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更新日:2025年2月27日

企業が取り組むべきプラスチックのリサイクル|方法と課題

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SDGsへの対応のひとつとして、さまざまな企業がプラスチックのリサイクルに取り組んでいます。自社での導入を検討している担当者の方も少なくないでしょう。本記事では、プラスチックリサイクルの方法や課題、企業が行うメリット、アスクルの取り組みを紹介します。

プラスチックのリサイクルが求められる理由

環境への配慮が重視される昨今、企業にはリサイクルの実施だけでなく、リサイクルされた製品の活用も求められています。プラスチックのリサイクルが必要とされる理由は、大きく分けて3つあります。

ごみの削減につながるから

プラスチックをリサイクルせずに廃棄し続けると、最終処分場の処理能力を超え、ごみが行き場を失う恐れがあります。

この課題は、プラスチックをリサイクルし、実際に廃棄される量を減らすことで改善可能です。一般社団法人プラスチック循環利用協会の調査によれば、2022年の「廃プラ総排出量」は823万トンで、うち87%にあたる717万トンが有効利用されています。

有効利用された廃プラスチックの内訳は、マテリアルリサイクルが22%、ケミカルリサイクルが3%、サーマルリサイクルが62%となっています。

参照:一般社団法人プラスチック循環利用協会「2022年廃プラスチック総排出量は823万t、有効利用率は87%『プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況(マテリアルフロー図)』を公表

環境負荷を軽減できるから

海洋プラスチックによる環境汚染は世界的な課題となっています。河川から海に流れ込んだプラスチックごみは1億5,000万トンに達し、さらに毎年約800万トンずつ増え続けていると推定されています。このままでは海の生態系に深刻な影響を及ぼすと懸念され、対策が求められています。

参照:WWFジャパン「海洋プラスチック問題について

プラスチックのリサイクルが、このような海洋プラスチック問題の改善につながります。さらに、廃プラスチックを適切にリサイクルすることで、埋立や焼却を減らし、CO2排出量の削減にも貢献します。結果として環境への負荷を軽減できるのです。

廃プラスチックの輸出規制で国内での処理が必要になったから

以前は日本では、廃プラスチックの多くを中国へ輸出していました。しかし2017年末に中国政府が廃プラスチックの輸入を禁止しました。それ以後は東南アジアや台湾へ輸出していましたが、2021年1月に改正バーゼル条約(※)附属書が発効されました。これにより廃プラスチックの輸出入はますます厳しくなりました。

参照:国立環境研究所「プラスチックの輸出入規制とリサイクル

このような経緯で、日本国内での廃プラスチックの適切な処理が求められるようになっています。

(※)バーゼル条約とは:有害廃棄物の国境を越える移動や処分を規制する国際条約。廃棄物による環境汚染や健康被害を防ぐことを目的とし、各国に適切な廃棄物管理を求めています。

参照:経済産業省「バーゼル条約・バーゼル法

プラスチックをリサイクルする方法

では、プラスチックをリサイクルするには具体的にどのような方法があるのでしょうか。プラスチックをリサイクルする方法は、マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクル・サーマルリサイクルの3種類があります。

マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルは、廃プラスチックを溶かして再加工することで、新たなプラスチック製品にする方法です。

リサイクル製品は、文具やペットボトルから公園などの公共設備まで、幅広くあります。再加工の際、廃プラスチックが汚れていると品質が低下してしまうので、リサイクル前に洗浄が必要です。

ケミカルリサイクル

ケミカルリサイクルは、廃プラスチックを炭化水素やガスに分解して再利用する方法です。ガス化することにより、一酸化炭素や水素などの化学原料が得られます。

過去にもケミカルリサイクルは行われていましたが、その頃の設備はコストがかかってしまい、撤退する事業所もありました。現在はコスト面を改善するための技術が改良されつつあります。

サーマルリサイクル

サーマルリサイクルは、廃プラスチックを燃焼させ、その熱をエネルギーとして再利用する方法です。発熱量が大きいため、焼却時のエネルギーが発電や温水プールの加熱に活用されています。不純物が混ざっているプラスチックには適していますが、燃やす際にCO2や有害物質が排出されるデメリットがあります。

日本のプラスチックリサイクルの課題

前述の方法でプラスチックのリサイクルが進められていますが、CO2排出の問題や分別の難しさといった課題も依然として残っています。    

CO2が排出されるサーマルリサイクルに依存している

日本のプラスチックリサイクル率は世界水準と比べて低くなっています。特にマテリアルリサイクルとケミカルリサイクルは割合が少なく、サーマルリサイクルに依存している状態です。欧米ではサーマルリサイクルはリサイクル率に含まれていないにもかかわらず、リサイクル率自体は日本よりも高い割合です。

