミリ以下の場合は、少し短い木ねじを選びましょう。
上記2つの目安を基準に考えた場合、30ミリの木材を接合するなら適切な厚さは50~90ミリとなります。また木ねじは、木材の厚さの3分の1以下の長さを選ぶと、割れを防ぎやすくなります。その範囲の中で、求める強度や接合する木材の特徴などを考慮して、長さを選んでください。
2. 木ねじの形状から選ぶ
コーススレッド(またはスリムビス)は、ねじ山の長さによって「全ねじ」と「半ねじ」の2種類に分けられます。
全ねじ
「全ねじ」とは、頭部から先端まで全てにねじ山が付いているねじを指します。頭部までねじ山で切り込みながら接合できるため、高い強度を持ちます。
ただし、ねじ山を頭部まで食い込ませるため、木材が割れやすく、一度接合すると取り外しにくいことがデメリットです。重いものを置くなど強度が必要な接合や、すでに接合しているものの補強に適しています。
全ねじで接合する場合、木材の全ての部分にねじが食い込みます。そのため、接合する木材どうしに隙間があると、ねじを打ち込んでも隙間が縮まらないまま固定されてしまうことがあります。密着せずに接合してしまった場合、ゆがみやぐらつきの原因になるので注意が必要です。隙間をなくすために、クランプなどの工具で固定してからねじを打ち込みましょう。
半ねじ
「半ねじ」は、軸の半分から3分の2程度にねじ山が付いているねじです。ねじ山のない部分は凹凸がなくツルッとしているため、頭部に近い木材はねじが食い込まず空回りしやすくなります。ねじを打ち込むほど下地の木材が引き寄せられ、隙間なくつなげられますが、強度自体は全ねじと比較すると若干劣ります。
一般的に、木材の接合には半ねじが向いていますが、接合する木材が薄い場合は、半ねじでは上の木材にねじが引っかからないため、全ねじを使用します。
また、半ねじは全ねじよりも比較的安価なものが多いため、強度が求められる場所以外では半ねじを使用することで、コストを抑えることが可能です。
まとめ
木材の接合に適した木ねじは、強度が高くしっかり固定でき、引き抜きもしやすいのが特長です。鉄製やステンレス製など種類が多いため、屋内や屋外、水回りなど、使用する場所に適した木ねじを選ぶ必要があります。接合する木材の2~3倍の長さのねじを使うなど、使用目的に応じて使用しましょう。
さまざまな木ねじが揃っているため、使用する場所や材質、木材の厚さなどに適した木ねじが見つかります。
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