更新日:2024年4月30日
バスボードとは?種類や介護現場に合わせた選び方、浴槽台と併用する方法を解説

バスボードの使用を検討しているものの、種類や特徴がわからず困っている方もいるのではないでしょうか。
バスボードは座ったまま浴槽に出入りすることをサポートする器具で、固定式や回転式、座面跳ね上げ式などいくつかの種類があります。
この記事ではバスボードを使う場面や種類、選び方、使い方、使用時の注意点を解説します。浴槽台との併用方法も解説しているため、バスボード選びにお悩みの方や、より安全な入浴方法を検討している方は参考にしてください。
バスボードとは?
バスボードは、座ったまま浴槽への出入りをサポートする器具です。筋力低下やケガが原因で浴槽の縁をまたぐのが難しい場合に使います。また、浴槽の縁をまたげるものの、不安定でケガの危険性がある場合にも使えます。
バスボードの用途や使う場面
バスボードは、何らかの理由で浴槽に座った姿勢のまま入らないといけない場合に使います。例えば筋力低下で足腰は不安定だが自宅で入浴したい場合や、自宅や介護・看護現場で入浴介助が必要な場合などです。その他にひざの疾患や骨折、片麻痺、リウマチなどで四肢が動かしにくい人にも向いています。
介護用バスボードは介護保険で購入可能
バスボードは厚生労働省が介護保険制度で定める「入浴補助用具」に該当するため、要介護認定を受けている場合には、介護保険を利用して購入できます。
補助費用は原則年間10万円以内で、まずは利用者が全額負担し、その後購入費用の9割が介護保険から払い戻される仕組みです。市町村によっては、1~3割の自己負担を事業者に支払う代理受領委任払いが可能です。
しかし、自治体やケアマネジャーを通さない通販などでの購入は給付の対象にならないため、注意が必要です。
バスボードの種類
この項目では、3種類のバスボードを解説します。メリットとデメリットも合わせて解説しているので、使う人に合ったバスボード選びの参考にしてください。
固定式バスボード
固定式バスボードは、浴槽に固定して使います。浴槽の両縁をまたぐようにバスボードを置き、バスボードの上に座ります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
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回転式座面バスボード
回転座面式バスボードは、固定式バスボードのように浴槽に固定しますが、固定式とは異なり座面が回転します。
| メリット | デメリット |
|---|---|
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座面跳ね上げ式バスボード
座面跳ね上げ式バスボードは、固定式バスボードのように浴槽の両縁をまたぐように設置しますが、使わないときは座面を跳ね上げて保管できます。
| メリット | デメリット |
|---|---|
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バスボードの選び方
この項目ではバスボード選びのポイントを解説するので、選び方の参考にしてください。
浴槽のサイズを基準に選ぶ
バスボードを選ぶ際は、浴槽のサイズに合ったバスボードを選ぶことが大切です。浴槽とバスボードのサイズが合っていないと、しっかり固定ができず、座ったときに身体を支えられません。また、身体が不安定だと、思わぬケガや転落に繋がる危険性があります。
利用者の状況に合わせて選ぶ
身体の状態は、人それぞれ異なります。そのためバスボードは利用する人の状況に合わせて選びましょう。
そしてお持ちの身体機能を活かしながら、洗い場と浴槽間を安全に移動できるものを選びます。このとき、安全な移動を意識するあまり残された身体機能を使わずにいると、本来できるはずの動作も徐々にできなくなります。そのため、サポートが過剰にならないよう注意が必要です。
例えば自分で浴槽の縁はまたげるものの、不安定で支えが欲しい場合は、しっかりとグリップが付いた固定式や座面跳ね上げ式が向いています。
片麻痺など身体に動かしにくい部位がある場合には、回転式を使うと利用者にとっても、介護者にとっても安全な移動が可能です。
重量で選ぶ
バスボードはさまざまな大きさや機能のものが売られています。利用者本人がバスボードを扱う場合には、なるべく軽量のものがおすすめです。
また、浴室が狭い場合は、使用後や他の家族の入浴時にはバスボードを取り外したいと感じるかもしれません。そのような場合も、軽量で取り外しが容易なバスボードがおすすめです。
バスボードの使い方
この項目ではバスボードの使い方を、自立入浴ができる場合と介助入浴の場合に分けて解説します。
自立入浴の場合
まずは浴槽に入るときのバスボードの使い方を解説します。
- 浴槽に置いたバスボードの縁に座る
- バスボードのグリップや手すりを掴んで、浴槽側の足から入る
- 浴槽内のグリップや手すりを掴んで、浴槽内で一度立ち上がる
浴槽から出るときは、入るときと反対の動作を行います。
- バスボードにしっかり座る
- 洗い場に近いほうの足から、片足ずつ出す
- 座る向きを変えて、両足を浴槽から出して立ち上がる
介助入浴の場合
介助が必要な場合は、バスボードに座ったときと同じ高さになるシャワーチェアを洗い場に置くと移動がスムーズにできます。
まずは浴槽に入る場合を解説します。
- シャワーチェアからバスボードに臀部を移動させる(介助が必要な場合は、介助者が利用者の身体を抱えてバスボードへ移動)
- 臀部を移動してから、片足ずつ浴槽に入る
続いて浴槽から出る場合を解説します。
- 介助者がバスボードを浴槽に固定する
- バスボードに座って、まずは臀部をバスボードの横に置いたシャワーチェアに移動させる
- シャワーチェア側にある足から、片方ずつ足を出していく
浴槽台とバスボードの併用方法

