更新日:2026年2月12日
消耗品と備品の違いは?会計処理・仕訳方法をカンタン解説

消耗品と備品の区分は、会計や税務の実務において非常に重要です。特に、取得価額の基準や、一括償却資産、少額減価償却資産の特例など、税制上のルールを正しく理解することは経費の適正な計上と税務リスクの抑制につながります。
本記事では、消耗品・備品の違いをはじめ、勘定科目の使い分け、それぞれの会計処理について仕訳例も交えて詳しく解説します。
消耗品と備品の違いについて

企業や事業で使用する物品は、会計上「消耗品」と「備品」に区分されます。どちらも業務で使う物品ですが、会計処理方法が異なるため、混同すると誤った経費計上をするおそれがあります。
消耗品と備品の違いを正しく理解しておくことで、経理処理の精度が高まり、節税や財務管理の面からも安定した運用が可能になります。
ここでは、消耗品と備品、それぞれの定義について見ていきましょう。
消耗品の定義
消耗品とは、使用によって短期間で価値が消耗する物品を指し、1年未満で使い切る、または取得価額が10万円未満のものが該当します。原則として消耗品は購入時点で費用として全額計上でき、減価償却は必要ありません。
代表的な消耗品には、文房具、コピー用紙、トナー、清掃用品、洗剤、軍手などが挙げられます。
備品の定義
備品とは、長期的に繰り返し利用できる資産価値のある物品を指します。一般的には使用期間が1年以上繰り返して使用可能で、取得価額が10万円以上の物品が該当し、会計上は固定資産として計上します。
取得時には備品などの資産勘定で計上し、耐用年数に応じて減価償却を行う必要があるため、通常は消耗品のように購入時に即時費用計上はできません。
備品に分類される物品には、パソコン、プリンター、机、椅子、エアコン、冷蔵庫、工具類などがあります。
なお、備品は購入時にかかる運搬費や設置費などの付随費用なども、取得価額に含めて計上します。
事務用品費や雑費と消耗品費の違いは?

消耗品費と混同しやすい項目に、事務用品費や雑費があります。いずれも物品の購入に関わる支出に使う科目ですが、消耗品費が金額・期間基準で分類される一方、事務用品費・雑費は用途や性質で分類されます。
事務用品費とは
事務用品費は、日常業務で使用する文具や事務関連の物品を購入した際に用いる勘定科目です。ノートやボールペン、ホチキス、ファイル、封筒、帳簿、インクカートリッジなどが該当します。
これらはオフィスでの事務作業に直結する、業務遂行に欠かせない小規模支出です。購入金額が10万円未満であれば消耗品費としても処理できますが、経理上は業務目的が明確なため、事務用品費として区分したほうが、管理しやすいとするケースもあります。
雑費とは
雑費とは、他科目に該当しない少額で多様な支出をまとめて処理する勘定科目です。少額贈答品代、記念品代、弔電費などが挙げられます。
雑費は便宜的に利用できる反面、使用範囲が広すぎると税務調査で「経費の内訳が不透明」と判断されるリスクもあるため注意しましょう。特に法人の場合、一定以上の金額を繰り返し雑費として計上していると、税務調査で内容の説明を求められることがあります。
曖昧な支出は、交際費や消耗品費など適切な科目へ振り分け、経理の透明性を高めることが求められます。
なお、事務用品費、雑費はいずれも消耗品費の一部であり、雑費や事務用品費を設定するか否かはその企業の判断に委ねられます。ただし、会計の「継続性の原則」によって、一度採用した勘定科目の処理方法は毎期継続して適用しなければならない点に注意しましょう。
消耗品の会計処理

