更新日:2026年2月12日
ISO22000とは? 取得の目的から認証のメリットまで解説

ISO22000とは、食品安全マネジメントシステム(FSMS)に関する国際規格のことです。食品製造業者や飲食店などのフードチェーンに関わる全ての事業者は、ISO22000の取得が可能です。
本記事では、規格の概要から目的、認証されることのメリットなどについて解説します。
ISO22000とは?

ISO22000とは、食品安全管理のための国際規格で、衛生面を含むマネジメントシステムを構築することを目的としています。これにより、食品に関わるリスクを軽減し、安全なフードサプライチェーンの実現を目指します。
ISO( International Organization for Standardization)はスイスのジュネーブに本部を置く非政府機関です。ISO22000以外にも、環境保護や環境パフォーマンスの向上を目指す「ISO14001」や、安全な労働環境を整えるための「ISO45001」など、さまざまな規格を確立しています。
ISO22000認証の取得が可能な業種
ISO22000の認証は、フードチェーン関連の全ての業種が取得できます。例えば、以下の業種や事業者などは、ISO22000の認証取得が可能です。
- 農作物生産者
- 食品製造業
- 食品小売業
- 飲食店
- ケータリング業者
- 食品の包装資材業者
この他にも、食品の生産から提供に関わる場合は、業種・事業者を問わず認証の対象となります。
ISO22000の要求事項
ISO22000の認証取得には、以下の事項が要求されます。
| ISO22000認証の要求事項 | 要求内容 |
|---|---|
| 適用範囲 | 食品に関わる全ての業務を記載する |
| 用語および定義 | 規格内で使用される用語、各用語の定義を明記する |
| 組織の状況 | 食品衛生・安全に関わる組織内外の課題を列挙する 課題解決のためのシステム構築に必要な要素を抽出する |
| リーダーシップ | 食品安全への経営者側の意思表明手順を明記する 食品安全の取り組みに組織全体で参加するための、体制と役割を明記する |
| 計画 | 想定外の事故が生じたときの対処計画を作成する |
| 支援 | 食品安全のために組織全体の協力が必要と明記する 従業員が食品安全の品質管理を運用するために必要な知識や環境、人材を整備する |
| 運用 | HACCPの7原則12手順を構築し、製造・サービスなどの各工程を管理する 安全基準に適合しない製品を流通させない仕組み、不適合製品を出さない仕組みを構築する |
| パフォーマンスの評価 | 食品安全を守るための評価基準を定める 評価が正しく実施されているか確認する |
| 改善 | パフォーマンス評価基準に沿って製品を評価する 問題が生じたときの改善策を準備する |
HACCPやFSSCなどの他の規格との違い
ISO22000と混同しやすい規格にHACCP(ハサップ)やFSSC22000があります。それぞれの特徴と違いを整理します。
HACCPとの違い
HACCPは「食品安全管理のガイドライン」で、食品製造過程での異物混入や細菌汚染の要因を分析し、監視体制を強化することで、食品安全の確保を目指します。
一方、ISO22000はHACCPの考え方に加え、PRP(前提条件プログラム)、O-PRP(オペレーション前提条件プログラム)、回収(リコール)、ISO9001(品質マネジメントシステム)を組み合わせた、より広範な食品安全マネジメントシステムです。HACCPが食品製造業のみを対象とするのに対し、ISO22000は食品関連の全ての業種を対象とします。
FSSC22000との違い
FSSC22000は、ISO22000を基盤とした食品安全認証プログラムで、GFSI(世界食品安全イニシアチブ)に認証されている規格です。ISO22000に加え、ISO/TS22002-1またはISO/TS22002-4、FSSC22002の追加要求事項を合わせた規格となります。
ISO22000よりも前提条件が多く、より厳格な食品安全マネジメントが求められます。そのため、食品メーカーや大規模事業者で採用されることが多いです。
それぞれの規格の違いについて以下の表でまとめています。
| 項目 | HACCP | ISO22000 | FSSC22000 |
|---|---|---|---|
| 目的 | 食品安全のための衛生管理手法 | 食品安全マネジメントシステム | ISO22000を強化した認証制度 |
| 対象 | 食品製造・調理業務 | 食品関連すべての組織 | 食品メーカー・加工業など大規模事業者 |
| 位置づけ | 衛生管理手法 | 国際規格 | 国際規格(GFSI承認) |
ISO22000認証を取得するメリット

