更新日:2024年4月30日
コンパウンドとは?種類や選び方、使用方法、注意点について詳しく解説!

家庭の車はもちろんのこと、社用車を保有している企業では、丁寧に取り扱っていても何らかの原因で車に傷が付き、対応に苦戦している方も多いのではないでしょうか。
また、自動車関連の商品・サービスを取り扱っている企業では、顧客から車に付いた傷を消す方法について質問される場面もあるでしょう。
この記事では、自動車に付いた傷を消すために使用される「コンパウンド」について詳しく解説します。種類や選び方、使用する手順、注意すべき点も解説するので、ぜひ参考にしてください。
コンパウンドとは
コンパウンドとは、車のボディーに付いた傷を消す(目立たなくする)ために使用される研磨剤のことです。研磨剤として機能する粒子や薬剤が混合されている製品なので、英語で「混合物」を意味する「コンパウンド(compound)」という単語で呼ばれています。
コンパウンドで磨くと、細かい段差をなくして塗装面をなめらかにできるため、傷を見えにくくすることが可能です。ただし、研磨するとその分塗装が薄くなってしまうため注意しましょう。磨きすぎると、逆に車を傷つけてしまう可能性があります。
研磨剤の粒子の大きさが傷の程度に合うものを選び、研磨しすぎないように慎重に作業することが大切です。
コンパウンドで消せるのは「クリア層」と呼ばれる、爪が引っかからない程度の深さまでの傷に限られます。下地の層やボディーカラーの層にまで達している傷に関しては、コンパウンドでは消しきれないことを覚えておきましょう。
コンパウンドの種類
コンパウンドは、「油性/水性」「ペースト状/液状」「粒子の大きさ」といった観点によって、複数のタイプに分類されます。
油性のコンパウンドには、「液だれしにくい」「傷が油分で埋まり、磨ききれていなくても目立ちにくい」「初心者でも扱いやすい」といった特長があります。一方で、「研磨力が低い」「付着したコンパウンドが落ちにくい」といったデメリットもあるため注意が必要です。
水性のコンパウンドは研磨力が高く、作業効率に優れています。ただし、「磨き残しが目立ちやすい」「研磨カスが発生しやすい」「液だれしやすい」といったデメリットもあることを認識しておきましょう。
ペースト状のコンパウンドは粘度が高く、流れにくい性質があります。「横や下部、斜めになっている部位に使いやすい」というメリットがある一方で、「広がりにくく、磨きムラが生じやすい」というデメリットもあるのでご注意ください。
液状のコンパウンドは、粘度が小さく、流れやすい性質があります。「広がりやすく、磨きムラが生じにくい」という点はメリットですが、「横や下部、斜めになっている部位には使いにくい」という点はデメリットといえるでしょう。
コンパウンドに含まれる粒子の大きさも重要な要素です。粒子が粗いほど削る力が強く、細かいほど削る力が弱くなります。キレイな仕上がりを実現したい場合は、粒径が異なる製品を複数用意し、細かいものから順番に使用していきましょう。
コンパウンドの選び方
浅い傷であれば、粒子が細かいタイプのコンパウンドでも十分に対応できます。しかし、深い傷には粒子が粗い研磨力が強いコンパウンドを使用する必要があります。
大切なのは、傷の状態に合わせて適切な粒子サイズのコンパウンドを使い分けることです。傷の程度が判断できない場合は、まずは細かい粒子のコンパウンドで磨き、傷が消えるかどうかをチェックしてください。
また、部位によってペースト状のコンパウンドと液状のコンパウンドを使い分けることも大切です。横や下部、斜めになっている部位にはペースト状のコンパウンドを、広い面を一気に磨きたい場合は液状のコンパウンドを使用しましょう。
作業時間を短縮したいなら、粒子が粗いコンパウンドがおすすめ
研磨力が高いコンパウンドは作業効率の面で優れているため、作業時間を短縮したい場合は、粒子が粗いタイプを選ぶことをおすすめします。ただし、仕上げの際には細かい粒子のコンパウンドを使うようにしましょう。
粒子がどの程度の細かさなのかは、製品のパッケージやメーカーの公式サイトに記載されています。「粗目」「細目」「極細目」「超極細」といった表記、あるいは、「数字」の記載があり、数値が大きくなるほど粒子が細かくなることを覚えておきましょう。
なお、コンパウンドの扱いに慣れていない初心者は、削りすぎてしまったり、磨き傷を付けてしまったりする場合があるので、慎重に作業してください。初心者には、粒子の細かいコンパウンドや、油性のコンパウンドがおすすめです。
油性のコンパウンドは液だれしにくく、傷が油分で埋まるため、磨ききれていなくても目立ちにくいという利点があります。ある程度の経験を積んだら、研磨力が高く作業効率に優れている水性のコンパウンドを使用しましょう。
