更新日:2024年4月30日
除草剤はどう選ぶ?種類ごとの特徴や効果的な使い方を詳しく解説!

除草剤とは、雑草を枯らすために使われる農薬のことです。周囲の植物の成長を妨げたり、人の生活に悪影響を及ぼしたりする雑草などを除去する際に使用されます。
駐車場や庭などにしつこく生えてくる雑草を駆除するためには、除草剤を使用するのが効率的です。また、草むしりに時間をかけたくない場合や、雑草だけを駆除したい場合にも向いています。
しかし、さまざまな種類の除草剤が販売されているため、どれが最適なのか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。この記事では、除草剤の種類や選び方、除草剤利用時の注意点を解説します。ぜひ除草剤選びの参考にしてください。
除草剤の種類と選び方
まずは、除草剤の種類と選び方を紹介します。除草剤を選ぶ際は、以下のようなポイントに注目しましょう。
- 利用する場所に応じて選ぶ
- 目的や効果に応じて選ぶ
- 使い方の手軽さ重視で選ぶ
それぞれ詳しく解説します。
利用する場所に応じて選ぶ
除草剤にはたくさんの種類がありますが、大きく次の2種類に分類されます。
| 除草剤の種類 | 使用の目的 |
|---|---|
| 農薬登録されている除草剤 | 農作物や樹木、芝、花きなどの栽培・管理のため |
| 農薬登録されていない除草剤 | 道路、駐車場、グラウンドなどの栽培や管理している植物がない場所に使用 |
出典:農林水産省「除草剤の販売・使用について」をもとに筆者作成
農耕地やその付近だけでなく、家庭菜園や庭園、花壇、公園、緑地などで除草剤を使用する場合は、農林水産省に農薬登録されている除草剤を使うことが農薬取締法で義務付けられています。
このように、除草剤は散布する場所によって使える種類が限られるため、利用場所に応じて選びましょう。
住宅街で使用する場合は、近隣や隣家との環境にも配慮しましょう。特に境界などに使用する場合は隣家側の花苗や樹木に影響を及ぼす場合があるので注意が必要です。使用条件について、使用当日の風向きなどにも配慮して飛散などにも充分気をつけましょう。
除草剤の容器や包装に「農林水産省登録第〇〇〇〇〇号」の記載があるものは、農薬登録されている商品です。登録されていない商品には登録番号の記載がなく、容器や包装、陳列棚などの見やすい場所に農薬として使用できない旨が記載されています。購入時には登録の有無を必ず確認してください。
農薬登録されている除草剤には、特定の雑草を枯らす除草剤と、すべての作物や雑草を除去する除草剤があります。前者を「選択性除草剤」、後者を「非選択性除草剤」といいます。それぞれが持つ影響や効果、除草剤の例は次の表のとおりです。
| 除草剤の特性 | 影響・効果 | 除草剤の例 |
|---|---|---|
| 選択性除草剤 | 作物には影響がなく、雑草だけを枯らす | 農耕地用除草剤、芝生専用除草剤、コケ専用除草剤、イネ科雑草専用除草剤、広葉雑草専用除草剤など |
| 非選択性除草剤 | すべての作物と雑草を枯らす | 非農耕地用除草剤 |
出典:熊本県「熊本県病害虫・雑草防除指針<令和5年度(2023年度)版>」をもとに筆者作成
「選択性除草剤」の農耕地用除草剤は作物を枯らす作用がないため、農耕地だけでなくその周辺や家庭菜園、公園など、農作物や植物を栽培・管理するすべての場所で使うことができます。
また、芝生専用除草剤は芝生を枯らさずに、雑草だけに作用するよう作られています。一般的な除草剤だと大切な芝生も一緒に枯らしてしまうため、芝生専用のものを選ぶと良いでしょう。芝が日本芝なのか、西洋芝なのかによって使う除草剤は変わるため、パッケージの記載を確認してください。
