更新日:2024年4月30日
血圧計の選び方は?製品の種類や、血圧測定をする際のポイントを解説

高血圧の状態が続くと、心疾患や脳卒中といった循環器系の病気を患うリスクが増大してしまいます。
個々人はもちろんのこと、会社経営者や施設管理者は、従業員や介護施設入所者の健康を守るためにオフィスや店舗、工場といった施設内に血圧計を用意しておくべきですが、中には「どのような基準で血圧計を選べば良いのだろうか」「血圧測定の方法がわからない」といった悩みをお持ちの方もいるでしょう。
この記事では、血圧計の選び方を詳しく解説したうえで、正確に血圧を測定するためのポイントもあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
血圧計とは?
血圧計とは、血圧や脈拍を測定するための医療機器のことです。血圧や脈拍を数値で表示することによって医療機関を受診するきっかけを与え、「塩分の摂取や飲酒を控える」「運動する」「禁煙する」といった健康を保持・増進するための行動を促す役割があります。
以前は水銀式血圧計による手動測定が実施されていましたが、聴診器でコロトコフ音(上腕の動脈を圧迫し、続いて減圧した際に血管で生じる「トントン」という音)を聴き取る必要があり、不慣れな方が測定すると測定値の誤差が大きくなってしまうという問題がありました。
しかし現在では、外来診察においてコロトコフ音を聴診器で聴き取る必要がない電子式血圧計による自動測定が推奨されています。なお、電子式血圧計なら医療機関以外でも一般家庭やオフィス、店舗、工場などにおいても、簡単かつ正確に血圧を測定することができます。
血圧計のおすすめの選び方
以下は、血圧計のおすすめの選び方です。
- 医師が推奨する測定方式のものを選ぶ。
- 持ち運び可能かどうかで選ぶ。
- 脱衣不要の便利さで選ぶ。
- スマホと連携できるかどうかで選ぶ。
- 予算に見合う価格の製品を選ぶ。
それぞれについて詳しく説明します。
①医師が推奨する測定方式のものを選ぶ
基準となる血圧値は上腕で測定した値とされています。なるべく正確に血圧を測定したいとお考えであれば、上腕部で測定する方式の血圧計を選びましょう。
なお上腕部で血圧を測定する製品は、腕を通すだけで測定可能な全自動式タイプと腕にカフを巻きつけるタイプに大別されます。
全自動式タイプなら、カフの装着に自信がない方でも医師が推奨する正しい姿勢で血圧を測定しやすく精度が安定するため、おすすめです。
②持ち運び可能かどうかで選ぶ
カフを上腕部に巻いて計測するタイプの上腕式血圧計は小型・軽量であり、全自動式と比べると手軽に持ち運ぶことが可能です。
計測開始前にカフを巻きつける際は、正確に血圧を測定するために正しい巻き方や正しい姿勢を習得しておくことが大切です。製品によっては状態を検知したうえで、「正しく巻けている」巻き方がゆるい」など表示してくれる場合もあります。
③脱衣不要の便利さで選ぶ
上述した上腕部にカフを巻くタイプの血圧計で測定する際には、袖をまくる、衣服を脱ぐといった労作が必要になります。冬場などで厚着をしていると、腕まくりや脱衣だけで血圧が上昇してしまう場合もあるので注意しましょう。
脱衣が不要という点では、手首式血圧計が便利です。手首式血圧計とは、上腕部ではなく手首にカフを巻くタイプの血圧計です。腕まくりや脱衣が不要なので、労作の影響を受けません。
また、上腕の太さに比べて手首の太さは個人差が小さいため、カフのサイズに起因する測定誤差が生じにくいことも手首式血圧計の魅力です。
④スマホと連携できるかどうかで選ぶ
製品によっては、測定したデータをスマホに転送してアプリで確認できる機能が搭載されている場合があります。
データの転送機能がある血圧計なら、後日まとめて数値を確認したり、推移をグラフ化したりすることができ、健康の維持・管理に役立ちます。なお、アプリの対応機種は製品ごとに異なるため、購入前に自分のスマホが対応機種に含まれているかどうか確認しておきましょう。
⑤予算に見合う価格の製品を選ぶ
予算に見合う価格の製品を選ぶことも大切です。リーズナブルな価格かつ、なるべく性能が良く費用対効果の高い製品を購入したいという方も多いでしょう。
さまざまな血圧計の価格や機能を比較し、自社の予算の範囲内でなるべく性能が良い製品を見つけましょう。
血圧計で正確に血圧測定をするためのポイント