消耗品の会計処理は、処理方法によって仕訳の流れが異なります。以下に、それぞれの仕訳例をまとめました。
費用計上のタイミングを確認し、自社に適した処理方法を検討しましょう。
購入時に「消耗品費」とする場合の仕訳例
購入と同時に「消耗品費」として計上し、支払い方法に応じて現金や未払金を対応させる仕訳例を紹介します。シンプルで手間がかからず、消耗品の仕訳において一般的に使用される方法です。
ただし、期末に使い切れていない消耗品が残る場合は、決算整理仕訳で在庫分を「消耗品(資産)」へ振り替える必要があります。
以下は、10,000円分の事務用文具を現金で購入したときの仕訳例です。
【購入時の仕訳例】
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 10,000円 | 現金 | 10,000円 | 文具購入 |
ただし、決算時点で未使用の消耗品が残っている場合は、その分を資産に振り替える必要があります。棚卸処理を行うことで、当期の費用を正確に反映できます。
以下は、2,000円分の未使用分が出たケースの仕訳表です。
【決算時の仕訳例】
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 消耗品 (または貯蔵品) | 2,000円 | 消耗品費 | 2,000円 | 未使用分 (資産) |
購入時に「消耗品」を使用する場合の仕訳例
購入時に資産(消耗品)として計上し、使用時に費用化する方法もあります。10,000円分の文具を購入し、そのうち8,000円分を使用、2,000円分が残ったケースの仕訳例を紹介します。
【購入時の仕訳例】
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 10,000円 | 現金 | 10,000円 | 文具購入 |
購入時点ではまだ使用していないため、資産(消耗品)として計上します。
【間接法における決算時の仕訳例】
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 8,000円 | 現金 | 8,000円 | 使用分を計上 |
使用した8,000円分を、費用に振り替えます。
備品の会計処理

備品は、長期間にわたって使用する資産(固定資産)として扱われます。購入時に費用として処理する消耗品とは異なり、資産として計上し、その後耐用年数に基づいて減価償却を行わなくてはなりません。
ここでは、具体的な仕訳例を通して、備品の経理処理方法を紹介します。
直接法での仕訳例
30万円の業務用パソコン(法定耐用年数4年)を現金で購入した場合、購入時点では資産(工具器具備品)として処理し、期末に減価償却を行います。
【直接法における購入時の仕訳例】
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 工具器具備品 | 30万円 | 現金 | 30万円 | 業務用パソコン購入 (耐用年数4年) |
【直接法における決算時の仕訳例】
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 75,000円 | 工具器具備品 | 75,000円 | パソコンの減価償却 (定額法・1年分) |
法定耐用年数4年にわたって減価償却を行います。
間接法での仕訳例
同じ条件で購入した30万円の業務用パソコン(法定耐用年数4年)を、間接法で減価償却する場合、購入時の仕訳は直接法と変わりありません。
減価償却時の仕訳は、以下のようになります。
【間接法における減価償却時の仕訳例】
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 75,000円 | 減価償却累計額 | 75,000円 | 業務用パソコンの減価償却 (定額法・1年分) |
一括償却資産を使用する場合
取得価額が10万円以上20万円未満の備品(固定資産)については、一括償却資産の制度を利用できます。これは、法定耐用年数にかかわらず3年間で均等に減価償却ができる制度です。
例として15万円のタブレット端末を現金で購入した場合、次のように処理します。
【購入時の仕訳例】
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 一括償却資産 | 15万円 | 現金 | 15万円 | タブレット端末購入 |
決算時の仕訳は、以下のようになります。
【決算時の仕訳例】
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 50,000円 | 一括償却資産 | 50,000円 | 1年分の償却費を計上 |
少額減価償却資産の特例について

中小企業者や個人事業主は、取得価額が30万円未満の減価償却資産について、取得した事業年度で全額を損金(経費)に算入できる「少額減価償却資産の特例」を利用可能です。
特例を利用するには、以下の全ての条件を満たす必要があります。
- 青色申告をしている
- 常時使用する従業員数が500人以下(出資金1億円を超える組合などは300人以下)
- 資本金または出資金の額が1億円以下
- 適用除外事業者(事業年度開始日のより前の3年以内の各事業年度における年平均所得金額が15億円超)に該当しない中小企業や組合など
この制度を活用すれば、通常は分割して計上する減価償却費を購入年度に一括で処理できます。結果、経理処理の簡便化と節税効果の両方が期待できます。
ただし、1事業年度あたりの合計額は300万円までという上限が設けられており、この金額を超える分については通常の減価償却が必要です。なお、この特例は条件に当てはまる場合でも必ず適用する必要はなく、企業は通常の固定資産として減価償却するか、特例を適用するかどうかを選択できます。
まとめ
消耗品と備品の区分、また事務用品費や雑費などは、日常的な会計処理のなかでも誤解が生じやすい項目です。金額や使用期間に基づいた基準を明確にし、社内ルールとして統一しておくことで、処理のばらつきを防ぎ、経理業務の正確性を維持できます。
正しい区分と一貫した処理を積み重ねることが、結果として企業の健全な財務基盤を支えることにつながるでしょう。