鏡面に仕上げるのであれば、粒子が細かいコンパウンドがおすすめ
「鏡面に仕上げたい」「つや出しをしたい」とお考えの場合は、粒子が細かいコンパウンドの使用をおすすめします。
なお傷の状態によっては、最初から粒子サイズが細かいコンパウンドを使用するのではなく、まずは粒子サイズが大きいコンパウンドを使用したうえで、仕上げの段階で粒子サイズが細かいコンパウンドを使用するようにしましょう。
コンパウンドを使った車のメンテナンス方法

ここからは、コンパウンドを使用した車のメンテナンス方法について解説します。メンテナンスの具体的な手順は下記のとおりです。
- 洗車をする。
- 道具を用意し、養生する。
- 傷の周辺に均等に塗布したうえで、磨く。
- タオルなどで拭き取る。
各ステップについて詳しく解説します。
1. 洗車をする
まず、車体に付いている汚れを水などで丁寧に洗い落としてください。
汚れが付着したままの状態でコンパウンドを使用すると、泥などに含まれる粒子によって傷がない部分にも傷が付いてしまう可能性があるので注意しましょう。
2. 道具を用意し、養生する
次に、下記の道具を用意しましょう。
- コンパウンド
- コンパウンドを付けるためのスポンジ
- 拭き取るためのキレイな布・タオルなど
そして、タイヤやライト、ドアの隙間といった箇所にコンパウンドが付着・侵入しないように、マスキングテープやビニールでしっかりと養生してください。
3. 傷の周辺に均等に塗布したうえで、磨く
摩擦熱の発生を防止するため、スポンジを水で濡らしたうえで、傷の周辺にコンパウンドを塗布しましょう。ペースト状のコンパウンドの場合は1cm程度、液状のコンパウンドの場合は500円玉サイズが目安です。
複数の種類のコンパウンドを使用する場合は、粒子の細かいタイプから順番に使ってください。粒子の粗いコンパウンドから使用すると、余計な傷が付きやすくなるため注意が必要です。
傷の周辺にスポンジを軽く押し当ててコンパウンドを均等に塗布したら、スポンジの研磨面を使って磨いてください。また、円を描くように動かすと傷やムラの原因になるので、縦方向や横方向に、直線的にスポンジを動かしましょう。
4. タオルなどで拭き取る
付着しているコンパウンドをタオルなどで丁寧に拭き取り、傷が残っているかどうかをチェックしてください。そのうえで仕上げとして、粒子サイズが細かいコンパウンドで再度磨きましょう。
磨き終わったら、養生のために取り付けたマスキングテープやビニールを外して完了です。
コンパウンドの使用時に注意すべき点
下記は、コンパウンドを使用する際に注意すべき点です。
- 消えない傷がある場合は、無理をしない
- 塗装されている部位のみに使用する
- しっかりと洗車をしたうえで使用する
- 屋内または日陰になっている場所で使う
それぞれについて詳しく説明します。
消えない傷がある場合は、無理をしない
コンパウンドで消せるのは「クリア層」と呼ばれる、爪が引っかからない程度の深さまでの傷に限定されます。それ以上に深い傷はタッチペンや板金で修理する必要があります。
コンパウンドで磨いても消えない傷がある場合は無理をせず、専門業者に修理を依頼することも検討しましょう。
塗装されている部位のみに使用する
コンパウンドは、塗装されている部位のみに使用してください。
ゴムや樹脂素材が使用された塗装されていない部位にコンパウンドが付着してしまうと、除去が困難になる可能性があります。また、タイヤに付着すると変質してしまう可能性があるので、丁寧に養生作業を行いましょう。
しっかりと洗車をしたうえで使用する
汚れが付着した状態でコンパウンドを使用すると、泥などに含まれている粒子によって、傷を増やしてしまう可能性があります。
しっかりと洗車をして、汚れが落ちた状態になってからコンパウンドを使用してください。
屋内または日陰になっている場所で使う
日光が当たる場所に車を長時間放置してしまうと、ボディーが熱を持ちやすくなります。
車が熱を持っている状態で作業をすると、必要以上に塗装面を剥がしてしまう可能性があるため注意が必要です。コンパウンドを使ってメンテナンスを行う際は屋内、もしくは屋外であっても日陰になっている場所で作業するように心掛けましょう。
まとめ
コンパウンドとは、車に付いた傷を消すために使用される研磨剤のことです。多種多様なコンパウンドがあるため、価格や粒子のサイズなどをチェックしたうえで予算や車に合った製品を選ぶことが必要です。
種類や選び方、使用する手順、注意すべき点を正しく理解したうえで、シチュエーションに合ったコンパウンドを使い分けましょう。
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