更新日:2025年4月24日
シリカゲルとは?特徴・種類・使い方・再生方法などを紹介

シリカゲルは、食品や医薬品の包装内に広く使用される乾燥剤であり、身近な存在です。しかし、特徴や用途、安全性について詳しく知る機会は少ないかもしれません。例えば、誤って飲み込んだ場合の影響、繰り返し使用できるのか、適切な廃棄方法など、さまざまな疑問が浮かびます。シリカゲルには種類があり、目的に応じて使い分ける必要があります。自社製品に乾燥剤として導入する場合には、適切なシリカゲルを選ぶことが重要です。本記事では、シリカゲルの基本的な特徴や種類、主な用途について詳しく解説します。
シリカゲルとは?
シリカゲルとは、高純度の二酸化ケイ素で作られた乾燥剤のことです。二酸化ケイ素を透明や青の粒状に加工し、穴を空けたポリフィルムやアルミで包んで作られており、食品をはじめとしたさまざまな製品の乾燥剤に用いられています。二酸化ケイ素は水晶などと同成分の物質であり、吸湿性が高いのが特徴です。保湿性が高く、吸湿しても形状が変化することはありません。シリカゲル自体には毒性がなく、通常は誤飲しても体内で吸収されず、排出されます。ただし、誤飲量が多い場合や小児・高齢者では注意が必要です。
なお、青のシリカゲルは塩化鉄などで着色されたものです。吸湿後は色がピンクに変わるので、どれくらい吸湿性が残っているかが一目でわかるという利便性があります。

シリカゲルの作り方
シリカゲルがどのように作られているのか、作り方を簡単に解説します。
- 二酸化ケイ素と水酸化ナトリウムを混ぜて加熱し、ケイ酸ナトリウムを作る
- ケイ酸ナトリウムに水を加えて加熱し、水ガラスを作る
- 水ガラスに塩酸を加え、ケイ酸を作る
- ケイ酸を加熱して脱水する
この工程でシリカゲルが完成します。
シリカゲルの代表的な特徴
シリカゲルが広く普及している理由は、その特徴にあります。代表的なものが以下に挙げる4つです。
安全性が高い
シリカゲルの代表的な特徴のひとつが、安全性の高さです。シリカゲルは高純度の二酸化ケイ素から作られますが、二酸化ケイ素は味も匂いも毒性もなく、うっかり飲み込んでしまっても中毒症状などが起こることはありません。二酸化ケイ素自体が食品添加物として認められていることからも、安全性がうかがえます。そのため、食品や医薬品などに同梱する乾燥剤として使われています。
また、生石灰を用いた乾燥剤と異なり水分を吸っても発熱せず、発火の危険性もありません。そのため、捨てる際にも水分に触れないよう注意する必要がなく、取り扱いが楽です。
高い吸湿力がある
シリカゲルの特徴のひとつに、高い吸湿力があります。これは化学吸着と物理吸着の2種類の吸着作用によるものです。化学吸着とは、水分などの吸着質が吸着剤(シリカゲルなど)の表面と化学的な力で結びつく現象を指します。シリカゲルの表面には水分と結びつく特性があり、周囲の湿気を効果的に吸収できます。
一方、物理吸着は、吸着質が吸着剤の表面に分子間力(分子同士が引き合う力)によって付着する現象です。シリカゲルの表面には無数の微細な穴があり、そこに水分が取り込まれることで湿気を減らせます。
このように、シリカゲルは2種類の吸着作用を持ち、周囲の湿度が高くなるほど吸着力も増すため、食品や医薬品、精密機械など湿気に弱いものの乾燥剤として広く活用されています。ただし、吸着できる水分量には限界(吸着限界)があり、一定量を超えると除湿能力が低下するため、半永久的に湿気を防ぐわけではありません。
安定性に優れている
シリカゲルは安定性が高いという特徴もあります。シリカゲルは水分に触れても溶け出すことがありません。耐薬品性も高く、強アルカリ性の薬品やフッ化物を除いて、薬品の影響を受けることもほとんどないとされています。
また、徹底的に管理された環境で製造されることから品質にバラつきがなく、常に一定の除湿能力を発揮できます。シリカゲルは水濡れや汚染のリスクが低いため、食品や医薬品、精密機器などさまざまな製品の乾燥剤として広く利用されています。
繰り返し使える
