更新日:2026年10月19日
インフルやコロナ、会社は何日休む?出勤停止日数の目安一覧

冬になると、社内でインフルエンザや新型コロナ、感染性胃腸炎などが広がりやすくなります。そのとき総務・人事の担当者が悩むのが「体調をくずした従業員に、何日休んでもらうのがよいのか」という判断です。学校には出席停止の明確なルールがありますが、会社には一律の法律上の基準がありません。この記事では、主な感染症について仕事を休む日数の目安を公的な情報をもとに整理します。あわせて、従業員が無理なく休める職場づくりのヒントも紹介します。
※本記事は労務対応・職場づくりの情報提供を目的としています。特定商品の効能・予防効果をうたうものではありません。
学校の「出席停止」と、会社の「就業判断」はどう違う?
まず押さえておきたいのが、学校と会社では拠って立つ仕組みが違うという点です。学校や幼稚園、認定こども園では「学校保健安全法施行規則」という省令(ルール)にもとづき、感染症ごとに出席停止の期間が定められています。たとえばインフルエンザなら、発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまでといった具合に、日数の基準が明確に決められています。
一方で一般的な会社には、こうした感染症ごとの出勤停止を一律に義務づけるものはありません。従業員をいつから出勤可能にするかは、基本的に各社の就業規則や産業医・主治医の判断にゆだねられており、学校保健安全法施行規則を参考にしている会社も少なくないようです。つまり会社の場合、学校保健安全法施行規則のような一律のルールがあるわけではないという点をまず理解しておく必要があります。
なお保育所については学校保健安全法の直接の対象ではなく、こども家庭庁の「保育所における感染症対策ガイドライン」が実務の拠りどころになります。従業員のお子さんが保育所に通っている場合など、家庭の事情で従業員自身が休むケースもあるため、こうした背景を知っておくと対応がスムーズです。
また、復帰にあたって治癒証明書や陰性証明書を一律に求めることは、必ずしも推奨されていません。厚生労働省もこうした証明書の取得を職場が求めることは、医療機関の負担増などの観点から望ましくなく、基本的に提出は不要との考えを示しています。証明書ありきではなく、症状と全身状態を軸に判断する姿勢が現実的です。
<参照>
e-Gov 法令検索「学校保健安全法施行規則」
こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」
感染症別・仕事を休む日数の目安