他にも、コケ専用やイネ科雑草専用、広葉雑草専用など特定の雑草に作用する除草剤もあります。除去したい雑草の種類に合った除草剤を選ぶことで、より高い効果を得られます。
「非選択性除草剤」に分類される非農地用除草剤は、散布する場所に生えているすべての植物を枯らす作用があります。自宅の庭や駐車場などに生えている植物をすべて除去する目的で利用できます。
農非農耕地用除草剤のなかには、農薬登録がされていないものもあるため注意が必要です。農薬登録をされていないものは、例え自宅の庭であっても散布できません。近くに農地や庭、緑地など植物を栽培・管理している場所がない場合に限り、道路や空き地、駐車場などで使うことができます。
目的や効果に応じて選ぶ
除草剤の効果は、薬剤の形状によって異なります。ここでは、次の3つの形状について解説します。
- 粒剤(土壌処理剤)
- 液剤(茎葉処理剤)
- ハイブリッドタイプ
それぞれ使われる目的や効果が異なるため、用途に合わせて選びましょう。
粒剤(土壌処理剤)
粒剤は、土に溶けた粒の薬剤成分を雑草の根が吸収して枯れる仕組みの除草剤です。撒いてから効果が出る前に時間がかかりますが、手軽に使用できるうえに長期間効果が持続する点がメリットです。
長期間雑草を生えさせたくない場合に向いています。
液剤(茎葉処理剤)
液剤は、葉や茎から除草成分を吸収させて雑草を枯らす仕組みの除草剤です。葉面からの浸透移行で根まで吸収されます。
そのまま使えるタイプと、水で薄めて使う原液タイプの2種類があります。粒剤よりも短い期間(1日〜数日程度)で効果を感じられるため、素早く除草できます。
液剤は、すでに生えている雑草をどうにかしたい方や短期間で効率的に除草したい方に向いています。
ハイブリッドタイプ
なかには、上述した粒剤(土壌処理剤)と液剤(茎葉処理剤)、両方の効果を併せ持つハイブリッドタイプの除草剤もあります。除草効果が長期間持続しやすい点が魅力ですが、値段は粒剤や液剤よりも高い傾向があります。
雑草を枯らす効果と生えさせない効果をどちらも実感できるため、より短期間で効率的に除草したい場合に向いています。
使い方の手軽さ重視で選ぶ
除草作業の手間を極力減らしたいなら液剤の除草剤がおすすめです。液剤の除草剤には、薄めて使う「希釈タイプ」とそのまま使える「シャワータイプ」、「スプレータイプ」の3種類がありますが、なかでも手軽に使えるのは「シャワータイプ」と「スプレータイプ」です。
希釈タイプのものは希釈倍率が高いものが多く(1000倍~2000倍が多い)取り扱いに注意が必要ですが使用効果は高いです。
シャワータイプやスプレータイプは製品として既に希釈されており(300倍~500倍程度)希釈タイプに比べると使いやすい分、複数回散布することも必要です。
ここでは、そのまま使えるタイプの液剤の特徴や向いている使い方などを解説します。
シャワータイプ
薄めずに使えるシャワータイプは、そのまま土壌にシャワーをかけるように使える手軽さが魅力です。まんべんなく雑草に塗布しやすいため、除草剤をはじめて使う方でもムラなく塗布しやすいでしょう。
ただし、広範囲に除草剤を使いたい場合は、希釈タイプのほうが割安な場合が多いため、除草剤を使う範囲や予算に合わせて選んでください。
スプレータイプ
さっとスプレーするだけで、簡単に除草剤を撒けるスプレータイプ。薄める手間がなく、除草剤を使い慣れていなくてもシュッと手軽に使用できる点が魅力です。
スプレータイプは、狭い範囲の除草をしたい場合やピンポイントに塗布したい場合に向いています。
除草剤活用のメリット

除草剤活用のメリットとして、以下のようなものが挙げられます。
- 雑草を簡単に枯らせる
- 簡単に入手できて誰でも使える
それぞれのポイントを詳しく解説します。
雑草を簡単に枯らせる
