更新日:2026年2月26日
介護食とは?種類・区分別の選び方解説

かむ力や飲み込む力が低下した利用者にとって、安全で食べやすい介護食は、健康維持や生活の質を確保するうえで欠かせません。しかし、介護施設や事業所で導入を検討する際、「何から始めればよいか分からない」と感じる担当者も少なくありません。
本記事では、介護施設や事業者向けに、介護食の種類や区分別の選び方、購入方法など、役立つ情報をご紹介します。
介護食とは?必要性と取り入れるメリット

介護食とは、かむ力や飲み込む力が弱くなった人のために工夫された食事です。
ここでは、介護食が必要な理由や取り入れるメリットを解説します。
介護食が必要になる理由
介護食が必要になる理由は、加齢や病気によってかむ力や飲み込む力が低下し、通常の食事では食べたものが気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)や窒息の危険が高まるためです。安全に食べられる形状やかたさに調整することで、栄養を確保しながら、食べる楽しみや生活の質を維持することを目的としています。
介護食を取り入れるメリット
介護食を取り入れることで、体の状態に合った食事を無理なく続けられるようになります。食べやすさや味の工夫により、食欲が回復しやすく、栄養不足の予防にもつながることもメリットです。
さらに、食事の時間を楽しめることで、心の安定や生活への意欲が高まる効果もあります。
介護食とあわせて活用したい栄養サポート食品
介護を受ける方の健康維持には、栄養サポート食品の活用も効果的です。例えば、とろみ剤など固形化補助食品や、たんぱく質を補うドリンク、エネルギー補給ゼリー、ビタミン・ミネラルを含む栄養補助食品などがあります。
食事量が少ない方でも、手軽に必要な栄養を補うことが可能です。
非常時に備えた介護食のストック
給食サービスや施設内調理に加え、災害や停電時に備えてレトルト・パウチタイプの介護食を備蓄しておくことも大切です。常温で保存できる商品や個包装タイプを選べば、管理や配布がしやすく、非常時も安心して食事を提供できます。
介護食の4つの区分

食品のやわらかさ(かたさ)や形状、飲み込みやすさを定めた「そしゃく配慮食品の日本農林規格」(JAS)では、食べやすさの程度に応じて以下のような4つの段階に分類しています。
| 区分 | 定義 |
|---|---|
| 容易にかめる食品 |
|
| 歯ぐきでつぶせる食品 | 「容易にかめる食品」と「舌でつぶせる食品」の中間程度 |
| 舌でつぶせる食品 | 舌と上あごで軽く押してつぶせるかたさのもの |
| かまなくてよい食品 | 咀嚼せずそのまま飲み込めるかたさのもの |
それぞれの区分について、詳しくみていきましょう。
<参照>
農林水産省「そしゃく配慮食品の日本農林規格」(JAS)
区分1:容易にかめる食品
「容易にかめる食品」とは、歯ぐきや弱い力でもかみ切りやすく、かみ砕いたりすりつぶしたりできる程度のやわらかさを持つ食品を指します。適度なかみごたえがあり、かむ力がやや低下した高齢者でも安全に食べやすいことが特徴です。
区分2:歯ぐきでつぶせる食品
歯や強いかむ力がほとんどなくても、歯ぐきで軽く押すだけでつぶせるやわらかさの食品を指します。高齢者や飲み込む力が低下した人でも安全にかめることが特徴で、かむ負担を抑えつつ栄養を摂取しやすいよう工夫されています。
区分3:舌でつぶせる食品
かむ力がほとんどなくても、舌と上あごの間で軽く押すだけでつぶせるやわらかさを持つ食品を指します。
飲み込む力が著しく低下した人でも安全に食べられるよう設計されており、栄養補給や水分補給をスムーズに行えることが特徴です。
区分4:かまなくてよい食品
かむ必要がなく、口に入れるだけで安全に飲み込めるやわらかさや形状を持つ食品を指します。飲み込む力が低下している高齢者や病気の方でも、舌やのどの動きだけで摂取でき、栄養や水分を無理なく補給できる点が特徴です。
「そしゃく配慮食品の日本農林規格」と同じような介護食の基準に、日本介護食品協議会の「ユニバーサルデザインフード(UDF)」と農林水産省の「スマイルケア食」が挙げられます。
ユニバーサルデザインフードは、食べる力に応じて「かむ力」「飲み込む力」を段階別に示した食品の基準で、日本介護食品協議会が定めた規格に適合した商品には「UDFマーク」と区分表示が記載されています。
一方、スマイルケア食とは、これまで介護食品として扱われていた食品の分類を見直し、新たに「スマイルケア食」という名称で体系的に整理した取り組みです。介護食やかむ力・飲み込む力に配慮した食品をわかりやすく表示し、家庭や施設での利用を促進しています。
どちらも、安全で食べやすい食品選びをサポートすることを目的としています。
介護食の形状の種類