以下は、血圧計で正確に血圧測定を実施するためのポイントです。
- 上腕式の製品の場合、なるべく直接上腕部に巻いて測定する
- 手首式の製品の場合、カフを正しく巻くことを意識しよう
- 1回ではなく、数回測定したうえで平均値を算出する
- 不具合が発生したらメーカーに問い合わせる
それぞれについて詳しく説明します。
上腕式の製品の場合、なるべく直接上腕部に巻いて測定する
厚手の服の上からカフを巻いて測定することは避けましょう。直接上腕部に巻くほうが正確に血圧を測定できます。ただし薄手のシャツ1枚程度であれば、着たままの状態で上腕部に巻き付けて測定しても大きな影響はありません。
また、椅子や机、テーブルなどの高さや腕の角度、姿勢を調整し、カフを巻く位置が心臓と同じ高さになるように心掛けましょう。
手首式の製品の場合、カフを正しく巻くことを意識する
手首式血圧計の場合、適切な巻き方ができていないと動脈をしっかりと圧迫できず、正確な測定ができない可能性があるので注意しましょう。正確に測定するために取扱説明書をしっかり読んで、カフを正しく巻くことを意識してください。
カフを巻きつけた手首を心臓と同じ高さにすることも大切なポイントです。なお、無理やり手首を心臓の位置まで上げるのではなく、適切な高さの椅子や机、テーブルを用意したり、折りたたんだタオルを腕の下に置いたりするなどの工夫をして、自然な姿勢で測定しましょう。
1回ではなく、数回測定したうえで平均値を算出する
血圧は常に変動しているため、1回限りの測定ではたまたま高い数値が出たり、逆に低い数値が出たりする可能性があります。正確な血圧を知るためには2~3回程度測定して、すべての測定値と平均値を記録しておくと良いでしょう。
なお、朝は「起床後1時間以内」かつ「排尿後」かつ「朝食や服薬の前」に測定してください。夜は寝る直前に測定するように心掛け、飲酒や入浴直後の測定は避けましょう。
不具合が発生したらメーカーに問い合わせる
現在主流となっている電子式血圧計は、精密機器です。落下などの衝撃を避け、なるべく丁寧に取り扱ってください。
しかし、丁寧に取り扱っていても何らかの原因でエラーが表示されたり、不具合が生じたりする場合もあるでしょう。経営者や施設管理者は取扱説明書を厳重に保管し、従業員や施設利用者から不具合を伝えられた際にすぐ確認できる体制を整えておきましょう。
不具合が発生したらまずは取扱説明書やメーカーの公式サイトを見て、記載されている対処法を試しましょう。修理を必要とせず、設定変更などで対応できるケースもあります。対処法を試したうえで、それでも故障している可能性が高い場合は、メーカーの相談窓口に問い合わせたうえで修理を依頼しましょう。
なお、取扱説明書に記載されている耐用期間を過ぎている場合は、思い切って新しい製品に買い換えることをおすすめします。
測定値が高い場合は、高血圧症の可能性があるため医師に相談を
病院や健康診断会場で血圧を測定し、「収縮期血圧140mmHg以上」「拡張期血圧90mmHg以上」のいずれか、または両方に当てはまる場合は高血圧症の可能性があります。
なお家庭で測定した場合は診断基準が異なり、上記数値よりもそれぞれ5mmHg小さい値(「収縮期血圧135mmHg以上」「拡張期血圧85mmHg以上」)から高血圧症とみなされることにご留意ください。
高血圧症を放置していると、動脈硬化が進行し、心疾患や脳卒中といった循環器系の病気を発症するリスクが増大します。
早めに医療機関で医師に診察してもらったうえで、食事や運動といった生活習慣に関する指導や、必要に応じて高血圧症の薬(降圧剤)の処方を受けることになるでしょう。
まとめ
血圧は健康を測る指標として重要な項目です。従業員や施設利用者の健康を守るため、気軽に測定できる環境を整えましょう。
血圧計を購入する際は、複数の製品を比較しながら設置環境に適した製品を選定することが大切です。例えばデイサービス施設に血圧計を設置する場合、衣服の脱着が困難な高齢者が多いと考えられるため、上腕式血圧計だけではなく手首式血圧計も用意すると良いでしょう。
また、血圧測定の際は正しい姿勢・方法で測定することも大切です。せっかく優れた製品を用意しても、測定方法が間違っていると正しく測定できない可能性があります。

監修者
藤堂 紗織(とうどう さおり)氏
日本医科大学医学部卒業。日本医科大学武蔵小杉病院で研修後、腎臓内科学教室に入局。その後、善仁会丸子クリニックにて10年院長勤務。透析治療に携わる。令和元年に、街のかかりつけ医となれるよう、Alohaさおり自由が丘クリニックを内科、皮膚科、美容皮膚科を標榜して開業。
あわせて読みたい!関連&新着記事
おすすめのマスクは?用途に合わせた素材やデザインの選び方、着用時の注意点も紹介
車椅子の種類や選び方は?事前に調べておくべきポイントや購入方法を紹介