草むしりや草刈機を使った除草は手間がかかるうえ、無理な姿勢で作業をしたり慣れない機械を操作したりする必要があり大変です。更に、広い土地であれば人手も必要になります。
除草剤を使えば簡単に雑草を除去できるため、手間やコストを減らすことが可能です。また、除草効果が長く続くものもあるため、頻繁に散布をする必要がなく、雑草駆除にかける時間も減らせます。
簡単に入手できて誰でも使える
除草剤はホームセンターやドラッグストアなどに売っているため、除草したいと思った際にすぐ買いに行ける点がメリットです。近くに取扱い店舗がない場合は、オンラインで購入することもできます。安価な商品も多く、除草剤にあまりコストをかけられない場合でも使いやすいでしょう。
シャワータイプやスプレータイプなど、初心者でも簡単に使える除草剤なら、誰でも簡単に使用できます。
除草剤活用のデメリット
除草剤を使用するメリットがある一方、以下のようなデメリットもあります。
- 効果が一時的
- 雑草以外の植物を枯らしてしまう場合がある
それぞれ注意点を詳しく解説します。
効果が一時的
除草剤は簡単に雑草を取り除けるものの、効果はあくまで一時的なことが多いです。成長の早い雑草だと、せっかく除草剤を使用してもまたすぐに生えてきてしまうケースもあります。
除草剤の効果を少しでも長く持続させるためには、何度か継続的に使う必要があります。徹底的に雑草を駆除したい場合は、何度か作業を繰り返す必要があることを把握しておきましょう。
また、一回の散布にかかるコストはそれほど高くなくても、繰り返し使用するとコストがかさみます。継続的に使うことを前提に、使いやすさと費用のバランスを考えながら除草剤を選びましょう。
雑草以外の植物を枯らしてしまう場合がある
除草剤のまき方によっては、雑草以外の植物を枯らしてしまう場合があります。除草したい雑草の周囲に枯らしたくない大切な植物がある場合は、除草剤の散布方法に注意が必要です。
また、庭の雑草にかける場合は、除草剤の効果が隣家にまで及んでトラブルになる場合もあります。事前に除草剤を使用する旨を伝えて、了承を得てから作業を行いましょう。
除草剤の使い方のポイント
せっかく効果の高い除草剤を使用しても、正しい使い方をしないと十分な効果が現れない可能性があります。ここからは、除草剤を効果的に使う3つのポイントを紹介します。
- 効果的なタイミングに除草剤を撒く
- 除草剤の希釈倍率や量を守る
- 均一になるように除草剤を撒く
これらのポイントを踏まえて、効果的に除草剤を使用しましょう。
効果的なタイミングに除草剤を撒く
除草剤を撒くのに最適なタイミングは、除草剤の種類によって異なります。撒く時期によって除草効果が変わるため、適切なタイミングを見極めましょう。
例えば、雑草の根から吸収されて雑草を枯らす粒剤は、雑草が生えてくる前に撒くことで効果を十分に発揮できます。
一方、葉や茎から除草成分を吸収させて雑草を枯らす液剤は、葉面からの浸透移行性で根まで届き吸収されるため、雑草がある程度育っている状況で散布するのが効果的です。
また、除草剤を撒く際は、晴れ間が続くタイミングを選びましょう。散布する翌日が雨予報の場合は、せっかく散布した薬剤が浸透する前に流出して効果が下がる傾向があるので翌日が晴れの日を選び散布することがおすすめです。
除草剤の希釈倍率や量を守る
原液タイプの除草剤は、パッケージに記載されているとおりに希釈する必要があります。希釈倍率が合っておらず薄すぎる場合、除草効果を得られない場合があります。
反対に濃すぎる場合は、土壌を痛めるだけでなく健康被害に繋がる可能性もあるため、必ず希釈倍率を守って使用しましょう。
作業を行う前には説明書を必ず読み、注意点を把握した上で作業を進めてください。
均一になるように除草剤を撒く
