更新日:2026年2月26日
契約書の保管期間は何年?関連法律と保管方法・破棄についても解説

契約書の保管期間は会社法や法人税法、電子帳簿保存法など複数の法律で定められています。違反時は罰則や証拠喪失などの重大リスクが発生するため、正しい運用ルールの理解が不可欠です。
本記事では、契約書に関する保管期間や保管方法、廃棄について詳しく解説します。
契約書の保管期間は法律で定められている

契約書の保管期間は、会社法・法人税法・労働基準法など、複数の法律によって異なります。
それぞれの法令で定める年数や目的が異なるため、まずは主要な法律ごとの規定を整理しておきましょう。
以下で紹介する法令は、契約書の保管期間を考える上で特に重要な基準です。
会社法による規定
会社法第432条第2項では、会社の取引や経営に関する書類を「作成の日から10年間」保管することが義務付けられています。これは、会計帳簿や取締役会議事録などと同様に、契約書も企業活動を裏付ける重要な証拠と位置付けられているためです。
従って、会社法が適用される企業は、契約書を10年間保管することが原則です。
契約内容によっては、取引記録や付随資料も同様に扱われるケースがあります。法令で定められた期間を下回る保管は、後の紛争対応や監査時に不利になるおそれがあるため注意しましょう。
<参照>
e-Gov法令検索 会社法
法人税法による規定
法人税法第126条および施行規則第59条では、課税の基礎となる証拠書類を7年間保管するよう求めており、契約書は取引の証拠資料としてこの規定の対象に含まれます。ただし、青色申告法人で欠損金の繰越控除を適用している場合は、保管期間が10年間に延長されることがあります。
従って最低7年は、状況に応じて10年を基準に管理するのが適切でしょう。
実務においては、会社法で定められた10年と法人税法上の7年が重なるため、最も長い期間に統一して運用するのが一般的です。
<参照>
e-Gov法令検索 法人税法
その他の法律に関連する保管規定
契約書の内容によっては、他の法律が保管期間を定めているケースも少なくありません。
例えば、労働基準法第109条では、労働者名簿や雇用契約書などを5年間(経過措置により当面の間3年も可)保管する義務があり、金融商品取引法では有価証券届出書などを5年間保管することが定められています。
また建築・建設関連では、建築士法により設計図書や工事監理報告書を15年間保管する義務があり、建設業法でも請負契約書等を5〜10年間保管する規定があります。特に、大規模建築や公共工事のように紛争や瑕疵対応のリスクが長期にわたるケースでは、15年を超える管理が実務的に推奨されます。
このように、契約書の保管義務は法令や業種によって異なります。一般企業では会社法に基づき10年を基準とするケースが多い一方で、建設業・不動産業など一部の業種では最長15年以上の保管が求められる場合があります。
従って、個別の契約内容や業法に応じて最長の期間を確認の上社内ルールを設定することが重要です。
<参照>
e-Gov法令検索 労働基準法
<参照>
厚生労働省労働基準局 改正労働基準法等に関するQ&A
<参照>
e-Gov法令検索 建築士法
<参照>
e-Gov法令検索 建設業法
電子帳簿保存法における契約書の保管期間に定めはある?

電子帳簿保存法には、契約書そのものの保管期間を新たに定める規定はありません。契約書の保管年数は、従来通り会社法(原則10年)や法人税法(原則7年、条件により10年)などの根拠法令に基づいて判断します。つまり、紙で保管する場合と電子データで保管する場合とで、必要な保管期間に違いはありません。
電子帳簿保存法が定めているのは「どのように保存するか」という保存形式の基準であり、保管年数そのものを変更するものではないことが理由です。電子契約サービスを利用して締結した契約書や、紙の契約書をスキャンして電子化したデータも、それぞれの法令で求められる年数に従って保管する必要があります。
契約書の保管方法

契約書の保管には、紙の原本を保管する方法のほか、スキャンデータや電子契約システムを活用する方法など、いくつかの選択肢があります。
ここでは、代表的な4つの保管方法について見ていきましょう。
紙媒体で保管
現在も多くの企業で採用されているのが、紙の契約書を原本のまま保管する方法です。電子契約の普及が進むなかでも、押印や印紙税の扱い、社内承認フローの慣習などの理由から、紙媒体での管理を続ける企業は少なくありません。
ただし、紙の契約書は紛失や劣化のリスクが高く、保管スペースを圧迫しやすいという課題があります。施錠できるキャビネットや耐火金庫を使用し、アクセス権限を限定して管理することが望ましいでしょう。
紙の契約書をPDF化して保管
紙の契約書をスキャンし、PDFデータとして保存する方法もあります。ただし、単にスキャンして保存しただけでは、法的な証拠力が十分とはいえません。
電子帳簿保存法に基づき、タイムスタンプ付与や原本同等性の確認など、定められた要件を満たす必要があります。
電子データで保管
電子契約で締結した契約書や、電子的に授受した契約データは、電子のまま保存することが義務化されています。2024年1月の電子帳簿保存法改正により、これらのデータを紙に出力して保管する運用は認められなくなりました。
契約書の電子保存には、電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。また、適切なバックアップやアクセス制限を設け、長期保管に耐えられる管理体制を整えることも重要です。
マイクロフィルムで保管
かつては契約書の長期保管手段として、マイクロフィルムが広く利用されていました。マイクロフィルムは耐久性が高く、保管スペースも比較的少なく済みますが、閲覧や検索の手間が大きく、複製にも時間がかかる点が課題です。
さらに、主要メーカーによるフィルムの生産終了が決定しており、現時点での新規導入は現実的ではありません。マイクロフィルムで保管している既存資料については、電子データへの移行を検討するのが望ましいでしょう。
保管期間が過ぎた契約書の廃棄方法

