更新日:2024年10月31日
トナーとは? コピー機や複合機のインクとの違い、種類や注意点も解説

業務用のコピー機や複合機で使用するのが「トナー」です。トナーを使用する印刷方法には、インクを使用した印刷とは異なるメリットやデメリットがあります。この記事では、トナーとインクの違いやトナーの種類、トナーを交換する際の交換方法、捨て方などを解説します。
トナーとは
トナーとは、業務用のプリンター・コピー機・複合機などで印刷時に使用する消耗品のことです。ごく小さな粒子から作られている粉状の製品で、イエロー・マゼンタ・シアン・黒の4色があります。トナーは色ごとにカートリッジに入れられ、プリンターなどにセットして印刷に使用します。 モノクロ機で印刷する場合には、黒のトナーカートリッジしか使用しません。一方、フルカラー機で印刷する場合には、さまざまな色を作り出すために、イエロー・マゼンタ・シアン・黒の4本のトナーカートリッジを使用します。
トナーとインクの違い
トナーの特徴
トナーは、透明な樹脂で作られた細かい粉を黒鉛や顔料などで着色したものです。コピー機やレーザープリンターなどの印刷時に使用する消耗品で、静電気で粉を用紙に付着させてから、高温で溶かし圧力をかけて色を定着させて印刷します。用紙に熱や圧力で定着させる印刷方法のため、専用の用紙だけでなくさまざまな用紙への印刷が可能です。
印刷後に色が定着してにじまない特長から、トナー印刷はビジネス文書などの作成に適しています。また静電気でトナーを付着させる印刷方法はスピーディな印刷が可能で、大量印刷にも向いています。ただし、複雑な色の表現は得意ではなく、色の再現性は高くありません。
インクの特徴
一方、インクは顔料や染料で着色された液体の印刷用消耗品です。インクジェットプリンターなどで印刷する場合に使用します。インクを使用した印刷は、圧力や熱を加えてカートリッジのノズルからインクを噴射し、用紙に付着させる印刷方法です。
インクには、顔料インクと染料インクの2種類があります。
染料インクの印刷方法は、噴射後のインクを用紙に染み込ませる方法のため、発色がよく、光沢も出やすいことから写真印刷などに適しています。ただし用紙が水に濡れるとインクがにじみやすく、水に弱いといったデメリットもあります。
顔料インクを使用する印刷は、インクを用紙の表面に付着させ定着させる印刷方法です。用紙表面に定着するため、くっきりとした線が描かれます。定着後は水ににじみにくいため、文字が記載されている文書印刷などに適しています。
インクを使用した印刷では、文書印刷や写真印刷など用途に応じたインクの使い分けも可能です。ただし印刷の速度が遅いため、大量印刷には向きません。家庭用プリンターなどに多く使用されている印刷方法です。
トナーの種類
純正品
純正品のトナーとは、プリンターやコピー機本体のメーカーが製造販売している正規品のトナーのことです。使用するコピー機のメーカーが製造しているため高い品質が期待でき、機種との相性がよいため、製品の不具合が起きにくいのが特徴です。
ただしメーカーが生産を終了した場合、入手できなくなる点には注意が必要です。ほかの種類よりもトナーの価格が高いといったデメリットもあります。
純正品のトナーには、輸入純正品のトナーもあります。輸入純正品は、海外向けに海外で製造されているトナーを、日本に逆輸入して販売している製品です。海外で製造販売されているコピー機向けとはいえ、同一メーカーの同じ規格のコピー機向けのため、日本でも問題なく使用可能です。
輸入純正品のトナーは、基本的に海外で販売されているトナーの平均販売価格に近い価格で提供されています。そのため販売価格が低い国からの輸入品を、国内純正品よりも割安に購入できる場合があります。
汎用品
汎用品のトナーは、純正のトナーを製造している工場で作っているOEM製品です。元々メーカーからの依頼を受けてトナーを製造している工場が、純正品製造時と同じ設備を活用して作るため、純正品と比べてもほぼ品質は変わりません。ただしメーカーの製品にはならないため、製品名などがつかないノーブランドのトナーとして販売されています。