主な感染症について、復帰の目安を一覧にまとめました。いずれもあくまで目安であり、最終的には症状・全身状態や主治医の判断、自社の就業規則にしたがってください。
| 感染症 | 復帰の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| インフルエンザ | 発症後5日、かつ解熱後2日(乳幼児は3日)を経過するまで | 学校保健安全法施行規則の基準。実務上は6日前後休むケースが多い |
| 新型コロナウイルス感染症 | 発症後5日、かつ症状が軽快してから24時間程度を経過するまで | 5類移行後の目安。発症後10日程度までは周囲への配慮が望ましい |
| 溶連菌感染症 | 適切な抗菌薬による治療開始後24時間以降で、症状が改善し全身状態が良ければ復帰可 | 法令上の明確な日数基準はない |
| ノロウイルス等の感染性胃腸炎 | 一般的な復帰目安としては、下痢・嘔吐などの症状が消失して全身状態が回復していること。なお症状消失後も、通常症状が落ち着いてからも、通常1週間程度、長い場合は1か月程度ウイルスが排出されることがある | 飲食など業種によっては特に慎重な判断が必要 |
<参照>
厚生労働省「令和7年度 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に関する情報(5類移行後の対応)」
厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」
日本小児科学会「学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説」
日数では区切れない感染症もあります(手足口病など)
一方で、明確な「〇日休む」という日数では区切れない感染症もあります。その代表例が手足口病です。手足口病は、学校保健安全法施行規則では「その他の感染症(第三種)」として扱われ、インフルエンザのように発症後〇日といった固定の出席停止日数は定められていません。第三種は「病状により、医師が感染のおそれがないと認めるまで」が基準とされており、日数ではなく状態で判断する考え方がとられています。実際、手足口病は発疹や水疱が治まった後もしばらくウイルスが排出されることがあり、〇日たてば安全という線引きが難しい感染症です。
そのため復帰の判断は、日数ではなく状態を軸に行います。具体的には、発熱がなく、全身状態が安定していて、普段どおりに食事がとれることが目安になります。日数のルールがないぶん、熱が下がったから即出勤ではなく、本人の体調をていねいに確認したうえで判断することが大切です。
<参照>
e-Gov 法令検索「学校保健安全法施行規則」
予防に取り組んでいても、体調をくずすことがあるのはなぜ?
ワクチンを打ったのに感染した……という声は毎年聞かれます。これは決しておかしなことではありません。
季節性インフルエンザのワクチンは、発症をある程度おさえ、重症化を防ぐことに主眼があります。感染そのものを100%防ぐものではないため、接種していても発症することはあります。それでも重症化のリスクを下げる意味は大きい、というのが厚生労働省の示す考え方です。また、接種のタイミングも関係します。日本ではインフルエンザは例年12月〜3月ごろに流行し、1月末〜3月上旬にピークを迎えます。効果が十分に働く時期を流行のピークに合わせるため、12月中旬までに接種を終えておくことが望ましいとされています。
さらに、流行するウイルスの型と、ワクチンが想定している型にずれ(抗原性の乖離)が生じる年もあります。そうした年でも、ワクチンには一定の有効性が期待できると厚生労働省は説明しています。いずれにせよ「予防していても体調をくずすことはある」という前提で、休みやすい体制を整えておくことが、職場としては現実的な備えになります。あわせて、職場の衛生環境づくりも予防の一助になります。
会社ができる、休みやすい体制づくり
従業員が体調不良のときに無理をして出勤すると、回復が遅れるだけでなく、職場内での感染拡大につながることもあります。休むべきときに気兼ねなく休める職場をつくることが、結果的に組織全体を守ります。工夫の例をいくつか挙げます。
まず、体調が悪いときは休んでよいという雰囲気づくりです。制度があっても、周囲に遠慮して出勤してしまう人は少なくありません。管理職自身が体調不良時に休む姿勢を見せることが、いちばんのメッセージになります。
次に、在宅勤務や時差出勤といった柔軟な働き方です。回復期で通勤や対面業務は避けたいが在宅なら対応できる、というケースもあります。選択肢があること自体が休むハードルを下げます。
そして、業務の属人化を防ぐことです。特定の人しか対応できない業務があると、自分が休むと回らないという心理が働き、無理な出勤につながります。マニュアル化や担当の複数化を平時から進めておくことが、いざというときに効いてきます。
そして湿度管理や換気、清潔を保つための備品の準備など、日常的な職場内の衛生管理も重要です。
<参考>
冬に備えるオフィスの衛生対策|必要な備品と置き場所リスト
オフィス・職場の乾燥対策|湿度20%の職場を快適にする10の工夫
よくある質問(FAQ)

Q1.インフルエンザにかかったら、会社は何日くらい休むのが目安ですか?
A.学校保健安全法の基準では発症日を0日目として5日を経過しかつ解熱後2日が目安で、実務上は6日前後休むケースが多くみられます。会社に一律の法的義務はないため、この学校保健安全法の基準を参考にしている会社も少なくありません。最終的には症状と主治医の判断、就業規則にしたがってください。
<参照>
e-Gov 法令検索「学校保健安全法施行規則」
Q2.新型コロナは何日休めばよいですか?
A.5類移行後の目安は発症日を0日目として5日間、かつ症状が軽快してから24時間程度が推奨されています。また発症後10日程度までは、不織布マスクの着用やハイリスク者との接触を控えるなど周囲への配慮が望ましいとされています。
<参照>
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について」
Q3.溶連菌感染症は、いつから仕事に戻れますか?
A.復帰の目安として、適切な抗菌薬による治療開始後24時間以降が望ましいとされています。その後、症状が改善し全身状態が良ければ復帰の目安になります。法令上の決まった日数はないため、主治医に相談のうえ判断してください。
Q4.診断がつかない発熱のときは、どう対応すればよいですか?
A.原因がはっきりしなくても、無理に出勤せず体を休めることが大切です。特に、高熱が続く、呼吸が苦しい、意識がもうろうとする、症状が急に悪化するといった場合は、すぐに医療機関を受診してください。
まとめ
会社には、学校のような一律の出勤停止ルールはありません。だからこそ感染症ごとの復帰の目安を知り、症状と全身状態を軸に判断する姿勢が重要になります。インフルエンザや新型コロナのように日数の目安があるものもあれば、手足口病のように状態で判断すべきものもあります。あわせて、従業員が気兼ねなく休める体制を整えておくことが、職場全体を守る備えになります。本記事の目安を参考に、自社の就業規則や産業医の助言と組み合わせて活用してください。

監修者
小正 晃裕氏
京都大学医学部卒業。循環器内科・臨床不整脈を専門とし、関西電力病院、京都大学医学部附属病院などで勤務。現在は株式会社MeIX代表取締役CEOとして、医療・ヘルスケア領域での事業開発にも取り組む。
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