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更新日:2026年2月12日

新リース会計基準とは?実務上の注意点や影響、対応策を解説

計算機を操作する人
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2027年4月から新リース会計基準が適用され、原則として全てのリース取引をオンバランス処理することになります。企業の財務数値や経営指標に与える影響は大きく、経理・財務部門だけでなく、契約管理やシステム、税務対応まで幅広い見直しが必要です。

新基準への対応に向けて企業が押さえておくべきポイントや、移行をスムーズに進めるための実務的な対策について解説します。

新リース会計基準とは?

書類に目を通す人

新リース会計基準とは、2027年4月以降の事業年度の期首から適用されるリース会計基準のことです。2025年4月以降に開始する事業年度であれば、2027年を待たなくとも適用できます。

そもそもリース会計基準とは、リース取引を財務諸表に記載する際のルールをまとめたもので、企業会計基準委員会によって明文化されています。リース取引は、ファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引の2つに大別できます。それぞれの特徴は、以下の通りです。

ファイナンス・リース取引
  • 資産の所有によるリスクと経済価値のほぼ全てが借り手に移転する取引
  • 借り手の貸借対照表に資産・負債として計上する
  • オンバランス処理とも呼ばれる
オペレーティング・リース取引
  • 賃貸借に類似する取引
  • リース料については賃借料として費用計上する
  • オフバランス処理とも呼ばれる

リース会計基準改正の背景

IFRS

2007年3月に企業会計基準委員会によりリース取引会計基準が公表されて以来、リース取引における日本の会計基準は国際会計基準とも整合性のあるものとして確立されました。しかし、2016年1月に国際会計基準審議会が新たにリースにおける国際財務報告基準(IFRS)を公表。同2月には米国財務会計基準審議会からもリースの新たな基準が公表され、日本の基準とは合致しない部分も増えてきました。

そこで国際会計基準との整合性を高めるべく、企業会計基準委員会ではリース取引の新たな会計基準を発表し、2027年4月以降に始まる事業年度において適用するようにと規定しました。また、新リース会計基準に基づいた会計処理では、企業の財務状況をより正確に反映し、会計情報の透明性を確保することも期待されます。

新リース会計基準の改正・変更点

ビジネスイメージ

新リース会計基準は、以下の点において従来のリース会計基準と大きく異なります。

  • リース取引の区分を廃止
  • リースの定義の見直し
  • 使用権資産とリース負債の測定方法の見直し
  • 財務報告の開示拡大

いずれも会計処理の方法に影響を与えるだけでなく、会社の資産・負債に直接影響する変化です。それぞれのポイントを解説します。

リース取引の区分を廃止

従来のリース会計基準では、リース取引はファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引の2つに分けられていました。新リース会計基準では取引区分が廃止され、原則として全てのリース取引を従来区分のファイナンス・リース取引と同様、オンバランス処理します。

オンバランス処理が適用されることで、一部の例外を除き全てのリース取引は、借り受けている資産であっても自社資産と同様に扱われるようになりました。これにより会社の総資産や負債の増加が見込まれます。

リースの定義の見直し

新リース会計基準では、リースを「原資産を使用する権利について、一定期間にわたり対価を支払う・受け取ることで移転する契約」と定義しています。従って、ある契約がリースに該当するかどうかは「対象となる資産の使用を支配する権利が移転しているか」によって判断されます。

なお「支配」とは、以下の2つの権利を指します。

  • 対象資産の使用による経済的便益のほぼ全てを得る権利
  • 資産の使用を指図する権利

リースの定義が見直されたことで、契約全てにおいてリース取引か否かを判断する必要が生じます。判断の手間が増えるだけでなく、処理を取り違えるリスクがある点にも注意が必要です。

使用権資産とリース負債の測定方法の見直し

新リース会計基準では、借り手はリース開始日にリース負債と使用権資産を測定することが求められます。なおリース負債とは、リース料総額を現在価値で算定したものです。年間リース料と借り手の追加借入利子率などの割引率から算出します。

一方、使用権資産とは、リース負債の当初測定額に原資産の原状回復費用や前払リース料などを加算して測定したものです。適用範囲が拡大されただけでなく、使用権資産の減価償却分も算出する必要があり、実務負担の増加が予想されます。

財務報告の開示拡大

新リース会計基準の適用後は、貸借対照表などの財務諸表に注釈をつけ、多くの情報を開示することが求められます。例えば、注記に以下の内容の記載が必要です。

  • リース活動の内容
  • 使用権資産の種類別の内訳
  • 短期リースの費用計上額
  • 少額資産のリース費用計上額

取引によって求められる情報も異なります。現状以上に開示内容の網羅性・正確性が重視されるでしょう。

新リース会計基準の適用による影響

ビジネスイメージ

新リース会計基準が適用されることで、企業会計に次の影響が生じる可能性があります。

  • 現状の取引がリースに該当するか調べる必要が生じる
  • 経理処理の負担が増加する
  • 自己資本比率が低下する
  • 会計処理と税務処理の差が拡大する

それぞれの影響について見ていきましょう。

現状の取引がリースに該当するか調べる必要が生じる

リース取引の定義が変わったことで、今まで該当しなかった取引もリースとみなされることがあります。取引を見直し、リースに該当する場合はリース会計基準に合わせて会計処理をする必要が生じます。

