更新日:2024年3月28日
レンチ・スパナとは?違いや使い方、レンチの主な種類を解説

ボルトやナットを締める・緩める作業には、専用の工具である「レンチ」を使うのが一般的です。レンチには数多くの種類があり、作業内容やボルトやナットの形状に合わせて使い分けます。
この記事では、レンチの概要やスパナとの違い、レンチの主な種類を解説します。使用時の注意点も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
レンチはボルトやナットを締めるための工具
レンチとは、ボルトやナットを締める、あるいは緩めるときに使う工具のことです。車の整備業では定番の工具で、工事業や整備業、建設業をはじめ、もの作りに関わるあらゆる職種で使われています。
また、レンチにはさまざまな種類があり、種類によって大きさや形状が異なります。異なる種類のレンチを何本か持っておき、作業内容に応じて使い分けるのが一般的です。
レンチとスパナの違い
ボルトやナットの締緩作業を行う工具には、レンチの他に「スパナ」と呼ばれる工具も存在します。
レンチとスパナは名称が違うだけで、締緩作業を行うための工具であるという点は同じです。締緩作業を行う工具はアメリカ英語で「レンチ」、イギリス英語では「スパナ」と呼ばれており、いずれも同じ工具のことをさしています。
なお、日本では先端が丸く閉じているものをレンチ、先端の口が開いているものをスパナと呼ぶのが一般的です。
レンチの種類
先述したように、レンチには数多くの種類があります。レンチの種類ごとに対応するボルトやナットの種類、使い勝手が異なるため、作業内容に合わせてレンチを選びましょう。
レンチの主な種類は8つで、以下のようなものがあります。
- めがねレンチ
- コンビネーションレンチ
- 六角レンチ
- ソケットレンチ
- モンキーレンチ
- ハンドルレンチ
- トルクレンチ
- インパクトレンチ
それぞれの特長を紹介します。
めがねレンチ
めがねレンチは、両端にボルトやナットをはめるリング状の頭部がついている工具です。リングの見た目がめがねに似ていることから、そのまま「めがねレンチ」と呼ばれています。
めがねレンチは数あるレンチのなかでもスタンダードとされており、工具の種類も豊富です。直線タイプや角度のあるタイプなど、さまざまな種類のめがねレンチが登場しています。
コンビネーションレンチ
コンビネーションレンチは、片方にめがねレンチ、もう片方に先端の口が開いたスパナがついている工具です。
それぞれの先端は同じサイズに設計されており、どちらでも締緩作業を行えます。ネジやボルトの状態に合わせて、めがねレンチとスパナを使い分けたいときにおすすめです。
六角レンチ
六角レンチは、六角形の穴がついたネジやボルトを締めるL字形のレンチです。組み立て式の家具を購入する際に付属品としてよく同梱されているため、馴染みのある方もいるかもしれません。
六角レンチと他のレンチの大きな違いは、工具の使い方にあります。他のレンチは外側からネジやボルトをくわえて締緩作業を行うのが一般的ですが、六角レンチはネジやボルトの六角形の穴に差し込んで使います。
また、L字形の六角レンチは長い方と短い方を使い分けることで、よりスムーズに作業を行えます。素早く締めたい場合は、長い方の先端をネジやボルトに差し込んで回します。すでに締まっているネジやボルトを更に締めたい場合は、短い方を差し込んで使います。
ソケットレンチ
ソケットレンチは、一定方向に締めつけを行えるラチェット機構が組み込まれている工具です。他のレンチと違い、「反対に回すと空転する」という特長を持っています。
一般的なレンチはネジやボルトにはめたあと、レンチ本体を同じ方向に回して締める必要があります。レンチを回すスペースには限りがあるため、ネジやボルトを回すたびにレンチを外し、はめなおさなければいけません。
一方で、ラチェット機構が組み込まれたソケットレンチは締め付ける方向から反対に回すと空転するため、レンチを往復して締めることができます。レンチを回すスペースがない場合、素早く作業したい場合には特に重宝します。
なお、レンチ先端のソケットはつけ替えが可能です。ソケットのつけ替えができないレンチは、「ラチェットレンチ」と呼ばれています。
モンキーレンチ
モンキーレンチは、ネジやボルトを締める頭部の口径を調整できるタイプのレンチです。
頭部付近には「ウォーム」と呼ばれる口径調整用のパーツがついており、ウォームを回すことで口径を広げたり狭めたりすることができます。ネジやボルトの大きさに合わせて調整できる便利な工具です。
ハンドルレンチ
ハンドルレンチは、ネジやボルトにはめるソケットに長めのハンドルがついたレンチです。ハンドルの形状はさまざまで、Y字やT字、L字、十字などがあります。
ハンドルとソケットが一体化している分、レンチの強度は高めです。大型のボルトを締めるときなど、レンチを強い力で回す必要がある場面の使用に向いています。
トルクレンチ
ボルトやネジの種類によっては、締めつけ過ぎによる破損を防ぐため、トルク値(ボルトやネジを回す際に必要なパワー)が定められている場合があります。このようにトルクの管理を行いながら締めつけ作業をしなければいけない場面では、トルクレンチが便利です。
トルクレンチは、一定のトルクで締めつけができるレンチです。事前にトルク値を設定しておくと、設定したトルク値に達した際に「カチッ」という音で伝えてくれます。
トルクの管理は一般的なレンチだと難しいですが、トルク値を設定できるトルクレンチなら確実に作業ができます。
インパクトレンチ
インパクトレンチは電動式のレンチのことです。手動に比べて少ない労力で締緩作業ができるため、力に自信がない方には特におすすめです。効率の良い作業が可能なことから、さまざまな場所で使われています。
レンチの使い方

