更新日:2026年2月26日
バイオハザードマークとは?意味や種類、感染性廃棄物の処理方法を解説

バイオハザードマークとは、感染性廃棄物であることを示すために、容器に表示されるマークのことです。医療機関や介護施設などにおける衛生管理では廃棄物の適切な処理が大切であり、特に病原体が付着している可能性のある廃棄物を安全に扱うためには「バイオハザードマーク」についての理解が欠かせません。
本記事では、医療廃棄物の意味やバイオハザードマークの種類、さらに医療廃棄物の適切な処理方法について解説します。
医療廃棄物とは

バイオハザードマークを正しく理解するためには、まず前提となる「医療廃棄物」について確認しておく必要があります。医療廃棄物とは、病院や診療所、介護施設などの医療機関や保健施設で、医療行為などによって発生した廃棄物です。
医療廃棄物は大きく「感染性廃棄物」と「非感染性廃棄物」の2種類に分類されます。バイオハザードマークは、感染性廃棄物に表示されるマークです。
ここでは、2種類の医療廃棄物について解説します。
感染性廃棄物
感染性廃棄物とは、医療機関などから排出される廃棄物のうち、病原体を含む、もしくは付着している可能性があるものを指します。感染性廃棄物は、排出元によって「感染性一般廃棄物」と「感染性産業廃棄物」に分けられます。
感染性一般廃棄物は、主に病院や診療所、介護施設などから排出される廃棄物で、血液や体液が付着したガーゼ・紙おむつなど、一般廃棄物に該当するもののうち感染リスクがあるものを指します。
一方、感染性産業廃棄物は、医療行為や検査・研究活動によって発生する廃棄物で、注射針やメスなどの鋭利物、検体容器、病理廃棄物などが該当します。これらは産業廃棄物として、より厳格な管理と処理が求められます。
このように、同じ感染性廃棄物であってもどこで、どのように排出されたかによって分類が異なるため、適切な区分と処理方法を理解しておくことが重要です。
感染性廃棄物を取り扱う施設は、以下のような医療・研究機関が該当します。
- 病院・診療所
- 衛生検査を行う専門機関
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
- 助産所
- 動物医療を行う施設
- 国・自治体が設置する研究機関
- 大学の研究施設
- 医学・歯学・薬学・獣医学などを扱う教育・研究機関
感染性廃棄物に該当するかどうかは「形状」「排出場所」「感染症の種類」という3つの基準で判断されます。
それぞれの基準における具体例は、以下の通りです。
| 形状 |
|
|---|---|
| 排出場所 |
|
| 感染症の種類 |
|
これらの感染性廃棄物は病原体が付着している可能性が高いため、厳格な管理が必要です。適切に処理しない場合は、医療従事者や清掃スタッフ、患者、地域住民にまで感染症のリスクをもたらします。
そのため、感染性廃棄物には「バイオハザードマーク」を表示し、安全に取り扱うことが義務付けられており、誰が見ても危険性を認識できるようにしています。
処理方法の基本的な流れは以下の通りです。
- 他の廃棄物と分別する
- 専用の容器・袋に収集する
- 消毒・滅菌処理を行う
- 焼却や埋め立てなど法令に基づく最終処分を実施する
また、輸送や保管の際にも二次感染を防ぐための注意が必要です。
感染性廃棄物の取り扱いは、院内感染の防止や施設全体の衛生確保に直結します。医療従事者は処理手順や関連法規を十分に理解し、安全に対応することが求められるのです。
なお、「感染性廃棄物」は発生場所や事業区分によって処理区分が異なる点にも注意が必要です。
医療機関や診療所などの事業活動から発生する感染性廃棄物は「感染性産業廃棄物」に分類され、廃棄物処理法に基づき、許可を受けた産業廃棄物処理業者へ委託して処理する必要があります。マニフェストの交付・管理など、厳格な管理義務が課されているのが特徴です。
一方で、在宅医療や一般家庭での医療行為等から排出される注射針・血液付着物などは、自治体の区分により「感染性一般廃棄物」として扱われる場合があります。この場合、処理方法や回収方法は自治体ごとに異なり、指定の回収ルールに従う必要があります。
このように、同じ感染性廃棄物であっても「感染性一般廃棄物」か「感染性産業廃棄物」かによって、処理責任者・処理方法・委託要件が異なります。排出元の区分を正しく理解し、法令や自治体ルールに沿った適切な処理を行うことが重要です。
非感染性廃棄物
非感染性廃棄物とは、病原体が付着しておらず、感染症のリスクが極めて低い廃棄物のことを指します。医療機関や介護施設などで発生する廃棄物のうち、感染性廃棄物に該当しないと判断された廃棄物がこの分類に含まれます。
具体的には、次のような「一般ごみ」と同じ性質の廃棄物が該当します。
- 紙くずや段ボール
- プラスチック包装
- 飲料容器
- 食事の残骸
- オフィスごみ など
非感染性廃棄物は、一般のごみと同じように処理・廃棄が可能で、特殊な表示は必要ありません。ただし、感染性廃棄物と混在すると誤判定のリスクがあるため、施設内での適切な分別ルールの徹底が求められます。
バイオハザードマークとは
バイオハザードマークは、感染性がある廃棄物や物品を示す国際標準のシンボルです。1966年にアメリカで制定され、警告表示の混乱を避ける目的で導入されました。
医療機関や研究施設では、関係者が感染性廃棄物をひと目で識別するために利用されています。3つの円が重なり合うように配置されたデザインが特徴で、黄色やオレンジ色、赤色などに色分けされているものが一般的です。
バイオハザードマークは、病原体が付着している可能性のある物をしめし、注意を促す役割を果たします。
マークの利用は義務付けられていませんが、強く推奨されているため、利用しない場合は「感染性廃棄物」と明記したり、取り扱う際の注意事項を表示することが求められます。
色ごとに違う!バイオハザードマークの種類

