更新日:2024年10月31日
複合機とは? プリンターとの違いや用途、選び方を徹底解説

複合機とは、プリントをはじめ各種機能を備えたオフィス機器です。一般的なプリンターに比べ、機能も多岐にわたって便利な分、費用もかかるため、オフィスの規模や業務内容にあった機器を選ぶ必要があります。
この記事では、複合機の詳細な機能紹介や、企業に導入することで得られるメリット、機種の選び方について詳しく解説します。
複合機とは
複合機とは、主にオフィスで導入される印刷用の機器です。一般的なプリンターとの違いは、プリンターが印刷専門の機器であるのに対し、複合機はプリンター機能のほか、コピー機、スキャナー、FAXなど、複数の機器の機能をひとつの機器に集約している点です。
職場に複合機があれば、プリントやコピーをするだけでなく、スキャン機能を使って保管しておきたい紙の文書をデジタルデータに変換したり、FAX機能を利用して電子データを別の職場や取引先に送信したりできるようになります。
複合機の主な種類

複合機は印刷する際の方式により、次のように分類されています。
インクジェット
インクジェット複合機とは、液体のインクを用紙に直接噴射することで印刷を行う方式の複合機です。繊細で高解像度な印刷を得意とし、色の再現性も高いため、写真やカラー印刷など、グラフィックやクリエイティブ部門での用途に適しています。
ただし、鮮明な印刷を行う分、印刷速度は遅くなり、液体インクの特性上、乾くまで時間がかかる点がデメリットとなります。
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レーザープリント
レーザー複合機とは、トナーと呼ばれる粉状のインクを紙に吹きつけて、圧力と熱で紙に定着させることで印刷を行う方式の複合機です。
インクを上から下に順番に吹きつけていくインクジェット方式に対し、レーザープリントの場合は、印刷データに基づいてトナーを用紙に直接転写するため、ページ単位で印刷が行われます。そのため印刷速度が非常に速く、書類など文字がメインとなるデータの大量印刷に適しています。
しかし、業務に利用することを前提とした機器であるため初期導入コストが高く、トナーや感光体といった消耗品も、交換の際にそれなりの費用がかかる点に注意が必要です。パーツ交換や修理といったメンテナンスにかかる費用も考慮しなければなりません。
また、印刷の仕組み上、機器の構造が複雑であり、本体が大型で重量もある点はデメリットとなります。設置場所についても、職場内にスペースを確保しておく必要があります。
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複合機とプリンターの違い
複合機と一般的なプリンターは、どちらもプリントに関連する機器です。しかし、その機能と用途には大きな違いがあります。
先ほど述べた通り、プリンターは印刷機能に特化した機器であり、一方で複合機は印刷機能に加えて、コピー、スキャン、FAXといった複数の機能を持っています。
プリンターは機能が少ないため小型であり、設置スペースを比較的取らずに済むというメリットがあります。また、導入費用やメンテナンスにかかる費用も比較的安価で済みます。
複合機を導入する際は、機械を設置するスペースを確保しておく必要があり、導入の際や利用中のメンテナンス費用について考慮しておく必要もあります。
このように、各機器には機能面とコスト面からそれぞれメリットとデメリットが存在します。そのため、職場において印刷以外の用途について必要がない場合は、コストパフォーマンス上プリンターの導入を検討し、複数の機能を利用する予定がある場合は、コストを考慮した上で複合機の導入を検討することをおすすめします。
複合機でできることは?主な機能・用途
複合機を導入することで、次のような用途に活用できます。
コピー・プリント機能
複合機の基本機能として、コピーとプリントは欠かせない要素です。
コピー機能は、紙の文書を同一内容で複数枚コピーするだけでなく、複数の文書を両面でコピーしたり、元の文書を任意のサイズに拡大縮小したりする機能も持ちあわせています。
プリント機能は、パソコンやスマートデバイスなどで作成した、デジタル文書や画像データなどを印刷するために使用します。設定を活用することで、画質を重視するか印刷速度を重視するかといった設定ができます。写真などを印刷するときは画質を重視し、会議で人数分の書類を急ぎ用意するときは速度重視にするなど、場面にあった使い分けが可能です。
