更新日:2025年2月27日
蛍光灯からLEDに交換する方法は?工事の有無や注意点も解説

国際的な取り決めにより、2027年末までに蛍光灯の製造や輸出入の廃止が決定しました。これにより、現在多くの企業がLEDへの交換を早急に対応すべき課題のひとつとしています。この記事では蛍光灯をLEDに変えるメリットや工事の必要の有無、自力で蛍光灯からLEDに変える方法などを解説します。
2027年には蛍光灯が廃止に!LEDへの交換が必須
2023年10月にスイスのジュネーブで行われた「水銀に関する水俣条約第5回締約国会議」において、蛍光灯の製造や輸出入を2027年いっぱいで廃止する取り決めが交わされました。「水銀に関する水俣条約」は、健康リスクの低減や環境保護を目的として定められる国際条約です。これにより、2028年以降は蛍光灯が不足し品薄による価格高騰も想定されるため、企業は早めに蛍光灯からLEDへの乗り換えを検討する必要があります。
参照:経済産業省「『水銀に関する水俣条約第5回締約国会議』の結果について」
蛍光灯からLEDに交換することで得られるメリット
照明をLEDとすることで得られるメリットを紹介します。
環境に優しい
蛍光灯には微小ながら水銀が含まれています。水銀は人体にとって非常に有害な重金属です。毒性の強い水銀を摂取した場合、脳や神経系に大きなダメージを与え、重度の神経障害を引き起こすケースもあります。日本の水俣湾で発生した水俣病は、世界的に知られる銀中毒の深刻な事例です。カナダやアマゾン流域でも同様の被害が報告されており、水銀による環境汚染は国際的に重要な課題のひとつです。
また、蛍光灯はLEDよりエネルギー効率が低く、発電によるCO2(二酸化炭素)の増加を助長する作用があります。省エネ効果の高いLEDへの切り替えは、健康被害の問題だけでなく、地球環境に悪影響を与える温室効果ガスの大幅な削減が期待されています。
電気代の節約ができる
LEDはエネルギー効率が高いため、蛍光灯よりも少ない電力で明るさを得られるのが特長です。実際に、同じ明るさで比較したとき、LEDは蛍光灯の3分の1程度しか電力を消費しないことがわかっています。照明に使用する電力を約60%削減できるので、蛍光灯からLEDに切り替えるだけで電気代の節約が実現します。また、耐久性にも優れている点もLEDの大きなメリットです。交換頻度を減らせるため、メンテナンスコストの削減と廃棄物の削減につながります。
即時に点灯する
蛍光灯は通電してから点灯するまでに一定の時間を必要としますが、LEDは通電するとすぐに点灯します。特に蛍光灯は古くなるほど点灯までの時間が長くなり、数秒かかることも珍しくありません。一方、LEDはウォームアップの時間が50~100ナノ秒とされており、即時に点灯し最大の明るさに到達します。そのため、頻繁にオンオフを繰り返す必要がある場所や緊急時の使用に便利です。
蛍光灯に比べて寿命が長い
一般的な蛍光灯は6,000時間~1万2,000時間程度が寿命をむかえますが、LEDは約4倍の4万時間もの寿命があるとされています。耐久性に優れたLEDを使用すれば、交換頻度を減らせます。このような理由から、ライトの交換や購入、在庫管理、廃棄などにかかるメンテナンスコストの削減が可能です。また、蛍光灯はオン/オフを繰り返すほど寿命が短くなる傾向があります。しかし、LEDの場合、そのような心配はほとんど必要ありません。
光の色を変えられる
LEDは、蛍光灯よりも光の色の選択肢が多くなっています。例えば、事務所には集中力を高める効果が期待できる昼白色、休憩スペースであれば、リラックスできる温かみのある電球色を選ぶなど、目的にあわせた使い分けが可能です。
蛍光灯からLEDの交換に工事は必要?

LED照明に切り替える際、工事が必要な場合と不要な場合が考えられます。
工事が必要な場合
照明器具に安定器が内蔵されている場合は、LEDへの乗り換え時に工事が必要です。安定器はLEDに必要ありません。また、安定器がある状態でLEDを使用すると、電力を無駄に消費するだけでなく、火災の原因にもなりかねません。そのため、照明器具に設置されている安定器を取り外し、LEDに必要な配線を設置する必要があります。最近では、工事不要で使用できる直管型のLEDも販売されていますが、安定器の配線を切らなければ通電は行われるため無駄な電気代がかかります。安定期の劣化を示す症状も確認しづらいため、場合によっては発火する恐れがあるため注意が必要です。
工事が不要な場合
ソケットやコンセントに接続して使うタイプの照明機器であれば、工事不要でLEDに切り替えられます。また、家庭用のシーリングライトやペンダントライトの場合も工事の必要はありません。ただし、既存の照明器具とLEDランプの接続方法が異なるケースでは、そのまま使用することが難しくなっています。接続方法を確認する際は、照明器具のソケットのタイプとLEDランプのソケットタイプが適合しているかどうか、電圧が一致しているかどうか確認してから購入するようにしましょう。
自分で蛍光灯からLEDに交換する方法