契約書は、個人情報や取引情報が記載された重要書類です。保管期間を過ぎたからといって安易に廃棄すると、情報漏洩やコンプライアンス違反につながるおそれがあります。従って、保管期間が終了した契約書は、内容を第三者が復元・閲覧できない状態で確実に破棄しなくてはなりません。
契約書の廃棄方法としては、社内でシュレッダーを使用して処理する方法と、専門業者に依頼する方法の2種類が一般的です。
シュレッダーで廃棄
社内で即座に対応できるのがシュレッダーによる廃棄です。紙を細断処理することによって情報の再現を防げるため、小規模な契約書や日常的な文書廃棄に向いています。ただし、シュレッダーには「ストレートカット」「クロスカット」「マイクロカット」など複数の種類があり、裁断後の紙片サイズによってセキュリティレベルが異なります。
特に契約書などの機密性の高い書類を処理する場合は、復元が困難なマイクロカット方式を選ぶのがおすすめです。
専門業者に依頼
大量の契約書を一括で処理する場合や、より高い情報管理レベルが求められる場合は、文書廃棄の専門業者に依頼する方法もあります。業者によっては、契約書を密閉容器で回収し、溶解処理(融解)によって物理的に原形をとどめない形で処理します。この方法は紙片が残らず、情報漏えいリスクを最小限に抑えられます。
特に、ISO27001(情報セキュリティマネジメント)認証を取得している業者や、廃棄証明書を発行してくれる事業者を選ぶと安心です。
契約書の保管期間を守らなければどうなる?

契約書の保管期間を守らない場合、法令違反や信用低下など複数のリスクに直面します。契約書は会社法や労働基準法、法人税法などで保管期間が定められており、違反すると最大100万円の過料や30万円以下の罰金が科されることがあります。さらに、青色申告の取り消しなど税務上の不利益が生じる可能性も否定できません。
また、法定期間前に契約書を廃棄してしまうと、税務調査や訴訟で必要な証拠を提出できず、企業側が不利になることがあります。そのため、契約書の保管期間を正しく守ることは、法令遵守だけでなく、企業の信頼を維持する上でも欠かせません。
契約書の保管における注意点

契約書を保管する際の注意点としては、以下の点が挙げられます。
- 契約書を破棄するタイミングの把握
- 契約書の更新管理
- 閲覧方法の工夫
- 紛失防止対策
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
契約書を破棄するタイミングの把握
保管期間が満了した契約書をそのまま残しておくと、保管スペースや管理コストが増える上、情報漏洩リスクも高まります。そのため、保管期間の満了時に確実に廃棄する仕組みを整えることが重要です。
一覧表や管理システム上で廃棄予定日を可視化し、担当者が定期的に確認できる体制を整えるといいでしょう。
契約書の更新管理
継続契約や自動更新契約は、更新時期の把握漏れが契約トラブルの原因となります。一覧表や管理ツールで更新期限を可視化し、担当者へ自動通知される仕組みを導入すれば、更新時のミス防止に役立つでしょう。
また、更新後の契約書は旧版と明確に区別し、常に最新の内容を参照できるよう整理しておくことがポイントです。
閲覧方法の工夫
大量の契約書のなかから必要な書類を探し出すには、検索性とアクセス管理の両立が欠かせません。紙で管理する場合は、台帳を作成して分類し、電子化している場合はファイル名・タグ・権限設定を統一しましょう。
誰が・どの契約書を・どの段階で確認できるかを明確にすれば、業務のスピードとセキュリティを両立できます。
紛失防止対策
契約書の紛失を防ぐには、ルールの徹底と定期的な棚卸しが基本です。特に重要な契約書は保管場所や閲覧履歴を記録し、扱える担当者の権限を厳しく管理する必要があります。
さらに、社内規程で文書管理ルールを制度化し、教育や監査を通じて定着させることも必要でしょう。
まとめ
契約書の保管は、法令遵守と企業の信頼を支える重要な業務です。保管期間を守り、適切に管理・廃棄することで、情報漏洩やトラブルを防ぐことができます。
近年は、電子契約やクラウド管理ツールの普及により、契約書のデジタル運用が主流になりつつあります。電子帳簿保存法の要件を満たしたシステムを導入することで、検索性とセキュリティを両立しつつ、保管業務の効率化も図れるでしょう。
法令を遵守しつつ、自社の実情に合った運用ルールを整備することが、信頼される企業経営につながります。
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