FAX機能
書類や写真など、取り込んだデータを遠隔地の相手に送信できる機能です。契約書や重要文書などを、契約相手や取引先に送信する際に利用されます。
従来の電話回線を利用したFAX機能のほか、インターネット回線を利用した「インターネットFAX」も利用できます。
スキャン機能
書類や領収書など、紙の文書をデジタルデータに変換する機能です。高解像度で文書を読み取り、紙の文書をデジタル化するため、元の文書の内容を損なわずデジタルデータとして保管できます。
従来、紙の文書を保管する際は、保管スペースを確保しておく必要がありました。しかし、デジタルデータに変換することで、保存スペースが削減できるようになりました。また、スキャンしたデータをアップロードしたり、メールで送信したりすることで、関係者どうしで瞬時に情報を共有できます。
ほかにも、クラウドストレージに保存し管理することで全従業員がファイルにアクセスしやすくなるなど、業務の省スペース化と効率化につなげられます。
企業に複合機を導入するメリット
企業が職場に複合機を導入することで、次のようなメリットを得られます。
オフィススペースの節約になる
複合機は、コピー、印刷、スキャン、FAXなどの機能が、ひとつの機器に集約されています。そのため、用途ごとに異なる機器を導入して使い分ける手間が省けるので、導入の際のコストや機器の設置スペースを削減できます。ひとつの機器の操作方法を覚えることで、あらゆる機能を使いこなせるようになるため、オフィス内の業務フローが簡素化されて、業務効率が向上するメリットもあります。
また、最新の複合機を導入すれば、プリンター専用機と同等の高速印刷や大量印刷ができるため、印刷時間を大幅に短縮できます。
ランニングコストを削減できる
複合機を導入することで、インク代などの消耗品費や電気量などのコストをひとつの機器上で一元管理できるため、個別の機器を使い分ける場合に比べて、管理上のコストを抑えられます。
また複合機は、初期の導入費用や消耗品の費用がそれなりにかかるというデメリットがありますが、それについてリース契約や保守契約といったサービスが実施されている場合があります。リース契約により初期の導入費用を削減し、保守契約によってメンテナンスや修理費用を削減できるほか、インクやトナーといった各種消耗品の交換も無料で受けられます。このように各種契約を活用することで、複合機を導入する場合に気になるランニングコストも削減できます。
クラウド連携でデジタルデータの活用を促進できる
最新の複合機はインターネット環境にも対応しているため、設定を活用することで、取り込んだデータをパソコンに経由することなく直接メールで送信したり、クラウド上に保存したりするなど、業務が効率化できます。
複合機でスキャンした書類などのデータを直接クラウド上に保存することで、インターネットを介して、どこからでもデータにアクセスできるようになります。リモートワークやテレワークの環境下でも、複合機を介した各種書類のデータ共有が可能となり、従業員のデジタルデータ活用や企業のデジタル化推進のきっかけになります。
自社に合ったオフィス向け複合機の選び方
自社で複合機を導入する際に確認しておきたい事項は、次の通りです。
スペックをチェックする
オフィスに複合機を導入する際に、機種を選ぶ際の重要なポイントのひとつがスペックです。複合機は、機種によって印刷速度や品質、対応する用紙サイズなど違いがあります。
例えば、会議などで使うA4サイズ以下の書類を大量に印刷する職場の場合は、印刷速度の性能が優れた複合機が向いています。A3サイズ以上の図版などを印刷する業務の場合は、用紙が対応している複合機を導入する必要があります。
FAXやスキャンの機能についても、インターネット環境に対応しているかなど、自社の業務に見あった内容のものを選ぶ必要があります。
このように、職場の業務内容や使用頻度にあった最適なスペックの複合機を選ぶことで、自社の業務を最適に効率化できます。
ランニングコストを確認する
複合機の選定においては、無理にスペックの高い機種を導入すると、かえって非効率になる場合があります。利用中にランニングコストがかかるため、これらの機種を利用することで、余計な費用がかかってしまう場合があるためです。
ランニングコストには、メンテナンスや修理の保守料金、インクやトナーの消耗品費用、利用の際の電気代があります。