サーマルリサイクルはCO2を排出するので地球温暖化の原因のひとつとなっています。日本のプラスチックリサイクル率は年々高くなっているものの、そのうち大半のプラスチックを燃やしているという点では大きな課題が残っています。今後は日本でもマテリアルリサイクル・ケミカルリサイクルの割合を増やす必要性があります。

混在したプラスチックの分別が難しい

プラスチックの分別方法は一般的に、ペットボトル・容器包装プラスチック・その他プラスチックなどに分けられます。見た目や手触りでの判別が難しいほか、異なる素材が混ざった製品が多いため、効率的な分別が困難です。

分別を簡単にするため、製品に種類表示を義務付ける取り組みや、リサイクルしやすい素材を取り入れる技術の開発が進行中です。個人でできることとしては、プラスチックごみを捨てる際、なるべく種類別に分別することを心掛けるとよいでしょう。

プラスチックをリサイクルすると何ができる?

プラスチックをリサイクルすることで、新しいプラスチック製品や化学製品の原料への再利用が可能となります。

具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • マテリアルリサイクルでの製品例:物流用パレット、マンホール、散水栓ボックス、段差スロープ、ハンガーなど。
  • ケミカルリサイクルでの精製例:還元剤、ガス、油、モノマーなど。

リサイクルできるプラスチック製品とは

全てのプラスチック製品がリサイクルできるわけではありません。プラスチックにも「ポリエチレン」「ポリエチレンテレフタレート」「ポリスチレン」など多くの種類があります。リサイクル対象は、PETマークやプラマークが付いたプラスチック製品です。

PETマークはペットボトルに表記されており、多くの場合、ボトルとキャップ両方が対象となります。プラマークはペットボトルのラベル、ポリ袋、食品用容器や包装などに使われています。

プラスチックのリサイクルを企業が行うメリット

企業がプラスチックのリサイクルに取り組むことで、企業イメージの向上やコスト削減といったメリットが得られます。

ESG経営への寄与と企業イメージ向上

ESGとは「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字からできた言葉で、その3つの要素を指します。ESG投資は企業の財務だけでなく、これらの取り組みを評価した投資です。

プラスチックのリサイクルは、ESG投資を重視する投資家の関心を集め、結果として企業の成長やブランド価値の向上につながる可能性があります。

ごみ処理にかかるコストの削減

リサイクルを通じて自社のごみ排出量を減らせば、ごみ処理コストの削減につながります。使用済みの物流資材などのプラスチックがきれいな状態であれば、リサイクラーに再生原料として有価販売することも可能です。

アスクルにはマテリアルリサイクルで生まれた商品があります

アスクルは、プラスチックのリサイクル活動の一環としてクリアホルダーに着目しました。事務用品として広く利用されているアスクルのクリアホルダーは、国内トップクラスの販売量です。

これまで使用済みのクリアホルダーは廃棄されるのが一般的でしたが、その現状を見直し、国内のさまざまな事業者様から回収。再資源化・再製品化する取り組みを行っています。

こうして生まれ変わった商品は、アスクルのプライベートブランド、Matakul(マタクル)として販売しています。

Matakul クリアホルダー A4

環境に配慮した再生可能素材を活用したクリアホルダーです。使用済みクリアホルダーを回収し、製造した再生材を20%配合しました。

A4サイズの書類を簡単に保管でき、普段使いや郵送時の書類保護に便利です。

Matakul クリアホルダーからつくったクリアホルダー

リヒトラブ×アスクル共同企画によるオリジナルクリアホルダーです。使用済みクリアホルダーを回収し、製造した再生材を100%配合して製造しました。実用的でエコなクリアホルダーです。

Matakul クリアホルダーからつくったジェットストリームボールペン

使用済みクリアホルダーを再資源化した材料を利用した、三菱鉛筆のジェットストリームボールペンです。環境に優しいだけでなく、筆記性にも優れています。替え芯にも対応可能で長く使うことができます。

Matakul リス くず入れ角8L

Matakul リス くず入れ」は、アスクルが回収した使用済みクリアホルダーを再資源化した再生材を50%配合して製造したゴミ箱です。環境に配慮したリサイクル製品のため、利用すること自体がエコへとつながります。

まとめ

プラスチック製品においては、リサイクルによって新しい製品に生まれ変わったり、化学製品の原料として再利用されたりと、環境に配慮された取り組みが行われています。

アスクルでは、使用済みのクリアホルダーを再製品化した商品を提供しています。プラスチックリサイクルの取り組みとして、ぜひそれらの商品をご活用ください。

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