食品などと一緒に梱包されているシリカゲルは、開封後捨ててしまうことが多いかもしれませんが、シリカゲルは繰り返し使えます。詳しくは後述しますが、加熱すれば再生可能で環境にやさしいのが特徴です。また、廃棄したとしても、主成分である二酸化ケイ素はもともと土のなかに豊富に含まれている成分であるため、環境への負荷が低いというメリットもあります。
シリカゲルの種類
シリカゲルは種類によって特徴が異なるため、製品の乾燥剤として使用するならシリカゲルの種類について把握しておくことが大切です。シリカゲルは、大きく「A型」と「B型」に分類されます。各タイプの特徴を解説しますので、どちらが適しているかを考えてみましょう。
A型シリカゲル
A型シリカゲルは粒子が集まっていて、表面積が大きいのが特徴です。また、表面の穴の直径が小さいため、低湿度な環境で効率的に水分を吸収することができます。さらに放湿性が低く、一度吸収した水分を放出しにくいため、吸収した水分が一定量を超えると除湿能力が失われます。ただし、加熱すれば再生可能です。
B型シリカゲル
B型シリカゲルは、粒子が粗く表面積が小さいのが特徴です。また、表面の穴の直径が大きいため、湿度の高い環境で多くの水分を吸収することができます。湿度が上がると水分を吸収する一方で、周辺の湿度が下がると物理的吸着によって吸収していた水分を放出する性質があります。つまり、周囲の湿度に応じて、吸水と脱水を繰り返すのがA型との大きな相違点です。B型シリカゲルの除湿能力が落ちてきたときは、天日干しなどにより再生可能です。
シリカゲルの代表的な用途
高い吸湿力があり安全性も高いシリカゲルは、幅広いシーンで活用されています。どのような場面で使われることが多いのか、シリカゲルの主な用途を紹介します。
食料品や医薬品の除湿・防湿
シリカゲルの代表的な用途といえば、やはり食品や医薬品です。シリカゲルに水分を吸い取らせることで、湿気によって食品が劣化したり医薬品が変質したりするのを防ぎます。毒性がなく安全性が高いため、食品の製造工程でも活用されています。ちなみに食品や医薬品、精密機器の乾燥剤には、吸収した湿気を放出しにくいA型シリカゲルが用いられるのが一般的です。
ドライフラワー・押し花制作

ドライフラワーや押し花の制作にも、シリカゲルが用いられます。ドライフラワーの製造方法は何種類かありますが、もともとの花の色が残りやすいのはシリカゲルを使用した方法です。ドライフラワーには専用のシリカゲルがあり、数キロ単位の業務用も販売されています。
仕事場の湿気対策
シリカゲル入りの除湿剤は、密閉空間の湿気を取りカビを防ぐ効果が期待できるので、仕事場の湿気対策にも活用されています。特に布製品や紙製品、革製品など、湿気に弱い製品・資材の保管場所や工場ではシリカゲルの除湿剤が役立ちます。ただし、シリカゲルが吸収できる水分量は本体の50%ほどであることを考慮して、除湿剤のサイズを選ぶ必要があります。なお、空間の除湿にシリカゲルを使う場合は、B型が適しています。
シリカゲルの使い方
一般に普及しているシリカゲルの多くはA型シリカゲルです。A型シリカゲルは低湿度な環境で効果を発揮するので、密閉された環境で使用しましょう。密閉された環境でないと、外部から入り込んだ湿気を吸って、シリカゲルの除湿能力がどんどん落ちてしまいます。また、シリカゲルには食品向け、医薬品向け、精密機器向けなどさまざまなタイプがあります。使用する目的に合ったシリカゲルを選びましょう。
シリカゲルの再生方法
先述の通り、シリカゲルは加熱すれば除湿能力が復活します。シリカゲルを再生利用すれば、再購入や廃棄にかかるコストを抑えられるので、再生方法を知っておきましょう。
1. 鍋で加熱する
A型シリカゲルは、鍋で加熱すると除湿能力が復活します。不要な鍋を用意し、シリカゲルを入れて乾煎りするように加熱しましょう。鍋に入れるときは、シリカゲルを包んでいるポリフィルムやアルミの包装は外してください。鍋に油が残っているとシリカゲルが変色することがあるので、油がついていないかどうかもチェックします。テフロン加工の鍋も、加熱中に加工がはがれる恐れがあるので使用しないようにしましょう。