リース契約などを結ぶ場合、リース料金の中に保守に関わる費用が含まれている場合もあるため、契約内容をよく確認し、購入した場合とどちらが効率的か確認するとよいでしょう。いずれにせよ、自社の予算や使用状況にあった複合機を選ぶことをおすすめします。
代表的な複合機メーカー
複合機をリリースしている代表的なメーカー各社の、それぞれのアピールポイントについて紹介します。
キヤノン(CANON)
カメラやビデオといった電子機器で有名なキヤノンは、創業当初よりコピー機・複合機を扱ってきました。光学面に強みがあることから、プリントの画質には定評があります。
クラウド時代に向けて、ネットワーク機能を充実させた複合機をリリースするだけでなく、ソフトウェア面でも付加価値の高いソリューションを提供しています。
コストパフォーマンスや環境を重視しながら、利用者の生産性向上に向けた最適な開発が行われています。
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ブラザー(brother)
家庭用ミシンや産業用機械など、多角的に事業を展開するブラザー社は、プリンターや複合機といったプリント機器もリリースしています。
利用者のプリンティングニーズに応えるべく、多様なソリューションを提供するブラザー社では、家庭用から製造現場などのオフィス向けの製品まで、多様なラインナップを展開しています。環境を問わず誰でも簡単に扱えるよう、直感的に操作ができるようなインターフェースを採用しているのが特長です。
さらに、エコロジー設計や省エネルギー化のため、コンパクト性を追求した製品づくりも行われています。使用済み消耗品の回収など、環境に配慮した試みもなされています。
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エプソン
プリント機器をはじめとするパソコンの各種周辺機器の製造メーカーとして有名なエプソンは、個人向けからビジネス向けまで幅広い製品をラインナップしています。特にインクジェットプリンターは高い評価を得ており、高速かつ高品質な印刷が可能です。
ただ機器を販売するだけでなく、ビジネスソリューションの展開により、各業種の働き方にあった業務の効率化や、課題を解決するための製品やサービスを提供する試みもなされています。
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複合機を導入する際の注意点

企業が複合機の導入を検討する際は、以下の点に注意が必要です。
事前に一括見積りを依頼する
複合機を導入する際には、まず一括で見積りを依頼することが重要です。
複合機の導入に際しては、機器本体の料金だけでなく、機器の輸送や設置などに関わる費用を要する場合があるためです。またリース契約に関しても、リース料について本体の貸出料のほかに、保険料やメンテナンスに関わる代金が含まれている場合があります。
そのため、まずは販売業者やリース業者に一括で見積りを出してもらい、利用期間中にトータルでどれだけの費用がかかるのかを把握してください。
また、見積りを行うことで、各要素でどれだけ費用がかかるのかも分かるので、リース契約を結ぶか、直接購入するかのどちらが経済的かも把握できます。このとき、複数の業者からの提案を比較することで、企業にとって最適な選択を行えます。
トラブル発生時のサポートがあるか確認しておく
機材は、利用していると故障や不具合などトラブルが発生する場合があります。多様な用途を持った複合機のトラブル発生中は、業務に大きな影響が生じるため、迅速に解決する必要があります。
そのため、販売業者やリース業者が修理や技術対応に関するサービスも行っているか、トラブル解決のサービス品質がどの程度なのかも、あらかじめ把握しておいてください。
また、業者から技術者が派遣される場合も、派遣までの期間がどの程度かかるのかを知っておくことも重要です。サポートの対応時間や休日対応の有無も確認しておくことで、安心して複合機を利用できるようになります。
まとめ
複合機は、プリント以外にも業務で利用するさまざまな機能を持ったOA機器であり、導入することで業務を効率化できます。
導入にあたっては、機能に見あっただけの費用がかかりますので、本記事を参考に機能面とコスト面の双方から検討を重ねて、自社の業務に最適な機種を選んでください。


