更新日:2024年4月30日
エアーコンプレッサーとは?使う場面や使い方、種類、選ぶ基準などを解説!

エアーコンプレッサーは、自動車のメンテナンスから建設現場まで、幅広い分野で活躍するアイテムです。しかし、その使い方や種類が多岐にわたるため、はじめて購入する場合にはどのように選べば良いのかわからず困っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、エアーコンプレッサーの基本から応用までをわかりやすく解説します。使われる場面や種類、選び方のポイントまで、はじめての方でも安心して使えるように解説します。また、具体的な使用方法や注意点も紹介します。
エアーコンプレッサーの選び方に迷っている方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
エアーコンプレッサーとは?
エアーコンプレッサーは、空気を圧縮し、その圧縮された空気を空圧機器に送るための機械です。圧縮した空気は、自動車のタイヤに空気を入れる際や精密な塗装作業だけでなく、さまざまな工具の動力源としても使われます。
エアーコンプレッサーの用途
エアーコンプレッサーは、趣味やDIYから工場、建設現場まで幅広い場面で使用されています。
下記は、エアーコンプレッサーの用途の一例です。
- 自動車のメンテナンス
- 建設現場の釘打ち
- 塗装作業
- 清掃作業
- 機械類の動力源
とりわけ工場の製造現場では、生産ライン上で使う機械類の動力源として用いられ、重要なエネルギーのひとつとして欠かせません。
エアーコンプレッサーの仕組み
エアーコンプレッサーは、まず周囲の空気を吸い込み、この吸い込んだ空気をピストンやスクリューなどの機構を用いて圧縮し、そのあとタンク内に蓄積します。
圧縮された空気は、使用する際に必要に応じて圧力を調整され、エアツールやさまざまな機器へと供給されます。
使用後の空気は排気され、圧力が低下すると再び新たな空気が吸い込まれるというサイクルを繰り返します。
エアーコンプレッサーの使用場面と使い方
ここからは、次の4つの使用場面におけるエアーコンプレッサーの使い方を紹介します。
- 車のメンテナンス
- プラモデルなどの塗装
- 清掃・乾燥作業
- 建設現場の釘打ち作業
それぞれ使い方を詳しく見ていきましょう。
車のメンテナンス
車のメンテナンスにおいて、特にタイヤ交換や空気圧の調整には欠かせないアイテムです。タイヤ交換の際には「インパクトレンチ」と、空気圧調整の際には「エアチャックガン」というツールと組み合わせて使用します。
エアーコンプレッサーは車体の塗装作業にも用いられ、均一で滑らかな仕上げが可能です。塗装時には、「エアースプレーガン」と組み合わせて使います。
また、「エアーダスター」と組み合わせて車内のホコリや小さなゴミを吹き飛ばして掃除することもできます。
プラモデルなどの塗装
プラモデルのような精密な作業においては、家庭用の小さいエアーコンプレッサーが使われます。「エアーブラシ」と組み合わせて使うことで塗料の噴射が安定し、筆や刷毛では難しい微細なぼかしやグラデーションの表現ができます。
清掃・乾燥作業
エアーコンプレッサーと、「エアーブロワー」や「エアーダスター」を組み合わせることで屋内外の清掃作業に重宝します。
通常の清掃現場や園芸業では、「エアーブロワー」を使って作業場の床や車両、機械などについたホコリやゴミを吹き飛ばします。
精密部品や電子部品の清掃には、「エアーダスター」を使って効率的かつ安全に粉塵や汚れを除去することが可能です。また、電子部品の乾燥においても、圧縮空気を使用することで、水分を迅速に除去し、部品の損傷リスクを最小限に抑えることができます。
建設現場の釘打ち作業
建設現場では、「エアータッカー」と呼ばれる釘打ち機をエアーコンプレッサーに接続して釘打ち作業をします。エアーコンプレッサーを動力源として用いることで、連続した釘打ち作業を迅速かつ正確に行うことが可能になります。
また、エアーコンプレッサーは、ジャッキハンマーや掘削機など、建設業で使用される機械の動力源としても広く利用されています。
エアーコンプレッサーの種類
エアーコンプレッサーは、その用途や機能に応じて多様な種類が存在します。主な分類基準としては、タンクの容量、吐き出し空気量、馬力、最高圧力、そして潤滑方法が挙げられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
タンクの容量
エアーコンプレッサーのタンク容量は、機器が一度に蓄えることができる空気の量を示し、リットル(L)で表されます。容量を選ぶ際は、作業の内容や規模に合ったものを見極めることが重要です。
例えば、小規模な作業や断続的な使用には、6リットルから30リットル程度の小さなタンクが適しています。これらは、趣味や家庭での使用に最適で、持ち運びが容易でありながら必要十分な性能を備えています。
一方、中規模の作業には50リットルから100リットル程度のタンクが適しており、これらは自動車のメンテナンスや小規模な工場での使用に最適です。