バイオハザードマークは、感染性廃棄物の性質によって添付すべきマークの色が異なり、赤色・オレンジ色・黄色の3つに分類されます。
それぞれが表す意味と該当する感染性廃棄物は、以下の通りです。
| 色 | 形状 | 内容物の例 | 保管・収集容器 |
|---|---|---|---|
赤色![]() | 液体または泥状 | 血液や体液など | 密閉性の高いプラスチック製の容器など |
オレンジ色![]() | 血液や汚染物が付着した固形物 | 血液が付着したガーゼや紙おむつなど | ビニール袋など |
黄色![]() | 病原微生物の付着した鋭利なもの | 注射針やメスなど | 金属やプラスチック製の容器など |
前述の通り、バイオハザードマークの貼付は、法律で義務付けられているわけではありません。ただし、感染性廃棄物を保管・収集・運搬時には、廃棄物処理法施行令第6条の5第1号に基づき、廃棄物の種類や注意点を明示する必要があります。
そのため、バイオハザードマークを用いることで誰が見ても内容がすぐに分かり、作業もスムーズになることから、実務上は積極的に活用することが求められます。
感染性廃棄物の管理に関する注意点

感染性廃棄物の管理は、法令で取り扱い方法や表示義務が細かく定められています。規定に沿って適切に対応しなければ、感染リスクや法令違反につながるおそれがあります。
ここでは、感染性廃棄物を扱う際に特に注意すべきポイントを整理しました。
感染性廃棄物の収集について
感染性廃棄物を収集・運搬する場合は、漏れ・破損・飛散を防ぐことができる専用容器を用いることが基本とされています。
液状・泥状の廃棄物(赤色マーク)の収納には、漏れを防ぐため、内袋付き段ボール容器やプラスチック容器、二重袋などの堅牢な容器が必要です。
固形状の廃棄物(オレンジ色マーク)は、内袋付き段ボール容器や二重のプラスチック袋での収集が推奨されます。
注射針やメスといった鋭利物(黄色マーク)は、貫通事故を避けるため、金属製または強度の高いプラスチック製容器に収集しましょう。
また、排出した場所で直ちに適切な容器へ入れ、容器の外側に血液などが付着した場合は、消毒剤を染み込ませた布で拭き取り、病原体が外部に付着しないよう徹底することが求められます。
感染性廃棄物の保管について
感染性廃棄物は病原体を含むおそれがあるため、管理が不十分だと新たな感染リスクを生む可能性があります。そのため、産業廃棄物の収集運搬業者や処分業者へ引き渡すまでの間は、適切な管理体制のもとで厳重に保管しなくてはなりません。
廃棄物処理法では以下のような取り扱い方法が定められています。
- 保管エリアには囲いや仕切りを設け、関係者以外が触れられないようにする
- 廃棄物の種類や注意事項が分かるよう、取り扱い内容を記した掲示物を掲示する
- 保管期間はできる限り短くし、長期保管が必要な場合は密閉性の確保や冷蔵保存などで腐敗を防止する
- 「産業廃棄物保管施設」に保管する
- 「保管している廃棄物の種類」を記載した掲示板を設置する(サイズは縦60cm以上×横60cm以上)
保管スペースが不足する場合や分別作業が感染リスクを高めるおそれがある場合には、異なる種類をまとめて保管する対応も認められます。
ただし、その際は各廃棄物の特性に合わせて、漏れや突き抜けを防ぐ容器が必要です。また、混入や誤廃棄を防ぐために、色ごとに仕切りやラベルを設置することも求められます。
バイオハザードマークに関するよくある質問
ここからは、バイオハザードマークに関するよくある質問をご紹介します。
バイオハザードマークの色は何を意味しますか?
バイオハザードマークは3種類あり、感染性廃棄物の種類によって色が異なります。
| 赤色 | 液体または泥状 |
|---|---|
| オレンジ色 | 血液や汚染物が付着した固形物 |
| 黄色 | 病原微生物の付着した鋭利なもの |
バイオハザードマークの表示は法律で義務付けられていますか?
法律で義務付けられてはいませんが、感染性廃棄物を識別するために強く推奨されています。
使用しない場合は、「感染性廃棄物」と明記するなど、識別できる表示が必要です。
感染性廃棄物の収集・保管場所に関するルールは?
感染性廃棄物は、漏れや破損を防ぐことができる専用容器を用いることが基本です。また、処分業者へ引き渡すまでの間は、新たな感染リスクを防ぐため、専用の保管場所で厳重に管理することが求められます。
まとめ
バイオハザードマークは、感染性廃棄物を安全に処理するために重要なサインです。感染性物質や病原体などが含まれていることがひと目で分かるように表示することで、廃棄物の保管や収集、処理に関わる人々の感染リスクを抑えます。
マークを正しく利用すると、法令を守るだけでなく、現場での安全意識向上にもつながるでしょう。
感染リスクを最小限に抑え、安全な環境を維持するためにも、バイオハザードマークの正しい理解と活用が重要です。
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