ISO22000認証を取得には、費用だけでなく時間もかかります。しかし、取得することで次のメリットを得られます。
- 食品安全リスクの低減
- 取引先や消費者からの信頼獲得
- 従業員の意識改革
- 業務効率化の実現
それぞれのメリットについて見ていきましょう。
食品安全リスクの低減
安全への要求はますます高まっています。「少しでも安全な物を食べたい」と考える消費者が増えているだけでなく、「お客様が安心して食べられる食品を提供したい」と考える事業者も増加傾向です。
食品安全への要求が高まるなか、ISO22000のような国際基準を満たすことが求められています。また、基準を満たして認証を取得することで、食品安全についての意識の高さを客観的に示す指標にもなります。
取引先や消費者からの信頼獲得
ISO22000は食品安全を守るための国際規格です。認証を取得することで、食品安全リスクについてしっかりと考え、具体的な対策を実施している事業者であることが示せます。
また、国際規格であるため、海外の取引先や消費者にも高い衛生管理基準を順守していることが示せます。取引先や消費者からの信頼を獲得することで、販路拡大や売上向上につながります。
従業員の意識改革
ISO22000の認証を取得するには、食品安全を守るためのフローを策定し、手順に沿って安全管理を実施することが必要です。日々の業務で安全確認の作業が増えることで、従業員の安全意識が高まり、食品衛生が単なる概念ではなく「実施すべき業務」として認識されるようになります。
業務効率化の実現
ISO22000は、完成した食品が安全基準を満たしていればよいというわけではありません。食品を製造・提供する工程を細かく分け、工程で安全性を確認するための基準を定め、全ての工程において基準が順守されていることを確認することが求められます。
そのため、ISO22000の認証を取得する際には、安全確認マニュアルの作成が必須です。普段のルーティンに安全作業が組み込まれることで、より効率的な製造・提供手順が実現し、業務効率が向上することもあります。
ISO22000認証を取得するデメリット

ISO22000認証の取得には多くのメリットがありますが、デメリットとなる点もあります。例えば、以下の事柄はデメリットになるかもしれません。
- 取得や維持にコストがかかる
- 申請に手間がかかる
- PDCAサイクルを回し続ける必要がある
それぞれの懸念点について解説します。ISO22000を取得するかどうかを検討する際の参考にしてください。
取得・維持にコストがかかる
ISO22000の認証取得には費用がかかります。工場や店舗で管理体制を構築し、食品安全を維持するための設備や衛生用品を購入する必要が生じることも、費用がかさむ原因になるでしょう。
また、一度ISO22000認証を取得すれば、永続的に認証を得られるのではありません。1年に一度は定期審査を受け、3年に一度は更新審査が必要で、審査ごとに費用がかかります。
具体的な審査・登録費用は、企業が管理しているHACCPプランや従業員数、扱う製品等によって異なります。
例えば、20~30人規模の食品工場の場合、はじめて認証登録する年に120万円、2年目と3年目にはそれぞれ50万、4年目は70万円が目安です。
別の審査登録期間の審査費用の例では、従業員数100名未満・2サイト構成の製造業の場合、登録審査に120万~280万円程度かかるケースもあります。
実際の費用は事業規模・業態・求められる審査範囲によって変動するため、認証取得を検討する場合は審査機関へ個別に見積もりを依頼することをおすすめします。
申請に手間がかかる
一般的にISO22000認証の申請には、1カ月以上の時間がかかるといわれています。提出書類も多いため、申請手続きには多大な手間と時間が必要です。
ISO22000認証取得後は、毎年の定期審査のたびに書類作成や準備が必要です。また、3年に一度の更新審査も同様に手間がかかるため、担当者を決めて継続的にISO22000の管理を実施することが求められます。
PDCAサイクルを回し続ける必要がある
ISO22000認証を取得した後は、日々の業務で規定された安全管理の手順を踏むことが求められます。
また、安全管理や衛生状態に問題が発生したときは、その都度、状況を把握し、計画を立てて実行し、結果を評価して再発防止を図る「PDCAサイクル」を回し続けることが必要です。
ISO22000認証を取得する流れ

ISO22000認証は、以下の流れで取得します。
- 事前相談
- 契約
- 登録審査
- 登録証発行
- 定期審査・更新審査
ISO22000認証の取得をサポート業者に依頼することも可能です。衛生管理が多岐にわたる場合は、スムーズに取得できるか不安な場合は、実績のあるサポート業者への依頼することも検討してみましょう。
1.事前相談
まずは日本品質保証機構に相談します。日本品質保証機構とは、マネジメントシステムや製品・環境に対する認証・検査などを実施する第三者機関です。
ISO22000認証にあたり、疑問点があるときはその場で尋ねておきましょう。認証取得を希望する場合は、見積書を作成してもらいます。
2.契約
見積書を確認し、問題がなければ、ISO22000認証取得の契約に進みます。審査登録申込書と審査登録契約書を作成し、日本品質保証機構に提出します。
3.登録審査
ISO22000認証には、ファーストステージ審査とセカンドステージ審査の2つの審査があります。最初の審査では、マネジメントシステム構築状況やセカンドステージのための情報の確認、次の審査ではISO22000が適用される全ての範囲におけるマネジメントシステムの実施状況が評価・確認されます。
各審査の間には約1カ月の待期期間があり、結果は審査最終日に報告されます。
4.登録証発行
2つの審査結果をもとに、ISO22000認証の登録可否が判定されます。登録が適切と判断された場合は、登録証が発行されます。なお、登録証の有効期間は3年です。
5.定期審査・更新審査
ISO22000認証取得後は、毎年、定期審査が実施されます。
登録3年後には更新審査が必要です。審査の1~2カ月前に日本品質保証機構から連絡が届くため、更新する場合は申請手続きを実施しましょう。
まとめ
ISO22000は、食品安全を守るための国際規格です。食品の製造や提供に関わっている事業者は、衛生管理を強化するためにも認証取得を検討してみましょう。
ISO22000認証の取得は、取引先や消費者の信頼向上や事業価値の強化、さらには事業継続にもつながるのではないでしょうか。