介護食には、さまざまな形状があります。かたさや形の違いによって食べやすさが変わるため、食べる人の状態に合わせて選ぶことが大切です。
ここでは、介護食の代表的な形状と特徴をご紹介します。
きざみ食
きざみ食は、食材を小さく刻んで食べやすくした介護食です。「そしゃく配慮食品の日本農林規格」の4つの区分では、「区分1・容易にかめる」に該当します。
口の動きや咀嚼力が弱くなった方でも食べやすく、食材の形や食感がある程度残っているため、見た目から食欲を刺激できる点も特徴です。
ソフト食
かむ力が弱い方でも食べやすいよう、やわらかく調理された介護食です。「そしゃく配慮食品の日本農林規格」の4つの区分のうち、区分2の「歯ぐきでつぶせる」および区分3の「舌でつぶせる」にあたります。
食材をやわらかく煮込んだり、ミキサーにかけてから固めたりして食材の形や食感をある程度残しつつ、歯や歯ぐきでかみやすく、安全に食べられるよう工夫されています。
ミキサー食
かむ力や飲み込む力が低下した方向けに、食材をミキサーやフードプロセッサーでなめらかにした介護食です。
ペースト状にすることで飲み込みやすく、安全に栄養を摂取できます。見た目や味を工夫すれば、食べる楽しみを保ちながら食事が可能です。
ゼリー食
飲み込みやすさに配慮して、食材をゼリー状に加工した介護食です。かむ力が弱い人や飲み込む機能が低下した方でも安全に食べられ、水分や栄養を同時に補給できます。
食べ物が意図せずのどへ流れ込み、誤嚥につながらないよう、ゼリーの硬さや弾力、とろみの均一性を適切に調整することが重要です。
また、見た目が単調になりやすいため、色合いや盛り付けを工夫し、食事への意欲を保つ配慮も求められます。
流動食(液状介護食)
かむ力や飲み込む力が著しく低下した方でも、栄養を液体で安全に摂取できる介護食です。
体調が優れないときや食事が難しい場合でも栄養補給がしやすく、医師や栄養士の指導のもとで利用されることが多い点が特徴です。
介護食を購入できる場所・購入のポイント

介護食の購入先には、手軽に入手できるスーパー・ドラッグストアや、種類が豊富な通販サイト、定期配送が便利な宅配サービスなどが挙げられます。利用者の状態や施設の調理体制によって、購入先や方法を使い分けることが大切です。
ここでは、それぞれの特徴を紹介します。
スーパー・ドラッグストアで購入できる介護食
スーパーやドラッグストアで販売されている介護食は、日常の買い物ついでに手に入れやすく、少量だけ使いたいときや緊急時の補充などにも便利です。
ただし、商品数や形状の種類は限られることがあるため、定番品として日常的にストックしておく活用法が適しています。
通販サイトの活用
通販サイトは介護食の種類やメーカーが豊富で、まとめ買いにも適しています。利用者の状態に合わせて商品を比較検討しやすく、施設でも在宅介護でも活用しやすい点が特徴です。
宅配サービスの活用
宅配サービスとは、かむ力や飲み込む力が弱くなった高齢者や、介護が必要な方が、安全に美味しく栄養バランスのとれた食事を自宅でとれるよう、調理済みの食事を配達するサービスです。
また、介護食を自宅まで届けてもらえるだけでなく、高齢者の様子を確認する見守りサービスが付帯している場合もあります。食事の補充と同時に健康状態のチェックができるため、一人暮らしの方や在宅介護中の家族にとって安心して活用できる方法です。
複数のセットをまとめて購入すると効率的
主菜や副菜が複数種類揃ったバラエティパックをまとめて購入すると、食事の準備や在庫管理が効率的になります。
飽きない工夫がされた複数のセットを用意しておくことで、利用者の食欲を維持しながら、日々の介護食提供がスムーズになるでしょう。
介護食の選び方