除草剤が雑草にまんべんなく撒かれていないと、一部分だけ除草剤の効果が出ない場合があります。撒くときは、ムラなく全体に行き渡るように意識しましょう。
均一量が出るスプレータイプの除草剤を使うと、初心者でもまんべんなく撒きやすいためおすすめです。
また、横に一直線に撒くのでは無く、円を描くように丸を重ねながら撒いたり、縦横にジグザグと撒くなど工夫すると、ムラが出にくいです。専用の噴霧器などを活用するのも良いでしょう。
除草剤利用の注意点
冒頭でも紹介したとおり、除草剤は薬品の一種です。思わぬトラブルを避けるためにも、使用上の注意を守ることに加えて、安全対策を講じることが大切です。
ここでは除草剤使用時の注意点をいくつか紹介します。
- 安全対策を万全にして作業を行う
- 周囲に影響がないか確認する
- 斜面では使用しない
上記の注意点を守って、安全に除草剤を使用しましょう。
安全対策を万全にして作業を行う
薬品である除草剤を使用するときは、安全対策を万全に行う必要があります。除草剤を扱う際は、手につかないよう必ず手袋をして作業を進めてください。万が一、除草剤が直接手に付着した場合は、すぐに石鹸でよく洗い流しましょう。
防塵マスクなどで飛散薬剤を直接口から吸収しないよう細心の留意も必要です。作業後には必ずうがいなどをしましょう。
また、皮膚吸収もするため、雨がっぱなどの着用で皮膚の露出を最小限にして作業を行いましょう。特に動力噴霧器などを使用する場合は、散布量と噴射量が多いので風向きによっては自分に飛散することがありうるため、必ず着用するようにしましょう。
散布する場合は、近くに通行人がいないかどうか確認が必要です。
除草剤を撒いている間はもちろん、散布した日にはなるべく除草剤を使用した区域に入らないようにしてください。庭やベランダなど、子どもやペットがすぐに入れる場所の場合、窓やドアを閉めて立ち入れないように工夫すると良いでしょう。
周囲に影響がないか確認する
枯らしたい雑草と育てている植物が同じ場所に生えている場合、除草剤の効果が雑草以外にもおよぶ可能性があります。除草剤の種類によっては植物だけでなく樹木にも効果を発揮するため、購入前や使用前によく確認しましょう。
除草剤を撒く際は、トラブルを避けるためにも近隣の施設や住民にあらかじめ断りを入れると安心です。また。風が強い日に散布すると除草剤が隣家まで飛ぶ恐れがあります。強風時や風が吹いている日は散布を控えましょう。
斜面では使用しない
急な傾斜がある場所に除草剤を撒くと、下に流れ落ちてしまう場合があります。斜面の下に住宅がある場合や栽培・管理されている植物がある場合は、トラブルを避けるためにも斜面での使用は控えましょう。
まとめ
除草剤は、液剤や粒剤などさまざまな種類があり、それぞれ効果が異なります。除草剤を散布する場所や目的、使い勝手など、状況に応じて除草剤を使い分けることで、効果的に雑草を除去できます。
雑草にも耐性能力があるため、同じものを長期間利用することで効果が薄れてくることがあります。可能であれば、複数種類の除草剤を用意してローテーションで使い回すことで効果を保ちましょう。
この記事で紹介したように、除草剤の使用にはメリットもデメリットもあるため、事前に把握した上で使用しましょう。

監修者
なかむら氏 ガル事務所
商社での切花の輸出入業務の経験を活かし、25歳のときに独立。以来お花と樹木に30年以上関わり続けている。ひきこもり支援相談士としての活動では、お花や樹木に触れることで情緒の安定や老人介護施設での痴ほう療養に貢献する『園芸療法』や、過疎地での独立就農支援のための花卉栽培技術指導に力を入れている。東日本大震災の際にはボランティア活動として花苗栽培と植込みを行うなど、造園業界に新風を吹かせるべく、日夜奮闘中。
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