レンチを使った作業をはじめて行う際は、まず正しい使い方を確認しましょう。ここでは、例としてレンチのなかでもよく使われる「めがねレンチ」の使用手順を紹介します。
- レンチとボルト・ナットのサイズが合っていることを確認する
- ボルト・ナットが固定されるまで手で締める
- 固定したボルト・ナットにめがねレンチをはめ込む
- レンチを回す
レンチのはめ込みは、片手をレンチ先端に添えて行うのがコツです。手を添えることで、ボルト・ナットの奥までレンチがはめ込みやすくなります。
レンチを使う際の注意点
ここからは、レンチを使う際の注意点を以下の2つ紹介します。
- ボルトやナットのサイズに合ったレンチを使う
- レンチを本来の用途以外の使い方をしない
安全に作業をするためにも、レンチを使う際はぜひ心掛けてください。
ボルトやナットのサイズに合ったレンチを使う
レンチのサイズが合っていない場合、締緩作業の際にボルトやナットが破損してしまうので注意してください。
例えば、レンチのサイズが大き過ぎるにもかかわらず無理に締め付けると、ボルトやナットの角がつぶれてしまいます。
ボルトやナットが破損すると作業に支障が出るほか、レンチが滑って怪我をする可能性も考えられます。そのため、レンチは必ずボルトやナットのサイズに合わせて選びましょう。
レンチを本来の用途以外の使い方をしない
レンチはあくまで締緩作業を行うための工具であり、他の工具の代わりにはなりません。レンチを締緩作業以外の用途に使うと、レンチが壊れる原因になるので注意してください。
また、「ハンマーの代わりにレンチを使ったら、工具が滑って自分の体を叩いてしまった」などのように、思わぬ怪我に繋がる場合もあります。レンチは締緩作業を行う場面でのみ使い、別の作業を行うときは専用の工具を使いましょう。
まとめ
ボルトやナットを締めたり緩めたりするときに使うレンチは、本格的な作業やちょっとしたDIYまで、さまざまな場面で使える工具です。
レンチにはさまざまな種類があり、めがねレンチやコンビネーションレンチ、六角レンチなどがその例です。
レンチの種類によって特長や使い方が変わるので、作業内容やこだわりに合わせて選ぶと良いでしょう。

監修者
番匠智香子(ばんしょうちかこ)氏 DIY アドバイザー
木工教室ばんちか工房を主催。美術大学で木工を学ぶ。 愛情を感じる DIY、家族で楽しめる DIY をテーマに HOW TO や講座を開催している。 著書に「木工ガールはじめての DIY」「賃貸でもここまでできる DIY」「木工でかんたん収納インテリア」「コメリではじめる簡単 DIY」など。
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