特に長期のレンタル契約や設備の利用契約など、従来オペレーティング・リースとして費用計上していた取引も注意深く精査することが重要です。

経理処理の負担が増加する

従来の会計基準とは異なり、リース契約と判断される取引では全てオンバランス処理が実施されます。使用権資産とリース負債として計上する過程が必要になることで、従来以上に経理作業が複雑化する可能性があります。

また、リースの定義変更に伴い、会計処理の方法が変わる取引もあるかもしれません。新たな会計処理が増えることで、経理の負担が増加する可能性があるでしょう。

自己資本比率が低下する

新リース会計基準が適用されると、リース契約は企業の資産として扱われるため、総資産と総負債が増加します。企業としての資本力には影響は生じませんが、自己資本比率が下がることになるため、金融機関からの融資審査に影響が及ぶ可能性があります。

融資を受けにくくなることで、新規事業の着手や事業拡大にも影響が生じるかもしれません。リース契約が多い場合は、金融機関の担当者にその旨を説明するようにしましょう。

会計処理と税務処理の差が拡大する

新リース会計基準の適用により、リース取引は原則として全てオンバランス処理され、使用権資産として計上します。一方、税法上の取り扱いは従来と変わらず、支払ったリース料を損金として扱うため、会計処理と税務処理の間で差異が発生します。

新基準の適用対象となるリース取引のうち、税法上はオペレーティング・リースとして扱われるものについては、会計上の計上費用と税務上損金算入できる金額の差分を正確に管理しなければなりません。

新リース会計基準への対応策

ビジネスイメージ

新リース会計基準の変更点は多く、実務の上でも混乱が生じる可能性があります。スムーズな適用のためにも、事前に次の対応策を実施しておきましょう。

  • リース契約の分析
  • 適用スケジュールの策定
  • 会計業務フローの見直し
  • 会計マニュアルの策定

各対応策を解説します。

リース契約の分析

新リース会計基準の定義に基づき、全ての契約をリース取引に該当するのかチェックし直しましょう。契約ごとにリース期間、更新条項、購入選択権の有無、解約条件、支払条件などを確認し、リースとして認識すべき取引かどうかを判断します。

また、すでにリース取引と判断している契約も、同様に新定義に照らし合わせて見直しが必要です。

適用スケジュールの策定

新リース会計基準への対応を段階的に実施するため、新基準施行までのスケジュールを決めます。例えば、事業年度が4月に始まる企業では、2027年4月の適用開始に合わせて、スケジュールを策定しましょう。

基準適用までの全体工程を整理し、現状調査、契約分析、会計方針の検討、システム改修、社内研修、運用開始といった各ステップに必要な期間や担当部署を明確化します。

会計業務フローの見直し

使用権資産とリース負債の測定方法が見直されたこと、また、財務報告の開示内容が拡大されたことにより、会計業務フローが変わる可能性があります。特に、契約締結時点でリース該当性を判断するプロセスを組み込み、契約内容の変更や更新が発生した際には再評価を行う仕組みを整備することが重要です。

会計業務の手順を具体的に見直し、新基準に則った開示資料を作成できる状態にしておきましょう。

会計マニュアルの策定

会計処理の方針、リース契約の測定基準の明文化、会計業務フローなどを子細に規定したマニュアルを策定しましょう。具体的な仕訳例やケーススタディを盛り込むことで、担当者が理解しやすくなり、処理のバラつきや属人化を防げます。

会計業務に携わる社員に情報を共有し、2027年4月以降の事業年度からスムーズに対応できるように調整しておきます。

よくある質問(FAQ)

FAQ

新リース会計基準に関して、疑問を抱きがちなポイントをまとめました。一般的な回答を紹介しますので、ぜひ疑問解決に役立ててください。

Q1. 新リース会計基準は全ての企業に適用されるか?

A. 新リース会計基準の適用は、金融商品取引法が適用される会社や会計監査人を設置している会社などが対象です。中小企業は現時点では任意適用とされています。

Q2. 既存のリース契約は新基準に合わせて修正が必要か?

A. 新基準施行後は、契約内容ごとにリース取引か否かの再評価が必要です。また、契約更新時や条件変更時には、リース資産の測定を見直す必要が生じます。

Q3. 新リース会計基準で企業の財務指標はどう変わるか?

A. 総資産と負債が増えるため、総じて自己資本比率が下がる傾向が見られるでしょう。特に新基準におけるリース契約が多い企業においては自己資本比率の低下が顕著に見られる可能性があります。場合によっては、金融機関との取引条件に影響を与える場合もあるため注意が必要です。

Q4. 新リース会計基準に対応するためには?

A. まず現行のリース契約の洗い出しとリース定義に該当するかの分析が必要です。その上で2027年4月以降に始まる事業年度に合わせてスケジュールを立て、業務フローを整備することが求められます。

まとめ

新リース会計基準の適用が開始されることで、会計業務が大きく変わる可能性があります。特にリース契約を多数締結している企業は注意が必要です。

また、会計業務の内容だけでなく、自己資本比率にも影響が生じることがあります。金融機関からの融資にも変化が生じる可能性が想定されるため、実際に新基準を適用する前に自己資本比率がどの程度変化するのか確認しておきましょう。

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