更に、長時間の連続使用や大規模な作業には、200リットル以上の大きなタンクが必要となります。これらの大型タンクは、建設現場や大規模な工場での使用に適しており、一度に供給できる圧力が安定し、頻繁な再起動が不要になるため、作業の効率化に役立ちます。
吐き出し空気量
エアーコンプレッサーの性能を示す重要な指標のひとつが、吐き出し空気量です。これは、エアーコンプレッサーが1分間に吐き出すことができる空気の量を表し、リットル/分(L/min)または立方メートル/分(m³/min)で測定されます。
軽い作業や趣味の使用には、約50~150リットル/分の吐き出し空気量が適しています。これにより、家庭での小規模な塗装作業が効率的に行えます。
一方、工業用途やプロの作業には、約150~500リットル/分の吐き出し空気量が必要です。これらの用途では、より高い性能と持続力が求められるため、適切な吐き出し空気量を持つモデルを選ぶ必要があります。
更に、大規模な工業用途や重機器の使用には、500リットル/分以上の大きな吐き出し空気量が必要となります。これにより、建設現場や大型工場での連続的な作業が可能になります。
馬力
エアーコンプレッサーの馬力は、大きいほどより強力な圧縮能力を持ち、重い作業や連続使用に適しています。
小規模な作業や家庭用途には、1-5 HP(馬力)のエアーコンプレッサーが適しています。馬力が大きいと消費電力が大きくなるため、家庭用電源で使用する場合は2馬力までのものを選びましょう。
中規模な作業、例えば大きな作業場や小規模な産業用途には、5-10 HPのモデルが適しており、より高い性能と持続力を提供します。
更に、重作業や産業用途、連続使用が必要な場合、10-20 HP以上の高馬力モデルが求められます。これらの大型モデルは、複数の大型ツールを同時に運用する際にも安定した性能を発揮します。
最高圧力
最高圧力は、機器が発生させることができる最大の圧力を意味します。高圧力の機種を選ぶことで連続した作業が可能になりますが、使用する工具や作業内容によって必要な圧力が異なるため、圧力が高ければ高いほど優れているわけではない点に注意しましょう。
高圧力の機種は、特に重機器の駆動や産業用途での使用に適しています。一方で、家庭用や軽作業には、それほど高い圧力を必要としないため、低圧力のモデルが適しています。
最高圧力の選定においては、使用するエアツールや機器に必要な圧力に合わせて選ぶことが重要です。過剰な圧力はオーバースペックなだけでなく、安全性の観点からもおすすめできません。
潤滑方法
エアーコンプレッサーの潤滑方法は、給油式とオイルフリー式の二つのタイプがあります。
給油式は、内部の機械部品にオイルを使用して潤滑する方式です。長期的な耐久性があり、重い作業や産業用途に適しています。このタイプは、高い負荷に耐えるため連続的な使用に対応できます。また、定期的なオイル交換やメンテナンスが必要です。
一方オイルフリー式は、オイルを使用せずに運用されるためメンテナンスが容易です。また、清潔な空気が必要な環境や食品加工、医療機器などの用途に最適です。オイルフリー式はオイルによる汚染の心配がなく、環境に優しい点が特徴です。
組み合わせて使うと便利なアイテム
ここからは、エアーコンプレッサーの機能を有効活用するため役立つアイテムを紹介します。レギュレーターやフィルター、補助タンクなど、エアーコンプレッサーと組み合わせて使うことで、作業の効率化と安全性が向上するので、ぜひチェックしてみてください。
レギュレーター
レギュレーターは、エアツールの性能を最適化するために必要なエア圧を正確に調整し、過剰な圧力による損傷や危険を防ぎます。これにより、エアツールの寿命を延ばし、エネルギー消費を効率的に抑えることが可能です。
また、レギュレーターの使用は作業の安全性を高めるだけでなく、コスト削減にも役立ちます。
フィルター
フィルターは、エアーコンプレッサーから吐き出される空気中の不純物や水分を効果的に取り除くため、供給される空気の品質を保つことができます。そのため、エアツール内部への汚れの侵入を防ぎ、腐食や摩耗を抑えることができます。
特に、精密な作業を行うエアツールでは、清潔で乾燥した空気の供給が必須です。フィルターを使用することでエアツールの効率と寿命が大幅に向上し、長期的なメンテナンスコストの削減にも繋がります。
フィルターを使う際は、定期的な点検と交換をしましょう。
補助タンク
補助タンクを使用することで、エアーコンプレッサーの容量を増やし、連続使用時間を延長することが可能になります。長時間、中断せずに作業を続けたいときに役立ちます。
また、作業場所に応じて必要な場所へ簡単に移動させることができるため、作業範囲の広い建設現場などでも重宝します。
エアーコンプレッサーの選び方

エアーコンプレッサーを選ぶ際には、その用途や作業環境に合わせた適切なタイプを選ぶ必要があります。ここでは、エアーコンプレッサー選びの基準を、用途・スペック・手入れのしやすさ・価格の観点から紹介します。