介護食は、利用者のかむ力や飲み込む力に合わせて、食材のかたさや形状を選ぶことが大切です。ここでは、安全で食べやすい介護食を選ぶためのポイントや注意点を解説します。
専門家などに相談して介護食を選ぶ
介護施設で利用者に適したレトルトの介護食を選ぶ際に不安がある場合は、医師や管理栄養士などの専門家に相談すると安心です。
専門家の指導を受けることで、利用者一人ひとりの咀嚼力や嚥下機能、栄養状態に応じた、安全で栄養バランスのとれた食事を選びやすくなります。施設での食事提供の質を高め、誤嚥や栄養不足といったリスクの軽減にもつながります。
ユニバーサルデザインフードから選ぶ
介護食を選ぶ際に迷った場合は、ユニバーサルデザインフード(UDF)の基準を参考にすると安心です。かむ力や飲み込む力に応じて食品を段階的に分類しているため、利用者に適した食品を安全に選ぶことができます。
形状や硬さが明確に示されていることで、誤嚥リスクを抑えつつ、効率的に栄養を摂取できる点も特徴です。
スマイルケア食から選ぶ
農林水産省が提唱する「スマイルケア食」を参考にするのもおすすめです。食品のやわらかさやとろみなど、摂取時の配慮ポイントが明確に示されているため、家庭だけでなく介護施設での導入にも適しています。
なお、食べることについて気になることがある場合は、医師・歯科医師・管理栄養士などに相談するようにしてください。
食事介助におすすめの介護用品

介護が必要な方に食事を安全かつ快適にサポートするためには、介護用品の活用が効果的です。
ここでは、食事介助におすすめの介護用品を、食器類、食事補助用品、口腔ケアの3種類に分けてご紹介します。
介護用食器・カトラリー
介護用食器やカトラリーは、高齢者や嚥下機能が低下した方でも食べやすく工夫された道具です。持ちやすい形状のスプーンやフォーク、滑りにくい皿、深めのボウルなどがあり、自分で食べる力をサポートします。使いやすい食器を選ぶことで、食事の自立を促し、介助者の負担も軽減できます。
食事補助用品
食事補助用品とは、高齢者や飲み込む力が低下した方が安全に食事できるようサポートする道具です。介護用食事エプロンや傾斜付きの食器、滑り止めマット、食べやすいカップなどがあり、食べやすさや飲みやすさの向上に役立ちます。
介護用食器については以下記事でも詳細に紹介しているため、参考にしてみてください。
口腔ケア
口腔ケア用品は、口内環境を清潔に保ち、誤嚥性肺炎などのリスクを減らすために使われます。やわらかい歯ブラシやスポンジブラシ、うがい補助具などがあり、歯や歯ぐき、舌のケアを安全に行うことが可能です。
日々の口腔ケアをサポートすることで、健康維持や食事の安全性向上につながるでしょう。
まとめ
介護食は、かむ・飲み込む力が低下した方でも安全に栄養を摂り、食事の楽しみを保てるよう工夫されています。食材のかたさや形状に応じてさまざまな種類があり、利用者の状態に合わせて選ぶことが大切です。
「そしゃく配慮食品の日本農林規格」のほか、ユニバーサルデザインフードやスマイルケア食の基準も参考にしながら、食事介護用品も活用することで、より安全で快適な食事環境を整えられるでしょう。
<参考>
入浴介助とは?手順や留意点、必要品について解説
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