浴槽台とは、浴槽のなかに設置して使う椅子で、入浴時に椅子や踏み台としても使えます。浴槽が深すぎる場合には浴槽台を使用すると、段差が小さくなり移動しやすくなるためおすすめです。この項目では、バスボードと浴槽台を併用する場合の使い方を解説します。
浴槽が深すぎる場合は浴槽台と併用しよう
浴槽台は、浴槽のなかに設置して使う椅子です。市販の風呂用の椅子では座面が低すぎて立ち上がりが難しい場合や、浴槽内での立ち上がりが難しい場合に使います。
浴槽内での立ち上がりが難しい場合に便利な一方、浴槽内での座高が高くなるため、肩まで湯に浸かるのは難しくなります。
浴槽台と併用する場合の使い方
バスボードと浴槽台を併用する場合の使い方を解説します。
- バスボードを設置し、浴槽内に座った場合を想定して、足を置く位置に浴槽台を設置する
- バスボードの基本的な使い方と同様に、バスボードに座ってから片足ずつ浴槽台の上に足を移動させていく
上記の方法は浴槽内でバスボードと併用する方法です。その他に、洗い場に浴槽台を置いて、浴槽に入るための踏み台として使う方法もあります。
バスボード利用時の注意点
浴室内は介助が必要のない人であっても滑りやすく、ケガしやすい場所です。そのため筋力低下などで介助を必要とする方にとっては、浴室内ではより慎重に行動する必要があります。この項目では、バスボード利用時の注意点を解説します。
転倒に注意する
筋力低下などで介助を必要とする方の入浴時には、特に転倒に注意が必要です。まずはバスボードを浴槽にしっかり固定し、がたつきがないように設置してください。
また、バスボードに浅く座って移動した場合、浴槽をまたぐときに浴槽内に滑り落ちる危険があるため、バスボードには深く座りましょう。
そして石鹸やシャンプーを使う浴室内では、移動前に床や浴槽をしっかり洗い流します。石鹸やシャンプー残りが原因で滑って転倒する場合もあるからです。
また、片麻痺がある人の介助では、浴槽をまたぐときに身体が傾いて倒れないか、しっかり見守り、必要に応じてサポートしてください。
麻痺がない足(健側)から出入りする
入浴時に限らず、麻痺がある人では、移動時は麻痺のない健側からの移動が基本です。浴槽での移動も同じように、麻痺のない健側から動かしましょう。健側から動かすと、麻痺のある足も自然についていきやすくなります。
また、麻痺があると身体を浮かさずにずらして動かす場合も多くなります。そのため、特に臀部の皮膚に異常がないかを常にチェックしましょう。麻痺側は熱さも感じにくいため、湯の温度や熱くなる機器にも配慮し、やけどには注意してください。
そして麻痺側は関節が固まって拘縮している場合も多いため、移動スペースは広めに確保しましょう。
介助時は目を離さない
先述したように、浴室内は水があることや石鹸・シャンプーを使うことから滑りやすくなっており、転倒には特に注意が必要です。そのため入浴介助中は、バスボードの利用者から目を離さないよう注意します。
入浴の一連の流れが自立している場合でも、しっかり見守りましょう。特に麻痺のある場合には、思わぬケガに繋がる可能性もあります。安全な入浴のために、入浴中は目を離さないよう気をつけてください。
まとめ
バスボードは座ったまま浴槽に入れる器具で、何らかの理由で浴槽を自力でまたげない場合に用います。バスボードの種類は、固定式や回転式、座面跳ね上げ式の3つがあります。利用者の状況や浴槽のサイズ、バスボードの重量から適切なものを選びましょう。
自立入浴と介助入浴の場合では使い方がやや異なるため、事前に使用方法をしっかり確認してください。また、入浴時は転倒に注意し、麻痺のない健側から動かし、介助者は目を離さないよう意識しましょう。
利用者の状態に合ったバスボードを選び、安全に入浴してください。

監修者
福島 実氏
2004年より福祉の職に就き現在は主任介護支援専門員として働きながら、一般社団法人みらいどの代表として共生社会を目的に活動しています。その中で私は「正確な情報を迅速に提供(提案)し回答する」という事を常に心がけることがご利用者様との信頼関係を築く第一歩だと感じました。その為には、社会資源の開拓や福祉にとらわれず様々な知識を深め、地域の方々から信頼される法人になれるよう日々、精進しています。
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