汎用品のトナーは、基本的に需要が高い製品のみ製造されるため、流通量がそれほど多くありません。また、メーカー名や製品名などがついていない汎用品のトナーは、実際に汎用品かどうかの判断が難しいといったデメリットがあります。なかには汎用品を装った質の悪い模造品のトナーを販売している業者も存在しているため、間違えて購入してしまうリスクもあり注意が必要です。
リサイクル品
純正インクの使用済みカートリッジを回収して、洗浄、修理後に新しいトナーを充填した製品がリサイクル品のトナーです。純正品や汎用品などと比較すると、低価格で購入が可能です。純正カートリッジの使用済み容器を再利用するため、環境に優しく、カートリッジの品質が安定しているといったメリットもあります。
リサイクル品のなかには、カートリッジのパーツ修理や、中身に入っているトナーの製造を、メーカーとは異なるリサイクルトナーの製造業者が行っているものもあります。完成した製品の検品の方法なども各業者で異なるため、印刷品質や販売価格は業者によって異なります。
模造品
模造品(互換品)のトナーは、第三者がトナーとトナーを入れるカートリッジまで製造した製品です。リサイクル品よりも価格が安く、費用を抑えて製品の購入が可能です。模造品は、メーカーとは関係のない業者がトナーからカートリッジまで全てを製造しているため、純正品や、純正品のカートリッジを使用しているほかのトナーとは異なり、品質が安定していません。
製品によっては、印刷の色合いが違う、用紙によってトナーが定着しにくいなどの問題が生じる場合もあります。もしコピー機との相性が悪い製品を使用してコピー機に不具合が生じた場合には、本体の保証期間内であっても保証が効かないため、有償で修理しなければなりません。
また、模造品にもかかわらず、安価な純正品と偽って販売する悪質な業者も存在します。購入時には価格だけ見て購入するのではなく、製品を十分に確認することが重要です。質の悪い模造品を購入して無理に使用した場合、コピー機の故障につながるリスクもあるため注意が必要です。
トナーの交換

トナーを交換するタイミング
トナーの交換時期には、プリンターやパソコンにトナー交換の時期を知らせるメッセージが表示されます。メッセージが表示されても、すぐに印刷ができなくなるのではありません。カートリッジ内に少量のトナーが残っているため、その後もしばらくは印刷が可能です。
メッセージが出てからカートリッジ内のトナーが完全になくなり、印刷ができなくなるまでの期間はプリンターや複合機によって異なります。小型の機器の場合、すぐに印刷できなくなることもあります。
一度トナーカートリッジを取り出して、左右に何回か静かに振ってから再度コピー機にセットし直すと、メッセージ表示が消えて問題なく印刷できる場合もあります。
印刷が可能になったら、再びトナーカートリッジ交換の表示が出たり印刷物がかすれたりする前に交換用のトナーカートリッジを早めに準備しましょう。
トナーの交換方法
トナーの交換方法は、機種によってそれぞれ異なります。多くの場合、コピー機や複合機に交換方法が記載されているため、実際に交換する際には、本体を確認して記載されている通りに作業しましょう。
以下に基本的なトナーの交換方法を解説するため、参考にしてください。
新品のトナーを水平に振る
カートリッジ内には、粉状のトナーが入っています。内部で粉が偏っていると印刷ムラなどが生じる場合があるため、新品のトナーは左右に軽く振って粉の偏りをなくします。
コピー機・複合機の本体にあるフロントカバーを開ける
トナーがセットされている、コピー機・複合機本体のフロントカバーを開けます
空のトナーを取り出す
空になっているトナーカートリッジを、粉が漏れないように水平に保ちながらゆっくりと取り出します。
新しいトナーを差し込む
新しいトナーの向きに気をつけて、水平にしたままゆっくりと古いトナーを取り出した場所に差し込み、セットします。トナーカートリッジは色によって入れる場所が決まっているため、複数のトナーを交換する場合には注意して差し込んでください。
カバーを閉める