エアーコンプレッサーを購入したいもののどれを選べば良いかわからない方は、ぜひ参考にしてください。
用途で選ぶ
エアーコンプレッサー選びに悩んだ場合は、用途や作業場所を基準に選ぶと良いでしょう。軽作業や趣味、家庭での使用には、小型で馬力の小さいモデルが適しています。
自動車整備用には、タイヤの空気入れや小規模な整備作業に適した、中程度の吐き出し空気量と適度なタンク容量を持つモデルが望ましいです。目安としては3~13ℓ程度のため、用途にあわせて選びましょう。また、家庭で使う場合には家庭用電源で使える馬力のものがおすすめです。
工業用途では、工場や製造現場での使用に耐えうる大きなタンク容量と高い吐き出し空気量を持つモデルが必要です。タンク容量は、30ℓほどが目安です。
建設現場ではエアータッカーやエアーレンチなどの重機器と組み合わせて使うことが多いため、高い耐久性と大量の空気供給が可能なものを選びましょう。
スペックで選ぶ
現在使っているエアーコンプレッサーにもの足りなさを感じている場合は、スペックで選ぶと良いでしょう。
例えば、大規模な作業や長時間の連続作業をする場合にはタンク容量の大きいモデルを選ぶと良いでしょう。また、複数のエアツールの同時に使いたい場合は、吐き出し空気量の多いモデルがおすすめです。
また、広い作業場で移動しながら使いたい場合はキャスターが付いたものを選ぶと良いでしょう。
手入れのしやすさで選ぶ
メンテナンスのしやすさも重要なポイントです。例えば、オイルフリー型のエアーコンプレッサーはオイル交換の必要がなく、日々のメンテナンスが格段に楽になります。使用頻度が多い場合や、メンテナンスに多くの時間を割けない場合に適しています。
また、フィルターやタンクの清掃が簡単なモデルを選ぶことも重要です。取り外し可能な部品があると、清掃作業が容易になり、機器の寿命を延ばすことにも繋がります。
更に、メンテナンスキットが付属しているモデルを選ぶと、定期的な手入れがより簡単になります。
価格で選ぶ
エアーコンプレッサーを選ぶ際、価格は重要なポイントですが、購入時にかかる費用のみに注目するのではなく、維持費用も含めて検討することをおすすめします。
故障した際のパーツの入手のしやすさや価格、アフターサービスの内容も含めて比較することをおすすめします。店舗では、取り扱うモデルが少なく選択肢が限られますが、オンラインストアならたくさんの商品を比較できます。実際に使用した人のレビューを見てから購入できるため、コストパフォーマンスの良さを検討するにはオンラインストアがおすすめです。
エアーコンプレッサーを使う際の注意点
エアーコンプレッサーを使う際の注意点は下記のとおりです。
- 用途に合った圧力を選ぶ
- 使用後はタンク内の空気と水を抜き取る
- 騒音が発生するため周囲に配慮する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
用途に合った圧力を選ぶ
エアーコンプレッサーを使用する際もっとも重要なのは、使用するツールに適した圧力を選ぶことです。圧力が高すぎる場合は、タイヤの破裂やツールの故障に繋がる危険性があります。使用する機器の推奨圧力を超えないようにすることが、安全な作業を保証するうえで不可欠です。
作業を始める前には、必ず圧力計を確認し、設定された圧力が適切であることを確かめましょう。また、圧力調整機能があるエアーコンプレッサーを選ぶことで、作業に応じて圧力を簡単に調整でき、より安全かつ効率的な作業が可能になります。
使用後はタンク内の空気と水を抜き取る
エアーコンプレッサーの使用後には、タンク内に残った圧縮空気を安全に放出することが重要です。これにより、タンク内の圧力が安全なレベルに保たれます。
また、エアーコンプレッサーの使用中にはタンク内に水分が蓄積されることがあります。この水分は、サビや腐食の原因となるため、使用後は必ず抜き取りましょう。
騒音が発生するため周囲に配慮する
エアーコンプレッサーの使用は、騒音を伴います。そのため、製品選びの際には騒音レベルを事前に確認することが重要です。特に、住宅街や静かな環境での使用を考えている場合、騒音が比較的低いモデルを選択することが望ましいです。
また、騒音を発生させる作業を行う際には周囲の環境に配慮し、近所迷惑にならない時間帯に作業を行うことが必要です。事前に近所の住民に作業日時を伝えておくと、対人トラブルを回避できます。
まとめ
この記事では、エアーコンプレッサーの用途や使い方、種類、選び方について詳しく解説しました。
エアーコンプレッサーを選ぶ際は、用途に合わせたタンク容量や吐き出し空気量、馬力、最高圧力をチェックしましょう。また、メンテナンスのしやすさや価格も重要な選択基準です。エアーコンプレッサーを選ぶ際には、これらの要素を総合的に考慮し、作業の効率化と安全性を確保する最適なモデルを選びましょう。
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