シリカゲルは200度を超えると成分が壊れて除湿能力が落ちてしまうので、温度を上げすぎないよう注意します。加熱時の温度の目安は150~180度なので、弱火でじっくり水分を飛ばしましょう。加熱時間の目安は30~40秒です。加熱後にまだ水分が残っているようなら、再度加熱してしっかりと水分を飛ばしてください。なお、シリカゲルに毒性はありませんが、シリカゲルの再生に使った鍋を調理などの別の用途で使うのは避けることをおすすめします。
加熱に失敗した場合、シリカゲルがひび割れたり変形したりします。こうなると吸湿能力は期待できないので廃棄してください。
2. 電子レンジで加熱する
A型シリカゲルは、電子レンジによる加熱でも再生可能です。シリカゲルを包装から取り出して容器に入れ、30~40秒ほど加熱しましょう。200度を超えると成分が壊れて除湿能力が落ちるので、高温になるのを防ぐためにもパワーは最弱に設定してください。また、容器にフタやラップをすると温度が上がりやすくなるため、フタはせずに加熱します。加熱後も水分が残っているようなら、再度加熱しましょう。シリカゲルが変形した場合は、加熱のし過ぎで吸湿能力は失われているので、廃棄するしかありません。
3. 天日に干す
B型シリカゲルは、天日干しで再生可能です。B型シリカゲルには、一般的に「再生サイン」と呼ばれるインジケーターがついて、再生すべきタイミングがわかるようになっています。インジケーターに再生サインが出ていたら、除湿能力が落ちているということなので天日干ししましょう。なるべく天気がよく湿度が低い日に干すのがおすすめです。また、日が暮れると外気の湿気が増えて、シリカゲルが周囲の湿気を吸ってしまう可能性があるので、16時を過ぎる前に取り込みましょう。
シリカゲルを食べたらどうなる?
シリカゲルの包装には「食べられません」と記載されているため、うっかり食べてしまったらどうなるのかと不安に感じるかもしれません。しかし、先にお伝えした通りシリカゲルには毒性がなく、体内で消化吸収されることもないため、もし飲み込んでしまったとしても中毒症状が出ることはありません。しばらく時間が経てば、便とともに体外に排出されます。ただし、シリカゲルは吸着力が高く、飲み込んでしまうと喉の水分を吸収して張り付いてしまうことがあるため、絶対に食べないようにしましょう。
万が一シリカゲルを食べてしまったら、すぐにうがいをして水を飲み、しばらく様子を見てください。目に入った場合は、こすらないようにして水で洗い流しましょう。もし体に異常を感じた場合は、速やかに医師に相談することが大切です。
シリカゲルの捨て方
シリカゲルは発熱・発火する危険性が低く安全性が高いため、家庭で廃棄する場合は可燃ごみとして処分できます。ただし、一部の自治体では不燃ごみとして捨てるルールになっているので、詳しくは事業所がある自治体のごみ捨てルールをご確認ください。
また、企業がシリカゲルを廃棄する場合は、「産業廃棄物」の「汚泥」として処分する必要があります。事業系可燃ごみとして捨てることはできません。廃棄する際は必ず産業廃棄物の回収・処分の許可を得ている業者に依頼しましょう。もしも無許可の業者にシリカゲルの処分を依頼してしまった場合、廃棄物を出した企業に対し懲役や罰金などの罰則が科せられる恐れがあるため注意が必要です。
まとめ
高い除湿能力を持ち、安全性も高いシリカゲルはさまざまな製品の乾燥剤として活用されています。A型・B型の2種類があり、A型は放湿性が低いので、食品や医薬品、精密機械などに同梱する際によく用いられます。B型は高湿度の環境で水分を吸収する力が高いため、室内の除湿用などに用いられます。
また、シリカゲルは加熱すると除湿能力が復活します。繰り返し使用すれば再購入や廃棄のコストを抑えられるので、再生方法も覚えておくと便利です。廃棄する際は、家庭では可燃ごみとして捨てるのが一般的で、企業では産業廃棄物として処理する必要があります。
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