フロントカバーを閉めると交換が完了します。新しいトナーが正しく入っていないとフロントカバーが閉まらないため、トナーの状態を確認して入れ直してからあらためてカバーを閉めます。機種によっては、カバーを閉じてから自動的に画質調整が開始する場合があり、作動中カバーの開閉はできません。
トナーを交換するときの注意点
火気に注意する
トナー交換の際には、火気に十分注意しなければなりません。トナーには可燃性の素材が使用されています。使用後のトナーに火が付くと、トナーが発火し周囲に飛び散って火傷する恐れがあります。
トナーの粉が空気中に広がっている状態で、火花や静電気により着火してしまうと、粉塵爆発を起こす危険性もあります。火傷や火事の原因になりかねないため、交換時には火気に注意が必要です。トナー交換時には、ホコリ除去スプレーやアルコールを含む除菌スプレーなどの可燃性スプレーの使用も控えてください。
トナー交換だけでなく、保管する際にも、火気のない場所や直射日光のあたらない日影の場所、ホコリの少ない場所などに保管するようにしましょう。
こぼしても掃除機で吸わない
トナー交換の際に、粉を床にこぼしてしまうこともあります。ところが、トナーをこぼした場合の掃除には、掃除機を使用してはいけません。トナーの粉は可燃性のため、掃除機で吸い込んだ際に静電気から火花が発生し、引火して粉塵爆発が生じるリスクがあります。トナーによる粉塵爆発の事故が過去に生じた例もあり、十分な注意が必要です。
もし誤ってこぼしてしまった場合には、掃除機ではなく、ほうきとちりとりを使って片づけます。水に濡らしてかたく絞った雑巾などで拭き取る方法もおすすめです。交換する前に、周囲に新聞紙などの紙を敷いておくと、その上にこぼれたトナーの片づけを簡単に行えます。
電源を入れておく
トナー交換時に、わざわざコピー機の電源をオフにする必要はありません。電源を入れたままにトナーを交換すると、機種によってはトナーの場所や外し方、差し込み方などが表示されるため、ガイダンスに沿ってスムーズにトナーの交換を行えます。トナーの交換が間違っている場合には教えてもらえます。
トナー交換は電源が入った状態でも可能ですが、コピーやデータ印刷をしている状態では交換できません。印刷途中でフロントカバーを開けるのは故障の原因にもなるため、注意が必要です。印刷データを受信して印刷が始まっている場合などには、印刷が停止するまで待ってから交換を開始しましょう。
印刷中にトナーが完全になくなる場合もあるため、その場合にはトナー交換の表示が出て印刷が完全に停止してからトナーを交換します。
トナーの捨て方

業務用のトナーには粉状の可燃性物質が入っているため、粉塵爆発などのリスクがあり、一般のゴミと一緒に捨てることはできません。取り扱いが可能な業者に回収してもらうのが正しい捨て方です。
コピー機の保守やリース契約をしている場合には、契約している業者に回収を依頼します。
純正のトナーを使用している場合には、製造したメーカーが回収しているケースが多いため、メーカーに連絡して回収を依頼します。メーカーに依頼する場合は、宅配便や訪問などの方法で回収してもらえます。
また、家電量販店やパソコン専門店などには、使用済みトナーの回収ボックスを設置している店舗もあります。回収ボックスのある店舗かどうか事前に確認をしてから、可能な場合にトナーを持ち込みましょう。
トナーの販売業者が使用済みのトナーを回収している場合もあります。回収を行っている販売業者を探して依頼するのもひとつの方法です。
ほかにも、産業廃棄物として不用品回収業者に処分を頼むことも可能です。使用済みの業務用トナーは産業廃棄物になるため、産業廃棄物収集運搬業の許可を得ている不用品回収業者に依頼しなければなりません。
まとめ
トナーは、業務用のコピー機・複合機などで使用する印刷用の消耗品です。トナーには純正品、汎用品、リサイクル品、模造品などの種類があり、価格や品質などを考慮して選ぶことが大切です。トナーを交換する際には、火気に十分注意し、機種ごとの交換方法を確認しながら行うとスムーズに行えます。
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