オフィスや学校に設置されている蛍光灯は、直接配線を触らなければ交換できません。その際は、電気工事士が在籍している業者に工事を依頼しなければなりません。自分でLEDへ交換する際は、一般家庭でもよく使われているタイプのシーリングライトやペンダントライトの交換のみにとどめておきましょう。天井に丸形や角型の配線器具が設置されたシーリングライトや電球型なら、LEDライトを取り付けるだけで交換できます。
1.ブレーカーを切って安全を確認する
作業中の感電事故を防ぐため、まずブレーカーをオフにします。感電事故のリスクをなくすには、電源を完全に遮断して安全を確保しなければなりません。ブレーカーボックス内には、サーキットと呼ばれる電流を遮断するためのスイッチがあります。対象のサーキットを下げてオフにした後、照明のスイッチをオンにして電気が流れていないことをチェックしましょう。このほかの安全対策として、脚立を使用する際は安定した場所に設置して無理な姿勢での作業を避けること、作業用の手袋を着用することなどが挙げられます。
2.古い蛍光灯・照明器具を取り外す
次に、カバーを取り外してから、蛍光灯や電球本体を取り外します。直管型の蛍光灯の場合、両端が照明器具のソケットにホールドされていますが、少し回転させると引き抜けるようになっています。照明器具を取り外す際は、天井の引掛けシーリングや固定ネジなどの構造に注意しながら慎重に作業を進めましょう。スムーズに作業を終わらせるために、外した順序を覚えておくことも大切です。
3.電源部分を取り外してLED専用アダプターを設置する
天井に設置された照明器具の電源部分は、反時計方向に少し回して引っ張ると取り外せます。この場所へLED専用のアダプターのツメを指し込み、軽く時計方向に回して固定します。装着した後は軽く引っ張り、適切に固定されていることを確認しましょう。なお、一部のLED照明器具は既存の引掛けシーリングに直接取り付けられるよう設計されています。この場合アダプターの交換は必要ありません。
4.新しいLEDシーリングライトを取り付ける
最後に、アダプターのコネクターとLEDシーリングライト本体を接続します。本体中央の穴からケーブルを出し、アダプターと本体中央部をあわせたら天井に押し上げます。グラつかず、しっかりと固定されていることが確認できたら、カバーを装着する前にブレーカーを上げてLEDが正しく点灯するかチェックしてみましょう。問題なく点灯するようならいったん消灯し、カバーを取り付けたら作業は完了です。
自分で蛍光灯からLEDに交換する際の注意点
LED照明を自分で交換する際の注意点について解説します。
電気配線の交換工事は電気工事士資格が必要
照明器具の交換で配線工事が必要になった場合、法律で第一種または第二種電気工事士の資格を有する人が必要と定められています。有資格者不在で工事を行った場合、感電や漏電、火災などのリスクが生じます。また有資格者が必要な工事を無資格で行った場合、電気工事士法に沿って罰金や懲役を課せられる可能性があるため、無資格での工事は行わないようにしましょう。
ただし、本記事の「自分で蛍光灯からLEDに交換する方法」で記載したような照明器具の交換や差し込みプラグの接続は、電気工事士の資格が不要な「軽微な工事」と定義されています。
参照:e-Gov 法令検索「電気工事士法」
参照:経済産業省「電気工事士等資格が不要な『軽微な工事』とは」
密閉型器具に取り付ける場合は対応したLED電球を選ぶ
密閉型の照明器具とは、ほこりや湿気が内部に入りにくいよう設計された照明器具です。玄関灯や浴室など使われている密閉型は、完全に電球が覆われるため、熱がこもりやすくなっています。通常のLED電球は、放熱設計されていないため、密閉型の照明器具に使用すると、過熱による故障や寿命の短縮につながりかねません。そのため、密閉型器具にLEDを使用する際は、対応のLED電球を選定する必要があります。
「Sマーク」が付いているものを使用する
LED電球を購入する際は「Sマーク」の有無に着目するようにしましょう。Sマークとは、日本の電気用品安全法に基づいた安全基準を満たす製品であることを示すものであり、第三者認証機関による安全確認が行われています。安全性が保障された製品を選ぶことは、火災や感電などのリスク低減に直結します。
参照: e-Gov 法令検索「電気用品安全法」
まとめ
蛍光灯の製造・輸出入廃止に備え、企業は計画的に自社の照明をLEDに切り替えていく必要があります。交換時の注意点を確認し、適切な方法で切り替えを進めましょう。
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